魔法少女リリカルと恋姫な物語 〜少年の数奇な運命〜 第11.5話 もう一つの事件
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 近辺でジュエルシードの反応があったが、今はまだ介入する気はない。と言うか、このタイミングでジュエルシードの発見ってあったか?う〜む、やはり俺たちがいることで少し変わってるのかもしれないな。

 

<<マスター、考え事はいいが今夜の夕食のほうも考えてくれないか?マスターだけならいいが、マスターのご両親まで空腹というのはさすがにまずいだろう>>

「俺はいいのかよ!?」

<<マスターだからな>>

「もう少しデレてくれてもいいと思うが・・・」

 

 そう思いながら今日の夕食を何にするか考えていた。手っ取り早くカレーにするか。しかし、帰りに今日の夕食の食材買ってきてと頼むのはいいけど、何を作るかまで子供に選ばせるか?まあ、俺が転生者だということは話してはいるんだが・・・もしやそれで俺がある程度の食事が作れるとか勘違いしているのではないか!?自慢ではないが、生まれて(前世も含めて)このかた、食事なんて握り飯とカップ麺ぐらいしか作ったことないぞ!?

 

<<マスター・・・急がないと作る時間だけで今日が終わってしまうぞ>>

「ある意味お前は俺の思考を読んでるよね・・・。でも作るのはお袋だから問題はない」

<<ふむ、ではマスターは何が作れるのだ?いくらなんでも何も作れないとは言わんだろう?>>

「一応握り飯とカップ麺くらいなら・・・」

<<それはさすがに料理とは言わないだろう・・・。それを料理と言ったら色んな人に怒られるぞ・・・>>

「・・・仕方ないじゃないか、高校卒業してからは一人暮らしで、ずっとコンビに弁当ばかりだったんだから・・・」

 

 今更ながら、自炊はしておけばよかったと俺も後悔しているさ。さて、このままだと本当に夕食にありつけなくなる。それはゴメンだからさっさと買って帰りますか。

 

―――買い物の帰り道―――

 

「少し多かったか?」

<<三人分にしては多いな。まあ、カレーならば明日でも問題なく食べれるからかまわんだろう>>

「だな。ん?あそこにいるのは・・・」

 

 アリサとすずかじゃないか。ここで会ったのも何かの縁、声をかけておくか。

 

<<アリサとすずか・・・まさかこれを狙って買い物を遅くしたんじゃ・・・>>

「んなわけあるかぁ!」

 

 こいつはほんと俺をなんだと思ってるんだ・・・。俺は今までストーカーまがいのことなんてしたことは一度もないんだ!大体だな・・・。

 

<<妄想にふけっているところ悪いがあれを見ろ>>

「誰が妄想に・・・って何?」

 

 おいおい・・・黒塗りの車が停まってるから、てっきりアリサかすずかの迎えの車と思っていたんだが・・・。まさか誘拐イベントがここでかよ・・・。

 

「ちっ!シャル、サーチャーを!」

<<了解した、さすがに冗談を言っていられる状況ではなくなったな>>

 

 普段からまじめにしてくれと思うのは俺だけだろうか・・・。が、そんなのは後回しだ。今はアリサたちを追いかけないとな。まさか最初の実戦が誘拐犯だとは。せめて魔導師であってほしかったよ・・。

 

―――廃倉庫―――

 

 あの後、さすがに見失ってしまうと思い、買ったものをデバイスの空いている格納領域に収納して、バリアジャケットをまとい空を飛んで車を追いかけた。誰にも見つかってないよな?

 

「敵の人数はと・・・」

<<全部で7人だ。ご丁寧に人質の近くに二人配備しているぞ>>

「厄介なことこの上ないな。しかしこのままと言うわけにもいくまい」

<<どうする?強行突破というのはさすがに許可はできんぞ?>>

「そんなことしたら逆に危険だろ。・・・上から二人の近くに降りるか」

 

 それなら問題ないだろう。上から進入するなんてさすがに考えないだろうからな。

 

<<やれやれ、どうなっても知らんぞ・・・>>

「なに、別に俺は正体がばれても気にはしないさ。気にするくらいなら、最初からこんな所に来たりはしないからな」

<<そうか・・・わかった、もう何も言わん。今回は好きにやるといい。私はそれをサポートしよう>>

「頼むぜ相棒」

 そうと決まればさっさと行きますか。

 

アリサside

 

 お稽古が終わってすずかと二人で帰ろうと思っていた矢先、黒い車が横につけたかと思うと中からいきなり数人の男たちが私たちを連れ込んで、そのまま車を発進させた。て言うかこれって誘拐よね?そして私達は今は使われていない倉庫みたいな所に連れてこられた。

