魔法少女リリカルなのは〜原作介入する気は無かったのに〜 第十二話 ヴァ〇ガー〇ファイター!王女アリシア
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 理不尽なO☆HA☆NA☆SHIを受けた翌日の放課後。普段はすぐ家に帰るなり買い物をするためにスーパーに寄ったりするのだが今日はいつもと違い、とある場所に来ていた。

 

 「こんにちは〜」

 

 そう言って一つの店に入る。

 

 「いらっしゃ……おお長谷川君、久しぶりだね」

 

 カウンターの向こうにいる一人の男性店員が声を掛けてくれた。

 

 「店長、お久しぶりッス」

 

 「ホントに久しぶりだね。もう一年近くは来なかったから心配してたんだよ」

 

 「あはは…。少しやらなきゃいけない事があったんで。でも、もう大体の事は終わったので今後はまたちょくちょく顔を出せそうです」

 

 「そうかそうか。まあゆっくりしていってくれ」

 

 簡単に挨拶を交わした後、俺は空いている席に腰を掛けランドセルから小さなケースを取り出す。

 そしてケースの中には沢山のカードが入っていた。

 

 「さて、デッキの調整をしないとな」

 

 俺はカードの束をいじり始める。

 そう…今俺がいる店は大人から子供まで幅広く人気のあるカードゲームのショップで店の名前が『カードショップ ラビット』という所だった。

 そして俺がハマっているカードゲームは『カー〇ファ〇ト!!ヴァ〇ガー〇』というゲームで結構世間でも有名なカードゲームの一つだ。

 

 その中でも俺が愛用しているのは『か〇ろう』という((種類|クラン))でパワー、除去と安定した強さを持つデッキを使っている。

 

 俺がデッキを調整していると

 

 「あれ?長谷川君はヴァ〇ガー〇をやってたのかい?てっきり『スク〇ンブル〇ャザー』一筋だと思ってたんだけど…」

 

 「面白そうだったんで始めたんですよ」

 

 店長に声を掛けられたので答えた。

 たまたまテレビでやっていたアニメを観て買い始めたのがきっかけだったが実際にプレイしてみると結構面白い。

 

 「結構人気あるんだよこのカードゲーム。特に長谷川君と同世代ぐらいの子がよくプレイしてるのを見かけるね」

 

 「そうなんですか?」

 

 「うん。特に強い子が一人いてね。長谷川君が店に来ない間に来る様になった子なんだけど、多分うちのショップでプレイしてる子の中では一番なんじゃないかな?」

 

 「へえ、会ってみたいですねその子に」

 

 そんなに強いなら是非そのプレイングを見てみたい。

 

 「もうじき来るんじゃないかな?今日は公認大会がある日だし、彼女も大会の参加登録しているよ」

 

 「彼女?女の子なんですか?」

 

 「うん。金髪の可愛い女の子だよ。よく双子の妹さんと店に来るからね」

 

 「そうなんだ。……店長、俺も公認大会に参加したいんですけど?」

 

 「う〜ん、残念だけど参加人数は16人でもう埋まっちゃってるんだよ。今回は無理だね」

 

 「そうですか…」

 

 肩を落としシュンとする俺。

 

 「ま、まあ大会は今回だけって訳じゃないし次回に参加してくれればいいよ。今回はとりあえず見学していったらどうかな?」

 

 「…そう、ですね。じゃあ次回に参加するとして今回は見学しときます」

 

 そう言って俺はデッキを片付ける。すると徐々に店に人がやってきて店長に渡された紙に何か書いている。どうやら大会に参加する人達のようだな。皆気合が入っている。

 

 「あれ?勇紀じゃないか?何でここにいるんだ?」

 

 ふと、一人の男の子が声を掛けてくる。

 

 「それはこっちの台詞だ。誠悟」

 

 俺も男の子に返事をする。

 

 伊東誠悟。直博と同じクラスでコイツも入学して3年間は同じクラスだった。勉強は同学年で上位クラスだが運動音痴でやや無気力感があるため、やる気が無くなると諦める事が多い。だが逆にやる気が出て来るとかなりの実力を発揮するタイプの人間である。

