IS〈インフィニット・ストラトス〉 〜G-soul〜 |
「・・・・・・見えた!あれだ!」
発進して数分。普段とは比べ物にならない速度で飛行していた俺と一夏は戦闘が行われている現場に到達した。
「! 箒とシャルロットが!」
一夏が指差した方向に目を凝らせば、箒とシャルが福音に首を掴まれ、ぐったりとしていた。
「一夏っ!準備はいいか!」
俺はビームガンの発展型、『ビームブラスター』を構えて一夏に叫ぶ。
「ああ!」
一夏も左腕を前に突き出し荷電粒子砲独特のプラズマをスパークさせる。
「・・・外すなよ?」
「わかってる!」
ギュンッ!ビシュッ!
「「!」」
放たれたビームは福音の両腕に直撃し、爆発を起こした。その衝撃で福音は箒とシャルから手を離す。
「・・・・・一夏?」
「瑛斗・・・瑛斗なの?」
俺達の姿を見て、箒とシャルは目を丸くする。
「ああ。待たせたな」
「もう大丈夫だぞ」
俺はシャルに、一夏は箒に笑って見せて、福音と対峙する。
「敵機増加を確認。排除行動に移ります」
福音は機械音声を発し、四枚に増えた光の翼を大きく広げた。
「俺の仲間の・・・・・」
一夏が雪片弐型を構える。
「誰一人も・・・・・」
俺も右腕のビームブレードを構え、ブン!と一振りする。
「「やらせはしない!」」
「La・・・・・♪」
ドドドドドドドッ!
福音のエネルギー弾が俺と一夏に襲い掛かる。
「おおおおっ!」
それを躱し、ビームブレードで切りかかる。福音はウイングスラスターをはばたくように動かし、上昇して攻撃を避ける。
「一夏っ!」
「まかせろっ!」
一夏は零落白夜を発動させ、福音にそれを振り下ろす。
(とった―――――!)
そう思った。だが、福音は右腕で一夏の攻撃を受け止めバチバチと装甲をスパークさせながらも一夏に二枚、俺に二枚の翼を向け、エネルギー弾の砲門を全開する。
「くっ!」
咄嗟に左腕を前に出す。すると、左腕の装甲がわずかに上にスライド。そして腕と装甲の間からBRFが発生した。
バチバチバチバチ!
BRFアーマー、冷却を開始します。
ウインドウに表示が出る。だがBRFは消えることは無い。
「あのシールドと同じって訳か!」
これはありがたい!
「セシリア!鈴っ!ラウラ!」
「!?」
一夏の声を聞いて振り返ると、福音の流れ弾が三人に向かって飛んでいた。
「うおおおおっ!」
G−spiritの背部スラスターの上部分がスライドし、俺の背中にビームの翼が生えたようになった。先ほどよりももっと速い速度で流れ弾とラウラ達の間に割って入る。
バリバリバリバリ!
三人を庇うように流れ弾に背を向ける。するとエネルギー弾はビームの翼に吸収された。
「ん?」
ふとウインドウを見ると、『チャージ完了』との文字が表示されていた。何のことだ?
「なにボサっとしてんのよっ!」
鈴がいきなり俺に怒鳴ってきた。
「え・・・」
「私たちの事なぞ気にせずに、ヤツを倒して来い!」
「代表候補生のなめないでくださる!?」
三人が俺にニと笑ってみせる。ボロボロだが、その眼はまだ諦めていない。
「お前ら・・・・・。ああ、分かった!」
二人に見送られながら、俺は再び背中のビームウイングを広げ、福音のもとへ向かう。
「瑛斗っ!」
「一夏!タイミング合わせろっ!」
「どうする気だ?」
「俺がヤツの動きを止める。お前が決めろ!」
「了解だ!」
俺はビームブレードを構える。するとウインドウにまた新しい表示が出た。
チャージが完了しました。ビームメガキャノン発動可能です。
その文字の下に、ビームブラスターを右腕に装備する画像が映し出される。
「よっしゃあ!」
俺は右腕の装甲をスライドさせ、ビームブラスターを接続する。右腕自体が巨大なビームガンの様になった。
福音にそれを向け、発射の瞬間をイメージをする。
ゴォォォォォォォ!
