真恋姫†夢想 弓史に一生 第二章 第二話 知らされる設定 |
〜聖side〜
広陵の城を出て二日目の夜。
俺たちは揚州、濡須口の邑に来ていた。
ここまでの道中、黄巾賊を退治しながら、色々な邑で、次の邑に行くのに必要なだけの糧食をもらい、旅をしてきた。
旅自体は、陽華達のお陰で予定より早くここまで来ていた。
本当にこんな馬を貰って良かったのかと思う…。
三頭とも暑い中、一日に100キロ近い道のりを走り、賊の討伐に出向き、荷物を運んだり…。
そこまでの重労働を、2日連続で行っても、「まだ走り足りない!!」と言う目をしていた。
きっと、こいつらは名馬中の名馬なんだろうな…。
邑の宿に入り、これからの事について話す俺たち。
「とりあえず今は江陵に向かってるわけだけど、江陵の太守は…芽衣、誰だっけ?」
「江陵の太守は袁公路。名門袁家の本家の出ですね〜。袁家は四代に渡って三公を輩出してます〜。」
「名門ってのをあたいは好きじゃないんだけどね…。」
「名門出の人なら、それなりに町の統治はしてそうだから、いい勉強になりそうだね。」
「…それが〜…。」
「どうしたの?」
「はい…。 実は、袁公路は我侭な子供で…その統治は結構適当なそうです…。」
「えっ!! でも、そんな話は聞かないけど…。」
「はい。実は太守の上、刺史の劉表が相当なやり手で…太守はあくまで形だけと言うやつです…。」
「なるほど。実力者が居るから、変なことをやっても町は崩れていかないって訳かい。」
「虎の威を狩る狐とは、まさにこのことだね。それじゃあ、刺史の劉表さんにぜひとも会いたくなってきたな〜。」
「とは言っても、向こうはこの州の頂点。こっちはあくまで旅人ですからね〜…。どうなさいます?? なにか良い方法でもありますか??」
「拝謁を申し出ることは出来ないのかな?」
「その為にはこちらの身分を明かさないといけませんよ〜…。それは少しばかり危険かと…。」
「確かに、天の御使いをあたいたちの村みたいに、皆が皆、諸手を挙げて歓迎するわけじゃないからね。」
「う〜ん。太守から紹介してもらえると助かるが…。とりあえずは向こうについてから決めようか。今日はもう遅いし休むことにしよう!!明日はまた朝から移動だからね。」
「「御意(です)。」」
こうして各自部屋に戻り、夢の世界へと旅立っていった。
……。
「はぁ〜い!! ひーちゃ〜ん♪ ひ・さ・し・ぶ・り!!」
「雅!! またお前か!!」
「ぶぅ〜。最近会ってなかったのに、会っていきなりその対応はどういう訳!?」
「はぁ〜…。夢の中でまで疲れるのか…。」
「大丈夫♪ 夢は夢だから!! 体に疲れは無いよ!!」
「現実に戻ったときに被害があるんだよ!! この前の時も…。」
「あぁ〜頬の跡のこと!? あれは、あなたが私のものって言う、あ・か・し!!(キラッ)」
「頼むから今日は勘弁してくれ…。俺に疲れをとらせてくれ…。」
「う〜ん…それは無理!! だって、まだ話してないことが一杯あるも〜ん。」
「じゃあ、さっさと全部話してくれ…。」
「…なんか、今日のひーちゃん冷た〜い。そんなんじゃあ、話す気なんてなくしちゃうよ。」
「じゃあ、さっさと帰ってくれ…。」
「それは出来ないよ。この夢の終わらせ方は前回どおり…。」
「アレやんなきゃ駄目なのか…。じゃあ、さっさとやってくれ。」
「だ・か・ら!! 話しがあるって言ってるでしょ!!」
「…分かった…。話を聞くよ。 後、悪かったな、そっけない態度で。」
「良いよ!! ひーちゃんだから許してあげる。でも、次もこんな態度なら私にも考えがあるからね♪」
「…肝に銘じとくよ…。 で!? 話しってのは?」
「そうそう!! ひーちゃんのね、設定を見せるのを忘れてたの♪」
「設定??」
「そう!! これだよ。」
そう言って雅は、目の前に大きな白板(ホワイトボード)を出現させ、そこに情報を映し出す。
名前 ((徳種|とくたね)) ((聖|ひじり))
装備 蛇弓(初期装備) 弓胴衣(初期装備)
特性 NEW((武技達人|マスタートリート)) NEW((完全魅力|パーフェクトチャーム)) ((幸運好色|ラッキースケベ))
特技 NEW((幻視|ビジョン)) 博識 ((衛星視点|パラサイトビューイング))
能力 武 71 知 80 徳 90 魅 ∞(完全魅力により)
IQ 120 運 -10 HP 200/200
「…。」
「どう?」
「(突っ込みどころが多すぎる…。とりあえず『運、低っ!!』でいくべきか…。それとも『HPってなんだ!!』っていくべきか…。それとも…。)」
「ちょっと〜。前にも言ったけど、放置プレイはやめて〜!! …ドM心に火が点いちゃうじゃない…。( ///)」
「分かった全力で対処しよう!! まず、NEWってなんだ?」
「ふふふっ。 こ・の・ま・え、私が目覚めさせてあげた能力よ♪」
「じゃあ、それ以外は元々ってことか…。 あぁ〜、俺運無いんだな…。まぁ分かっていたけどさ…ぐすっ。」
「可哀想に…私が慰めてあげるね。」
「だから!!くっついてくんなって!! …当たってるから!!」
「ふふふっ!! 今日は当ててるの!!」
やわらかな感触に思わず顔が赤くなる。
「やんっ♪ ひーちゃん顔真っ赤!!可愛い♪」