 

 「俺は今日のヴァ〇ガー〇公認大会に出るんだよ」

 

 「お前も参加登録してたんだ。この店の常連だったのか?」

 

 誠悟がヴァ〇ガー〇をやっているのは知っている。学校の昼休みに時々対戦しているからな。

 しかしこの店の常連だったとは知らなかったが…

 

 「普段は別のカードショップで参加してるんだが今回はそのショップの参加登録に間に合わなかったんで今回はここのショップにしたんだ」

 

 どうやら常連ではない様だ。

 だけどコイツの実力は知っている。使うデッキは『ロ〇ヤルパ〇ディン』デッキで、展開力に関して優秀な((種類|クラン))であり、誠悟本人も相当な大会の参加経験があるらしくかなり強いプレイヤーだ。

 

 「勇紀も出るのか?公認大会」

 

 「出たかったんだが定員オーバーでな。今日は見学」

 

 「それは良かった。お前が出たら優勝出来る自信無いからな」

 

 「よく言うよ。俺と違って大会の参加経験が豊富なくせに。フリープレイと公認大会じゃやっぱ雰囲気とか意気込みが違うだろ?」

 

 「それはそうだけどお前そういう雰囲気とかにも飲まれなさそうだし、最近は少しお前に負け越してるからな」

 

 「そりゃ俺だって負けたくないからな。まあ今日は頑張れ」

 

 「おう!絶対優勝してやるぜ!」

 

 気合十分で大会用の席に着きデッキの確認をし始める。応援ぐらいはしてやらないとな。

 そういえば店長が言っていた金髪の女の子というのは見当たらない。まだ来ていないのか。

 時計を見るともう大会が始まるまで10分を切っていた。そんな時

 

 「ラビットよ、私は帰ってきたー!!」

 

 「姉さん、大きな声出したら皆に迷惑だしここは私達の家じゃないよ」

 

 元気の良い女の子の声とその子を窘める女の子の声が入り口から聞こえてきた。あれ?この声って…

 俺は入り口の方に顔を向ける。それと同時に

 

 「来た!アリシアさんだ」

 

 「((王女|プリンセス))アリシアさんが来たぞ!!」

 

 「今日こそは俺がアリシアさんに勝ってみせる!」

 

 「お前じゃ無理だろ。俺が彼女の連勝記録を止めてみせる!!」

 

 店内が騒がしくなる。まさか店長が言ってた金髪の女の子と双子の妹って…

 

 「お、おい勇紀…」

 

 デッキ確認をしていた誠悟が手を止めて話し掛けてくる。何となく言いたい事は分かるな。

 

 「あの二人…特にあの黒いリボンの子の方がレヴィさんにそっくりなんだが?」

 

 「そうだな」

 

 「…お前、冷静だな」

 

 あの二人とはもう知り合いだしな。

 

 「誠悟…世の中には自分にソックリな人間が三人はいるって言うじゃん」

 

 「いや、そう言われても…」

 

 「今はそんな事気にしないでデッキ確認しとけって」

 

 「う…そ、そうだな。だが…」

 

 デッキ確認を再開しながらもチラチラ様子を見ている。

 そんなアリシアちゃんとフェイトちゃんだが周りの様子を気にする事無く店長に話し掛けて紙に記入した後、空いている席を探そうとキョロキョロ周りを見渡していると

 

 「「あ…」」

 

 二人と目が合った。すると二人はこちらに近付いてきて

 

 「長谷川だー。こんなトコで何してんの?」

 

 アリシアちゃんが笑顔で声を掛けてきた。

 

 「カードショップに来てカードゲーム以外に何をしろと?テスタロッサ姉」

 

 「ん?ん〜…そう言われたらそうだね。て事は長谷川もカードゲームやってるんだ。もしかしてヴァ〇ガー〇?大会出んの?」

 

 「ああ、ヴァ〇ガー〇もやってるカードゲームの一つだな。しかし残念ながら定員オーバーだから大会には参加出来ないんだ」

 

 「それは残念。あ、でも大会終わったらフリープレイ出来るよね?その時にやろうよ?」

 

