いきなりパチュンした俺は傷だらけの獅子に転生した
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 第二十一話 誰が『傷だらけのネコ』か!

 

 

 僕はあまりの高揚感のあまりに現状を把握しきれていなかったようだ。

 強い力。

 『知りたがりの山羊』のスフィアの力も使い、その力の正体を探していたらこの世界に転移していた。

 そして、見つけた。

 僕が太極に至る為に((必要な力|スフィア))を!

 だが、その二つの力は未だに不安定。

 一つはスフィアを使いこなせているようには見えない。その力に振り回されている『揺れる天秤』。

 そして、もう一つは未だに目覚めていない。

 その力を覚醒させるためにも先程逃がした彼女達には動いてもらわなければ、もう一つのスフィアは目覚めない。それは困る。

 どうやら彼女達はこの世界の公安に追われているよだから、僕は転移した場所に張られていた結界を砕き、彼女達を逃がすことにした。

 さて、『揺れる天秤』がどれだけの物か試してみると呆れるくらいに未成熟だった。

 使い方は知っていても使いこなせていない。

 仕方がないので機会を与えよう。

 彼の仲間であろう。二人の少女。

 君の持つスフィアで僕を攻撃したとしても助けきれるのは一人のみ。

 

 …さあ、どちらを『選択』する。『揺れる天秤』?

 

 ガアオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!

 

 などと考えていたら、背中から獅子の咆哮が聞こえた。

 …まさかっ!?

 

 地面に叩き付けられなら僕はかすかな望みを抱きながら顔を上げる。そして、

 僕の淡い((期待|・・))に答えるかのように彼は目の前でその力を解放した。

 

 「ガンレオン・マグナモード!!」

 

 『傷だらけの獅子』!

 君もまたこの世界に来ていたんだね!

 

 

 

 (んにゃああああ!やっぱりコレ(マグナモード)痛いよぉおおおおお!)

 

 (我慢しろ!俺も痛いんだ!)

 

 プレシアの病気を治した時から一度も使っていないマグナモードにアリシアは悲鳴を上げる。

 だからといって、目の前のアサキム相手にマグナモード無しは自殺行為。

 一気に最大火力を叩きこんで戦闘不能にさせる!

 

 「うらぁああああ!」

 

 その体を悪魔じみた姿に変貌させたガンレオン。

 ただでさえパワー重視の体にマグナモードの効果で更に倍増した力が体中に漲る。

 その力を利用して猛スピードでシュロウガを纏ったアサキムとの距離を詰める。そして、正面から右手に掲げたライアット・ジャレンチで力任せに振りぬく。

 

 ズガンッ!

 (ビキっ)

 

 「まだだぁあああああ!もう一つ!」

 

 殴られた衝撃でアサキムは吹き飛ばされた方向にあったビルの壁を幾つも突き破っていく。が、それに並行するようにビルの壁を突き破る。

 いや、追い抜きながら俺は先回りをしてアサキムを今度は真後ろから打ち上げるようにライアット・ジャレンチを振りぬく。

 

 ズガンッ!

 (ビキキッ)

 

 再び、殴られた衝撃で上空へと高々と打ち上げられたアサキムに追いつき、マグナモードで飛行が可能になったガンレオンの推進力任せに彼を地面に叩き落とし馬乗りになりながらアサキムを押さえつける。

 

 

 この時に気が付いていればよかった。

 アサキムを殴り飛ばしている時に聞こえた小さな音に。

 そうすれば、あんなことにはならなかったのに…。

 

 

 (にゅあああああ!もう限界だよぉおおお!)

 

 アリシアの悲鳴を聞いた時には俺の方も限界が近かった。

 素手?での解体はキャンセル。当初の予定通り一気に仕留める!

 …そのはずだったのに。

 

 「開け!ライアット・ジャレンt」

 

 バンッ!

 

 と、

 右腕に持ったライアット・ジャレンチが音を立てて空中分解した。

 

 「…え?」

 

 (…なんで?)

 

 俺とアリシアは突如砕け散ったライアット・ジャレンチに呆気を取られた。

 その数瞬の間にアサキムはこちらに向かって魔力弾を放つ。

 

 「…ラスター・エッジ」

 

 ズドォオオオオンッ!

 

 馬乗りになっていた俺をその不気味な瞳から放たれた魔力弾で俺は空中に弾き飛ばされる。

 この衝撃でマグナモードは強制解除していた。

 

 「がぁあああああああ!」

 

 (ああああああああああ!)

 

 その打ち上げられた間にアサキムは自分が装備していた剣。

 ディスキャリバーを手に取り、自分の左手でその剣を握りつぶすかのように押し付ける。

 …やばい!

 

 「…君もなのか?『傷だらけの獅子』?ランブリング・ディスキャリバー!」

 

 アサキムは呆れたかのような、それでいて試すような声色で空中に投げ出された状態の俺に斬りかかってくる。

 

 (アリシアへのダメージを俺に全部回せ!ガンレオン!)

 

 (っ?!)

 

 ユニゾンしている状態で今、あの((攻撃|・・))を受けたら…。アリシアの精神が狂う!

 

 ズガガガガガガガガッガガッガガガガ!!

