IS〈インフィニット・ストラトス〉 〜G‐soul〜
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「そろそろだな・・・・・、あれか!」

 

俺は目標との接触予定時間ぴったりに例のバスジャックにあったバスを発見した。確かに学園に続くこの車道では危険な走行だった。

 

「とりあえず、様子を見に行こ・・・・・」

 

ビスッ!突然シールドに何かが当たった。そして次の瞬間アラームが鳴る。

 

多数の敵にロックオンされています!反応、24!

 

「なにっ!?」

 

すると至る所から一つ目の緑色の装甲に身を包んだISらしき何かが飛び出してきた。

 

「これは・・・?」

 

俺が困惑しているとさらに表示が出る。

 

ISコア反応なし。

 

「コアの反応がないだと?」

 

ますますわけが分からない。

 

「桐野さん!」

 

「瑛斗!」

 

そこにセシリアと一夏もやって来た。なんだ、結局来たのか。っと感心してる場合じゃないな。

 

「なんですの、あの悪趣味なISは?」

 

「うわ、めちゃくちゃいるじゃねえか」

 

『いや、あれはISなどではない』

 

織斑先生が会話に回線で入ってきた。

 

『あれは高機動型の作業用ロボットだな。元々は人が入れないようなところで作業するためのロボットだが、それを改造でもしたんだろう』

 

「なるほど、道理でコアの反応が無いわけだ・・・うわっ!」

 

ダダダダ!と敵が持っていたマシンガンをこっちに撃って来たのでそれを躱す。

 

「一人8機の配当だ!コアもなくて、人も乗ってないんだ、ぶっ壊していいですよね!?」

 

『ああ、構わん』

 

織斑先生が回線越しに腕を組んでいるのが何となく目に浮かぶ。

 

「セシリア、お前、シールドエネルギーは大丈夫か?」

 

「ふん、わたくしを誰だと思ってらっしゃるの?」

 

「よし・・・行くぞ!」

 

俺と一夏、そしてイギリスの代表候補生のセシリアがそれぞれ三方向に散らばった。

 

「おらぁっ!」

 

ビームソードで一機を腰から真っ二つに切り捨て、背後からの攻撃にはビームガンで対抗する。

 

「はぁっ!」

 

セシリアも残りシールドエネルギーが少ないことも気にせず、ブルー・ティアーズのビットで敵を攻撃する。だがビット操作の時はセシリアは動けないので少々危険ではある。

 

「おいセシリア!やっぱり無理しない方が―――――」

 

「ご心配なく!このセシリア・オルコット、こんな木偶人形に後れをとるほどやわじゃなくてよ?」

 

セシリアは余裕そうな笑みを浮かべる。

 

「ハッ、やっぱり候補生は頼りがいがあるな!」

 

「当然ですわ!」

 

お互い、銃口を向けあう。しかしそれは後ろから迫ってきた敵を撃墜するための動作だ。俺の頬スレスレをビットのビームが横切る。そして俺の放ったビームが敵を貫通して爆発を起こした。俺の後ろでも爆音がした。

 

「・・・・・あ!」

 

ふとセシリアが声をあげた。見ると俺とセシリアの相手は不利と考えたのか、一夏に攻撃が集中していた。

 

「一夏!」

 

俺が一夏のところへ向かおうとした時、敵のマシンガンやバズーカ、ミサイルが一夏に雨のように降り注いだ。

 

「一夏っ!」

 

それをディスプレイで見ていた箒が声をあげる。

 

「織斑君被弾!シールドエネルギーが減少してます!」

 

焦る箒と真耶の隣で、

 

「ふん・・・・・」

 

千冬は一人、鼻で笑ったように言った。

 

「機体に救われたな、馬鹿者が」

 

味方機、白式、フィッティングが終了しました。

 

土煙が晴れると俺のG−soulのウインドウが表示した言葉の意味を俺はしっかり理解した。

 

「あれが、白式・・・・・」

 

高貴な白、純白の姿、先程よりもさらに装甲が変化し、一夏の手には近接特化ブレード〈雪片弐型〉が握られている。さっきセシリアが俺に聞いてきたが俺ではなく、一夏の方が初期設定だったのか。

 

「うおぉぉぉ!!」

 

一夏が多数の敵機に突進する。向こうも自分たちの武器を構えて一夏に向ける。しかし、弾丸を発射する前に一夏が雪片のビームの刃でそれらの敵を丸ごと叩き切った。爆発が連鎖し、ほぼ全ての敵を一夏が撃墜した。

 

「すごい、これが白式の力・・・・・」

 

一夏が感心したのも束の間、突然白式は待機状態に戻り、一夏が落下する。

 

「危ないっ!!」

 

何故?という考えもあったが、それは後回しにした一夏を受け止めて地上に降ろす。

 

「危ねー・・・サンキュ、瑛斗」

 

「ああ、しかしどうして・・・・・」

 

「桐野さん!早くバスを止めに行きますわよ!」

 

俺が一夏に聞こうとしたら、セシリアが俺に叫んできた。そうだった。今は乗客を助けないと!