 「大会が早く終わればな」

 

 「了解だよ。じゃ〜サクッと始めてちゃちゃっと優勝しちゃうぞー」

 

 ブンブンと腕を振り回しやる気満々のアリシアちゃん。

 

 「勇紀…あの子と知り合いなのか?」

 

 「まあな。俺が驚かない理由に納得したか?」

 

 「あ…ああ、そういう事だったならな」

 

 「それよりそろそろ始まるみたいだぞ?」

 

 俺が指を差すと店長がトーナメント表を壁に貼りクジの準備をし始めた。

 

 「ホントだな。じゃあ、行ってくる」

 

 「ガンバ〜」

 

 誠悟も他の参加者達の方に行き、残ったのは俺とフェイトちゃん。ただ…

 

 「(何か視線が集まってる様な…)」

 

 しかも若干殺気混じりの視線も感じる様な気もするが気のせいか?

 

 「(あの野郎。((王女|プリンセス))と仲良さそうに話してたぞ)」

 

 「(誰だよアイツは?見た事無い顔だぞ)」

 

 「(まさかアリシアさんの彼氏か!?)」

 

 「(馬鹿言うな!あんな奴が彼氏の筈が無い!!)」

 

 うーん。

 

 「テスタロッサ妹」

 

 「??何かな?」

 

 「さっきからこっちに視線が集まってないか?」

 

 「え?そうかな?」

 

 「何となくそんな気がするんだよ」

 

 「うーん。…そう言われればそうだね」

 

 何て他愛の無い会話をしていると

 

 「(アイツ!妹さんとも仲良いのか!?)」

 

 「(ガキのクセに両手に花かよ!フザけやがって!!)」

 

 「(あんな奴より俺の方がイケメンじゃないか!!)」

 

 「(クソッタレが!!)」

 

 さっきより視線が鋭くなった!?

 ……ひょっとしたらここにいたら邪魔なのか?

 出来れば大会の見学をしたかったんだが仕方ないな。

 

 「テスタロッサ妹よ。ここから離れないか?何か俺達が見られてるのってここにいると大会の邪魔だからかもしれないし」

 

 「あっ!そうか。なら皆がこっちを見てるのにも納得いくね」

 

 「奥に休憩スペースってのがあるからそこで待つか?」

 

 「そうだね」

 

 そう言って俺達二人は休憩スペースに向かい椅子に座る。

 自販機でオレンジジュースを二つ買い、一本をフェイトちゃんに渡す。

 

 「???」

 

 何コレ?って顔してるな。

 

 「飲めよ。俺の奢りだ」

 

 「えっ?悪いよそんな」

 

 「気にしなくて良い。ただ待ってるだけってのも何だし」

 

 「でも…」

 

 「いいんだって。丁度小銭が欲しかったからそのついでなんだ」

 

 「…分かった、ありがとう」

 

 俺に礼を言いジュースを飲み始めるフェイトちゃん。それからはお互い無言でアリシアちゃんや誠悟が参加している大会の様子を遠巻きに見ているのだが…

 

 「ツインドライブチェック………クリティカルトリガーゲットだよ!」

 

 「嘘だろ!?」

 

 「フッフッフ。残念だけどこれは立派な現実なんだよ」

 

 「ま…負けた」

 

 アリシアちゃんと対戦していた男の子がガクッと項垂れる。どうやらアリシアちゃんは勝ったみたいだな。それにしても…

 

 「お前んトコの姉、やたらとテンション高いな」

 

 試合中もそこそこのボリュームで『アタック』やら『ガード』なんて聞こえてくるし。

 

 「あはは…姉さん、このゲームにすっかり夢中だから」

 

 「まあ面白いのは確かだしな。テスタロッサ妹はやらないのか?」

 

 「私も姉さんに付き合わされてルールは覚えたんだけどね。デッキ持ってないし…それに自分でやるより姉さんがしてるのを見る方が好きだから」

 

 「そうか」

 

 ジュースを飲みながら会話する俺達。

 

 「ところで長谷川。一ついいかな?」

 

 「何だ?」

 

 「えっと…私の事は『フェイト』って名前で呼んでもらえないかな?」

 

