幻想郷帰宅日記 第八章 |
第八章「宴舞!地獄音頭!」
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あれから数分・・・・・
俺達は新たなメンバー(?)勇儀さんを加え、地獄街道の裏手道を進んでいた。
先程の表通りは人、いや妖怪がごった返しているので、パルスィさんの提案で
勇儀さんやヤマメさんの良く知る近道を歩ん・・でいたのだが。
光助「これって裏"道"って言うんですかねー!?」
勇儀「ははは、男が細かい事気にするんじゃないよ」
なんと、公園から少し歩いた後、俺を抱えて屋根に飛び始めたのだ。
この状態は所謂"お姫様だっこ"・・・・
やられる方としては中々恥ずかしい。
そのまま何処かの足軽のように屋根から屋根へ飛ぶ。
軽々と屋根を飛んでいく勇儀さんの後にはヤマメさん、パルスィさんと続いている。
因みに桶入りキスメはヤマメさんに抱えられている。
勇儀「ほれ、もうすぐ街道の中心に着くよ」
と、言われた指された先に何やら明かりが見える。
そこは何とも広大な広場で、中心に櫓(やぐら)がそそり立っていた。
祭囃子や太鼓を演奏していたのはここからだろう。
紅白の垂れ幕が掛かった演奏台の上に様々な妖怪が色々な楽器を手に演奏をしている。
そして大きな櫓を囲うようにして屋台が並び、その周囲を妖怪達が盆踊りを踊っている。
なんとも楽しそうな光景だった。
勇儀「じゃ、そろそろ降りるよ」
と、少し宙に浮いたかと思うと、勇儀さんがいきなり降下を始めた。
光助「あ、あぁー・・・・ひぇぶ!!?」
いきなりの降下と、その後の衝撃で舌を噛んでしまった。
勇儀「お?大丈夫かい?」
光助「へぇい・・・・らいじょうぶれす」
幾度となく体験した落下の意が浮く感じには何となく慣れたが、高い場所からの衝撃はやっぱりきつい。
ジェットコースターとかもあんま得意ではないしな。
抱えられていたというのに、尻餅をついた感覚がする。
光助「あ、ありがとうございます」
勇儀「はいよ」
礼を言い、足早に勇儀さんから降りる。
抱えられるのは二度目だが・・・・ん〜こう、やっはり空恥ずかしい。
少し着崩れた服を手早く直す。
勇儀「・・・・しかし何だね」
と、じろりと勇儀さんに身体をねめつけられる。
勇儀「光助ってさ・・・・何だかひ弱っぽい感じが駄々漏れなんだよねぇ・・・・本当に地上の人間かい?」
光助「へ?」
いきなり軽くショッキングな事を。
パルスィ「なんかひょろひょろしてるわよね」
キスメ「よわっちそう」
光助「そ、そうっすかね」
それが火蓋を切った様に口々に発せられる罵詈雑言。
一応バイトしてて体力にも自身はある方なんだけどもな。
そりゃ現代のような平和な時代で暮らしていれば、それ程の力は必要ないので体も多少ひ弱になるものだろう。
まぁその道の人たちは鍛え上げてはいるが。
勇儀「その・・・・アンタが来た場所?ってのは余程平和なんだねぇ」
小さく呟く金髪の鬼。
光助「いや、ここの人・・・・達の力が異常なんだと感じましたが」
そりゃあ妖怪と人間だもの。
違いなんて無い訳ないだろう。
というか現代にも現実にも妖怪は居ない気がする。
光助「ここの普通の人間のレベルってどの位なんですか・・・・」
と、"地上の人間"という言葉にどこかつっかかりを感じて質問してみた。
勇儀「そうさなぁ、私がまだ山に居た頃なら・・・・」
と遠い目をして語りだす。
勇儀「岩に素手で穴あける位かな」
光助「それ絶対人間じゃないんじゃ?!」
化け物じゃないかい!
