魔王少女?冥王の前には無力!!16前編 |
「では作戦会議を始める。」
ブリーティングルームには衛宮を除いたメンバーとリンディ艦長が集まっている。
「現在、ファントムは元第30管理外世界、エンドラそこの月に基地を作り拠点としている可能性が高い。」
「質問を宜しいかしら?」
「どうぞ、リンディ提督。」
「真尋君は何故其処に基地があると分かったのかしら。今も我々が総力を上げて調べても分からなかったというのに。」
他の者も疑問に思っていたらしく頷いていた。
「あぁ、それについても説明する。先ずはコレを見て欲しい。」
そう言ってスクリーンにファントムを映し出した。途端何名かは殺気立ちスクリーンを睨んでいる。
「ファントムがはやてに洗脳をし掛けた時、彼の瞳に術式が浮かんだ。それについて調べていてな。そしたらコレが出てきた。」
スクリーンを変えとある報告書を映し出す。
「WM事件、恐らくファントムはこの事件の被害者だろう。」
リンディ艦長は驚愕したようで顔を強張らせる。
他の者はその事件を知らないらしく疑問符を浮かべていた。
「コレは昔、管理局で行われた後天的レアスキルの研究されていたんだ。その為に多くの人々を拉致し違法実験をしていた。彼はその生き残りらしい。」
更にスクリーンを変え説明する。
其処には2人の兄妹が映されていた。
「ロロ・アースト、リリ・アースト。第30管理外世界エンドラ出身の子供達だ。といってもこの写真は十数年前のモノで今は20後半から30代だろうな。」
『!!?』
皆は驚愕した。
「じゃあ、ファントムは!」
「あぁ、十中八九ロロで間違いないだろう。そして奴はその眼を使い多くの人々を洗脳しコレを作った。」
そう言ってスクリーンに一枚の写真を写す。
「こ、これは?」
「なに、これ?」
禍々しい形状をしており、星というより兵器に近かい。
「元管理外世界エンドラの月、だった物だな。名前はデススター。」
「これが、本拠地。……」
シグナム達は握り拳を強く握っていた。
「質問いいかな。」
なのはが尋ねてきた。
「どうぞ。」
「どうやってそこまで調べられたの?」
「管理局のメインサーバーからハックしてそこのロックの掛かったデータを一つ一つ調べたよ。」
「ハッキングしたんだ。犯罪だよ、それは。」
ジト目でなのはは私の事を見る。
「目の前の巨大な犯罪者を捕まえるのに何を悠長な、それにその正義は最早通じない。大事なのはこれ以上被害を出さない事だ。デススターが起動すれば惑星レベルでの破壊が始まる。」
「そ、そんなに!?」
リンディ提督が叫ぶ。
「発動すればアルカンシェルの10倍、最大レベルで撃てば惑星なんて、いや下手したら数個纏めて一瞬で蒸発しますよ。まぁ、その為のエネルギーが得られずまだ起動して居ないんですが。」
「どういう事なの?」
なのはが聞く。
「デススターを制御するには高エネルギーのロストロギアが必要なんだ。それこそ、過去に君たちが解決したロストロギアのような、ね。」
「それも、調べたの?」
「ここ十年、考えられる関連事件は全て調べた。それから得た情報だ。」
私は納得していない様子のなのはに言い聞かせた。
「話に戻ろう。まず、はやてを攫った理由、これは簡単だ。はやてはデススターを制御する為のデバイスにする為だ。」
!!
場の空気が凍るとはこういう事だろう。
皆の背筋にゾクリと何かが走った。
「それは、一体。……」
「アレを操るには高エネルギーと同時に智識を必要とする。それこそ人の頭脳のような。」
「!!じ、じゃあ!」
「はやては生体ロストロギアとして利用されるだろう。」
ガタッ!不意に私の身体を揺さぶられ、そちらに目を向けた。
襟元を掴み今にも殴りかかろうとするヴィータがいた。
「何でだよ!何ではやてがそんな目に合わなくちゃいけないんだよ!!」
「過去に彼女はロストロギア、『闇の書』に取り込まれ無事生還している。故に適性があると見られていた。それに彼女自身高魔力魔導師の1人だ。コアとしては充分なのだろう。」
「ならあたし達でも、」
「アレに必要なのは「生体」だ。生きているとは言え、プログラムではダメなんだ。器が無ければ耐えられないように出来ている。」
そう言うと、掴んでいた手が緩みその場に崩れ落ちる。
「は、早く助けないと!?」
なのはが慌て立ち上がる。
「落ち着け、まだ猶予はある。」
「何でそんな事が分かるの!!」
無言で新たな映像を出す。
「デススターは元々管理局にあったデータを用いて作られている。これがそのデータだ。」
「…………」
もう慣れてきた?のか誰も驚かなくなった。
「それによるとまずはやての魔力を同調させるのに一日、完全に融合させるには三日掛かる。故にまだアレの完成には至らない。後
3時間、その間に体調を整えとけ。それではマリーさん後は任せます。」
「うん。ご苦労様、今は休んでて。」
そう言われてやっと俺は椅子に座るようにして眠った。
流石に4徹は、身体に、響、く。
…………
フェイト〜
真尋は大雑把に説明し後ろに控えていたマリーさんに交代した。
そして、
ドカッ!
大きい音を立てて真尋が倒れた。
「!?真尋ッ、真尋!!」
私は慌てて駆け寄り真尋を揺さぶる。息はしており、その呼吸は規則正しかった。
「ぇ?寝て、る?」
よく見ると瞼にはひっそりと眼に隈が出来ている。
「暫く寝かせてあげて。彼はずっと解析と情報処理で疲れているの。」
マリーさんが私の肩を掴み言う。
「皆の焦る気持ちも分かるけど、それで身体を壊しては意味が無いわ。今は休んで、闘いに備えて欲しいの。その間に私達で色々と準備するから。」
「……はい、分かりました。」
なのはも落ち着いたのか、声が小さくなっていった。
私達だけが頑張っているんじゃない。真尋や、マリーさん。
他にも大勢が私達を支える為必死にやっているんだ。
「作戦前に皆のデバイスに新しいデータを組み込みたいの。真尋君が作ったものよ。」
そう言って再びスクリーンを映し出す。
そこには「WMJ」と書かれていた。
「これはファントムが使用する洗脳を解く為のデータなの。半径50M。それがこのデータの効く距離よ。これを使えば洗脳された皆を正気に戻す事が出来る。」
「それを使えばはやても!!」
ヴィータの瞳に光が輝く。
「えぇ。きっと元に戻る筈よ。但し、これは使用している間は他の魔法が一切使えないの。だからコレを使う際は必ず数人で組んで使ってね。」
「分かった。ではコレを使う時は私とザフィーラが警護しよう。」
冷静に見えるがシグナムだが拳の血管が浮かぶ程強く握っていた。
「盾の守護獣として、あのような無様は二度晒さない。必ず護り通して見せる。」
ザフィーラも己の拳を見て力強く握りしめる。
皆からやる気が満ちていくのが分かる。
今度こそ、皆を助けるんだ。
私は真尋の側により決心した。
「(私、私達、頑張るから。今は眠っていてね。)」
フェイト 終〜
奪われたモノを取り戻す為彼女等は再び杖を掴む。
護りたいモノの為、愛するモノの為。
それがどれ程儚いモノかもシラズニ、
運命ハ刻々ト近ヅイテイル。
説明 | ||
ついに明かされるファントムの招待、なのは達は何を思ってこの戦いに挑むのか? ファントム偏も終盤に近いです。 |
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