IS〈インフィニット・ストラトス〉 〜G-soul〜 |
「お前のせいだ!」
「あなたのせいですわよ!」
「えー・・・・・」
昼休みに入った途端、一夏は箒とセシリアに怒られた。て言うかほぼ八つ当たりだな。全然授業中も上の空で、山田先生から注意5回、織斑先生の出席簿3回の二人に怒られる一夏。なんと哀れな・・・。
「まあ、話は飯でも食いながら聞くから、とりあえず学食行こうぜ」
「む・・・・・、ま、まあ、お前がそう言うならいいだろう」
「そうですわね。行って差し上げてもいいですわよ?」
「瑛斗も来るよな?」
目が『来い!』と言っていたな。まあ、別に良いか。
「ああ。わかった」
そんなわけで俺と一夏と箒とセシリアは学食へ向かった。のはいいのだが俺たちの後ろにはもう十人位ぞろぞろとついてきていた。そう言えばエリナさんが貸してくれたDVDにこんなのがあったな。人数はもう少し少なかったが。あの主役のお爺さんは一体日本を何周してるんだろうか?
そんなことを考えていると、すぐに学食に着いた。一夏は日替わりランチ、箒はきつねうどん、セシリアは洋食ランチ。俺は焼きそばの食券を買った。みんなメニューがいつも通りだな。もっといろんなのにチャレンジしてこうぜ?ま、俺の言えた義理じゃないが。
「待ってたわよ、一夏!」
どーん、と俺たちを(特に一夏を)待ち構えていたのは噂の転校生、鳳鈴音、通称鈴だった。
「まあ、とりあえずどいてくれ。食券が取れないし、普通に通行の邪魔だぞ?」
「う、うるさいわね。わかってるわよ」
ちなみに鈴の持ってるお盆にはラーメンが鎮座している。
「あー、ゴホン!ゴホン!」
「一夏さん?注文の品が来ましたわよ?」
おわ、凄いなこの二人、なんかオーラが恐い。てか箒の咳払いがわざとらし過ぎる。
「向こうのテーブルが空いてるな。行こうぜ」
ぞろぞろと移動する。こんな大所帯だから席を探すのに苦労するかと思ったが、こんなに簡単に見つかるとは。席に着いた途端、一夏は鈴に質問をしまくった。
「それにしても久しぶりだな。いつ日本に来たんだ?おばさん元気か?いつ候補生に?」
「質問ばっかしないでよ。アンタこそ、なにIS使ってんのよ。ニュース聞いてビックリしたわよ」
和気藹々と話す二人。うん、なかなか微笑ましい光景だ。・・・・・あの、箒さん、セシリアさん、オーラが俺に当たってスゲー恐いんですが?そんなことはお構いなしに二人は負のオーラを出しまくってる。気づけ、一夏、気づいてくれ!
「あ、け、今朝幼馴染だって言ってたけど、二人はどういう関係なんだ?」
だから幼馴染だっつってんだろ。と自分でツッコミをいれてしまった。しかしこの話題どうやら当たりらしく、周りの女子たちも興味津々に頷いている。
「そうだな、詳しくは言ってなかったな。箒が引っ越したのが小四の終わりだろ?んで小五の頭に鈴が転校してきたんだ。そんで中二の終わりに国に帰ったから、会うのは一年ぶりか」
説明する一夏の前で、鈴はそうそうと頷きながらラーメンを啜る。おお、ふーふーせずに一気に啜るなんて、さすが本場のやつは違うぜ。
「へぇ。ってことは箒と鈴は面識ないのか」
「ああ、そういうことになるな。鈴、こっちが前に話した箒だ。小四までの幼馴染で、俺の通ってた剣術道場の娘」
「ふぅん、そうなんだ」
鈴はじろじろと箒を見た。箒も負けじと見返している。なんか、バチバチ!ってスパーク音が聞こえた気がしたんだが、気のせいかな?そうだ、きっとそうに違いない。
「ン、ンンン!わたくしの存在も忘れてもらっては困りますわ。中国代表候補生、凰鈴音さん?」
セシリアが割り込んできた。しかし鈴は全く興味がなさそうだ。
「あ、そうなの?ごめん、知らなかった」
「な、知らない!?このイギリス代表候補生のセシリア・オルコットを!?」
「うん。だって他の国なんて興味ないもん」
鈴はラーメンのどんぶりを持ってスープをごくごくと飲み干した。すごい食いっぷりだな。
「な・・・、い、言っておきますが、わたくしはあなたのような方には負けませんわ!」
「いや、アタシが勝つよ。悪いけど私、強いもん」
ほお、強気に出たね。鈴のやつ。セシリアはワナワナと震え、箒は無言で箸を止めていた。だから恐ええって言ってんだろ!
「ところで一夏。アンタ、クラス代表なのよね?」
「ん?そ、そうだけど」
「ISの操縦、見てあげようか?」
鈴は何やら照れくさそうに言った。なんかこいつ、一夏と他人に対する態度が違う気がするんだよな。
「そりゃ助か―――――」
バン!とテーブルが強くたたかれ、箒とセシリアが立ち上がった。
「一夏に教えるのは私の役目だ」
「あなたは二組でしょう!?一組の問題に口を挟まないでほしいですわ!」
言わなくてもわかるよな?そう、めっちゃ恐い。もう後ろのオーラが金剛力士像みたいになってる。
「私は一夏に話してるの。関係ないのは引っ込んでて」
「か、関係ならあるぞ。一夏は私の幼馴染だ。私の家で何度も共に食事もした間柄だ」
「アタシだって一夏の幼馴染よ。それにご飯くらい、アタシの家でほぼ毎日食べてたわよ」
ふふん、と鼻を鳴らして答える鈴。
「な、ほぼ毎日だと?いい、一夏!一体全体どういうことだ!」
「そうですわ!一夏さん、納得のいく説明をしてください!」
今にも一夏に襲い掛かりそうな剣幕で箒とセシリアが一夏に詰め寄った。おかげで俺は身を逸らさなくてはならなかった。
「一体って、別に鈴の両親がやってる店に食いに行ってただけだぞ」
一夏はたじろぎながら答えた。
「み、店?なんだ店か。それならいい」
「安心しましたわ」
先程までの剣幕は何処へやら。二人はほっと息を吐いた。
「・・・・・別にホントの事言わなくたっていいじゃない。ばか・・・・・」
「ん?どうした鈴?」
「別になんでもないわよ!とにかく!今日の放課後にでもアンタの操縦見てあげるわ!じゃあね!」
一夏にそう言って鈴はズカズカと学食を出て行った。ふぅ、何とか修羅場を乗り切っ―――――
「「一夏(一夏さん)、放課後は私と(わたくしと)特訓だからな(特訓ですわよ)?」
ゴゴゴゴゴ・・・・・←オーラの発する音
まだ、終わってなかった・・・・・。
その後も昼休みが終わるまで箒とセシリアは『私だ!』『わたくしですわ!』と言い争っていた。
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学食の修羅場 | ||
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