真・恋姫†無双 野球伝 1章1話 出会い
[全5ページ]
-1ページ-

和焼side

 

 

おはようございます

鏡を踏んで変な空間に行ったと思ったら次は荒野にたどり着きました。

 

 

あれは夢じゃなかったのか……

 

 

「と、とりあえず現状把握をしないとな…… 日本じゃないだろうし見渡した限り四方荒野だ。こんなとこいたらネタじゃなく死んでしまう」

 

足元を見ると…… 見慣れたエナメルバックとかなり大きい旅行鞄発見。俺の荷物は今着ているユニフォーム込みで、これだけみたいだしまずは現状把握をしよう

大事なことだからもう一回言うけど現状把握をしよう。何かしていないと不安に押しつぶされそうだ

 

 

 

服装

・野球部のユニフォーム(背番号1)

 

鞄×2の中身

・バット4本(金属2、木製2)

・グローブ5個(投手用、オールラウンド、ファースト用、左用オールラウンド×2)

・捕手用プロテクター一式

・硬球30

・携帯電話

・ソーラー兼手回し充電器

・財布

 

「ほとんど野球道具しかないな」

 

そして練習着とアップシューズが無くなっている。おかげで今着ているユニフォームが一張羅に進化してしまった

 

いつも使っている方の鞄は、今日の部活は練習試合だけだし紙やペン等野球に必要ないものは家を出る時に全部出してしまってた。

俺が持っていなかったはずの旅行鞄の方を期待していたが、中身は普段持ち歩かない野球道具(プロテクター・バット・左用グローブ・硬球たくさん)のみ。なぜこれがあるのか理解に苦しむが気にしたところでどうせわからないだろうし無視する

 

数少ない野球以外の品は携帯・充電器・財布の3つ

携帯は予想どおり電波が入らない。充電器は電池式じゃないし普通に使えた。携帯を使う機会がそもそも無いかもしれないが、何かあったら役に立つだろう

財布には小銭込みで5000円近く入っているがそもそもこの世界で日本円が使えるかが分からない

 

 

「現状把握終了。何も分からないことはわかった!」

 

かなり詰んでるんじゃないか?

 

 

 

 

 

 

 

 

考えていても鬱になりそうだから切り替えないと!

 

そういえばあれはどうなったんだろう?願い事として最後に叫んでみたレイジングハート。まあ無理だろうし、そもそも俺に魔力なんてあるわけないんだからもらったとこでアクセサリーにしかならない気がする

 

「レイジングハートさんいませんかー?」

 

 

最初から期待してない呼びかけ。鞄にそれらしき物もなかったし

 

『お呼びですか、マスター?』

 

「へ?」

 

胸元から声が聞こえて来た。次の瞬間、目の前に浮かびあがってきた紅い宝石みたいな綺麗な珠

 

 

「も、もしかしてレイジングハートさんですか?」

 

『はい、マスター』

 

いた…

レイジングハートがいた!しかもマスターだって!俺のことマスターだって!!

感動なんですけど、レイジングハートに会えるなんて!というかいきなりマスターですか。なのはですら認めてもらえるまでは時間がかかっていたのに

 

 

「え〜、俺は砲流和焼です。よろしくお願いします」

 

『こちらこそ』

 

 

 

「え〜、ご趣味は?」

 

『?』

 

違う違う。今完全に舞い上がっていた。他に聞くべきことたくさんあるだろ

 

「マスターと言っていたけど俺がレイジングハートのマスターってことでいいの?」

 

『はい、マスター』

 

「普通に今話せているけど俺って魔力資質あるの?」

 

まさか俺に秘めたる力があったとは

 

『…… 無いとはいえません。ただ後天的に付けられた物のようで現状はかろうじて0じゃないというレベルです』

 

「後天的に付けられたってどういうことだ?」

 

『言った通りです。マスターに本来魔力資質はありませんでした。それをどうにかしてあとから追加する形で魔力資質が付け加えられています』

 

ということはあの場所で管理人が付け加えてくれたのか

 

「あと現状ほぼ0ということは、特訓したらディバインバスターみたいなのも打てたりするのか?」

 

『不可能ではないかと思います。ただ魔力資質がどれだけ伸びるのかもわからないので何とも言えないです』

 

 

今も普通に会話できているがここで長年の謎をここで解かせてもらう!

