魔法先生ネギま!〜魔術と真祖の力を持つ者〜 第一作 |
皆さんこんちはー。虚崎空だ。転生して七年、こっちでの両親は去年死んでしまった。まあ、前世でも一人暮らしてたし、隣に住んでる幼馴染の家も助けてくれるし、無事に暮らせている。あ、後ここが何の世界かが分かった。なぜなら、俺は現在((麻帆良|・・・))学園初等部一年生。そう、『魔法先生ネギま!』の世界だ。
「さて、何をするかな」
今は夏休みに入ったから暇なんだよな。と、そんなことを思っていると、誰かの来訪を告げるチャイムが鳴った。
「どうせあいつ等だろう」
そう予想しながらドアスコープを覗くと、案の定俺の幼馴染がいたのでドアを開ける。
「空((兄|にい))、遊びに行こうぜ!」
「大丈夫ですよね?」
「ああ、平気だよ。風、史」
ドアの前にいたのは、鳴滝風香、史伽姉妹。……そう、原作関係者だ。俺は同年代の奴と比べても頭一つ分背が高いから空兄と呼ばれている。
「だけど、お前等夏休みの宿題はやったのか?」
「うぐっ! で、でもまだ八月になったばっかだし……」
「言っとくが俺はお盆くらいから京都に旅行に行くぞ?」
「え!?」
「はぁ。史、お前はどうなんだ?」
「私はちゃんとやってます」
やってんのは史だけか。
「……俺の宿題を置いて行ってやるから、いざとなったら写してもいいぞ」
「ホントに!? ありがとう!」
「で、今日は何するんだ?」
「えっと、今日はですね」
「世界樹の方まで散歩だよ!」
「分かった。じゃあ、行くぞ」
◇
◆
◇
「ふう、今日は楽しめたな」
あれから少し日が経って今は京都に来た日の夜。俺は今日買った物を空間制御の魔術で仕舞い込み、今日泊まる予定のホテルに向かっていた。ちなみに京都に来るのにも空間制御の魔術を使った。
「ん、あれは?」
道に何か白いものが落ちていると思い近づくと、傷ついた白猫が倒れていた。
「野良猫か。ってこれは妖力? つーことは妖怪か」
「そいつをこっちに渡してもろうてもええか?」
俺がどうしたものかと悩んでいると後ろから二人組の男達に声をかけられた。恰好からしておそらく陰陽術師だろう。
「何で? この妖怪が何かしたのか?」
「……その歳で裏の人間かいな。まあ、ええやろ。そいつが何かしたか、やったな。結論から言うたら何もしとらん。そやけど、妖怪やいうことだけで退治するには十分やろ。分かったらこっちに渡してんか」
俺はその言葉に応えずに空間内に保管してある自作の治療薬を取り出し飲ませてやる。生憎と、この世界の西洋魔法は媒体こそあれど、原作の呪文を忘れたために使えないからな。
「どういうことや?」
「妖怪っつうことだけで退治しようとすんのは気に食わないからさ」
そう言って俺は白猫を抱きかかえてやる。どうやら意識はあったようで、不思議そうにこちらを見上げてくるので、その頭を撫でてやる。
「しゃあないなあ。ほな実力行使で行かせてもらいましょか」
「『((土雷|つちいかずち))』!」
「なっ、縮地やと!?」
相手がそう言った瞬間に俺は縮地で近づき肘打ちを喰らわせる。感覚からして肋骨を何本か折っただろう。俺はもう一人が驚いている内に体制を整え、
「『((伏雷|ふしいかずち))』!」
こめかみに回し蹴りを放った。俺が幼いからと油断もあったのだろうが、比較的簡単に倒すことができた。
「関西呪術協会の総本山はR毘古社にあるんだったかな。届けに行くか」
俺は倒した二人を『劣化・((戒めの鎖|レージング))』で縛り上げる。劣化なのは、材料が揃っていても、神々が鍛えたものには及ばなかったからだ。そして俺はその二人と白猫を連れて、総本山の結界を無視するがごとく内部に入り込んだ。
「何者ですか!」
本山内に入ると、いきなり武装した巫女さん達がいた。
「先程この二人に襲われてね。こちらの長と話がしたい」
巫女さん達は拘束された二人を見ると、一人が奥の建物に向かっていった。しばらくすると、さっきの巫女さんが戻ってきて