 「名前でか?そっちが呼んで良いって言うなら呼ばせてもらうが」

 

 「ホント!?じゃあ今度からは名前で呼んで。長谷川に苗字で呼ばれると何か距離を取られてるって感じがするから」

 

 「ああ、すまん。『親しき仲にも礼儀あり』って言う言葉があるからな。本人に許可も貰わないままいきなり名前で呼んで馴れ馴れしい奴と思われたくなかったから」

 

 「別に私はそんな事気にしないのに」

 

 「気にすると思ったんだ。お前や高町達の周りには常に((西条|アイツ))が居そうだからな」

 

 「あははは……はあ〜」

 

 苦笑いをしたと思ったら溜め息を吐くフェイトちゃん。苦労してるんだな。

 

 「まあ今後はフェイトと呼ぶ事にするから。よろしくなフェイト。俺の事も名前で呼んでくれていいから」

 

 「あ…うん。よろしくね。えと…ゆ、勇紀」

 

 お互いに名前で呼び合う様になった。

 それからしばらくの間、俺はフェイトと話していた………。

 

 

 

 「決勝戦か…どっちが勝つかなあ?」

 

 大会もすでに決勝戦。そして今対戦してるのはアリシア・テスタロッサと伊東誠悟。二人共、俺の知り合いだ。

 

 「姉さんと対戦してる彼って勇紀と話してたよね?ひょっとして知り合い?」

 

 「ああ、クラスは違うが同じ学校の友達だな」

 

 俺達は休憩スペースから二人のいる場所を眺めている。

 さて、このゲームはどっちが勝つのかな?

 誠悟の実力はよく知っている。場の状況を的確に見極めた上で無駄の無いユニット展開をするからな。攻撃を受ける際も手札を使って守るかそのまま受けるか先の展開を考えた上で判断する。

 アリシアちゃんの方はどうなんだろうか?店に来た時は周りの人がざわついてたし、決勝まで残るぐらいだから相当強いと思うのだが…

 

 「アタックするよ!!」

 

 「ぐっ!(この攻撃を防げば手札が無くなる。だけどトリガーが2枚出ない限り耐え切る事が出来る。そうすれば次のターンで一気に反撃出来る)なら手札のカードを全てガードに使う!!」

 

 「やるね。でもトリガーを2枚連続で引いたら私の勝ちだよ?」

 

 「そう都合良く出る訳が無い!!このターン凌ぎ切ってみせる!!」

 

 「じゃあ1枚目……ドロートリガー!!パワーはヴァ〇ガー〇に。そしてドローする。次は2枚目……クリティカルトリガー!!当然効果は全てヴァ〇ガー〇だよ!!」

 

 「なあっ!?」

 

 「これでヴァ〇ガー〇の攻撃は通ったよ」

 

 「っ!まだだ!!ヒールトリガーさえ引ければ。ダメージチェック!トリガーは……無い」

 

 ワアッ!!!

 歓声が沸く。ここから二人の会話を聞いている限りでは誠悟が負けたみたいだな。

 

 「やっぱ強いな((王女|プリンセス))は」

 

 「今回も彼女に勝てる者は出なかったか」

 

 「あの場面でトリガー2枚引くとはなあ」

 

 「また彼女の連勝記録が更新されたか」

 

 周りのギャラリーが喋っている中、ゲームを終えたアリシアちゃんがこちらにやってくる。誠悟もその後を追う様にこっちに来る。

 

 「どうだ長谷川ー。優勝したぞー」

 

 「悪い勇紀。負けちまったよ」

 

 「二人共お疲れ」

 

 二人に労いの言葉を掛け、自販機で買っておいたジュースを渡す。

 

 「おー。サンキュー」

 

 「ありがとうな勇紀」

 

 フタを開けジュースを飲みだす二人。

 

 「(ゴクゴクゴク)……プハ〜!!あー、美味しかった」

 

 そう言って空き缶をゴミ箱に捨てるアリシアちゃん。

 

 「飲むの早いな!?」

 

 「早く長谷川と対戦したいからね。という事で勝負だ!!」

 