 

「俺は英語できないはずなのに会話しているんだがどうしてだ?」

 

テキサスで活躍する日本人投手みたい授業中布団敷いて寝ているわけじゃないけど、俺は英語なんて理解できない

 

『仕様です。会話をする人の頭の中で勝手に変換されています』

 

そうか、回答は仕様か。なのは達がどうやって会話していたのだろうと言う幼いながらの謎がここで解けた。

そして現状の自分が少し理解できた。

 

「つまり俺はレイジングハートの所有者になっている。そして現状では会話することしかできないが将来的にどこまで伸びるかわからない魔力資質を持っていると言うことでいいのか?」

 

『そういうことになります』

 

「これからどうなるかはわからないが、一人じゃなくて良かったよ。よろしくレイジングハート」

 

『よろしくお願いします、マスター』

 

 

一人じゃないというのはとても心強い。それに何度想像したかわからない、レイジングハートのマスターが俺であると言う展開にちょっとテンションが上がってきた!

 

もともとそんなうじうじしている性格でもないんだから次を見据えて行動しよう

 

 

 

「とりあえず人のいる方に進みたいんだけどどっちに進めばいいかわかる?」

 

『東の方に村があるようです。今から歩けば陽が落ちる前には余裕で着くでしょう』

 

 

「了解、それならとりあえず歩こう」

 

 

鞄から出した道具をしまって持ってみるが結構重い。旅行鞄の方に小さいタイヤがついていて助かった。

こいつらが俺と野球をつなげる最後の希望だと思うから、野球道具を捨てていくなんて真似はしたくなかったし

 

まずはレイジングハートの言うとおりに東に進む。俺は一人じゃないし野球もある。

人がいるところに行けばなにかしらアクションを起こせるだろうし現状を悲観し絶望するほどではない

 

 

 

「あらためてだけどよろしくな、レイジングハート」

 

「よろしくお願いします、マスター」

 

 

 

 

-2ページ-

 

 

 

レイジングハートさんが言っていたであろう村が見えて来た

 

「あれがレイハさんの言っていた村?」

 

『そうですね。マスター、もう少しですので頑張ってください』

 

 

 

歩きながらレイハさんと色んな話をした。

そこでわかったのがレイハさんは4期仕様、デバイスモードにすることだけなら今の俺でもできる。

魔法に関連してだが、俺自体に魔力はまだほとんど無いが、カートリッジに魔力が入っているらしくカートリッジ8発分の簡単な魔法なら使えるとのこと。

魔力をつけるための特訓は今の世界を把握してある程度落ち着いてからということになった。俺はすぐにでもやりたかったがレイハさんに慣れない世界で慣れないことをしすぎるのはよくないと言われたら従うしかあるまい

 

今居るこの世界についてはレイハさんもわからないらしい。ただこれに関しては元から期待していなかった。レイハさんが知っているのはなのはの世界だけだろうし、こんな荒野がなのはの舞台として出て来たことは無い

 

呼び方についてはレイジングハートだと長いなと思ってレイハさんでいい?と聞いたらOKもらえたんでこの形に変更。最後に人がいるときは念話でということなど細かいことを決めたりした。

 

 

 

 

それからもう少し歩いて無事に村についた

 

 

「とりあえず誰か村人と話がしたいな。まさか言語が通じないなんてことはないだろうと思ってるけど実際どうだろうか」

 

ここで言語の壁にぶつかったら俺とレイハさんそれだけで終了しそうだし外史の管理人の話だとさすがにそんな展開にはならないだろう

 

 

『できれば心の広い人がいいですね。この世界の礼儀もわからないですし、無意識のうちにマスターが相手にとって無礼な振る舞いをしてしまう可能性もありますから』

 

「そうだな、そこらへん気をつけるようにして慎重に行動しよう」

 

 

村に入ってみての感想だがあまり大きくはないが寂れている感じもしない。ただ家の造りとかを見ても現代に比べてだいぶ古い作りになっているみたいだ。建築詳しくないから知らないけど。そもそも地球かもわからないし

 

 

 

 

 

周りを見るとそこそこ人はいる。さてどの人に話しかけるか

 

 

『マスター、あの人はどうでしょうか』

 

 

レイハさんが言った方を見るとルンルンと言った感じで歩いている女の子がいた。確かにあの子なら話を来てくれそうな感じがする。ちょっと道から外れた方に歩いて言っているが追いかける

 

 

 

 

 

「はぅあ〜、モフモフ気持ちいいです〜」

 

追いかけた女の子は猫にご執心のようです。俺がすぐ後ろに来たのに気づく様子も無い。

なんだか話しかけづらいしこのまま待つことにしますか

 

-3ページ-

 

時間にして約5分後

 

「あぁ、お猫様お帰りですか。また会えるのを心待ちにしています」

 

