IS〈インフィニット・ストラトス〉 〜G-soul〜
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「第二、第三ブロック破損!ステーションの形状維持は不可能!所長!このままでは・・・・・!」

 

聞きなれた通信係の声が宇宙ステーション中に響き渡る。しかしいつものように定時連絡ではなく、焦りがにじみ出ている声のアナウンスだった。

 

「・・・・・限界ね。瑛斗、こっちにいらっしゃい」

 

この宇宙ステーションのIS研究所所長に呼ばれて、俺は所長に近づいた。

 

「なんですか?」

 

言うと所長は俺の左腕にブレスレットをつけた。白と青と赤と黄色の玉が一つずつ等間隔に間をとって紐で繋がれているそれは待機状態のISだった。

 

「所長、俺、男だけど?」

 

俺がもっともなことを言うと所長は優しく微笑んだ。

 

「これはお守りよ。あなたが困ったときに、必ず助けてくれるわ」

 

ドオォォォン!!と大きな音が聞こえた。それと同時に足場が不自然な振動を始める。

 

「ここは長くは保たないわ。あなただけでも脱出して」

 

「ふざけないでくれ!俺だけ逃げるなんてそんなこと・・・!」

 

できるわけがない。そう言おうとしたが言えなかった。所長が俺を優しく抱擁したからだ。所長の優しい匂いが俺の鼻をくすぐった。

 

「瑛斗。あなたはこの研究所に良く貢献してくれたわ。あなたのアイデアと研究データが私たちに与えてくれた恩恵は計り知れない。だからあなたがこんなところで死んじゃいけないのよ」

 

あれ・・・おかしいな。意識が、薄れて・・・・・・・・。

 

「・・・・・ごめんなさい」

 

なんで・・・謝るんだ・・・よ・・・・・。

 

 

「う・・・うぅん・・・・・?」

 

目を開けるとそこは脱出ポッドの中だった。眼下に地球が見えるってことはまだ降下してはいないのだろう。コンコン、と窓を叩く音が聞こえた。振り向くと小さな窓の向こうには所長が立っていた。

 

「おい!どういうことだよ!なんで所長は入らないんだ!?」

 

俺は必死に窓を叩いた。すると所長は通信回線で答えた。

 

「本当はそうしたかったんだけど、自動射出装置が壊れちゃってね。手動じゃないと動かないのよ」

 

俺の目の前にあるディスプレイにカウントダウンの画面が表示される。後10秒でこの脱出ポッドは地球へ落下するだろう。

 

「瑛斗・・・・・、今まで、ありがとうね」

 

黒煙を上げて燃える機関室の炎をバックに所長の顔が見えた。泣いていた。

 

「所長!」

 

それが所長の顔を見る最期だった。超高速で射出されたポッドの窓の向こうの景色がどんどん地球に迫っていく。反対側の窓を見ると大爆発を起こす宇宙ステーションが見えた。俺は悔しさと空しさで胸がいっぱいになった。

 

 

 

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