IS インフィニット・ストラトス 〜転入生は女嫌い!?〜 第十八話 〜新しい転入生〜 |
あれから三日が経った。無人の敵ISは実験兵器の暴走と一般の生徒には説明したらしい。三日間の間にも、一夏達は放課後に見舞いにクロウの所にやってきていた。クロウはやっと授業を受けられるくらいに回復していたので、今日から授業へと復帰していた。
〜教室〜
「よう、お前ら」
「「「クロウ(さん)!!」」」
クロウが席に着くと、一夏達がその周りに集まる。三人とも、クロウの事をとても心配していたようで、その顔に浮かぶのは純粋な喜びだった。
「大げさだな、お前ら。何も死にかけたわけでもないぜ」
「それに近かっただろうが。自分から死ぬような真似しやがって」
「そうですわ!もっと自分のお体を大事にしていただけませんと」
「うむ。その様な事はあまり勧められんな」
三人全員がクロウの行動を非難しつつも、決して悪い意味での非難ではなかった。それ程クロウという存在を三人の中で大事にしてくれているらしい。クロウとしては嬉しい限りである。
「まあ、精々気をつけるさ。ところで俺がいなかった間、何か変わった事ってあったか?」
「いいえ、ありませんわ。強いて言えば織斑先生が妙に落ち着きが無く 「ほう、お前達。興味深い話をしているな」・・・!!」
いつの間にか、セシリアの背後に千冬が仁王立ちしていた。顔は笑っているが、背後には般若が見える・・・様な気がする。
「お、織斑先生・・・」
「人がいないところで何を話しているのやら・・・。後で、宿直室で説教してもいいんだぞ?どうだ?」
「す、すいませんでした・・・」
セシリアは肉食獣ににらまれた獲物のように縮こまってしまった。
「久々・・・でもないですね。織斑先生」
「ああ・・何をしているお前ら、早く席につけ!!」
その号令ののち、全員が素早く席に着く。
「よし、今日は転入生を紹介する」
「(転入生?またか??)」
麻耶がクロウの時と同じ様に、廊下の転入生に声を掛ける。
「は、入ってください」
麻耶がドアに向かって声をかけると、一人の男と一人の女が入ってきた。
「え・・・嘘?」
「男の子?」
男のほうは中性的な顔立ちをしており金髪の髪を後ろでひとつに束ねていた。女のほうは小柄で、銀髪の髪を伸ばしており、左目に眼帯をしていた。
「そ、それでは自己紹介をお願いします。まずはデュノアさんから」
男のほうが一歩前に出て、自己紹介を始める。
「みなさん、はじめまして。シャルル・デュノアです。ここには同じ境遇の方がいると聞き、フランスから転入してきました。よろしくお願いします」
「・・・き」
「き?」
「まずいっ!」
クロウと一夏は急いで耳をふさいだ。次の瞬間、
「「「キャアアアアア!!!」」」
「うわっ!!」
「(うるせええええ!!!)」
「男子!三人目の男子!!」
「美形!守ってあげたくなる系の!!」
「織斑君の黒髪もいいけど、金髪もいい!!」
女子生徒の声はもはや騒音といっていいレベルに達していた。それを打ち破ったのは千冬の一喝だった。
「いい加減にしろ!!」
その一言ですべての喧騒が止んだ。クロウはというと、転入生の素性に疑問を持っていた。
「(あいつ・・・本当に男か?)」
サラサラの髪の毛。撫で肩であり、喉仏も無ければ妙に内股で立っている。極めつけはクロウ自身の女嫌いのセンサーであり、勘だった。
「(まあ、いいか)」
前を見ると、麻耶が二人目の転入生に自己紹介をするように言っていた。だが
「・・・」
いくら待っても自己紹介をする気配は無し。見かねた千冬が声を掛ける。
「挨拶をしろ、ラウラ」
「(何だ?知り合いか?)」
「了解しました」
千冬の声にあっさりと従う転入生。ラウラと呼ばれた少女が一歩前に出て、自己紹介を始める。
「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」
言ったのはいいが、その後が全く続かない。クラスを微妙な雰囲気が包み込む。
「・・・」
「あのー、それで終わり、ですか?」
「以上だ」
クラス全域が、静まり返る。山田先生もどうしていいのかわからないようで、半泣きの状態になっていた。ラウラは一夏を見つけると、一夏の方へと歩きだした。そして手を大きく振り上げ・・・
バシッ!