モフモフされるのに飽きたらしい猫が去っていくのを残念そうに見送っている女の子、そろそろいいだろうか

 

「そこの人、ちょっといい?」

 

「はぅわ!」

 

 

ザッ

 

 

油断しきっていたところにいきなり話しかけたのがいけなかったのか、距離を置かれ警戒されてしまった。けど他にどうすればよかったんだ

 

「怪しい者では無い……とは言い切れないが尋ねたいことがあるんだけどいいかな?」

 

 

「・・・・・・」

 

 

うん、完全に警戒されている。距離置かれているし背中の刀?に手をかけて完全に戦闘態勢だ

 

 

おそらくこのままだと話が進まないどころか命の危険性すら見えてきている

どうやったらこの状況を挽回できるか……… そういえばさっきまでネコと戯れていたな。一か八かだが

 

 

「………… さっきの猫可愛かったね。」

 

さっきの態度から見るに明らかにこの子は猫が好きだ。そして俺も猫は好きだ。猫好きの人間に悪い人間がいるはずがない

 

 

「・・・・・・」

 

 

若干だが警戒の雰囲気が無くなってきているように見える。これはチャンスか?

 

 

「率直に言おう。俺は猫好きに悪い人はいないと思っている。同じ猫好きとして俺を助けてくれないか?」

 

 

 

「………… あなたもお猫様が好きなのですか?」

 

 

釣れた!会話になった!

 

 

「ああ、ちょっと今大変な目にあっていて誰か助けてくれそうな人に話しかけようと思って村を歩いていたんだ。

その中であなたを見つけたんだけど、猫をモフモフしているのを見て猫好きなのは目に見えていたし、それを邪魔するのは悪いと思って終わるのを待っていたんだ。驚かせることになってしまってすまない」

 

 

「そうですか、確かにお猫様が好きな人に悪人はいません。私で良かったらお話をお聞きしましょう」

 

 

今日ほど猫が好きで良かったと思ったことは無い。ありがとう猫、俺を常に愛らしい姿で魅了していてくれて

 

 

「それじゃあ早速といきたいとこなんだが、俺も現状を把握しきれていないから話が長くなるかもしれない。どこか座れるような場所は無いかな?」

 

「そうですね、 でしたら私の家に案内しましょう。ついてきてください」

 

 

「…… 俺が言うのもなんだが初めてあった人を家に招いていいのか?」

 

「はい、お猫様が好きな人に悪い人はいませんから!」

 

 

すごい満面の笑みで言われた。すごいよ猫パワー、これからは俺もお猫様って呼ばなきゃならんかもしれない

 

 

 

 

 

 

 

最初の場所から移動して生まれて初めての女の子の家です。お猫様は偉大だ

 

ちなみに言及していなかったがレイハさんは、村に入る前にネックレス状態で胸元に待機してもらっている

 

 

「それで話とはなんだったのでしょう?」

 

「その前に自己紹介を。俺の名前は砲流和焼だ」

 

「私は姓を周、名を泰、字は幼平と言います。そちらは姓を砲、名を流、字を和焼ということでよろしいのでしょうか?」

 

「・・・・・・姓?名?字?しいて言うなら姓が砲流で名が和焼だが」

 

「字がないのですか?」

 

「そもそも字って何?」

 

 

「…… ?」

 

 

………… これが異世界での第一関門か。文化の違いをひしひしと今感じている!

 

「何となく話がかみ合っていないはわかった。とりあえず俺は砲流でも和焼でもどちらでも好きな呼び方をしてくれ。俺はなんて呼べばいい?」

 

「それでは周泰でお願いします」

 

周泰ってどこかで聞いたことがある気がするんだが・・・ どこだっけか

今思い出しても仕方がないだろうし話を進めないと

 

 

「では周泰ちゃん、さっそく何だがここはどこ?」

 

「ここは九江郡の下蔡です」

 

「九江郡の下蔡?」

 

聞いたことが無いな。たださっきの名前と言いニュアンスが漢字に似ているし、もしかしたら俺の知っている世界の可能性があるのかもしれない

 

「はい、下蔡です。今は袁術の領土になっているのですが、いずれ孫策様達が取り返し呉として復権するのを待っている土地の一つです」

 

孫策?袁術?

 

 

「もしかして、その【ご】ってこう書く?」

 

俺は机に呉の文字を指で書く

 

「その通りです」

 

「なるほど、ちょっと待ってもらえるかな?」

 

(レイハさんって歴史の知識ってある?)

