IS〈インフィニット・ストラトス〉 〜G-soul〜 |
IS学園生徒会室。放課後のそこにはIS学園の生徒会を構成する面々が揃っていた。
「「「「・・・・・・・・・・・」」」」
布仏本音、布仏虚、桐野瑛斗、織斑一夏。
各自の席に着くその四人はIS学園最強の称号を持つ生徒会の長、更識楯無の言葉を待っている。
「・・・・・・・・・・・・」
そしてその四人の視線を受ける楯無は、口元に扇子を置き、じっと沈黙を保ち続けている。
「みんな・・・・・、ついにその時が来るわ・・・・・・・」
楯無がその口を開いた。
「「はい・・・・・」」
布仏姉妹は神妙な面持ちで頷く。しかし、瑛斗と一夏は未だ押し黙ったままだ。
「この学園で・・・いえ、ほぼ全ての人類が待ちわびていた日・・・・・」
楯無は立ち上がり、ホワイトボードに手を置く。そして一気に反転させた!
バンッ!
デカデカと『メリークリスマス!!』と書かれたホワイトボード。色々なイラストが描かれている。
「そう! クリスマスよっ!」
「「わぁーっ!!」」
そう、今は十二月八日。クリスマス二週間前だ。
沸き立つ生徒会女子三人。
「「・・・・・・・・・・」」
そして、ぽか〜んと拍子抜けしたように口を開いている生徒会男子二人。
「あり? おりむー、きりりん、どったの?」
二人の様子に気づいた本音が声をかけると、瑛斗がやや遅れて反応した。
「あ、や、あの、楯無さん――――――――」
「ストップ!」
何かを言おうとした瑛斗の前に『そこまで!』と達筆に書かれた扇子が突きだされる。
「瑛斗くんが言わんとしていることは良く分かってるわ」
「は、はあ」
「作者が自力でシナリオを考えていく苦労を痛感してるとか、季節感考えろとか、そういうのはこの際無しよ! 無し!」
「まだ俺何も言ってませんし、今の発言もの凄い墓穴掘ってるような気がします!」
俺が言いたいのはですね、と言って瑛斗は続けた。
「緊急会議って言うから何事かと思って来てみたら、その議題は『クリスマスのイベントを生徒会で企画しよう』ですか?」
「あら? 拍子抜けだったかしら?」
「そうじゃないと言えば嘘になりますね」
「俺は何となくそうなんじゃないかと思ってましたよ」
一夏が声をあげる。
「最近、女子たちの話題もクリスマスのことですし、今回の招集の時も、もしかしたらなんて」
「そうだと思ったなら教えてくれよ・・・・・・。いらん心配したじゃねえか・・・・・・・」
額に手をやり、やれやれと頭を振る瑛斗。
「桐野くんは、クリスマスに何か良くない思い出がありそうですね?」
そこで本音の姉、布仏虚が瑛斗に聞いた。
「そうなんですよぉ」
瑛斗は肩を竦めて答えた。
「クリスマス、それはツクヨミクルーにとってはそれ相応の覚悟が必要なイベントでしたから」
口調が変わった瑛斗に、虚は目をしばたたかせた。
「い、一体なにが・・・・・?」
「答えはただ一つ! はしゃいで酔っぱらった所長の介抱の押し付け合いがあるから!」
どどーん!
と背中に効果音を響かせ、瑛斗は声高に言った。
「普段の酔っ払いならいざ知らず、クリスマスの酔っ払い振りは洒落になりません! しかも!」
「し、しかも・・・・・?」
「その押し付け合い、万年俺が敗北します・・・・・」
ガックリと肩を落とす瑛斗。そんな一人だけお通夜ムードの瑛斗の肩に楯無は手を置いた。
「だ、大丈夫! IS学園は未成年が多いから、間違っても酔っ払いの介抱なんてしなくていいわ!」
「そ、そうですか・・・・・」
瑛斗の目は少しばかり光を取り戻した。
それよりも、と一夏が発言した。
「その生徒会企画のイベントって、具体的になにするんですか?」
「いい質問ね!」
ビシッと、一夏に畳んだ扇子を向ける楯無。
「今年クリスマスは夜から学食でパーティーをするの! そこで生徒会は・・・・・」
「生徒会は?」
「特大ケーキを作るわ!」
「「特大ケーキ?」」
「そ。みんながビックリするくらいおっきいの。そんなケーキを生徒会メンバー総出で製作するの」
内容を聞いた瑛斗と一夏は首を楯無の方向から移動させた。
「俺達は全然・・・・・・」
「構いませんけど・・・・・・」
二人の視線は、本音に向けられる。
「ふぇ? なになに?」
「「一人だけ心配な人が・・・・・」」
「「ああ・・・・・」」
それを見て楯無と虚は納得した。
「あ〜! もしかして私がつまみ食いするとおもってる〜!? ひどい〜! 私そこまで子供じゃないない〜!」
ようやく理解した本音はダルダルの袖をブンブン振りながらプンプンと怒った。
「まあ、ケーキ作りはパーティー前日からするから、そのつもりでね。じゃあ、どんなケーキを作るか話し合うわよー!!」
「「おー!!」」
「「お、おー・・・・・」」
ノリノリで拳を上に挙げる女子三人に、男子二人は少々遅れ気味にノッた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
そこは、とある施設の地下深く。様々な計器が無造作に置かれたその空間で、少女、織斑マドカ、コードネーム『エム』が一つの装置に寝転んでいた。
ブゥン・・・・・
装置が起動を始めると、辺りに置かれた計器たちが一斉に起動する。
「・・・・・んっ」
マドカは不快そうに顔をしかめる。彼女の頭には、ヘッドギアのような装置がつけられ、それから伸びるコードが大きな装置につながっている。
「あっ、あぅ・・・・・あっ」
現在、彼女が施されているのは、脳内のナノマシンのメンテナンス。ある周波の電波を送り、システムに異常が無いかを調べているのだ。
「ん・・・・・くっ・・・・・」
時折ピクピクと手足が動いて短い声が出るのは、電波の影響で一時的に脳の伝達能力に異常が発生するからだ。
「あっ・・・・・あっ・・・・・」
しばらくして、装置の稼動は終わった。
『エム、これでチェックは終了よ。お疲れ様』
どこかにあるスピーカーからスコールの声が聞こえた。
「・・・・・・・・・」
起き上るマドカは無言の返事を寄越すだけである。
『もう、少しくらい愛想を良くしてくれてもいいのよ?』
「・・・・・・・・・」
おどけた口調でスコールは言うが、マドカは一向に返事をしない。
『・・・・・、相変わらず、可愛い喘ぎ声ね』
「ッ・・・・・!」
カァッと顔を赤らめたマドカは、声のする方へ自機であるサイレント・ゼフィルスの小型マグナムを向けた。
ガオンガオンガオンッ!!
放たれた弾丸はスピーカーを見事に壊した。辺りにはザー・・・、とノイズが響いている。
「・・・・・・・・・・・」
ドアを開けて部屋の外に出ると、困ったように笑っているスコール本人がいた。
「まったく・・・、照れ隠しにいつもいつもスピーカーを壊すのはやめてって言ってるじゃない」
「懲りないお前が悪い・・・・・」
短く答え、マドカはスタスタと歩き出す。
「ああ。エム、近々『任務』が入るから、準備は怠らないようにね」
「わかっている」
背中越しに答え、マドカは去って行った。
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