IS〈インフィニット・ストラトス〉 〜G−soul〜 |
「はああっ!」
バチィッ!
敵IS、《サイレント・ゼフィルス》のレーザー攻撃をBRFシールドで打ち消しながら接近し、ビームソードを振り下ろす。
「・・・・・・・・・」
ガキンッ!
だが、シールドビットに妨害され、攻撃が届くことは無い。
バラララララッ!
シールドビットで俺の動きを止め、小型レーザーガトリングで弾幕を張って接近を許さない敵機。
(こいつ、使いこなしている・・・・・!)
射撃ビットとビームの弾丸の二段構えのせいでうかつに近づくことができず、円周飛行で攻撃のタイミングをうかがう。
(ビームが曲がるからBRFの防御はあまり意味がない・・・・・それなら!)
「G−spirit!」
G−soulの第二形態であるG−spiritに移行し、さらにGメモリーセカンドを起動する。
「Gメモリーセカンド! セレクトモード! セレクト! エルドラス!」
コード確認しました。エルドラス発動許可します。
装甲が変化し、遠距離特化のエルドラスに変化する。
「最初から全力で行かせてもらう!」
装甲に走るライン部分が開き、六十門の小型ビーム砲がその砲口を出す。
(防御が追いつかない程の攻撃を与えれば!)
「いけぇぇっ!」
ドドドドドドドッ!!
放たれるビームがサイレント・ゼフィルスを飲み込む。
そしてエルドラスを解除し、G−spiritノーマルモードに戻り、一気に上昇する。
サイレント・ゼフィルスの操縦者がシールドビットを散開させて周囲を見回している。
「俺はここだぁっ!」
ビームウイングを展開し、超高速でビームブレードで切りかかる。
「ほう」
しかし、サイレント・ゼフィルスはそこから動かなかった。代わりにシールドビットを俺の脇腹に激突させた。
(なっ――――!?)
ドンッ!
「ぐうぅっ!」
質量弾と化したビットをぶつけられて、シールドエネルギーを大きく削られる。そして俺自身も全く予想外の攻撃方法を受けて、姿勢を崩してしまい、攻撃を外してしまった。
「・・・・・・・・」
その隙を見逃さずサイレント・ゼフィルスは俺に背を向けて、高速で戦闘区域からの離脱に入った。
「く・・・・・! 逃がすか!」
ビームウイングをはためかせて姿勢を立て直し、俺も後を追うように飛行する。
(背中ががら空きだ!)
高速で追跡しながら、俺はビームブラスターを構える。ロックオン・カーソルがサイレント・ゼフィルスを捉え、ロック完了の表示が出る。
「当たれぇっ!」
直撃コース、のはずだった。
「お前の動きなど手に取るように分かる」
サイレント・ゼフィルスはガクンと航空高度を下げ、ビームの下を飛ぶ形になった。
それだけではない。武装であるレーザーライフルを後ろ向きに構え、俺に向かって撃ってきたのだ。
(後ろに目がついてるってのかよ・・・・・!)
俺は驚愕しながらBRFアーマーでそれを防ぐ。
(これほどまでの操縦技術・・・・・ヤツは何者なんだ?)
レーザーを躱し、打ち消しながらなんとか追いすがるが、徐々に距離を離されていく。
ギュン!
「?」
突然、サイレント・ゼフィルスが高度を大きく下げ、地表に向かって降下し始めた。
(あれは・・・・・?)
目を凝らすと、サイレント・ゼフィルスが目指す地表には、IS僚機反応があった。
(ブルー・ティアーズとシュヴァルツェア・レーゲン! セシリアとラウラか!)
さらに地表に近づくと、見覚えのある姿の女性も見えた。
(巻紙さん? どうしてあんなところに?)
エリスさんを迎えに行く途中で一夏と俺に声をかけてきた巻紙礼子さんが仰向けに倒れていた。あの動きの停止のしかたはAICだな。
バララララッ! ビシュッ! ビシュッ!