激しいビームの奔流が右腕から放たれる。福音も四枚の翼を合わせてビームを受け止めるが、威力が高すぎて動きが止まる。
「一夏!やれぇっ!」
「はあああああああああっ!」
ザンッ!!!
全力の瞬時加速、全力の零落白夜の一撃。それが福音に直撃した。
「La・・・・・La・・・・・♪」
急降下する福音はめいいっぱい広げた光の翼を俺と一夏に向け、砲門をすべて開く。チャージをしている?一撃で決めるつもりか!
「くそっ!エネルギーが・・・・・!」
一夏が呻く。見れば一夏の装甲が元の白式に戻る。あのまま直撃を受けたらマズい!
「! Gメモリーが!?」
突然呼んでもないのにGメモリーが発動した。しかも問答無用でボルケーノを発動させる。
「これは・・・・・?Gメモリー・・・セカンド?」
Gメモリーが表示されるウインドウには『セカンド』の文字が点滅していた。発動されたボルケーノは普段とは違うところが一つあった。
金色だった。装甲の全てが光り輝いている。ボルケーノクラッシャーも一層激しく赤い光を放っている。よし!
「おおおおおおおっ!」
「瑛斗!?」
一夏が驚いた声をあげる。俺はそのまま福音に突進する。
「La・・・・・」
ゴォォォォ!
極太のビームが俺に迫る。俺は金色のボルケーノクラッシャーを突きだした。
バリバリバリバリバリバリ!!
ボルケーノクラッシャーでビームを吸収しながらさらに前進を続ける。
(守るんだ・・・・・。この居場所を・・・・・・守るんだ!)
「う・・・・・おおおおおおおおおおおっ!!」
普段より二回りも大きい光の環が背中に輝く。届け!
ガシィッ!バチバチバチバチ!
ボルケーノクラッシャーが福音に触れ、バリアエネルギーを吸い取る。
「がっ・・・!」
俺の首に福音の腕が伸びた。
(俺が窒息するのが先か、お前が機動を停止するのが先か!競争と行こうぜ!)
「おおおおおおおっ!」
俺が右腕に力を込め、叫んだ。
シュウゥゥゥゥ・・・・・・
福音はついに動きを停止させた。俺のISも元のG−soulに戻った。
「はあっ・・・、はあっ・・・、はあっ・・・・・。あ!」
安心してしまって、操縦者のことを考えるのを忘れてしまった。操縦者が落下していく。
「ったく・・・。詰めが甘いのよ。詰めが」
水面に激突する直前、鈴が何とかキャッチして操縦者を助けた。ナイスキャッチ。
「瑛斗!」
「おわっ」
いきなりシャルに抱きつかれた。突然のことだったからよろけてしまう。
「瑛斗、怪我は?大丈夫なの?本当に瑛斗なの?」
涙を流しながら俺の顔を見るシャル。相当心配してくれていたみたいだ。俺は右腕の展開を解除して、シャルの頭を撫でた。
「ああ。俺は大丈夫だ。大丈夫だから泣くな」
「うん・・・うん・・・!」
「まったく・・・・・。来るのが遅いぞ」
「うん?」
振り返れば、ラウラが腕組みをして俺を見ていた。
「私の嫁なら、もっと速く駆けつけてみろ」
「なんだよ?いきなり文句かよ?」
「・・・・・まあ、その・・・」
「?」
「たっ、助けてくれたのは、感謝・・・する・・・」
素直じゃないねぇ、まったく・・・・・。
「お」
見ると、一夏が箒と夕日を見ている。俺と一夏が起きたころはまだ明るかったが、東の空は夜の色になっていた。
「終わったんだよな。これで」
「うん。終わったね」
「ああ。作戦は完了だ」
俺達はしばらく沈む夕日を見てから、旅館へと戻った。
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