 「はいはい。誠悟、お前も俺とテスタロッサ姉のゲーム見るか?」

 

 「ジュース飲んでからな」

 

 「そうか…。じゃあフェイトは?」

 

 「あ、折角だ「ちょっと待ったーー!!!」…どうしたの姉さん?」

 

 「何で!?長谷川がフェイトの事名前で呼んでるよ!!?」

 

 「本人が名前で呼んでくれって言うから」

 

 「うん。私が勇紀に頼んだんだ」

 

 「フェイトも長谷川の事名前で!?ズルい!私も名前で呼びたい!!いいよね!?ね!!?私の事も『アリシア』って呼んでいいから!!」

 

 物凄い勢いで喋りながら俺に詰め寄ってくるアリシアちゃん。

 

 「別に断る理由は無いからいいけど…」

 

 「ホント!?じゃあよろしくね勇紀!!」

 

 俺の手を両手で握り笑顔でブンブンと上下に振るアリシア。そんなに嬉しいのか?

 

 「じゃあ、勇紀!早く勝負するから行くよ!!」

 

 今度はデュエルスペースに早く行こうと引っ張り出すアリシア。

 こうして俺とアリシアの勝負が始まった………。

 

 

 

 アリシアがゲームをするという事で俺達の周りにはギャラリーが集まっている。ホントに人気者だなアリシアは。フェイトやジュースを飲み終えた誠悟も見ている。序盤はお互いに順調な立ち上がりでゲームは進んでいた。『アタック』『ガード』の声が飛び交う中、着々とダメージを与えつつターンを交代していく。しかしアリシアも相当やるな。誠悟が負けたのも、店長が店で一番強いと言ってた事も頷ける。ただアリシアの使っているのは『シャ〇ウパ〇ディン』デッキ。味方ユニットを犠牲にしてパワーアップする((種類|クラン))だ。確かに強いけど((王女|プリンセス))って呼び名がつくのはどうなんだ?『オラ〇ルシ〇クタンク』や『バ〇ューダ((△|トライアングル))』みたいに可愛いイラストの多い((種類|クラン))なら納得なんだが…。

 まあ、そんな事気にしてもしょうがないか。とりあえずはゲームに集中だ。

 

 「むう、強いね勇紀」

 

 「そりゃどーも」

 

 「でもこのターンで終わらせるよ。混沌なる静寂に叫びし絶望。 幻すら見られぬ闇より、暗き闇の力を我に。 クロスライド! ファ〇トム・ブ〇スター・〇ーバーロ〇ド!!」

 

 そういってカードを場に出すアリシア。でもその台詞ってアニメでレ〇様が言ってたやつだよな?

 

 「まずはリアガードのファ〇トム・ブ〇スター・ドラ〇ンがブ〇スター・ジャ〇リンのブーストを受けてヴァ〇ガー〇に攻撃!」

 

 「…ノーガード」

 

 ダメージを受け、トリガーをチェックするがトリガーは無かった。

 

 「次!!リアガードのブ〇スター・〇ークがアビ〇・フリー〇ーのブーストを受けてヴァ〇ガー〇を攻撃!どうする勇紀?」

 

 「…ノーガードだ」

 

 またダメージを受ける。トリガーも無くこれで5ダメージ。あと1ダメージで負けになる。

 

 「これで決めるよ!黒の〇者カロ〇のブーストを受けたファ〇トム・ブ〇スター・〇ーバーロ〇ドの攻撃!更にアタック宣言時にカウンターブラストを3コストと手札からファ〇トム・ブ〇スター・〇ーバーロ〇ドを1枚捨てる事によってスキル発動!!ファ〇トム・ブ〇スター・〇ーバーロ〇ドのパワー+10000、クリティカル+1。合計でパワー31000、クリティカル2だよ!」

 

 「ふむ…」

 

 「フッフッフ。さあ、イメージしなよ勇紀。自分の敗北する姿を」

 

 テンションMAXのアリシアが声を出す。それにしてもノリノリだなコイツは。ファ〇トム・ブ〇スター・〇ーバーロ〇ドにライドした時といい、今といい…

 

 「お前、アニメも見てるだろ?」

 

 「当然だよ!私はレ〇様のファンだからね」

 

 「そうか」

 

 「私には見えるんだよ。敗北する勇紀のイメージが」

 

 「お前、P〇Yクオ〇ア持ってねーだろ」

 

 「いいじゃん!!言いたい気分なんだよ。勇紀はノリが悪いよ!!」

 

 俺にもノリを求めるのかコイツは。

 

 「当然だよ。対戦相手の皆はノリノリだったよ」

 

 俺の心を読んだアリシアが言ってくる。俺の周りにはどうしてこう人の心を読める奴が多いんだ?