 

(申し訳ありませんがマスターがいた世界の歴史でしたらお答えする事はできません)

 

(そりゃそうだよな。念のため聞いただけだから気にしないでくれ)

 

 

聞いた限りなんか昔の中国、さらにいうなら三国志の時代っぽいかんじがする。

俺の知識なんて横山三国志を流し読みした程度だけど超有名どころ、今の会話でなら孫策くらいなら覚えている。それでもって確か周泰って孫策の部下じゃなかったかな

 

「周泰ちゃんって女の子だよね?」

 

「何言っているんですか?当たり前ですよ」

 

 

(レイハさん、俺の知っている知識だとここは俺のいた世界の過去みたいだ)

 

(みたいだ、ということは何か違うとこがあるのですか?)

 

みたいだ、のニュアンスを正確に感じ取ってくれる辺りレイハさんすごい

 

(ここが俺の知っている歴史の世界だとしたら、目の前にいる子は男のはずなんだ。どう思う?」

 

(ただのタイムスリップでは無いということではないでしょうか?外史と言う話も聞きましたし、あくまでマスターの知っている世界に似た形であって、違う世界なのではないかと思います)

 

 

「やっぱりそうなるのか。外史ってずいぶんなものだな」

 

 

 

「…… あの」

 

 

「えっと、ごめん周泰ちゃん。ちょっと考え込んでて」

 

レイハさんとの念話に熱中してしまってた

 

「そこはいいのですが・・・・・・何か会話をしていたみたいですが、誰とお話しなさられていたんですか?」

 

 

「声出てた?」

 

「はい、最初は黙っていましたが、ちょっとずつ声が漏れてきて途中からはっきりと」

 

 

周泰ちゃんが心配そうな顔でこちらを見てくる。

まずい、このままじゃ周泰ちゃんの俺の評価が残念な人になってしまう

 

 

(レイハさんって魔力ない人とは喋れないよね?)

 

(そうですね……  ですがカートリッジをロードすればもしかしたら)

 

まさかこんなことでカートリッジを使う機会が来るとは・・・・・・ というかカートリッジすごいな!

本来は限界まで温存したかったけどこのままじゃ俺は完全な気違いだし、せっかくのチャンスを無駄にするわけにはいかないから仕方ない

 

 

 

「周泰ちゃん。先に話しておきたいことがあるんだが、俺はこの世界の住人じゃない」

 

 

「はぁ」

 

「ということをいきなり言っても信頼性なんてないから俺がこの世界の人間でないことの証明をさせてもらいたいと思う。いいかな?」

 

「はい」

 

不審げに見ながらもうなずいてくれる。周泰ちゃんは素直ないい子だな。

 

「今からやるのは驚くと思うけどこの世界に無い技術だ。それじゃ、レイハさんよろしく頼む」

 

『デバイスモード』

 

胸元から出したレイハさんが魔導師の杖に変わる

 

『ロード、カートリッジ』

 

次にカートリッジを1つだけロードしてもらう。そして

 

『周泰さんお初にお目にかかります。私はインテリジェントデバイスのレイジングハートと申します。以後お見知りおきを』

 

杖の状態でレイハさんが自己紹介をする。どんな反応をするか気になって周泰ちゃんを見てみたら

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

完全に固まっていた、そりゃそうだよね

 

 

 

-4ページ-

 

 

 

あれから固まった周泰ちゃんを元に戻して、携帯電話見せたり現代のお金見せたりこの世界には無い物を見せて説明していき俺の言ったことを証明した。

証明には成功したが、それが全て終わるころには完全に日が沈んで夜になってしまっていた

 

 

 

「なあ周泰ちゃん、夜も更けて来たしどこか止まる場所を探したいんだが」

 

もちろんこの世界のお金は無いが、とりあえずは今持っているお金を装飾品として宿屋に頼んで売れば一晩くらい泊めてもらえるのではないかと踏んでいる。周泰ちゃんの反応見て確信できたが硬貨にしろ紙幣にしろオーバーテクノロジーの塊のはずだ。それなりに見る目がある人がみたらきっと交渉に応じてくれるはず

 

 

「それなら我が家に泊まっていって構わないですよ。ちょうど父と母が明日まで仕事で帰ってこないので」

 

出会ったばかりの女の子に今日両親がいないから泊まっていったらと言われた。

 

何だこの展開、お猫様のおかげか?そんなんだな!ありがとうお猫様!!