「長の所まで案内いたします」
と告げた。そうして案内されたのは階段のある広い部屋だった。真ん中に置かれた座布団に座ってしばらく待つと、階段の上から一人の男が歩いてきて俺の前に座った。
「私が長の近衛詠春です。部下が失礼をしたようですね」
「観光で京都に来た虚崎空です。こちらもやりすぎたのでお気になさらず。ところで、関西呪術協会は妖怪と言うだけで退治するような者の集まりなのですか?」
「いえいえ、本来ならば悪さをした妖怪のみ調伏するのですよ。今回のことは、あの者たちの独断でした」
「ならこの白猫はこちらで保護してもよろしいですか?」
そう言いながら俺は白猫の背を撫でる。
「え、ええ、それは構いませんが、大丈夫ですか?」
「はい、ちゃんと手綱は握るので平気ですよ」
「ほう、なかなか言うではないか、若造が」
先程まで撫でていた白猫がそう言うと、いきなり女の子の姿に変化した。
「ほら、どうしたのじゃ? 手綱を握るのではなかったのか?」
つーか青みを帯びた黒のロングヘアーに赤みを帯びた紫色の瞳って、まんま『おまもりひまり』に出てくる緋鞠じゃねえか!
「……とりあえずその姿になったんなら服を着ろ。目の毒だ」
俺はそう言って家に置いてあった母親の着物を空間制御で取り出す。
「若いのに相変わらず見事なものじゃな」
そう言いながら緋鞠似の妖怪は着物を着始める。
「俺の名前は……さっき言ったから知ってるか。お前、名前はあるのか?」
「うむ、緋鞠と言う」
名前も一緒か。紛らわしくなくて助かるな。
「これでよいか?」
「ああ。で、俺が緋鞠より強いって示せばいいのか?」
「うむ、そうじゃな。それでよかろう」
「詠春さん。場所を貸してもらえますか?」
「ええ、ついてきてください」
そうして通されたのは開けた場所だった。
「ここは普段神鳴流の方々が試合をしている場所です。ここなら広さも十分でしょう」
「緋鞠、何か武器はいるか?」
「そうじゃのう。なら日本刀をもらえるか?」
「分かった」
俺はそう言うと自分で作った日本刀を空間内から取り出して緋鞠に投げ渡す。そして俺も今回使う武器を準備する。
「『鳴け、煌華麟』」
その言葉と共に両手に付けていた一組の指輪が光り、双剣へと形を変える。煌華麟は、本来『ストライク・ザ・ブラッド』に出てくる『((六式重装降魔弓|デア・フライシュッツ))』と言う剣に変化する弓の名前なのだが、俺は改造して双剣にして振動するようにし、振動した状態で触れ合わせることによって起きる音を、鏑矢が紡ぐ呪文の代わりにした。
「ほう、双剣か。では、行くぞ!」
そう言うが早いか、霞んで見える程の速さで俺に向かってくる。俺はすぐさま双剣を振り抜いた。しかしその剣は緋鞠の大分手前で振るわれる。緋鞠は闇雲に振るったと思ったのであろう、全く意に介さずに刀を振るった。
「危ない!」
詠春さんがそう叫び、刀が俺を切り裂くと思われた瞬間、緋鞠の刀が何かに阻まれたかのように止まった。
「なんじゃと!」
俺は剣を指輪に戻し、
「『((響|ゆらぎ))よ』!」
そう短い呪言を唱えて力を掌に集め、緋鞠の内臓に直接衝撃を打ち込む。いくら妖怪と雖もダメージは大きかったらしく、緋鞠はその場に倒れてしまった。
「ふう、何とか勝ったか」
「……お主、いったい何をしたのじゃ」
「気は失ってなかったか。取り敢えずこれを飲め」
緋鞠に先程飲ませた治療薬を渡すと、蓋を開けて飲み始めた。飲み終わるとすぐに痛みは治まったようで、立ち上がって、
「で、先程は何をしたのじゃ?」
とまた聞いてきた。
「私も気になりますね」
「簡単にいえば、煌華麟は空間のつながりを切り裂く剣なんだよ。どれだけ速かろうが空間の断層を無視して攻撃することはできないからな」
「なんと。先程の双剣にはそのような効果があったのですか」
「じゃがよく私があそこに攻撃すると分かったな」
「ああ、それは霊視で一瞬先の未来を見たんだよ。未来を見てるから、どんな相手にでも先手を取って行動できる」