 

「あんたたち、こんなことしてただで済むと思ってんの!?」

「・・・ハッ!粋がっていられるのも今のうちだけだ。お前たちこそ、このまま何事もなく帰れると思ってるのか?」

「え?」

「お前たち二人のうち、そっちの紫の髪のやつだけでよかったんだがな。目撃者がいてはこちらも困る。だからお前も一緒に連れてきたのさ」

 

 ・・・なに・・それ・・・。それじゃあたしは・・・あたしたちは・・・。

 

「気づいたか?今この場においてお前の命にそれ程価値はないのさ。まあ、身代金くらいはせびれるだろうがそれもこっちのやつだけでいいしな」

「じゃあすずかは?」

「そいつも最後はお前と同じ結末を迎えてもらうさ」

「・・・アンタたちいい死に方しないわよ・・・」

 

 すずかは気絶してるみたいね・・・。今の私の顔は絶望と怒りですごいことになっているだろう。こんな顔を友達に見られたくない・・・。私たちはただ帰ろうとしてただけなのに、何でこうなったのかしら・・・。

 

「ん?ちっ、言うだけ言っておとなしくなりやがった。少しは張り合いでもあるかと思ったが、こりゃ駄目だな」

 

 なんかもうどうでもよくなってきちゃった・・・。私の人生はここで終わりなのかな・・・。ゴメンねすずか、ごめんねなのは、ごめんね神那、私ここでおしまいみたい。なんでかな・・・こんな状況なのにアイツに会いたいなんて思うんだろう。気づけば私は涙を流していた。

 

「あん?なんだちゃんと意識はあるのか。涙なんか流して、死ぬのが怖いってか?そりゃそうだ、誰だって死ぬのは怖いよなぁ!でも残念お前らはここで終わりなんだよ!」

 

 こんなやつらにあたしの人生を終わりにさせられるのが悔しい。すずかだけでも逃がしてあげたいけどそれができないのが悔しい。なにより・・・アイツにもう会えないのが悔しい・・・。今になって気づいた・・・あたしはアイツのことが好きなんだ・・・。そう思うと胸の痛みが増した。あぁ・・・ほんとあたしって素直じゃないなぁ・・・。でも、もし・・もしもう一度会えるなら、今度は素直になるから、だから神様・・・最後にもう一度アイツに会わせて下さい・・・。

 

「さて、こいつだけでも殺しとくかね。後々面倒にならないうちに・・・」

「終わりなのはてめぇらだよ、くそ共が・・・」

 

side out

 

俺がそうつぶやいた瞬間、入り口で大きな爆発が起きる。それによって倉庫内は少し煙が舞う。ちょっとやりすぎたか?まあ、こちらの攻撃の隠れ蓑くらいにはなるかな?

 

「な・・なんだ!?爆発!?入り口を固めろ!」

「お生憎様、本命はこっちだ」

「な!?」

 

 おーおー、俺がいつの間にか二人の近くにいたことに驚いてやがる。ただ上から進入するんじゃあ簡単にばれてしまうと思ったので、入り口に時間で爆発する魔力弾をセットしておいた。そのおかげでうまくいったが、聞きたくないことまで聞いてしまった。

 

「この二人を殺すだぁ?ふざけんのも大概にしろや・・・」

「・・・なんだガキ?コスプレなんぞしやがって・・・。それと目上の人間にはもうちっと敬う態度くらい示したらどうだ?」

「そんなもんいらねぇよ、てめぇらみたいな外道にはな」

「・・・はぁ・・・そっか。命はいらねぇみてぇだな・・・。おい、そいつを始末しろ」

 

 リーダーらしき人物は俺とアリサたちの両脇にいた二人に命令したが、そいつらはピクリとも動かなかった。

 

「おい、きこえねぇのか!」

「聞こえてねぇよ、こいつらはもう気絶させてる」

 

 そういって二人を手に持っていた剣で突っついてやった。そしたら二人は音を立てて倒れた。

 

「な・・・」

「安心しろ気絶してるだけだ。さすがにこの年で殺人犯にはなりたくないからな・・・」

「ハッ!二人倒したくらいでいい気になるなよ!」

 

 そう言うとリーダーが俺達に向けて銃を構える。それにつられて、他のやつらも俺達に向けて銃を構えた。

 

「おいおい、後ろの人質二人とお前らのお仲間にも当たるぞいいのか?」

「ふん、どの道そいつらにはここで死んでもらうつもりだったからな。それが少し早まるだけだ。それに使えないやつらに用はない」

「・・・思った以上に最悪だなお前・・・」

「・・・う・・・」

「すずか!」

 

 む、すずかが目を覚ましたようだな。

 