 

 

周泰ちゃんに携帯を見せたときに、昔撮ったお猫様画像でかなり仲良くなりったがまさかここまでしてくれるとは

 

あと「はぅあ〜、お猫様にいつでも会えるなんて素敵すぎます〜」なんて言うあの時の周泰ちゃんはそれはもう幸せそうでした

 

そのあとは夕飯をいったん御馳走になって、この世界のことについて詳しく聞いてあっといまに時間を消費した。

 

 

 

-5ページ-

 

 

 

 

 

昨日の内に今日の予定を周泰ちゃんと話していた結果、まずユニフォーム姿はあまりにも浮いているのでこの世界に合った服を買いに行くことになった。ほとんど周泰ちゃんのセンスだったがなかなかの物を選んでもらえた。

お金に関しては財布の中の硬貨を売った当分困らないだけのお金にはなったらしい。俺が物流の価格とかを知らないから周泰ちゃんに聞いた話だが

 

あと俺のことを話す時に野球の話をしたら、周泰ちゃんが野球に興味を持ってくれたということでこれからちょっとキャッチボール。個人的には最後が大事、この世界でも野球がやれるなんて素敵じゃないか!

 

 

 

 

昨日から話していて思ったが周泰ちゃんはあれだね。性格はお猫様というより忠犬タイプだと思う。簡単にキャッチボールについて教えている時も凄い真剣に聞いていたし、服を買う時や硬貨を売る時も俺のことをとても気遣ってくれていた

 

この子に最初に出会えて本当によかった

 

 

 

 

そしてついに野球!!

まさか異世界に飛ばされて2日目だがキャッチボールができるとは思わなかった。毎日のように野球、もしくはトレーニングの日々だからここまで何もしていないのは久しぶりだったし体が疼いている。

 

 

始める前は硬球しかないから怪我させないか不安だったが周泰ちゃんは何の問題無くできている。昨日聞いていたが、この世界では女性の方が強いらしい。その時は半信半疑だったが周泰ちゃんを見ていると本当なのだろうと思えてくる

 

 

「和焼さん、野球ってなかなか楽しいですね」

 

「そう言ってもらえるなら光栄だよ。これから余裕があったら野球を広めていきたいな」

 

そう、俺は周泰ちゃんとキャッチボールをしていて気づいたんだ。野球が無いなら俺が広めていけばいいということに

 

「野球をこの世界に広める、ですか。この世界は盗賊も当たり前のようにいますし、役人の搾取、貧困の問題だってあります。和焼さんがもといた世界と違って危険ですよ」

 

 

「別に期限が決まっていることじゃないしな。この大陸が危険だったり人々に野球をする余裕が無いと言うなら、俺が危険を排除して、人々に余裕を作って、この大陸に野球をできる環境を作り上げてみせる。

今の俺には力は無いけどレイハさんだっている。だから大陸を回れる力をつけていっていずれ大陸中を巡るよ」

 

「すごい大きな目標ですね」

 

「ああ、俺は野球が大好きなんだ。それがどんな世界だろうと変わらない。

だから野球のためならいくらでも苦労は惜しまないよ」

 

「そうですか。それなら私も和焼さんを応援します。これでさっそく野球が好きな人一人目ですね」

 

ニッコリ微笑んで周泰ちゃんが言ってくれる

 

 

「…… ありがとう周泰ちゃん」

 

 

こういうことを言ってもらえると本当にうれしい。ちょっと涙が出そうになった

周泰ちゃんみたいにこれから少しずつ野球を楽しいと言ってくれる人を増やしていきたい

 

 

 

「それじゃあ次は打撃でもやってみようか」

 

「はい!」

 

 

周泰ちゃんが返事をして俺が道具が入っている鞄からバットを手渡そうとした時

 

 

「盗賊が来るぞーー!!!」

 

村に響き渡る声、周りにいた人がざわめき始める。

そしてそれに反応するかのように目の前にいた周泰ちゃんが今までとは全く違う目になる。俺と初めて会った時に似ているがあの時とは迫力が段違いだ

 

 

 

 

 

 

楽しい時間はあっという間に終わってしまった

 

 

そして俺の知らない世界の時間が始まろうとしていた

 

 

説明
リメイク版の記念すべき1話。
リメイク前の「ここは荒野のどまんなかなの」から「証明と今の状態に対する対応」までがまとめられています
総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
1289 1174 2
コメント
報告ありがとうございます。両方東に訂正しておきます(タナヨシ)
誤字報告。レイハさんが「東の方に村があるようです」といってるのにホウリュウさん西に進んでますよ。(デーモン赤ペン)
タグ
明命 オリ主 野球 真・恋姫†無双 

タナヨシさんの作品一覧

PC版
MY メニュー
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。

<<戻る
携帯アクセス解析
(c)2018 - tinamini.com