ヤマメ「おーい」
小さなコント(?)を繰り広げていた矢先、何処へ行っていたのかヤマメさんが向こうから走ってやってきた。
勇儀「お、どうだい例の提灯は」
ヤマメ「そうだね・・・・久し振りに見たからねぇ、ちょちょっと補強しといたよ」
勇儀「そうだったかい、悪いね」
ヤマメ「なに、楽な仕事さ」
どうやら移動前に話していた"化け提灯"なるものの事だろう。
ヤマメ「・・・・でもさ、あんな使い方して大丈夫なのかね?」
何だか不安な様子でヤマメさんが勇儀さんに問う。
勇儀「大丈夫だろうさ、そんな柔に作ってないからね」
胸を張って答える勇儀さん。
・・・・あんな使い方?
光助「さっきから話してるその・・・・化け提灯って一体何なんですか?」
蚊帳の外で話されると何だか気になって仕方ないので、聞いてみた。
勇儀「あぁ・・・まぁ、見てからのお楽しさ」
光助「は、はぁ」
なんでぇ・・・
誕生日プレゼントの中身を聞かされない子供の様な心境。
パルスィ「あ、ホラ勇儀、始まるよ」
いつの間にやらキスメを頭に乗せて屋台で食べ歩きをしていたであろうパルスィさんが勇儀さんを呼ぶ。
勇儀「お、よっしゃ!じゃ、ちょっくら行ってくるよ!」
そういうと、足早に駆けて行く。
光助「何処へ行ったんでしょう?」
隣にいるヤマメさんに聞く。
ヤマメ「あぁ、太鼓を打ちに行ったんだよ」
光助「へぇ〜、太鼓を・・・」
成程、太鼓か・・・・怪力の持ち主にはぴったりな感じだなぁ。
何となくイメージも簡易にできる。
パルスィ「勇儀の太鼓は天下逸品だからね。聞けるだけありがたいと思いなさい、人間」
光助「ほ、ほぅ、それ程までに・・・・」
いつもの如くきつめのパルスィさんが認めるくらいなんだから、余程凄いようだ。
それは俺だけかもしれないが・・・・
ヤマメ「まぁ、地獄街道に来た記念だと思って今日はゆっくり楽しみな」
光助「は、はぁ・・・」
目的を見失い欠けそうな優しい言葉。
妖怪は基本的に明るくて優しいのだろうか・・・・
何となく見る目が変わる。
と、またいつの間にやら足元に来ていた桶娘と目が合った。
キスメ「何だ」
光助「いや、何でも」
ドン!
ヤマメ「おっ、始まったね」
太鼓の重い音が広場にこだまする。
始まったようだ。
辺りの提灯は一層明るくなり、お囃子が始まる。
その音色に合わせて太鼓が鳴り響く。
櫓(やぐら)の周囲には先ほど屋台を出していた妖怪達も集まり、踊りを始める。
地獄音頭。
こう呼ぶに相応しい、なんとも楽しげな祭り踊り。
ドドンドドン!ドドンドドン!
櫓の上では太鼓鉢を持った勇儀さんが勇猛に太鼓を叩く。
すっかり音頭の音色に聴き惚れた俺はただ、その音を噛み締めながら景色に酔っていた。
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どれ位経っただろうか。
気付けば祭りは終盤に差し掛かり、いよいよ最後のイベントとなった。
櫓の周りから人が離れていく中に、ヤマメさんとパルスィさんがこっちに向かって来る。
彼女達も途中から音頭に参加していたのだった。
俺は・・・・少し喧騒で疲れていたのでキスメと荷物番をしていた。
光助「お疲れ様です、はいこれ」
と、預かっていた水筒(ペットボトルだろうかこれ?)を渡す。
ヤマメ「お、ありがとさん」
パルスィさんにも渡す。
光助「はい、パルスィさん」
パルスィ「気が利くじゃないの、人間」
相変わらずだ。
もう慣れたけども。
ヤマメ「そろそろ出て来る頃だろうね」
キスメ「そやね」
水筒の飲み物を終えたヤマメさんとキスメが呟く。
光助「あぁ・・・・例の提灯ってやつですか」
先ほど話に上がっていた化け提灯なるものが出て来るそうな。
どんな感じだろうか。
やっぱりこう・・・・提灯って造りからしてグァァって上から降ってくるんだろうか。
そんな想像をしていた時
ドドドドドドド・・・・
何だか変な地鳴りが。
光助「な、なんでしょう・・・・地震?!」
結構でかそうなので、どこかに隠れようかと考えていた時、ヤマメさんがそれを諭す。
ヤマメ「いや違うよ・・・・まぁ見てな」
そういうヤマメさんが指さす櫓の向こうの広場から・・・・
・・・・ドゴァアアアア!