「…。 はっ!! …良いから離れろよ!! これじゃあ話もし辛い。」
「はいはい。…で、他に聞きたいことは??」
「幻視ってのは??」
「ゲッ○バッカーズ参照でよろしく!!」
「ちょうど一分だ、いい夢見れたかよ…。」
「蛮ちゃんカッコいい!!」
「…それは雷帝なのか?」
「あはっ♪」
そんなこんなで何とか一息つき、冷静さを取り戻す。
聞いた話だが、武技達人は色々な武器や武芸を使いこなせるらしい。
完全魅力は内緒とのこと…。
「後はそうねぇ〜。HPはスタミナの事かな。で、IQは状況判断の早さ。 勿論、能力はこれで固定じゃないよ。あなたのこれから次第では能力はどんどん上がっていくんだから!!」
「なるほど…まぁ、この世界での俺の設定がなんとなく分かった気がする…。つまりはチートってことね…。」
「これらの能力も同じように増えていくわ!! これらを駆使して、一諸侯として頑張ってね♪」
「はぁ〜、とりあえずこれで終わりか?」
「あっ、最後に一つ。このまま江陵に行くと大変なことになっちゃうよ。」
「そりゃまたどういうことだ?」
「だって、ここ揚州の刺史様に挨拶して無いもん。」
「刺史?? ここって太守しか居ないんじゃないのか?」
「流石にそんなことは無いよ〜。ただ、刺史様は中央で忙しい方だからね。基本的には太守がやってるってわけ。」
「その太守ってのが張超か…。じゃあ刺史って言うのは?」
「刺史様は孫文台。その武や政治手腕は相当なものよ〜。寿春は孫家の統治にあるから、その町の発展度は相当。見て損は無いと思うな♪」
「成程な…。分かった、じゃあ寿春に先に行くことにするよ。わざわざありがとうな。」
「いいの♪ 私はひーちゃんを支えるんだから!!」
「そうか、とにかくありがとう。」
にっこりと、笑顔を雅に向ける。
「えへへっ。褒められちゃった( ///)」
「他にはまだ何かあるかな?それとももう終わり?」
「今ので最後かな…。」
「そうか、じゃあこれからも助言期待してるな!!」
「うん♪♪」
「ふう…。やっと終わった…。」
「じゃあ、寝かせてあげるね!!」
そう言って雅は、金色のハンマーを取り出す。
「じゃあ、今日も一発!! 鋼鉄粉砕!!ゴルディオンハンマー!!!!!!」
「僕らの勇者王!!!!!! って、それを言って良いのは、金色の鎧を着たおじ…お兄さんだけ〜!!! いや〜〜〜〜〜やめて〜〜〜…ぎゃあああああああ!!!!!!!」
目が覚めるとまたもや汗びっしょり…。もう嫌だ…。
とりあえず、顔を洗いに井戸へと向かう。
顔には…何も無い…確認よし!! 今日は何も無くて良かった…。
「それにしても、俺の能力ね…。鍛錬とか重ねたら変化するのかな??」
そこにかすかに聞こえてくる声…。
“特技なんかは敵将を倒すと手に入るよ☆”
「…こういう風に会話が出来るなら、初めからそうして欲しかったです…。わざわざ夢に出てくんなよ!!」
“直接会った方が顔を見れていいでしょ!?私みたいな美少女に会えて嬉しいくせに♪」
「自分でそれを言っちゃうのはどうかと思うけど…。」
まぁ、雅は確かに美少女だ…。
ピンクでセミロングの髪、中華っぽいピンクの服と白い透き通るような肌…。そして、端正な優しい顔立ち、豊かな二つの膨らみ…。
学校だったら、マドンナになりえるくらいの美貌であることは認めよう…。
だがしかし、その性格を俺は認めない!!
“じゃあひーちゃん。またね♪”
「おうっ。またな。」
なんだかんだ言って、雅との会話を楽しんでいる自分がいた。
そのお礼に、空に向かって…雅に見えるようににっこりと微笑む。
この笑顔が届きますように…。
その頃…。
ボッ…( ///)シュ〜〜〜…。
「ひーちゃん、その笑顔は卑怯だよ…。魅力∞は伊達じゃないわね…。 はぁ〜〜〜あ…。寿春を教えたのは失敗だったかな…。これじゃあ、恋敵が増えそうで怖いよ〜…。」
等と、ぶつぶつとつぶやく雅を後ろから、「ふふふっ。あなたも恋する乙女ね…。」と言って見守る貂蝉がいたとか…。
朝、俺は起きてきた芽衣と奏に話をする。
「やぁ、おはよう二人とも!!」
「おはようございます〜。」
「おはよう。」
「実は江陵に行く前に、寿春に行こうと思うんだ。」
「寿春ですか〜?」
「良いけど、そこに何かあるのか?」
「…刺史さんに会いに行くんですね〜。」
「流石、芽衣。ご明察どおりだよ。」
「揚州刺史、孫文台か…。武人としても君主としても一流の王者足りうる人物だって噂だ。あたいも見てみたいものだね。」
「それだけ噂されてる人なら、きっと町は繁栄してると思うんだ。だから少しの間そこに滞在して、参考にしたい!!二人ともそれで良いかな?」
「「分かりました!!」」
こうして俺たちは、一路寿春へ向かうべく、進路を北にとるのだった。
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どうも、作者のkikkomanです。 前話で、ついに思いを遂げた人が一人…。ハーレム計画が一歩進みましたね(笑) あれぐらいなら、R18にはならないと思うんですが…大丈夫ですよね?? |
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