恋姫の世界に行ってくる 第九幕 |
流琉と共に旅を再開して一週間、一人旅には戻りたくないと思うほど、流琉との旅は楽しかった。
「兄様、この前言ってた料理の事を聞かせてください!」
「この前?ああ、寿司の事か?」
「はい!そのスシって料理はどうな料理なんですか?」
料理に関しての知識欲はその辺の軍師並みにある。
「寿司はな、魚や貝などの切り身を、軽く握ったご飯の上に乗せて食べる料理だ。
聞くだけだとかなり簡単そうだが、ご飯の形や握り方、力加減で食感が微妙に変わってくるからな、
本当に美味い寿司を作れるのは、職人と呼ばれる人達だけだよ。」
「へ〜。そんなに難しいですか。兄様は作れますか?」
「普通のならな。職人の作るようなのはちょっと無理だな。」
「なら私が作れるようになります。その時は兄様に美味しいスシを食べさせてあげます。」
「そうか、それなら楽しみに待っているよ。」
そして、とある夜
「そういえば兄様って・・・なんでもないです。」
「ん?どうした流琉。聞きたいことがあるならなんでも聞け。」
「えっと、ふと思ったんですけど、兄様ってあんまり笑わないな、って思って・・・」
そうか、流琉に気を使わせてしまったかもな・・・流琉になら話してもいいかな。
この世界に来てこんなに仲良くしたのは、流琉だけだしな。
「流琉、これから話すことは全部本当だ。それに流琉の質問の答えになる。」
それから全て、とはいかないが、俺がこの世界の人間じゃ無いこと。
この世界に来るときにこの力を貰ったこと。そして、
「俺は、強さと智とどんなことにも動じない心を貰った。
その動じない心のせいで少し、というか、かなり、感情が表に出るほど感情が強く無いんだ。
だから、面白いと思っていても、普通の人の様に笑うことが出来ない。絶対に笑わない訳じゃない けどな。
今まで黙っていてごめんな。」
俺が一度死んでいることや、神に力を与えられたことは話さなかった。
これも話してしまうと、流琉をもっと混乱させてしまう。
「兄様は、天の御使いだったんですね!曹操様の所にいる方も天の御使いって聞きましたけど。」
え、どうしてそうなる・・・
「いや、俺は天の御使いじゃ・・・流琉今なんて?」
俺の聞き間違いじゃなきゃ、
「え、兄様は「その後」曹操様の所にいる方も天の御使いって聞きましたけど。」
マジか・・・つう事は一刀か?いや違う可能性も。
「そうか、取り敢えず俺は天の御使いじゃない。その曹操のとこにいるのが本物だ。」
「そうですか、兄様の事は分かりました。けどなぜこの世界に?」
殺されて、神様の尻拭いの為に、なんて言えない・・・
「・・・俺にも分からない。けど俺はここにいる、それには何か意味があるんだろう。
もしかすると、あの時流琉を守るためにこの世界に来たのかもしれないな。」
そう言ってほんの少し微笑む。
「そうですね。そうかもしれません。兄様がいなかったら私は今ここにいないですから。
・・・兄様が別の世界から来ていても、兄様は兄様です。だからこれからも一緒に行きます。」
「・・・そうか、ありがとな。」
そう言いながら流琉の頭を撫でると、
「えへへ//」
「じゃあ、流琉の疑問も解決したみたいだしそろそろ寝るか。」
「はい。」
そう言って俺の方に寄ってくる流琉。
この旅が始まって以来流琉と一緒に寝ている。
流琉いわく、
「えっと、夜は色々危険だし、二人一緒の方が、安心できるし・・・」
との事だ。
まあ流琉の言うことも一理あるので、一緒に寝ている。
「じゃあおやすみ。」
「おやすみなさい、兄様。」
流琉に俺の事を話してからも流琉とは、以前となんら変わったことはない。
そんな俺たちは、陳留郊外にあるとある村が目に入った。
「ふぅ、やっと村があった。流琉の村を出てからかなり経ったな。」
「そうですね。そろそろ布団で寝たいです。最近は兄様に鍛えてもらってますから、
かなり疲れてますし。」
「・・・そんなに辛かったか?」
「あ、いや。そういう意味じゃ無いです!」
最近流琉を鍛えている。出会った時もかなり強かったが、もしこれからどこかで、多くの賊に