光助「うぉぁあああああ!!」
なんと、地面からとてつもなく大きい提灯が割って出て来たのだ。
同時に妖怪たちの歓声が聞こえる。
そしてその蛇腹部分が割れたかと思うと、大きな口になって開き始めたのだ。
ヤマメ「おぉおおー、我ながらいい糸の締まりぐあいだねぇ」
突然の事態に唖然としている俺の隣でヤマメさんが呟いた。
光助「提灯って上から下げるものじゃないんですかー!?」
いきなりの事態につい叫ぶ。
ヤマメ「いやぁ、それじゃあ意外性に欠けるじゃないか?どうせやるなら意外な方向で行きたいって勇儀がねぇ」
分からんでもないけど。
てことはからくりっぽい仕掛けなんだろうかなぁ。
そして驚いているのもつかの間・・・・
ドシャァアアー!
今度はその口から何やら湧水っぽいものが噴き出始めた。
そこから出る水・・・・いや!違う!これは・・・・
この独特なお米の芳香。
アルコールティッシュのように据えた匂い。
まさか・・・・
光助「うわッ・・・え?・・・・これは・・・・お酒!?」
口に付いたその液体を舐めてみた。
やはりどう判断しても"お酒"である。
勇儀「そうさ、この祭りはこの為に催されたものなんだからね」
太鼓を打ち終えたであろう勇儀さんがこちらに帰ってきつつ、話してくれた。
光助「は、はぁあ・・・・不思議な現象があるもんなんですねぇ」
これがその"地下から吹き出るお酒"なのか・・・・
人の手によって創られるであろうこれが地から湧き出るなんて常識的には考えられないんんだけど。
やっぱり・・・・・いや、
"幻想"郷だからかなぁ。
勇儀「全くだねぇ・・・・でもさ」
と、勇儀さんがいつの間にか手に持った紅色の杯にそのお酒を貯めて
勇儀「嬉しいじゃないか?いくらでも湧いて出て来るなんてさ、味も良いしねぇ」
と、グビグビと豪快に飲み干す。
そういやぁ、お酒好きなキャラでしたっけね・・・・・
勇儀「ホレ、光助、お前もやれ」
勇儀さんはいきなりそう言うと、杯をこちらに向けて来た。
どこぞやの契りの儀式みたく・・・・
俺はというと
光助「あ、あのですね・・・・俺、まだ飲めないんですよ」
至極当然の事を答えた。
全員『はぁ?』
え・・・・・何この反応。
ヤマメさんまで信じられないといった表情をしている。
何だか不穏な空気が流れる。
めずらしくパルスィさんが、仕方なしとばかりに助け舟を出す。
パルスィ「あのさ人間、ここは祭りの席なのよ?」
光助「は、はぁ」
祭りですねぇ。
パルスィ「しかも相手からお酒を勧められるってのは"自分と同等な友達ですよー"って事の証なのよ?鬼がよ?」
光助「へ、へぇ・・・」
そうだったんすか。
パルスィ「ましてや鬼の目の前で杯を取らないなんてあんた・・・・(ボソッ 自殺行為よ」
光助「・・・・・!!」
自殺行為!!