 

 アリシアの発言に周りのギャラリー達もうんうんと頷く。それに『お前もアリシアさんのノリに付き合ってやれよ!』的な視線で俺を見てくる。

 

 「…はあ〜、分かったよ。お前のノリに付き合えばいいんだな?じゃあ少しは付き合ってやるよ」

 

 「分かってくれればいいんだよ。じゃあツインド「待てアリシア」…え?」

 

 「俺はガードしないなんて言ってないぞ?」

 

 「ガードするの?でも勇紀は手札2枚しか無いじゃん。その2枚がシールド10000でもド〇ゴニッ〇・オーバー〇ードの数値は31000。同じ数値ならアタックは通るよ?」

 

 「手札が2枚ある時点で警戒ぐらいしとけよ。俺はワ〇バーン〇ード〇リィを使う。手札を1枚捨てて完全防御だ」

 

 「なあああああっっっっっ!!!!!?」

 

 大声で叫び出すアリシア。静かにしようぜ。

 

 「ズルい!このタイミングで完全防御とか空気読めてないよ勇紀!!ここは普通『くっ!まだだ!ヒールトリガーに懸ける!!』っていう場面じゃん!!」

 

 「そんなアニメ的展開にまで付き合わせるな。防げる手段があるんだから防ぐに決まってるだろ」

 

 「むぐぐぐぐ…」

 

 「唸るなって。早くチェックしろ」

 

 「…ツインドライブ。……ファ〇トム・ブ〇スター・ドラ〇ンと黒の〇者カロ〇。トリガーは無いよ」

 

 「じゃあ、俺のターンだな。ドロー」

 

 俺の引いたカードは…コイツか。

 

 「じゃあ、そっちのノリに付き合いますか。終わり無き探求の果て、辿り着きし最終進化。 荒ぶる魂を昇華させ、今こそ真の姿を現せ!クロスライド!ド〇ゴニッ〇・オーバー〇ード・ジ・〇ンド!!」

 

 俺もアニメで〇君が言っていた台詞を言い、自分の切り札を場に登場させる。このタイミングで引くなんてお約束というか、ご都合主義というか…。

 

 「約〇の火〇ルモがブーストしてド〇ゴニッ〇・オーバー〇ード・ジ・〇ンドの攻撃。対象はヴァ〇ガー〇のファ〇トム・ブ〇スター・〇ーバーロ〇ドだ。更に〇ルモのスキルでソウルのカードを1枚使い、パワーを更に6000アップ!合計23000」

 

 アリシアも5ダメージ。この攻撃を何とかしなければ俺の勝ちになる。ヒールトリガーが出れば話は別だが。

 

 「むうう!!ノーガードだよ(カロ〇とブ〇スター・〇ークのインターセプトでも足りない)。でもトリガーさえ出たら耐えられるもん!!」

 

 「ツインドライブ。……ド〇ゴニッ〇・オーバー〇ード・ジ・〇ンドと鎧の〇身バ〇だ」

 

 「ダメージチェック。トリガーは……無いよ。私の負けだね」

 

 決着がついた。周りのギャラリーも『まさか((王女|プリンセス))アリシアさんが負けた!?』とざわついている。

 

 「お前、やっぱ強いな」

 

 「たまたまだ。完全防御持ってなかったら負けてたし」

 

 誠悟と会話し、時計を見ると6時前だった。

 そろそろ帰るか。そう思って席を立ち店長に声を掛ける。

 

 「店長、今日はもう帰ります」

 

 「そうかい?またいつでも来てくれよ」

 