 

「じゃあ、ちょっくら行ってくる!」

 

「ああ、気をつけてな!」

 

俺は一夏に見送られながらスラスターを吹かせた。

 

 

 

戦闘中もバスは走っていたので大分距離を離されてしまった。何とか追いついた俺とセシリアはバスの上で並行して飛んでいた。

 

「さて、どうしたらいいか・・・・・」

 

俺が考えていると、セシリアはおもむろに降下してバスの横に近づいた。そして何かを確認してきた後にまた戻ってきた。

 

「変ですわ。バスジャックの犯人がいない?」

 

「じゃあ、誰かがウイルスなり、なんなりで操縦権を奪ったってことか?」

 

「はい。もしくは一般の乗客に扮装しているのかも」

 

そこに織斑先生からの通信が入った。

 

『桐野、オルコット。聞いているな?』

 

「はい。なんですか?」

 

『これからお前たちに指示を出す。お前たち二人でバスを押せ』

 

うん。なんて明瞭な指示だろう。

 

「了か・・・・・って、ええ!?」

 

「押せ、と申しますと?」

 

『言った通りだ。お前たち二人がバスを進行方向とは逆に押す。そうすればバスは止まる』

 

「そんな簡単に言われても・・・・・」

 

『お前たちのスラスター出力を計算したが可能だった。理論上は問題ない』

 

織斑先生が指示の変更はないと言った。もうこうなったらやるしかない!

 

「仕方ない。やるぞセシリア!」

 

「あ、ちょ、ちょっと桐野さん!」

 

バスを追い越し、数メートル離れたところから、加速してバスに近づく。迫ってくるバスはめちゃくちゃ怖かった。

 

「うぉぉぉぉ!」

 

「はぁぁぁぁ!」

 

スラスターを全開にして、バスを押す。俺の横ではセシリアも同じようにバスを押していた。ギャギャギャギャ!とバスのタイヤが摩擦音を響かせている。だがとてもじゃないが止められる気がしない。

 

「クソ!どうすれば・・・・・!」

 

「せめてもう少し出力があれば・・・!」

 

セシリアは戦闘の疲労が濃く出ていた。このままでは本当にマズイ状況になっちまう。こうなったら!

 

「こうなりゃダメ元だ!Gメモリー!セレクトモード!」

 

ウインドウにGメモリーの起動によって様々な選択画像が浮かび上がる。

 

「セレクト!ウインド!」

 

コード確認。ウインド発動許可します。

 

俺の背中のスラスターの形状が変わり、さらに大型になる。さらに腰の装甲にもスラスターが装着されて、高機動重視の姿に変わる。

 

「いっけぇぇぇぇぇ!!」

 

ゴオォォォォォォォォ!!と爆音を轟かせながらスラスターが先ほどとは比べ物にならない出力でバスを押す。すると徐々にバスのスピードがゆるくなってきた。

 

「「と、ま、れぇぇぇぇぇぇぇ!!」」

 

さらにスラスターを開き全開にする。そしてバスはゆっくりと停車した。バスの後ろには白煙をあげるタイヤ痕が伸びていた。

 

「ハア、ハア・・・・・」

 

「ふぅ、ふぅ・・・・・」

 

バスが停車したのを確認し、ISを装備解除した俺とセシリアは座り込む。流石に疲れるぞ、これは。

 

「しかし、あのロボットはなんだったんだ・・・」

 

「さあ?分かりませんがわたくしたちの邪魔をしようとしていたのは明白ですわ」

 

「? それって一体―――――」

 

ザバァッ!とガードレールの向こう側の海から何かが飛び出してきた。それは左腕を失ったさっきのロボットだった。一つ目と銃口は真っ直ぐこちらを向いている。

 

「セシリア!」

 

セシリアを庇おうと動いたがこの距離だと間に合わない・・・・・!

 

「させるかぁぁぁぁ!!」

 

ザンッ!と何かが斬れる音がした。おそるおそる顔を上げると、そこには真っ白なISを身に纏い、手に持った雪片弐型で銃ごと敵を切り裂いた、一夏に姿があった。

 

「待たせたな。大丈夫だったか?」

 

敵機が墜落するのを確認した一夏は白式を解除して俺たちのところに駆け寄ってきた。

 

「ああ。助かった。でもどうして白式を?さっき待機状態に戻ってたろ?」

 

「そうなんだけど、確認したらまだ少しだけ動けたんだよ。だから急いでお前たちの後を追ってきたってわけだ」

 

「おそらく始めの一撃でシステムが一時的にフリーズしたんでしょう」

 

セシリアも立ち上がりながら言う。

 

「まあ、何にしても・・・・・」

 

俺はバスから降りて抱きついてくる孫らしき女の子を受け止めているお爺さんを見た。

 

「一件落着ってことで」

説明
謎の敵襲来!
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