恋姫の世界に行ってくる 第八幕
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村を出てから一ヶ月。途中賊の討伐をしたり、作物が実らない村などに農業指導などを

していたら、最初の目的地であった、陳留にまだ着いていない。

 

俺は今とある村に滞在している。それというのも、とある女の子を助けたからで・・・

 

「兄様、おはよう御座います。」

 

「流琉か、おはよう。」

 

とある少女こと、典韋。真名を流琉。

 

「あの、朝ごはん出来てますよ。」

 

「ああ、ありがと。流琉の作る飯は美味いからな。いつでも食べたいぐらいだ。」

 

「あ、ありがとう御座います・・・」

 

そう言って顔を赤くしながら俯く流琉は、

思わず抱きつきたくなるほど可愛かった。

 

「それじゃあ、食べるか。いただきます。」

 

「はい、いただきます。」

 

なぜこんな状況になったのかは、何日か前にさかのぼる。

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<海斗サイド>

 

「前の村を出て、五日か。そういや、この辺は以前別な太守がいたらしいが、賊を抑えきれず、

 太守が逃げて、曹操が治めたんだっけ。あいつにも会っておきたいな。」

 

今俺は陳留を目指している。この旅の目的である、曹操、孫堅、董卓、馬騰に会うことの

一番始めが曹操だ。

この辺を曹操が治めてんなら、会う機会は無くは無いだろ。

 

「黒兎疲れてないか?」

 

ブンブン

 

首を左右に降る黒兎。

 

「そうか、ならもう少し進んでから休むか。」

 

そう言いながら森の中を進む。

 

こいつは本当に凄い。普通の馬なら、こういうデコボコした道は歩きにくいはずだが、こいつは

いつも通りだ。いい相棒に出会えたもんだ。

 

そんなことを考えながら進んで行き、ちょうど小川があったので少し休憩した。

 

「そういや、最近風呂に入ってないな。この世界じゃ風呂は本当に偉い奴等しか入れないからな。

 少し水浴びでもするか。黒兎、荷物を見といてくれ。」

 

 

そう言って服を脱ぎ、裸になる。

 

 

チャポン

 

川の水は冷たいが、疲れた体には心地よく感じられた。

 

「ふう〜、疲れた。ここのところ三日に一辺は賊と戦ってるしな。そろそろ布団で寝たいもんだ。」

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川から上がり代えの服を着て、黒兎に跨る。

 

「よし、行くか。」

 

そうして進む事一刻。森を抜ける辺りで怒号が聞こえてきた。

 

「ガキが動かなくなったぞ!今だ、殺っちまえ!」

 

・・・またか。面倒だが行くか。

 

 

<典韋サイド>

 

どうしよう。本当に不味い。

 

前までは季衣がいてくれた。それにこの前曹操様がここいらの賊はほとんど討伐してくれたって

聞いたのに。

まだこんなにいたなんて。

 

「へ、嬢ちゃん。身ぐるみ全部置いてきな。従わね〜と、どうなるかわかるよな?」

 

「い、嫌です!。誰があなた達になんか。」

 

なんて言ったけど、勝てる見込みはない。

 

十人二十人ぐらいなら負ける気はない。伊達に季衣と喧嘩ばかりしてない。

 

けど、数が多過ぎる。少なくとも二百はいるだろう。

 

こんなことになるんだったら、村の皆の言うことちゃんと聞くんだった。

「いつも二人で行ってただろ、一人じゃ危ないよ。」

「賊が出たって言うし、また今度にしたら?」

 

皆は心配して言ってくれてたのに。

 

「そうか、嫌か。なら、殺してから貰ってくとするか。

 オメェ等、殺れ!」

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「うおおおお!」

 

っっ!!これくらいなら!

 

「てぇぇーーーーい!!」

 

電磁葉葉を投げつける。

 

「うわっっ!!」

 

ドッゴーーーーン

 

投げた電磁葉葉は襲い掛かってきた人を吹き飛ばし、後ろにいた人も巻き込んだ。

 

 

「っっ!!やったなテメェ!」

 

剣で切りつけて来るのを、引き戻した電磁葉葉で防ぐ。そしてもう一度投げつけ、

何人か吹き飛ばす。

 

「はぁ、はぁ、はぁ。」

 

今日は山を歩いて食材探しに行ったからかなり疲れてる・・・どうしよう。

 

「死ねーー!」

 

山を歩き、いつも二人で持っていた荷物を一人で持っていた典韋はいつも以上に疲れており、 

賊への反応が少し遅れた。

 

 

ま、不味い。急いで引き戻さなきゃ。

 

グワァーン

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「うおおーー、 ガンッ、グチャ。」

 