 「はい。また近い内に必ず」

 

 そう言って俺はカードショップを後にした………。

 

 

 店を出てすぐに家が反対方向の誠悟とは別れ、俺は家に向かっている……が

 

 「むう〜〜」

 

 「姉さん、機嫌直して」

 

 途中まで同じ方向のアリシア、フェイトは俺のすぐ後ろを歩いていた。

 

 「だって、完全防御とかありえないし…ズルいよ、卑怯だよ」

 

 「うう…《ねえ勇紀、何とか出来ないかな?》」

 

 フェイトが念話で助けを求めてきた。

 

 「(はあ〜)…なあアリシア、もう機嫌直せよ。アイス奢ってやるから」

 

 「ホント!!?」

 

 一転して笑顔に。目がキラキラと輝いている。

 

 「ホントだ。あそこにコンビニあるし丁度良い。アイス食べるか?」

 

 「食べる食べる〜♪」

 

 機嫌が一瞬で直ったアリシアは俺達より先にコンビニに向かって駆け出した。

 

 「勇紀、ゴメンね」

 

 「気にすんなって」

 

 「でも…」

 

 「アリシアの機嫌直ったんだしいいじゃん」

 

 「…そうだね。ありがとう。でも姉さんの機嫌すぐに直ったけどああ言えば直るって分かってたの?」

 

 「ん〜…何つーかアイツはレヴィみたいな奴だからアイスで機嫌直るかなと思って言ってみたんだ」

 

 アイツの性格はレヴィにそっくりだからな。

 

 「レヴィも普段あんな感じなんだ?」

 

 「そうだな。うちの家族では一番子供っぽい」

 

 「あはは…大変そうだね」

 

 「そっちこそな。正直フェイトが本当は姉だろうといつも思うぞ」

 

 「良く言われるよ。でもアリシアは間違いなく私の姉さんだよ」

 

 「お前がそう言うならそうなんだろうな」

 

 「《勇紀、何してるの!?早く来てくれないとアイス買えないじゃん!!》」

 

 フェイトと並んで歩きながら会話しているとコンビニの中からアリシアが念話で話し掛けてきた。

 やれやれ…。

 俺達はアリシアが待ってるコンビニへと向かうのだった………。

 

 

 

 コンビニでアイスを買い、途中で二人と別れた俺は家に帰ってきた。

 

 「ただいま〜」

 

 「おかえりなさいユウキ」

 

 リビングの方からユーリが出迎えてくれた。

 

 「はいこれ、お土産のアイス。途中コンビニに寄って帰ってきたから買ってきた」

 

 「アイス!?」

 

 ユーリに渡そうとした瞬間、何処からともなく現れたレヴィが俺の手からコンビニ袋を奪い取り、中を覗いている。

 

 「人数分あるから心配するな。晩ご飯の後なり風呂上りなり好きな時に食べてくれ」

 

 「わーい。ありがとユウ〜」

 

 「とりあえず俺は着替えてくるからレヴィはそのアイスを冷凍庫に入れておいてくれ」

 

 「わかった〜。シュテるん、ディアーチェ〜。ユウがアイス買ってきてくれたよ〜♪」

 

 ドタドタと走ってキッチンに向かうレヴィ。

 

 「もうすぐ晩ご飯が出来ますけど部屋で待ちますか?」

 

 「いや、着替えたらすぐリビングに行くよ」

 

 「わかりました」

 

 そういってユーリもリビングの方に戻っていく。

 俺は階段を上り自分の部屋に戻った………。

 

 

 

 着替え終わり、リビングにくると丁度夕食が出来たところだった。今日はシュテルとディアーチェが二人で作ったようだ。そして夕食中。

 

 「そう言えばユウキは放課後何処に行ってたのですか?」

 

 シュテルに尋ねられた。

 

 「ん?以前よく遊びに行ってたカードショップだよ」

 

 「カードショップ?何しにそんな所へ行ったのだ?」

 

 「久々に顔出すついでにカードゲームしようかと思ってな」

 

 「カードゲームって昼休みに時々ユウが隣のクラスでセーゴとやってるヴァ〇ガー〇の事だよね?」

 