 

 「ぐぁああああああああああああああ!」

 

 アサキムが黒い風になって俺を包み込む。

 ただし、その触れる風の感触の全てが剣で切り刻まれている状態だ。

 

 思わず声を上げてしまうほどの。マグナモード以上の激痛が俺に襲い掛かってくる。

 これがアリシアに回っていたと考えただけでもぞっとする。

 いくら転生前にサバイバルで何度か大けがを負ったことのある俺でもこれはきつい!

 

 (ガンレオン!今すぐ私にも感覚を戻しt)

 

 「やめろ!アリシア!まだ((攻撃|・・))は終わっていない!」

 

 ブゥン。

 

 この攻撃の恐ろしい所はこれから!

 この((無茶苦茶|・・・・))に見える攻撃軌道。これは相手を爆砕する((魔方陣|・・・))を描いている!

 その不気味な魔方陣が怪しく光って数瞬後。

 

 ズドオオオオオオオンッ!

 

 アリシアに静止をかけると同時に俺は爆発に飲み込まれた。

 

 「…勘は良いようだね。『傷だらけの獅子』」

 

 ズドンッ。

 

 爆発が収まると同時に俺は重力に従って地面に落ちた。

 

 「だけど、まだまだだ。君はあそこで寝ている『揺れる天秤』とはまるで((逆方向|・・・))だ。力を使いこなせても、君の武器(・・)がそれに耐えきれていない」

 

 …じゃあ、ライアット・ジャレンチが壊れたのは。

 俺は激痛に耐えながらアサキムの言葉に耳を傾ける。

 

 「最後に君が仕掛けたアレがフィニッシュブロ―だったんだろうが、君の持っていた得物は君の獅子の力に耐えきれなかった。だから、今の状況が出来たんだよ」

 

 アサキムは俺に向かって剣を突きつけながら俺の後頭部を踏んできた。

 

 「獅子の力を猫が扱うことが出来ないようにね」

 

 誰が『傷だらけのネコ』か!

 

 「…だけど君達は幸運だ。今の君達は殺すに値しない。そして、僕の機嫌はとてもいい。この世界に来て僕は僕以外の((三|・))つのスフィアに出会えたからね」

 

 …三つ?

 アサキム以外にスフィアを持った奴は俺とクロウだけじゃないのか!?

 

 (お兄ちゃんに何するんだこんにゃろー!)

 

 「っ。ははは、とても奇妙なスフィアの使い方だね『傷だらけの獅子』。まさか、((二人|・・))で一つのスフィアを使うとは、とても興味深いよ!」

 

 こいつ、俺の中で文句を言っているアリシアに気づいた?!

 ユニゾンしているアリシアに気付くなんてどんだけだよ『知りたがりの山羊』!

 

 「…君達に興味がわいた。名前は?」

 

 「…高志。沢高志だ」

 

 (アリシア・テスタロッサ!)

 

 どうせ、黙っていても『知りたがりの山羊』のスフィアで知られるんだ。こっちから話してやる。

 

 「…タカシにアリシアか。覚えておこう。僕はアサキム。アサキム・ドーウィン。君達の魂を狩る存在だ」

 

 そういうと、アサキムは上空に舞い上がると同時にシュロウガを鳥のように変形させて高速で飛行。自分で張った結界を突き破りながら置き台詞を残しながら夜の空に消えていった。

 

 「『揺れる天秤』。『傷だらけの獅子』。もっと、もっと強くなれ。僕にその魂を捧げるくらいになるまで!」

 

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 それからしばらくして結界が無くなったことにより一般人目がこちらに向く前に管理局員は待機していた他の局員部隊のおかげで無事収監完了したようだ。問題は…俺達。

 

 「とりあえず、こちらの方でお話できないでしょうか?」

 

 俺は緑色のスパナで体を全力で回復させているとアサキムの張った結界の代わりに再度張り直された管理局員製の結界が張られ直された。

 と、同時に目の前には巨大なモニターは映し出された。

 

 (…やっぱり、美人だよな〜)

 

 俺が一番好きなキャラ第一位のリンディ・ハラオウンが現れた。

 素敵な申し上げだがここは断らせてもらう。

 

 「いいえ。今回は自分も急なことだったので人命優先で先程の者と戦闘を行ったまでです。そのような話し合いは自分を率いる大隊長に(プレシアに)任せておりますので自分は失礼させていただきます」

 

 「でも…」

 

 「明日になればまた会えますよ。…リンディ・ハラオウン」

 

 「…っ。そう、それじゃあ例の喫茶店でお待ちしていますね」

 

 まだ名乗っていない自分の名前を出されたので少し警戒したリンディだったが、俺とクロノの会話を聞いていたのか、少し難しい顔をして頷いて見せた。

 

 「はいっ、では自分はこれにて失礼させていただきます」

 

 俺は結界内の地面を切り裂き、前回同様地下道を通って家を遠回りするように帰宅した。

 …あ、忘れるところだった。

 

 「…ブンマースパナっと」

 

 カシャン。

 

 俺が地下道の曲がり角を曲がった瞬間に一本のレンチを後ろに放り投げる。

 すると、後ろから俺の事をずっと追いかけていた魔力の球に当たった。おそらく、監視魔法(シーカー)だろう。

 結構抜け目ないな、管理局って…。

 さて、俺の中で激痛と俺の事を心配して大泣きしたアリシア。

 今は眠ってしまっているがそれをどうプレシアに説明すべきかと考えながら帰宅する俺だった。

 

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魔法少女リリカルなのは 熱血 傷だらけの獅子 スパロボZ コメディー オリジナル武装 アサキム・ドーウィン 

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