IS〈インフィニット・ストラトス〉 〜G-soul〜 |
「この・・・・・!」
バチバチバチバチ!
福音のエネルギー弾をBRFで打ち消しながら俺はビームガンを発射する。
(アイツのあのエネルギー弾・・・、一発一発に威力は無いが被弾したところから爆発する仕掛けになってる。それにあの連射性能だ。直撃すれば即アウトだな・・・・・!)
福音のあの光の翼。あの特殊ウイングスラスターが福音に自在な加速を可能にさせている。先ほどからの一夏と箒の二面攻撃もなかなか、というか全く当たらない。
「おおおおっ!」
一夏が横から斬撃を仕掛ける。だがその攻撃は福音が後退することで簡単に躱される。
「まだだぁっ!」
今度は後ろから箒が二刀流で斬撃と突撃を交互に繰り出した。しかも腕部の展開装甲が開き、そこから発生したエネルギー刃が追い打ちをかける。
(あっちもこっちも化け物だな・・・・・!)
さらに箒は紅椿の機動力と展開装甲による自在の方向転換、急加速を使って福音との間合いを詰めていく。この猛攻に福音も防御に転じ始めた。
「はああああっ!」
―――――いける!
一瞬そう思えた。だが、
「La・・・・・♪」
甲高いマシンボイス。刹那、ウイングスラスターがその砲門を全て開いた。数は三六。しかも全方位に向けての一斉射だ。
「箒っ!」
「やるな・・・!だが押し切る!」
箒が光弾を紙一重で躱し、一気に福音に接近する。
隙が―――――できた。
「!」
しかし、一夏は福音とは全くの反対方向の直下海面へと全速力で向かった。
「一夏!?」
箒が驚いた声をあげる。
「・・・チッ!そういうことかよ!」
俺はスラスターを最大出力で噴かし、エネルギー弾の流れ弾を追う。そしてBRFの発生圏内に入ったところでエネルギー弾を打ち消した。その横では一夏も零落白夜を使ってもう一発の流れ弾を消していた。
「▲¥〇@☆!▲¥〇@☆!」
俺達が守った一隻の舟には人が三人乗っていた。ここは封鎖されているはず。密漁者か・・・!
「何言ってるかはさっぱりわからねえが!死にたくなけりゃさっさと失せろ!」
俺がビームガンを向けてリーダーらしい壮年の男に叫ぶと、男は慌てふためきながら舟を反転させた。
ザッバァァン・・・・・!
「!?」
突然なにかが海に落ちる音が聞こえた。振り返ると、大きな水柱が立っている。
「一夏っ!一夏ぁっ!」
箒の悲痛な叫び声が聞こえる・・・・・・・まさか!
「どうしたっ!?」
俺はそうでないことを祈りながら声がした海面へと向かう。そこにはISの展開が解除された箒が同様に展開が解除されている一夏を抱き寄せていた。
「瑛斗・・・。一夏が・・・一夏が・・・・・!」
「・・・・・!」
だが、一夏の目は閉じ、ところどころに火傷のようなものが見える。
「どうした!一体なにが!?」
「い、一夏が・・・私を庇って・・・・・それで・・・それで・・・・・!」
箒はすでにパニック状態だった。
ズドドドドッ!
「!? ぐぁっ!」
突然、俺のシールドを持っている右腕の装甲の一部が爆発した。振り返ると福音がこちらを見下ろしている。陽光に反射したフェイスマスクが銀色に光っている。
「・・・・・・・やりやがったなあああああっ!!」
俺は無我夢中だった。とにかく今の箒と一夏にコイツを近づけちゃダメだ。俺はシールドを前に構えて福音にぶつかり、スラスターを再び最大出力で噴かせた。
そのまま箒たちから数十メートル離れたところで俺は福音と対峙した。
「Gメモリー!セレクトモード!」
俺はGメモリーを起動する。必殺の一撃、俺にもあるんだぜ!
「セレクト!ボルケーノ!」
コード確認。ボルケーノ発動許可します。
俺はボルケーノを発動させ、ボルケーノクラッシャーを構える。腕に一発被弾してたが、どうってことは無い!