そう・・・・ここはなんやかんやでも幻想郷。
力あるもの(妖怪、しかも最強っぽい鬼)に逆らったらどんあ恐ろしい目に合うか。
すっかり忘れていたのである。
迂闊ッ!
がッ!しかし・・・・
俺とて伊達に真面目人生を生きて来た訳ではない!
あと一年、いや数カ月待てば、俺も立派な成人!
その時こそ未知の領域「お酒」が解禁するのだろう!
その感動をここで失う訳には行くまいて!
光助「い、いや、しかし!こっちの世界(もち現代)では飲酒は二十歳になってからという鉄則の掟があるんです!まして破ろうなれば、国家の権力で弾圧されて死刑監獄行きッ(適当)!そんな厳しい現状に立ち振舞って生きているからこそ!健康や健全という名の宝が・・・・ッ!」
またもや超適当なあて水量!
だが・・・・ここばかりは譲る訳にはいかないッ!
変なプライドだが!
全員『へぇ〜・・・・』
俺のあて水量(でもない超トンチキ)の少年の主張を流し目で聞いていたみなさんは・・・・
ガシッ!
俺の両腕両足をそれぞれ押さえた。
光助「チョッ!な、なにするんすか!?」
勇儀「まぁ・・・・なんだ」
ポリポリ、と頭をかく鬼が口を開く。
勇儀「このお酒は本当においしくてねぇ・・・・だから傍に居ながら知らないで帰る奴が居るってのは飲んだ身としては何だか勿体無いきがしてさ」
へへっ、と鼻を擦りながら言う。
光助「お気遣いは嬉しいんですけども!こ、これは無いでしょう!?」
がんじがらめになった体で訴える。
ヤマメ「ホントホント、おいしいよ」
パルスィ「覚悟決めなさい、もやし人間」
だんだん追い込まれてきたぞ・・・
・・・・なんなんだこの"赤信号 皆で渡れば 怖くない"みたいな感じはッ!
光助「いやァ!?ホント!ホントに健康に害が出るかもしれませんじゃないですか!?」
直ちにでは無いと思うが、宴会でムチャをした学生がアルコール依存症で死んだという事例も挙がっている。
やはり危険度も高いだろう。
こんな所で死ぬ訳にはッ!
ヤマメ「まぁ・・・・細かい事きになさんな」
光助「ちょ、ヤマメさんまで!」
ここに来て見放されてしまうとは!
まぁそれっぽいキャラだと思ったけどさ!
と、今パルスィさんが持ってきた"桶"にはお酒が入っているのだろうが・・・・桶?
光助「って!うォい!?キスメ!?」
キスメ「細かい事言うな、飲め飲め」
パルスィ「あそーれ」
頭から押さえられて桶に入った湧き酒(妖怪入り)を飲んでしまった!・・・いや飲まされてしまった。
なんという仕打ち。
光助「だから俺まだ20歳じゃないのにッ・・・・・ガバガバゴボ!!!」
数分後・・・・
光助「らからぁ〜、はたちりゃないっていってるれひゅおぉ〜」
俺は完璧に出来上がっていた。
どうやら俺はお酒には弱い体質なのだろう。
多分、顔も真っ赤だ。
少年の主張、轟沈。
周囲にはそれを見て笑っている妖怪も居れば、やれやれと首を振っている妖怪もいる。
御三方&酒桶は・・・・
なんだかやばいものを踏んづけた顔をしていた。
光助「おぉ〜、たいこ!たいこじゃないれすかぁ〜」
そこに、勇儀さんが打ち終えた太鼓を確認した俺はふらふらと鉢を手に取る。
勇儀「お、おい・・・・大丈夫か?」
光助「らいじょうぶれす!任せてくだされ!」
ポンッと胸を叩く。
光助「こう見えても太鼓には自信あるんすよぉ、えへへ〜」
すっかり酔いどれ状態になった俺は、そのあらん限りの力で太鼓を打ち鳴らした。
ドドン!