「お主のように若き者が、それほどのことをできるとはな」
「で、緋鞠は俺を認めてくれるのか?」
「あれだけできればもちろんじゃ。これからよろしく頼むぞ、((主|あるじ))殿」
「あ、主殿?」
「うむ、よいであろう?」
「……まあ、いいか」
「空君。今日はもう遅いですが、両親は心配していらっしゃらないのですか?」
「あ〜、両方とも去年死んじまったんで、一人で旅行に来てるんですよ」
「そうだったのですか。なら、今日は泊まっていくとよいでしょう」
「ありがとうございます。ご厚意に甘えさせていただきます。緋鞠、いつもは猫の姿になっててもらっていいか?」
「うむ、よいぞ」
緋鞠はそう答え猫の姿になってくれたので、俺は緋鞠を頭の上に乗せる。
「部屋の準備が出来たみたいなので案内させましょう。お風呂の方は少し待ってくれますか?」
「ええ、いいですよ。俺も少しやりたいことがあったのでちょうどいいです」
◇
◆
◇
俺は案内された部屋に着くと、空間制御で今日宿泊予定だったホテルから着替えでだけを取り出し隅に置いておく。そして一先ず緋鞠を下ろして呪文を唱える。
「『開け、工房への道よ』」
すると空間制御の魔術を使ったかのように空間が揺らぎ始める。今回の作業には工房は必要ないので材料だけ取り出して道を閉ざす。
「主殿よ、何をするのじゃ?」
「緋鞠の首輪作りだよ」
「ほう、その若さでそんな性癖が……」
「違う! 緋鞠が妖怪だってばれないように術式を組むんだよ。それと人化した時にはチョーカーに変わる術式もな」
「別にそんなことをせずとも気付かれないのではないか?」
「俺が住んでるのは魔法使いがいっぱいいる街だからな。俺は魔法を知らないことになってるから、ばれると困る」
「そう言うものか?」
「そう言うもんだ。ほら、できたぞ。着けてやるからこっちに来い」
そうやって緋鞠に首輪を着けていると、詠春さんが呼びにきた。
「空君、お風呂の支度ができたので、一緒に入りませんか?」
「ええ、いいですよ。今行きます。緋鞠、ちょっと待っててくれ」
俺は緋鞠をおいて着替えを持ち、詠春さんの後を歩く。少し歩くと脱衣所についたので、籠の中に着替えを入れておき服を脱ぐ。どうやらタオル等は貸してもらえるらしい。
「うっわー、広っ」
「ここには多くの巫女が寝泊まりしていますのでこの位の広さは必要なのですよ。そう言えば、空君は観光客と言っていましたがどこに住んでいるのですか?」
「ああ、関東の麻帆良学園です。と言っても、向こうは俺が裏の関係者とは知りませんがね」
「ほう、そうなのですか! 実は私の娘も今は麻帆良にいるのですよ。知っていますか? 近衛木乃香という名前なのですが」
「いえ、聞いたことはありませんね。他のクラスか、もしくは他の学年か」
ま、ホントは他のクラスってことは知ってるんだけどな。
「そうですか……。なら、向こうで知り合った時、仲良くしてやってはくれませんか?」
「ええ、いいですよ。その代わり、詠春さんも、向こうに俺が関係者ってばらさないでくださいね」
「ええ、分かりました。しかし、それだと緋鞠さんはばれませんかね」
「ああ、さっき妖怪だと分からなくする効果を付けた首輪を渡したので平気です」
「よくそんなものを持ってましたね」
「ああ、さっき自分で作ったんですよ。詠春さんにも何か作りましょうか」
「おや、いいのですか? なら、野太刀を一振りお願いできますか?」
「分かりました。期待しててくださいね」
その後、呪術の話や剣術の話等、色々雑談している内に夜は更けていった。
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ストックしていたものを投稿しました。今回は少し長めです。 駄文製造機の私ですが、温かい目でご覧下さい。 |
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