IS〈インフィニット・ストラトス〉 〜G-soul〜
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一夏とマドカが織斑家へ向かい、その後ろを瑛斗とラウラが尾行している頃。

 

IS学園学園長室に千冬は来ていた。

 

そしてその千冬に向き合うようにデスクの椅子に座っているのは轡木十蔵。IS学園の実質的管理者である。

 

その十蔵の前には、数枚の書類が。十蔵は無言でそれを手に取って黙読し、顔を上げた。

 

「・・・・・本気かね?」

 

「はい。無理は承知の上です」

 

「ふぅむ・・・・・・・」

 

十蔵は顎に手をやり、机の隣の本棚に歩み寄り、一冊の本を手に取る。

 

千冬は一歩前に出て少し語勢を強めて言った。

 

「無条件で、などとは言いません。できることはなんでもします。ですから――――――――」

 

「うーん。織斑先生、どれがいいですかな?」

 

「・・・・・・・・え?」

 

一冊の本のページをめくりながら、十蔵は明るい声で千冬に話しかけた。

 

「だから、妹さんの制服ですよ。編入させるんだったらこういうのも決めないといけませんよ?」

 

そう言いながら、十蔵は千冬に制服の一覧を見せた。

 

「え、え・・・あの・・・・・よろしいのですか?」

 

千冬は突然のことに動揺した。

 

そんな千冬に十蔵は軽い感じで、いいも何にもと答えた。

 

「一夏くんも喜ぶでしょう。それに、私は更識くんから話を聞いた時点でこうなるんじゃないかと思ってましたよ。さ、こんな老人が選ぶより若い人が選んだほうがいいですよ」

 

「は、はあ」

 

千冬は言われるままに十蔵の持っている本を見た。

 

「・・・・・・・・・・・」

 

「どうです?」

 

「あ・・・あの・・・・・」

 

千冬は少し照れるように視線を逸らしながら言った。

 

「なんですかな?」

 

「で、できたら・・・アイツに、選ばせてやりたいんですが・・・・・」

 

十蔵は一瞬、間を空けてから顔を綻ばせた。

 

「そうですかそうですか! ははは! うん! それが一番ですな! 持って行ってあげなさい!」

 

一層明るい声で言いながら、十蔵は千冬に本を渡した。

 

「で、では、ありがとうございます」

 

千冬は十蔵に一礼してから学園長室を出た。

 

「・・・・・・・・・・・・・・」

 

それを見送ってから、十蔵は本棚をちらと見遣り、コンコンと叩いた。

 

「・・・もう出てきなさい」

 

すると、本棚の横がバカッと開き、中から人が出てきた。

 

「ぷっ・・・・・くくっ・・・!」

 

その人物は生徒会長の更識楯無。笑いをこらえて体を震わせている。

 

「い、いいもの見れた・・・・・! あの・・・あの織斑先生のあんな顔・・・・・・・!」

 

「こらこら、笑っちゃいけませんよ。織斑先生だって、相当な覚悟でここに来たんですから」

 

「わ、分かっていますけど・・・・・お腹痛い・・・・・・・・・!」

 

ひーひーと小さく爆笑しながらもなんとか立ち直った楯無はふぅ、と息を吐いた。

 

「それにしても・・・マドカちゃんの設定、結構複雑ですね」

 

「そうですね。行方不明のご両親のもう一人の子供で先日日本に帰国、しかし不慮の事故で記憶喪失・・・押さえているところは押さえているからなんとか誤魔化せますが・・・・・」

 

「・・・・・問題はもう一つ」

 

二人の顔はすでに真剣そのものになっていた。

 

「サイレント・ゼフィルス・・・・・あれはどうするつもりなのでしょう?」

 

「そのことなんですが・・・・・」

 

楯無は携帯端末を取り出し、ある画像を十蔵に見せた。

 

「これは・・・・・! いやはや、なんと・・・・・」

 

その画像を見た十蔵の顔は驚いたように目を開いた。

 

「・・・・・少々まずいことになったかもしれないです」

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一方その頃 
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