勇儀「あれまぁ、地雷踏んじゃったかねぇ・・・・・お?」
耳をふさいで待機していた勇儀さんとその他だったが・・・・
ドンドンドドン!カッ!ドドン!ドドン!カッ!ドンドドン!ドンドドン!
勇儀「へぇ〜・・・・うまいもんだねぇ」
俺は神社の祭りには必ず積極的に参加して(特別に太鼓も打たせてもらっていたので)結構得意な方なのだ。
まさかこの技能が祭りや音ゲー意外にも役に立つとは。
ヤマメ「あんな状態なのにこんなリズムが奏でられるとはねぇ」
小さなおちょこでちびちびと呑んでいたヤマメさんが隣の勇儀さんに話かけた。
勇儀「どうもこのお酒は"力水"と同じ味がするんだよねぇ・・・・まぁその影響かもしれないが」
※力水とは相撲でよく力士達が口に運ぶ清めの水で知られているが、
単に清めの「お酒」という意味でも使われているらしい。
まして幻想郷では清め等の効果は顕著に出て来るので、光助がこの状態太鼓を打ち鳴らせるのもこのお陰なのだろう。
ドンドン!カカッカ!ドドンドドン!カカッカ!
久しぶりにテンションが上がって来た俺はドラムの様なテンポでも打ち始めた。
現代っ子ならではのリズム。
ドドダ!ドドドダ!ドドン!カカカッカ!カカカッカッ!!
祭りの締めとなる化け提灯と、噴出するお酒で盛り上がって帰る妖怪達の中で、
このリズムに反応して踊り始める者たちが出て来た。
何だか楽しくなってきた〜!(※酔ってます)
勇儀「おうおう、面白いじゃないか」
ヤマメ「光助にこんな隠れた技能があったとはねぇ〜」
パルスィ「ふ、ふん勇儀の太鼓よりは・・・・まぁまだまだ、よ」
キスメ「・・・・」
すっかり盛り上がった俺は歌も歌い始めた。
これは俺の趣味だが。
合わせて鳴り止んだお囃子も鳴り響く。
何だろう・・・・・この一体感!
来てるッ波がこっちに来てるッ!
?「お〜?なんの騒ぎだぁ〜?」
勇儀「ん?・・・・・おぉ、萃香じゃないか」
ゲラゲラと笑いながら現れた声の主。
それは、勇儀さんとはまた別の鬼、伊吹萃香であった。
伊吹萃香。
このキャラも画像でとかで見た事あるなぁ。
ゲームでもちっと使った気がする。
手に持った瓢箪にお酒を集める事が出来、年がら年中お酒を飲んでいるとか無いとか。
萃香「なんだぃ、何やら面白そうな事になってるじゃないか」
ケケケと笑いながら、ドンドンと太鼓を叩く俺を指を指す。
萃香「あれ人間?」
勇儀「そうなんだ、実はかくかくしかじか・・・・」
ヤマメ「かようかようでねぇ」
説明中・・・・
萃香「へぇ〜・・・・紫がねぇ〜」
と、考え深げにうんうん頷いた。
萃香「面白ぇ〜な!アハハハ・・・・あ、そうだっ!なぁ、勇儀!」
なんとも率直なコメントを頂いた後
勇儀「ん?何だ?」
萃香「ゴニョゴニョ・・・・」
なにやら耳打ちしていた。
因みに俺はまだ上機嫌で、周囲の妖怪に囲まれて打ち狂っていた(!?)。
そこから約30分程・・・・
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ドンドドドン!!カァッ!!!!
光助「ソイヤッ!」
\ワァアアアア/\パチパチパチパチ/
やっと終版の太鼓を打ち終えた俺は盛大な歓声に包まれていた。
いやー!良い仕事したなぁ!