 「ああ、ヴァ〇ガー〇だ。大会に出たかったんだが定員オーバーで出れなくてな。まあ次の大会の時には出るつもりだけど」

 

 「そうですか。頑張って下さいね」

 

 「ありがとシュテル。あ、ご飯のおかわり入れてくれる?」

 

 「わかりました」

 

 シュテルに空になったお椀を渡す。

 

 「ヴァ〇ガー〇かあ。アニメ観てて面白そうだとは思うんだけどルール覚えるの大変そうだし。それにアニメと違って男の子しかしてなさそうだし」

 

 「別にそこまで難しくはないぞ?それに普段男子と昼休みに遊んでるお前が今更そんなの気にするのか?」

 

 「それはそうだけどさ…」

 

 シュテルから、おかわりしたご飯の入ってるお椀を受け取り一口食べて

 

 「それに女子だってしてる子意外に多いぞ。今日の大会にはアリシア含めて四人、フェイトもルールは知ってるって言ってたし」

 

 「「「「アリシア!?フェイト!?」」」」

 

 突然、大声を出して驚いている四人。どうしたんだ?

 

 「ユウキ、聞きたい事があるのだが?」

 

 「何?ディアー…チェ……」

 

 黒いオーラを纏ったディアーチェ…否、シュテル達も含め四人から睨まれる。

 

 「お前、あの二人は『テスタロッサ』と苗字で呼んでいたよな?」

 

 「は、はい」

 

 「いつから名前で呼ぶ様になった?」

 

 「えっ!?今日カードショップで二人に『名前で呼んで』と言われたので…」

 

 「それで名前で呼ぶ様になったのですか?」

 

 「そ、そうですが…」

 

 ディアーチェとユーリに聞かれたので正直に答える。すると更にオーラが増した。

 

 「それで、二人はユウの事何て呼んでるの?」

 

 「えっ!?俺だけ名前で呼ぶのもあれだから俺の事も名前で呼んでくれと……ひいいいいいっっ!!」

 

 四人の瞳から光が消えた。マズい!非常にマズい!!

 

 「すずかに続いてまたですか?ユウキがここまで節操無しだとは思いませんでした」

 

 「いえ、シュテル様、別に呼び方ぐらいは…」

 

 「言い訳は無用です。少しO☆HA☆NA…」

 

 ガタッ!

 

 最後までシュテルの言葉を聞かず逃亡しようと席を立つ俺。後ろに振り返った瞬間

 

 ガシイッ!

 

 またもバインドで拘束される俺。これはユーリのジャベリンか!?

 

 「食事中ですよユウキ?」(ニコッ)

 

 目の笑ってない笑顔でユーリが俺の後ろから喋る。俺の左右にはレヴィ、ディアーチェ。そして正面にシュテルがスタンバイする。

 

 「いえ、もうお腹一杯です」

 

 「でもおかわりしたご飯が残ってますよユウキ」(ニコッ)

 

 「食べ物を残すなんていけない事だよユウ」(ニコッ)

 

 「そうだな。少しO☆SE☆KKYOUしないといかんな」(ニコッ)

 

 O☆HA☆NA☆SHIがO☆SE☆KKYOUにランクアップした!!?

 笑顔で言う四人を前に俺は涙目になりながらも必死に謝る。どうして四人が怒っているのかは分からないがとにかく謝る。

 …しかし俺の謝罪は聞き入れてもらえず本日もO☆HA☆NA☆SHI…いや、O☆SE☆KKYOUによって俺の一日は終わりを告げた………。

説明
神様の手違いで死んでしまい、リリカルなのはの世界に転生した主人公。原作介入をする気は無く、平穏な毎日を過ごしていたがある日、家の前で倒れているマテリアル&ユーリを発見する。彼女達を助けた主人公は家族として四人を迎え入れ一緒に過ごすようになった。それから一年以上が過ぎ小学五年生になった主人公。マテリアル&ユーリも学校に通い始め「これからも家族全員で平和に過ごせますように」と願っていた矢先に原作キャラ達と関わり始め、主人公も望まないのに原作に関わっていく…。
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