「うおおおおおおっ!」
放熱ウイングが日輪のごとく光り、ボルケーノクラッシャーを輝かせながら福音に猛スピードで接近する。触れそうになったその瞬間、福音が右に体を動かした。
「外さねえぇっ!!」
体を逸らし、福音に追いつく。当たれ!
「La・・・・・♪」
しかし、福音はウイングスラスターを動かし、強引に身を捻らせてボルケーノクラッシャーを躱した。それだけではない。そのウイングスラスターの方翼の全ての砲門、十八もの砲門が俺に向けられている。
(なっ・・・・・・・!?)
ドガガガガガガガガ!!
エネルギー弾が爆発を起こす。被弾した俺はボルケーノが解除されてノーマルモードの戻る。激痛で意識が飛びそうになる中、福音が箒たちに接近していくのを見た。
(G−soul・・・・・!頼む!)
残り少ないシールドエネルギー。加速もあと一回が限度だ。その最後の加速で福音に追う。
「・・・・・・・・・」
「あっ、ああ・・・・・!」
福音が光の翼の全ての砲門を箒と一夏に向ける。その砲門からエネルギー弾が飛び出すほんの一瞬前、
ガキン!
「!」
俺はエレクリットから送られてきていたもう一つのシールド、『19連装ビーム砲搭載シールド』を福音と箒達の間に割って入るようして福音にぶつけた。
「瑛斗っ!」
「へへ・・・・・、この一撃、耐えられるか・・・・・!?」
拘束具が外れ、十九ものビームの砲門が露わになる。俺は一気にトリガーを引いた。
ドオォォン・・・・・!!
激しい爆発と閃光。
「う・・・・・あ・・・・・」
もうもうと立ち込める煙。G−soulの装甲がボロボロと剥がれ落ちては光の粒子に変わる。
ザッパァァン!
海に落ちた俺は海面越しに福音を見た。
(・・・・・・無傷・・・かよ・・・・・)
悔しいが、銀色に光り輝くその姿は神々しく見えた。俺は、意識を失った。
「瑛斗!瑛斗!」
涙を流しながら叫ぶ箒。その頬を伝う涙は一夏の頬にこぼれ、そして海へと落ちていく。
(力を手に入れたら、弱い人のことが見えなくなるなんて・・・・・お前らしくないじゃないか)
「ッ!」
あの時、箒はあの密漁者たちを見捨てようとした。それを一夏が叱って箒はそのまま動けなくなり、福音の攻撃を受けそうになった時。一夏が箒を庇ったのだ。
「・・・・・・。攻撃目標、殲滅を確認。本来の任務へ戻ります」
福音は機械音声でそう言うと、ウイングスラスターを操作し、一瞬で箒の視界から消えた。
(私が・・・私が二人を・・・・・!)
泣きながら自分を責め続ける箒はただ遥か彼方で光る銀色の点を見続けた。
「・・・・・遅かったみたいだな」
「そ・・・そんな・・・・・」
福音が戦闘区域を離脱して数分後、ラウラとシャルロット、そしてセシリア、鈴は目標地点へ到達。
だが、彼女たちを待っていたのはボロボロの一夏、瑛斗、そして涙を流し続ける箒が浮かんでいる海だった。
「瑛斗!瑛斗しっかりして!」
シャルロットは瑛斗のもとへ飛び、海面から引き上げて体を揺する。
「箒さん!一体何があったんですの!?答えて!」
セシリアが箒に聞くが箒はただ虚ろな目から涙を流し続けるだけ。
「・・・・・ラウラ」
鈴がラウラに目で訴える。それを見たラウラは頷いた。
「了解だ。現時刻をもって、我々は本部へ帰投する。作戦は・・・・・失敗だ」
ラウラは本部の千冬に連絡を入れ、箒たちは本部への帰路をとった。
説明 | ||
銀色の福音 〜奏でるは戦慄の旋律〜 C | ||
総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
1053 | 1018 | 2 |
タグ | ||
インフィニット・ストラトス | ||
ドラーグさんの作品一覧 |
MY メニュー |
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。 |
(c)2018 - tinamini.com |