使い魔のおしゃべり3 − ぽりっつ焼肉味 − |
「ああヴェルダンテ! 君はいつ見ても可愛いいね!!」
ギーシュが使い魔のモグラを抱いて萌ふ萌ふしている。
ヴェルダンテも 「モグモグモグ」 と嬉しそうに鼻をひくつかせている。
「ギーシュ駄目よ。空のアルビオンに行くのに、
地面を掘って進むモグラは連れていけないわ」
ルイズが呆れて溜息を吐いている。
「………………………………」
そして僕は − 蒼白な顔で体を硬直させている。
目の前の光景は少年と愛嬌あるモグラのじゃれ合い。
ちょっと生暖かく微笑ましい光景に見える − 普通なら。
だけど使い魔ヴィンダールヴになってから動物とおしゃべりできる僕には……
『朴訥な好青年ヴェルダンテの胸に頬ずりする金髪美少年ギーシュ』 に見えるんです。
僕はキング・オブ・フラレの称号を頂く業の持ち主ですが
そういう方に走ろうとは思わない。本当にありがたくありません。
始祖ブリミル。あんたを恨む。
もう止めて!!
勧められて読んだ三国志小説でも周瑜×孔明までが限界だったんだよ!?。
悪いけどヴェルダンテは留守番だね。
毎日あの光景を見せられたら心が保たない。
気を取り直すと僕が落ち込んでいる間に一人増えていた。
地面に倒れたルイズが立ち上がるのに手を貸している髭のハンサムだ。
何でルイズが倒れてるの?それにヴェルダンテはどうした?
見回すとルイズから離れたところでヴェルダンテがひっくり返っている。
ギーシュは新たに現れた髭のハンサムに抗議している。
近づいて事情を聞くとヴェルダンテのいたずらのせいらしい。
ルイズの持つ宝石に興味を持って彼女を押し潰してしまったとのこと。
ウチの犬のタロー(秋田犬・雄)も同級生の飼い犬マリリン(グレート・ピレニーズ・雌。肥満気味)に
敷き潰されたり弾き飛ばされたりしてたなぁ。
「ねえアンタ今、私のこと犬に例えなかった?」不機嫌そうなルイズ。
「滅相もない」 最近動物と人間の区別が無くなってきたかな。
グリフォンを従えた髭のハンサム − ワルド子爵は姫さんの派遣した腕利きの護衛だそうだ。
「おいでルイズ」 ワルド子爵はグリフォンにひらりと跨がるとルイズを手招きした。
僕はできるだけ俯いて −
『手綱装着の剽悍な青年(グリフォン)に跨がるワルド子爵』 の方を見ないようにして
− 「その必要はありません」 と告げる。
「どういう事かね使い魔君?」 不審げにワルド子爵が問いかけてくる。
僕は空に向かって口笛を吹くと答える。
「風竜にお願いしてアルビオンまで連れて行って貰えます。
4人来てくれるのでワルド子爵もどうぞ。
人が乗ってなければグリフォンも付いて来れますよ」
「え……。そ、それは何とも……頼もしい事だね……」
何かワルド子爵の顔色が悪いがどうしたんだろう?
僕がワルド子爵を気遣っていると風竜達が到着した。
「グルルルゥ(もう用意はいいのか?)」
一人が代表して確認してくる。
「はい。ただ一人増えたので交代の人は無しです。
それとグリフォンが付いてくるのでお手柔らかに飛んで下さい」
「グウォン。グウウゥ!(了解した。それでは行くぞ乗れ!)
アルビオンまでの空の旅は途中一隻の船とすれ違った以外、
特に何の問題も無く王党派の拠点ニューカッスルまで辿り着いた。
「ご苦労様」 「ルイズ。労いは彼ら風竜達にしてよ」
無事到着して遣り取りする僕とルイズを見ながら
ワルド子爵は項垂れ、ますます顔を青くしている。
「ルイズ。ワルド子爵の調子が悪そうだ。彼は先に休ませてもらおう」
本当に辛そうだ。大丈夫なんだろうか……。
「ここで待ち伏せしてりゃグリフォンと馬2匹が通るから
馬の方を襲えって話しだったんだが……」
「全然こねえぞ。もう半日たつぜ」
仮面の男ことワルドの偏在に雇われた傭兵達が待ち疲れて愚痴る。
「ワルドの奴どうしたってんだい。
襲撃を中止して直ぐにアルビオンに来いなんてさ」
不審を抱きつつも船を待つフーケ。
「王子。さっきの竜は何だったんでしょうな?」
「さて。人が乗っていたが竜騎士にしては妙な一行だったな」
空賊に扮したウェールズ王子以下の王党派は首をひねる。
「まあいい。一度拠点に戻るぞ!」 「了解!」
途中、単独航行で硫黄を輸送していた貴族派の船を拿捕し
意気揚々と凱旋するイーグル号。
「どうしてこうなった?」
途中の仕込みが全て無駄になったワルドは呆然と呟いた。
今日のワルドは少し星回りが悪いようだった。
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何の因果か密使のお供としてアルビオン行き。 こんな時は頼れる知り合いにお願いしましょう。 |
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