「!」
いきなりサイレント・ゼフィルスの操縦者は小型レーザーガトリングとレーザーライフルのビームを地表、ラウラ達のいる地点へと斉射した。
「ラウラッ! 上だ! 避けろっ!」
オープン・チャンネルでラウラに通信を送り、攻撃を躱すように指示する。
『くっ!』
眼帯を外し、『越界の瞳』を発動したラウラは後ろに飛ぶ。
「セシリア! 撃つんだっ!」
セシリアに攻撃の指示を出すが、飛来するレーザーはシールドビットに遮られて決定打にはなりえなかった。
『それならっ!』
セシリアは動きを止めて新装備のバレット・ビットを全機射出する。しかし、サイレント・ゼフィルスは高速で移動しながら、セシリアの移動中制御可能な三機を超えた六機のビットでそれを撃ち落としていく。
あっというまにバレット・ビットは全機撃墜され、サイレント・ゼフィルスの標的はセシリアへと移った。
「やらせねえっ!」
サイレント・ゼフィルスのレーザーライフルの射線上にたち、BRFアーマーを起動する。
「・・・・・・・・」
サイレント・ゼフィルスはそれならばとばかりにビットのビームを六機同時に発射した。
BRFの有効圏を避けるように曲がったビームは途中で再び直線に戻り、セシリアに襲い掛かった。
「セシリアッ!」
「―――――――ッ!」
ラウラがセシリアを突き飛ばし、右肩に被弾する。黒い装甲の破片が散らばる。
「ふん」
サイレント・ゼフィルスが地表に降り立った。
俺はサイレント・ゼフィルスのすぐ後に地表に着地した。
「迎えに来たぞ。オータム」
「てめえ・・・・・遅えんだよM! それと私を呼び捨てにすんじゃねえ!」
Mと呼ばれたサイレント・ゼフィルスの操縦者はレーザーガトリングで弾幕を張りながら、ピンク色に光るナイフでAICを切り裂き、巻紙さんの自由を確保する。
先程会った時とは百八十度違う巻紙さんの言動に俺は面食らう。
「その程度か。ドイツの遺伝子強化素体(アドヴァンスド)」
バイザー型ハイパーセンサーで隠れて見えないが、口元は嘲笑の笑みに歪んでいた。
「貴様・・・・・なぜそれを!」
「答える必要はない。ではな」
Mは巻紙さんを抱えて浮遊を始めた。
「待て。まだこっちの話は終わってねえんだよ」
俺はビームメガキャノンをMに向けた。
「チャージはとっくに終わってる。その状態で直撃を食らったらタダじゃすまないだろ?」
俺は引き金をかけている指に力を少し込めた。実はこれはプラフで、今さっき接続したばかりだからチャージはざっと五、六パーセントと言ったところだ。
「ふっ」
「私たち『亡国機業』がそんなこけ脅しに動じるかよ!」
巻紙さんはネックレスをむしり取って、地面に叩き付けた。
カッ!!
「「「!?」」」
視界が閃光に塗りつぶされ、俺達は目を覆う。目くらましか!
閃光が収まると、Mたちははるか上空を飛行していた。
「く! ラウラさん! 急いで学園に連絡を! わたくしと瑛斗さんは追撃を!」
「ダメだ! 今行ったところで返り討ちに遭うだけだ!」
「ああ。それに、セシリア。お前もお前で結構ボロボロだぞ?」
「・・・・・・・・・!」
ラウラと俺の制止を受けたセシリアは悔しそうに唇を噛み締めていた。
「ラウラ大丈夫か?」
右肩を損傷したラウラに声をかける。
「ああ。この程度なら問題ない」
「アイツらは何者なんだ? 亡国機業って?」
「軍にほんのわずかだが情報があった。巨大な秘密結社で、第二次世界大戦後から存在するらしいのだが、それ以外は何も知られていない」
「そうか・・・・・・」
「だが、あの長髪の女。アメリカの第二世代型のアラクネというISのコアを所持していた。おそらく盗んだものだろう」
「ISの強奪・・・・・相当な力を持っているってことだな」
俺はアイツらが飛翔していった方向を見た。
「なあ、二人とも。これで終わりだと思うか?」
「いいえ」
「まだ、これから先も戦うことになるだろうな」
俺達は、新たな敵の登場に胸をざわつかせた。
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その名は亡国機業 | ||
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コメント | ||
セシリア、強化してもらったのに、そのていたらくは流石に、代表候補生としてどうかと思う。(jon/doe) | ||
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