「アリサちゃん?ここは・・・」

「廃倉庫の中よ。私たち誘拐されたのよ」

「ハッ!ちょうどいい!お前なんで俺らがこいつをさらったか知ってるか?」

「・・・一応聞いてやる」

「・・・ッ!やめて!」

 

 後ろですずかが叫んでいるがやつは気にも留めずしゃべり始めた。

 

「そいつらの一族はな化け物なんだよ!夜の一族とかいうな!俺たちとは根本的に違う生き物なんだよ!だからこいつらをねたみ、恨むやつらは腐るほどいる。俺らの雇い主もそのうちの一人だ。俺も聞かされたときは驚いたぜ、何せ人間と同じ姿をしているのに中身が違う生き物なんてよ・・・。だから俺は思ったね。そんなやつらが生きてるなんて危なっかしいと、だから俺たちは人助けをしてやってんのさ」

「もう・・・やめて・・・」

 

 すずかは泣きながらそう懇願していた。

 

「だからそいつを助ける意味なんてないんだよ。むしろ俺たち一般人にとっちゃ異物と同じなんだよ」

「・・・確かにそうかも知れんな」

「あんた・・・!」

 

 後ろではアリサが俺をにらみ、すずかは声を殺して泣いていた。それを無視して俺は喋り続けた。つらいだろうな・・・。すまねえ、後ちょっとだけ我慢してくれ。

 

「ハッ!だったら「けどよ」あん?」

「もしそうだとしたら俺はお前と同類ってことか?」

「大まかに見ればそうなるな」

「・・・だったら俺は化け物でいいや」

「なに?」

「正直ある程度は我慢しようかと思ったが、実際聞くとこんなにも不快な思いになるもんだな・・・。化け物?異物?だからなんだ・・・たとえ人と違う力を持っていても、それを使うのはそいつ自身だろうが!てめぇらのものさしで計ってんじゃねえよ!」

 

 その瞬間、俺を中心にして膨大な魔力が膨れ上がり風が巻き起こった。それはもはや突風といってもいいほどの勢いだった。

 

「な、なんだこの風は!てめぇが引き起こしてんのか!?」

「それを答える義理はねぇな・・・シャル」

<<分かっている。((cluster|クラスター))>>

 

 シャルはそういって俺の周囲に複数の魔力弾を形成した。ただの魔力弾に見えるが、実際この中にはさらに小さな魔力弾を包み込んでいる。威力は十分、反面制御が難しいのであまり多様はしたくないものではあるが・・・。

 

「な、なんだそれは!それに、その剣は飾りか!?」

「てめぇらに説明する義理はねぇって言っただろうが。あとな、剣を持ってるからってそれだけしか攻撃方法がないってわけじゃねぇんだよ。撃て・・・」

 

 そう言って俺はシャルに撃つよう命じる。そうして魔力弾は誘拐犯に次々当たっていく。威力は抑えたものの、骨の一本や二本は折れてるかもな。

 

「ガッハァァァ!!」

「良いやられっぷりだよ。そこだけは認めてやらぁ」

 

 ガッハァァとか今どき言わねぇぞ・・・。しかし、あいつらを撃って少しは気が晴れたかねぇ。そう思って後ろを振り返ってみたら、アリサとすずかはぽかんとしていた。

 

「・・・どうした?」

「え・と・・あんた何者?」

「それと私のこと・・・怖くないの?」

「何者かってのは今は言えないな。時が来たら教えてやる。それと、すずかのことが怖いかって?あほ抜かせ、友達を怖がるやつがどこにいる」

「いや、あんたと友達になった覚えないんだけど・・・」

「こまけぇこたぁ気にするな、アリサ。それからすずか、怖くないかと聞かれたが、俺もほれ、さっきの見たとおり普通とは違うからな。別段怖くねぇさ」

 

 とそんな話をしていると外に人の気配を感じた。たぶん士郎さんたちかな。

 

「そろそろお暇するわ。明日からはまたクラスメイトでよろしくな」

「あ、今日はありがと・・・」

「・・・へっ、今日は素直に受け取っておくよ」

 

 そう言って俺は外の人たちに気づかれないようにその場を離れた。気づかれてないよな?・・・高町家の人々はある種人外だからなんとも言えん・・・。あ、でもしおらしいアリサもたまにはいいな・・・。この後家に帰った途端、さすがに遅すぎると両親に怒られたが、事情を説明して何とか許してもらえた。

説明
どうもこんばんは〜。今回は裕樹の視点で物語を見ていきます。なお、彼のデバイスの声は女性タイプです。たぶんなんとなく分かっていたとは思いますが一応報告を(笑)。
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