典韋の引き戻した電磁葉葉は賊の頭に当たり、そのままその賊の頭を潰した。

 

「え・・・・きゃあーーーーー!!!」

 

典韋にしてみればただ、少しだけ力を入れすぎただけだった。だが、そのせいで一人の

人間を殺してしまった。

 

 

「テメェ、よくもやりやがったな!」

 

「違います。わ、私じゃ・・・」

 

そう言って動けなくなった典韋。

 

「ガキが動かなくなったぞ!今だ、殺っちまえ!」

 

「ゴメンね季衣。私、ここで・・・」

 

「ぐはっ!!」

 

バタッ

 

「えっ・・・誰・・・」

 

目の前にっ立っていたのは、綺麗な黒髪を後ろで結んだ男の人だった。

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<海斗サイド>

 

「ガキが動かなくなったぞ!今だ、殺っちまえ!」

 

「・・・ゴメンね季衣。私、ここで・・・」

 

なんとか間に合ったか。

 

俺はそう思いながら、大蛇と蟒蛇を抜く。

 

そしてその少女に切り掛かろうとしていた、賊を切り裂く。

 

「ぐはっ!!」

 

バタッ

 

「えっ・・・誰・・・」

 

「大丈夫か?・・・動けないならそこで待ってろ。」

 

・・・まさか典韋ちゃんだったとは。いや、そんなことより目の前の賊だ。

 

「一人の女の子に寄って集って襲いかかるとは、救いようの無い奴らだ。」

 

「んだとテメェ!オメェ等。たかが一人増えただけだ。ぶっ殺せ!」

 

そう言って襲いかかってくる賊は、今まで殺してしてきた賊徒何ら変わりなかった。

 

「・・・死ね。」

 

右手に持った蟒蛇を身体の左側に持ってきて、寝かすようにし、一気に振り切る。

 

「斬っっ!!」

 

ズバァァーン  

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最近思いついた技の一つ。氣を斬撃に合せて飛ばす技だ。

テイルズのヴェスペリアに出てくるユーリが使う、蒼破刃をモチーフにしている。

 

その一撃だけで、半分ほど死んだ。

 

・・・威力強すぎんだろ。

 

「・・・まだやるか?」

 

 

「・・・ひ、ひぃぃ!に、逃げろ!」

 

そうして賊は逃げてった。

 

「ふぅ、おい。もう大丈夫だ。オメェを傷つける奴はもういない。安心しろ。」

 

 

そう言うと典韋は、

 

「ひっく、ううぅぅ。うわーーん!」

 

泣き出してしまった。かなり怖かったんだろう。

それに、始めて殺しちまったみたいだしな。

 

俺は典韋を抱きしめ、泣き止むまでずっと撫で続けた。

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<典韋サイド>

 

うん?ここは・・・

 

 

「気がついたか。大丈夫か?」

 

えっとたしか、食材集めに行って、賊に襲われてそれから・・・

 

「あ、そうだった。私・・・」

 

私、人を殺しちゃったんだ・・・

 

「おい、あんまし食いたい気分じゃ無いだろうが、食っとけ。」

 

そう言って、お粥の入った、お椀を渡してくれたのは、あの時助けてくれた男の人だった。

 

「はい、ありがとう御座います・・・」

 

ふぅー、ふぅー はむっ

 

「あ、美味しい・・・」

 

今まで食べたことも無い味だった。それになんだか心が温まるお粥だ。

 

「そうかい。喜んでもらえたなら何よりだ。」

 

あ、そういえば!

 

「あ、あの。助けていただいて有難うございます。そ、それとさっきは・・・」

 

いっぱい泣いちゃった・・・

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「気にするな。助けるのは当たり前だし、さっきのは仕方がないさ。誰だってああなる。

 もう大丈夫か?」

 

あれ、さっきは体が震えてたけど今はなんともない。

それに髪を撫でてもらったような感じが。

 

「はい、だいぶよくなりました。あの髪・・」

 

「ん、ああ。泣き止むまで撫でていたんだが、嫌だったか?」

 

「い、いえ!そんな事、ないです。」

 

どうしたんだろ、いきなり顔が熱くなって・・・

 

「あの本当にありがとう御座いました。私の名前は典韋、真名は流琉です。

 助けてくれたお礼です。受け取ってもらえませんか?」

 

「分かった。たしかに受け取ったよ。俺の名は韓義、真名は海斗だ。よろしくな流琉。」

 

「あの、私が受け取ってもいいんですか?」

 

私は助けていただいただけなのに。

 

「ああ、俺は構わない。」

 

えっと、それじゃあ、

 

「じゃあ、兄様って呼びます。」

 

「兄様か・・・」

 

「えっと、ダメですか?」

 