爽やかな青春の汗(謎)がはじけ飛ぶぐらいの良い仕事だった。
そこへ・・・・
萃香「いよぉ〜、人間、上機嫌なリズムだったねぇ〜」
長い角と頭にリボンを付けた小さな娘鬼が寄って来た。
手には瓢箪、片方には祭りの会場で配っていた紙コップ(例のお酒入り)を持って。
光助「あぁ〜・・・・始めましてッ!光助と申すマスッ!!」
テンションがまだ上がりっぱなしの俺はそんな変な自己紹介をしてしまった。
いや、もう酔ってる最高の状態。
萃香「ひゃひゃひゃ!やっぱ面白ぇな!!萃香っていうんだ!宜しくなぁ〜」
何だか気に入られたらしく、互いに拳と拳を合わせる。
萃香さん、ゲームでお世話になってます。
勇儀「そういやなんでこっちに来たんだい?いつもなら地上に居るのに」
俺の変容ぶりにあっけに取られていた優儀さんが萃香さんに尋ねた。
萃香「いやぁね、地下からの良い匂いと太鼓の音に釣られてねぇ〜つい来ちまったんだよぉ〜」
へひゃひゃ、と笑いながら答える酔っ払い少女(角付き)。
光助「そうなんすかぁ〜」
"何処からどう地底に来たか"というとても重要な情報は聞き流してしまった。
勇儀「(ボソッ しかし・・・・いいのかね?あんな若い人間を連れて行ってさ・・・・」
萃香「大丈夫大丈夫、あいつ面白いからすぎ馴染むってぇ〜」
勇儀「んん〜、そうかねぇ・・・」
ジロリ、とこちらを見やる勇儀さん。
光助「えぇ〜?なんれすか〜?」
何であろうか、聞いてみる。
勇儀「あぁ、この後、祭りの打ち上げにそこの旅館で宴会をやるんでね・・・・それで」
萃香「お前も来るって訳だ!にゃははは!!」
キスメ「決定事項かよ」
ここぞとばかりに桶が突っ込みを入れる。
妖怪の宴会・・・・・宴会?
何だか楽しそうだ。
この時、俺は完全に酔っ払っていて"妖怪"という恐ろしい言葉は耳に入っていなかった。
まさに馬耳東風。
こう東から風がこう・・・・FUUUUU!
もう駄目である。
光助「いいですよぉ〜!いきますッ!」
萃香「おっ!そうこなくっちゃ!」
今度は萃香さんと肩を組む。
まぁ、必然的に俺がしゃがむ事になってはいるが。
太鼓の時のわくわくがぶり返してきた。
こうなれば止まらん。
光助「いよっしゃぁ〜!!飲んで盛り上がるぞぉ〜!!」
萃香「お〜!!」
すっかり仲良くなった萃香さんと一緒に旅館へと向かう。
少年の主張は何処へやら・・・・
勇儀「やっぱ未だ19・・・・だったかい?早過ぎたってのかねぇ」
パルスィ「そうね・・・ちょっとパーになっちゃったわね」
ヤマメ「まぁあれだ、一皮剥けたっていうか大人に上がったと思えばいいんじゃないか?」
キスメ「こうすけ、アホみたいだ」
やれやれと言わんばかりの妖怪4人もその後に続いた。
こうして最高級のグッドポテンシャル(謎)で挑んだ宴会であったが・・・・
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光助「(・・・・・・・・・・・あれ?)」
記憶がない。
そこからすっぱり記憶が欠落しているのだ。
光助「(何で・・・・)」
回想終了。
今の今まで眠りこけていたというのは判るが
こう・・・・それからの記憶が無い。
光助「(というか俺・・・・お酒飲んだのか・・・)」
寝ている妖怪たちに目を向ける。
それぞれが色々な形をして眠りこけている。
その中にはヤマメさんやキスメ、パルスィさんまでもが居た。
ショック
取り返しのつかないことを・・・・してしまった
そんなどこぞやの新種類少年のような事を思いながら・・・・まぁとりあえず
光助「(この勇儀さんを何とかしないとなッ・・・・!)」
俺の足首を掴んでいる怪力鬼お姉さんをなんとかしよう。
俺は寝転がった状態で同じく転がっている勇儀さんに足首をガッシリと掴まれていた。
足を締め付ける感覚から逃げるように、宴会場の神棚ら辺に這いよる。
微妙に勇儀さんの手も緩んできたように思える。
これなら・・・・
勇儀「うぅ〜ん・・・・」
ズルー・・・
光助「え?うわッ!!」
と思ったが最後、なんと・・・・
元の場所から引き戻され・・・
光助「え、あ、あの、ちょ、ちょっと」
勇儀「んん〜」
抱き枕と言わんばかりに俺の腰辺りに抱きついてきたのだ。
光助「あ、あの、えーと・・・・え、オウウゥ!?」
変な恥ずかしさと共に、胸ら辺に変な衝撃が走る。
その頭に付いている立派な角が、俺の胸に押し付けられているのだ。
超痛い。
尖ってる部分が非常に・・・・痛い。
しかもこのまま抱きしめられたら絶対貫通とかするでしょこれ!