「くっ、貴様!何をする!!」
「そりゃこっちのセリフだ。いきなり人を殴りつけるなんざ、どう考えてもおかしいだろう」
ラウラが振り上げた平手は、クロウが手首を掴んで止めていた。ラウラが振りほどこうとするが、クロウの握力の方が圧倒的に強く、全くの徒労だった。
「そこまでだ。次の時間はグラウンドで行う。全員速やかに着替え、集合するように!あと織斑とブルーストはデュノアの面倒を見てやれ。それでは解散!!」
その言葉が発せられると、生徒が動き出す。クロウもラウラの手を離すと、ラウラは低い声でつぶやいた。
「認めん、お前があの人の弟であるなど。・・・認めるものか!」
最後の言葉は叫ぶように言い、ラウラは去っていった。
「ありがとな、クロウ。助かったよ」
「気にするな。しかし一夏、お前あいつと面識あるのか?」
「うーん、覚えがないんだけど・・・。とりあえず移動しようぜ」
「そうだな。おーいデュノア、だっけ?」
遠くで何をしていいのか、わからなそうに直立しているシャルルに声を掛ける。
「あ、うん。何かな?」
「俺はクロウ・ブルースト。こっちは織斑 一夏。これからよろしくな」
「うん、よろしく。それと僕のことはシャルルでいいよ」
「じゃあ、俺の事も一夏って呼んでくれ」
「俺もクロウでいい。だが二人とも、早く移動しないと織斑先生のきつい一撃が待っているぞ」
「ヤベッ。早く行こうぜ!」
三人は教室をでて、廊下を進む。走りながら会話を続ける三人。
「移動教室の時は毎回通る道だからな。早めに覚えてくれ」
「それよりも、困るのは・・・ 「転校生君発見!!」・・・これなんだけどな」
三人の前には、ほかの教室から出てきた女子が作った人だかりが出来ていた。
「みんな!いたわよ!!」
「者ども、出会え出会えー!!」
「な、何かあったの?」
「いや、俺とクロウにとっちゃ日常茶飯事なんだけど・・・さすがにここまで人が多いとはなあ」
「シャルル、この学園には男子は俺たちだけ。その意味がわかるか?」
「・・・???」
シャルルは状況を上手く飲み込めないらしく、小首をかしげている。まあ、普通はこの反応が当たり前だよな、とクロウは嘆息する。むしろこの状況に慣れてしまった一夏とクロウがおかしいと再認識しながら。理解出来ないシャルルに一夏が説明を加える。その間にも生徒の波は確実に大きくなっていく。
「つまり、珍しいってことだよ」
「あっ!そうか、そうだよね!!」
「理解したか?だったら一夏、いつもどおり俺が食い止めておくから、お前はシャルルを連れて先にいけ」
「おう、分かったぜ」
一夏とクロウのとっては日常の一風景なのだが、シャルルは状況が全く理解出来ない様で、ただただ驚くだけだった。
「え!クロウはどうするの?」
「俺は後で合流する。とにかく先にいけ」
「ほら行くぞ、シャルル!」
「う、うん」
一夏はシャルルを先導して、廊下を走り去っていった。女子生徒も一夏達の後を追うとするが、クロウが行く手を阻む。
「みんな、追いかけるわよ! 「おっと、ここは通行止めだ」 ・・・」
クロウが廊下に仁王立ちになると、女子生徒は財布を取り出しはじめた。
「(ん?何してんだこいつら??)」
すると先頭の女子がおもむろにクロウに話しかけ、
「いくらだったら通してくれる?」
あろうことか、クロウを買収にかかった。
「!!・・舐めてもらっちゃあ困るな。俺がそんなもので友人を売るとでも?」
「目を凄いスピードで泳がせて言っても説得力ないわよ・・・」
クロウの目は高速で泳いでおり、金を取るか、友人を取るかで迷っているようだった。そのまま一分程沈黙が続く。
「・・・そろそろ一夏とシャルルも更衣室に着いたろう。俺も行くか!」
そう言うとクロウは窓枠に足を掛け、飛び降りた。教室は二階だったので大した高さではない。
ズドッ!
クロウは膝を使い上手く衝撃を吸収しつつ、地面に無事着地。クロウは更衣室に急ぐため、全力で駆け出した。
〜更衣室〜
クロウが到着すると、二人はちょうど着替えているところだった。シャルルはもうスーツを着ているが、一夏はまだ上半身が裸のままだ。
「お、クロウ。いつも悪いな」
「気にすんな。まあ、今日は危なかったけどな・・・」
「???」
「そ、それよりクロウも早く着替えないと!」
「お、そうか。じゃあ急がないとな」
クロウも急いで着替える。準備が終わると三人揃ってグラウンドに入っていった。
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第十八話です。 | ||
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