「いや、構わないよ。それに流琉みたいに可愛い女の子に上目遣いで頼まれたら、断れないよ。」

 

「か、可愛いだなんて、そんな事ないですよ・・・」

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また顔が熱く・・・本当にどうしたんだろう。

 

「さて、流琉。これからどうする?っていっても、もう夜だから何をするにしても

 明日になるが。」

 

「はい、村に戻ります。皆心配してると思うので・・・えっと兄様は。」

 

「俺はそうだな、近頃賊との戦いが多くて疲れてな、布団で寝たいんだが・・・

 流琉の村に宿ってあるか?」

 

「私たちの村にはないです。ここから2里程行ったところにある村にならあるんですけど。」

 

「そうか。ならそこに向かうか。」

 

え、もうお別れなんですか・・・えっと何か、何か、そうだ!

 

「じゃあ兄様、私の家に来てください。布団なら余分にあるし。

 あと、今日の恩返しもしたいですし。」

 

「・・・そうだな。そうさせてもらうか。とりあえず今日は寝よう。もう遅い。」

 

「はい、分かりました。」

 

「おやすみ流琉。」

 

「おやすみなさい、兄様。」

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火が消えて、真っ暗になり寝ようと目を閉じた。すると、

 

(よくも・・・よくも・・・)

 

「ひっ!」

 

今のは、今日私が・・・

怖いよ。あ、そうだ。

 

「兄様、まだ起きてますか。」

 

「ああ、どうした。」

 

よかった、起きててくれて。

 

「えっと、その。怖くて寝れないんです。目を閉じると今日私が殺してしまった人が

 襲ってくるんです。だから、一緒に寝てもいいですか?」

 

「ほら。」

 

そう言って、私の場所を開けてくれた兄様。

そこに潜り込み、兄様に抱きつく。

 

「暖かいです。とっても・・・」

 

そうすると兄様も抱き返してくれた。

 

「あ・・・」

 

「おやすみ。」

 

「おやすみなさい。」

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<海斗サイド>

 

 

こんなことがあり今は流琉の家に居る。

 

けど、そろそろ旅を再開しなければならない。

最近黄巾党を名乗る集団が、ちらほらと見られるようだ。

流琉もあれから、かなり元気になった。もう心配いらないだろう。

 

「流琉。ちょっといいか。」

 

「はい、なんですか?兄様。」

 

「そろそろこの村を出ようと思っている。旅の途中だったしな。」

 

「え、そうですか・・・」

 

そう言った流琉は、少しの間があった後。

 

「私も連れていってください!」

 

「どうしてだ。かなり危険な旅だし、いずれ俺は何処かに仕官するつもりだ。

 俺と一緒にきたら、しばらくの間この村には戻って来れないんだぞ。」

 

「わかってます。それでも、それでも兄様と一緒にいたいから・・・」

 

「俺と?」

 

「私には、親友が居るんですけど、この前曹操様の所に仕官して、いつも二人でいたけど、

 その子が居なくなって、とても寂しくて。けど、兄様と一緒に居るととっても楽しかった。

 だから、もう寂しい思いはしたくないんです。だから、兄様と一緒にいたいんです。」

 

・・・俺は最低だな。女の子にこんな事言わせるなんて。

 

「俺もだよ。俺も流琉と一緒にいると楽しいよ。

 だから、流琉が一緒に来てくれるのはかなり嬉しい。こんな俺で良いなら、一緒に行こうか。」

 

「はい!」

 

そう返事をした流琉の顔は満面の笑みだった。

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次の日

 

「流琉、準備は出来たか?」

 

「はい、兄様。」

 

俺と流琉の荷物を黒兎に乗せ、

 

「黒兎。これから一緒に旅をすることになった典韋だ。乗せてやってくれ。」

 

「典韋です。真名は流琉って言います。黒兎さん、よろしくお願いします。」

 

ブルゥン

 

どうやらいいようだな。

 

そして、流琉を黒兎に乗せ、俺もその後ろに乗る。

 

「じゃ、行くか。」

 

 

新たな旅の仲間が加わった。

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あとがき

 

メインヒロインだと思います。

 

nontanです。

 

わたしは決してロリコンではないですよ。

 

 

 

ご意見、ご感想、ご指摘があればコメントしていただけると嬉しいです。

 

 

でわでわ

説明
旅編突入です。


メインヒロイン登場です。
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コメント
ボンちゃん様:ヒロイン補正です(a)
ルルは男って最初から分かったんやね(・_・;)蜀の人たちは最後まで分らなかったのに・・・ヒロイン補正かな??(ボンちゃん)
タグ
恋姫の世界に行ってくる 海斗 恋姫†無双 流琉 

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