光助「ちょ、ちょっと勇儀さん・・・?」
堪り兼ねて勇儀さんに話しかけるが・・・
勇儀「うぅー・・・・ん」
駄目なようだ。
光助「ど、どうしようか・・・ヴゥエエエ!?」
痛みが洒落にならなくなってきたので俺はたまらず・・・・
ガシリ
なんとその立派な角を掴んでしまった。
光助「(あ!勢いで掴んじゃったけど・・・・やばかったか!?)」
妖怪の中では最強に分類され、恐れ敬われてきた鬼の角を掴んでしまったのだ。
これはまずいんじゃないのか・・・・と思われたが。
勇儀「んっ、はひゃぁ・・・」
案外功を成したのか、絡んでいた手足が離れていく。
勇儀さんの溜息ともつかぬ甘い声には少々びっくりしたが・・・・
やったか・・・
ほっと一息をついて立ち上がり、机の上に置いてあった水をコップに注ぎ、口に含む。
・・・・・。
そういやここ旅館なんだったっけ。
旅の疲れ、とは言わないが祭りの後でもあるし・・・・その
光助「お風呂とかあったかな・・・・」
キスメ「あるぞ」
光助「おうわっ!!!」
散々とはいえ、不意打ちで下から聞こえた桶娘の声にびびってしまう。
光助「な、なんだキスメ、起きてたのか・・・・」
キスメ「もう昼だからな」
もうそんなに経っていたとは・・・・
恐るべしお酒の力・・・
ん?昼・・・・?
光助「って事はここ(幻想郷)に来て2日目って所になるのか」
なんとも長く感じる。
何だかもう一週間は軽く経ってそうな気がしたのに。
光助「それならあと3日間か・・・・」
5日。
たった5日ではあるが、ここで耐え凌げば現代、ないし元のマイホームに戻れるのだ。
・・・・・・長いな。
と、こんな所で考えているよりは前向きにいってみたい。
そうじゃなければこんな状況ではやっていけない・・・
と、まぁ最初よりかは幾分かマシだと思えるが。
光助「とりあえずお風呂に行くか・・・・で、キスメ、どっちだって?」
キスメ「そこまっすぐ進んで角だ」
光助「そっか、ありがと、そいじゃいってくr」
キスメ「おい」
光助「へ?」
お風呂の場所を聞いて、そこへ向かおうとした時・・・・
キスメ「・・・・」
何だね、その目は・・・・あぁ
光助「なに?・・・・あぁ、風呂桶の供で連れて行くって?ハハハ、それは無いy」
と、言った途端
カコォオオーン!
光助「ぎゃふんぬッ!!?」
上から盥が落ちてきた。
なにこのドリフ。
キスメ「はやく」
桶の中からこちらをうっすらと見上げ、せかす。
この盥物凄く痛い。
カトちゃんとか石頭過ぎるだろ。
光助「あ、あぁ〜・・・・ハイハイ、連れて行けばいいんでしょ」
頭を押さえながら答える。
またあんな盥をガンガン落とされては堪らないので、
俺はその桶娘を大人しく小脇に抱え、風呂場に向かった。
-続くッ!-
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