IS〈インフィニット・ストラトス〉 〜G-soul〜 |
夏真っ盛りの夜。IS学園の誰もが眠りの中に居る真夜中。
「ふふ、うふふふふ・・・・・」
IS学園一年生寮の通気口内に不気味な笑い声が聞こえる。
「これで準備は完璧・・・・・。タイマーが0になる頃は・・・うふ、うふふふふふ・・・・・」
笑い声の主は小さな声で笑いながら通気口の奥の闇へと消えて行った。
「だぁ〜、暑かったぁ〜!エアコンエアコン!」
テストが終わり、数日経って終業式を終え、自室に戻ってきた俺は節電のために部屋を出るときは冷房の電源を切っている。最近の流行のエコだぜ?どや?
「終業式をこの暑い中外でやるなんてどうかしてるぜまったく・・・・・」
俺は愚痴りながら冷房のリモコンのスイッチを押す。
ピッ
「?」
ピッ、ピッ
「??」
ピピピピピピピピピ
「なんでつかねえんだよっ!」
リモコンを床に叩き付けるとドアをノックする音が聞こえた。
「はい?」
「あ、桐野君ですか?ちょっとドア開けてくださーい」
この声は山田先生だな?どうしたんだろう?
「あ、はい」
ドアを開けると山田先生が大き目の段ボールを持って入ってきた。
「な、なんですかそれ?」
「あ、これですか?よいしょ」
段ボールを床に置いて一息ついてから先生は説明を始めた。
「桐野君、エアコンつかなかったですよね?」
「えっ?ああ、まあはい。なんでそれを?」
「いやあ、実は空調の調子が悪くてですね。桐野君の部屋のエアコンが故障しちゃってるんです」
「え〜、マジですか?」
この真夏日に冷房無しなんて辛すぎる。どうして俺の部屋だけ・・・・・。
「そこでですね!」
山田先生は段ボールをペシペシと叩きながら続ける。
「古き良き扇風機を持ってきました!」
「おお!」
段ボールの中には立派な扇風機が入っていた。これでいくらかはマシになるな。
「ありがとうございます!」
俺は腰を直角に折って頭を下げる。
「いえいえ。エアコンは明後日くらいには直ると思うのでそれまでの辛抱です」
「はい!」
「じゃあ、私はこれで」
「ありがとうございました!」
山田先生を見送ったあと、俺は扇風機のコンセントをプラグにつないで電源をつける。
ブイィィィィ・・・・・ン
「涼し〜〜」
すると心地よい風が吹き付けてきた。エアコンもいいけどこういうのも悪くない。お、そう言えばこの前、一夏が扇風機の前で声を出すと面白いことが起こるって言ってたな。
「アァ〜〜〜〜〜」
おお、これは面白い。
「アァ〜〜〜、ワレワレハ、ウチュウジンダ」
うん、まあ、嘘じゃないかもしれない。って・・・ん?
「どわぁっ!?」
「やあやあ」
隣にはなんと篠ノ之博士がいた。何故?どして!?
「は、博士っ!?」
「そうです。天才の束さんです」
見りゃわかるわ・・・・・。
「なにしてるんですか、こんなところで・・・」
「いやあ、聞いた話だと今日はIS学園は終業式だったらしいじゃないか」
「そ、そうですけど」
「箒ちゃんも帰省して家に帰るよね?」
「知りませんよ・・・・・。まあ、そうなんじゃないですか?」
「でも!束さんはいろんな組織から追われる身!ああなんてかわいそうなんでしょう!」
「そーですね」
なんか、面倒なことになりそうな予感がする・・・・・。
「だから!箒ちゃんが家に帰っちゃう前に箒ちゃんと触れ合おうじゃないかと!」
「はあ」
「まあ願わくば、束さんは箒ちゃんとは主に大人なスキンシップを取りたいわけで」
「・・・・・・・」
「でもこんな太陽が高いうちからそんなことをするのはアレかなと思うの!」
「・・・・・・・・・」
「だからえっくん」
「・・・・・・・・・・・」
「しばらくここにいさせて?」
「嫌です」
「即答!?」
当たり前だ。どーしてそんなことをせにゃならんのだ。
「お願いっ!束さんの一生分のお願いっ!なんなら来世の分もつけるからっ!」
「んなこと言われましても・・・・・」
「ねっ!?お願い!ねっ!?」
グイグイと迫ってくる博士。
「嫌ですったら嫌です。第一、なんで俺なんですか」
「それはえっくんにしか頼めないからだよ」
「?」
「いっくんに頼もうにもいっくんは箒ちゃんかちーちゃんに言っちゃう可能性があるでしょ?だからえっくんにしか頼めないんだよ」
「・・・・・俺も言っちゃう可能性は考えなんですか?」
「えっくん・・・・・、私ね、もう・・・・・長く、ないの」
急に力の無い声になって俯いた博士。
「は?」
「束さんね・・・不治の病に侵されて、今日まで生きてるのも奇跡に近いんだよ」
「え?ええっ!?」
何この急展開!?
「だからね・・・」
目に涙を溜めて俺の方を見る博士。
「えっくん・・・本当に、一生分のお願い・・・・・」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・ダメだよね。そうだよね。ゴメンね、急に来てこんなこと頼んじゃって・・・・・」
ドアの方に向かう博士。・・・・・まったく。
「・・・・・今日だけですよ」
「え?」
「いいですよ。夜までですね?」
「えっくん・・・・・。ありがとぉっ!」
博士は俺に飛びついてきた。やれやれ、しょうがない人だ。
「ホントに!ホントにホントにホントーーーーにっ!ありがとう!」
「はいはい・・・・・」
そんなわけで俺は夜まで篠ノ之博士を部屋に居候、なのか?をさせることになった。
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番外編! IS学園ドキドキパニック! @ | ||
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