出会ってしまった時、最低でも自分の身だけでも守れるように鍛えていたつもりだが、
普通にその辺の賊なんて、相手にならないほど強くなった。
まだ武将クラスと戦うことはできないが、普通の兵ぐらいなら問題ないレベルだ。
「まぁ、まずは村に入ってか、・・・流琉、まずいぞ賊だ。しかもかなりの数だ。」
「あ、本当だ・・・しかもどこかの軍と戦闘中みたいです。かなり押されていますね。
兄様、旗見えますか?」
「ちょっと待て、えっと、夏侯と大梁、それに許だな。夏侯があるってことは、曹操のとこだろ。」
大梁は楽進達か、ってとこは許は、
「季衣!兄様助けに行けませんか?」
「流琉の親友が困ってるんだ、助けない訳にもいかないだろ。」
まぁ原作だとこの後曹操に会えるから、それもあるんだが、
「よし、流琉は途中で許?ちゃんを探しに行け、村の中までは黒兎で送っていってやる。
俺はそのまま賊を蹂躙する。気を付けて行けよ。」
「はい。兄様も気を付けて。」
「じゃあ行くぞ。」
そう言って大蛇と蟒蛇を抜き放ち、流琉も電磁葉葉を構える。
ヒヒィィィーーーン
黒兎はそんじょそこらの馬とは訳が違う。賊程度なら普通に突き飛ばすぐらいの力は持っている。
その突進力を生かし、賊の群れに突っ込む。
<夏侯淵サイド>
「夏侯淵様〜。マズイで、東の防護柵が二つ破られてしもたわ。
残りが南に二つ、西に三つ、東が一つや、西と南はしっかり作ってあるさかい、なんとかなるんや けど、東のはど〜しても材料が足りなかっから、もってあと一刻程度やで。」
そうか、東は破られるのも時間の問題か。
「李典。東に回せる兵はいるか?」
「いや、おらんな。他んとこも、防護壁あるからゆうても、人数的には負けとるからな〜。」
どうすればいい。華琳様や姉者が付くのは早くてもあと二刻は掛るだろう。
だが。
「報告!東の方向にこちらに向かってくる人物が!」
「何!賊がいるのが見えていないのか。」
「いえ、その。報告してきた兵が言うにはあの噂の(慈悲深き死神)の特徴に酷似していたとの事。」
「な、それが本当なら行けるかもしれない。李典、お前は西側の援護に行け。
私は東側に向かう。」
「りょ〜かい。気ぃ付けて。」
慈悲深き死神。幽州から、この辺に掛けて現れ、たった一人で万の賊を殺すような残忍な死神。
だが、その者は村や誰かを助けるために戦い、不作で困っている村があれば、
農業指導しをし、作物が以前よりよく実るなど、優しき一面もある。
そしてその者は黒馬に乗った、絶世の美女であるという。
人を助ける優しさを持った、残忍な死神。
そんな噂が陳留でも流れていた。
そんな万夫不当の力を持っているなら、この状況をあるいは、
そんな希望を持って東側に着いた私の目には、信じられない光景が広がっていた。
<海斗サイド>
「流琉、俺が道をひらく。そこを行け。」
「分かりました。」
そういって黒兎から飛び降りる準備をする流琉。
「いくぞ。斬っっ!」
ガガガガッッ
斬撃を飛ばし、賊の死体で出来た道をつくる。
「今だ!」
シュタッッ
黒兎から飛び降り地面を数回転がった後、流琉は無事に村の中へ入っていった。
「行ったか。お前らの相手は俺がしてやる。」
そう言いながら、結んでいた髪を下ろす。
「お、おい・・・あいつ死神じゃあ。」
「んなわけねぇだろ。数じゃ勝ってる。全員でかかれ!」
なんか聞き飽きたセリフだな。それに死神ってなんだよ。
「黒兎、駆け抜けるぞ。いちいち相手をしてるのも面倒だ。
ブルゥゥン
賊はどうすることも出来なかった。黒兎の前に立てば、その尋常じゃない突進で吹き飛ばされ、
横から突こうとしても、二振りの大太刀に切り伏せられる。
「はああぁぁぁぁ!!」
ズバッ ザクッ ズバッ
切り殺しては、突き殺し、また切り殺すの繰り返し。
海斗と黒兎の通った後には、身体のどこかが無くなるか、関節がグチャグチャに折れ曲がった
死体で道が出来ていた。
「まるで地獄だな。つか、味方に怖がられるって。」
曹操軍かあるいは義勇軍か、どちらかは分からないが、吐いている者もいれば、
恐怖の目で俺も見ている者もいる。
まぁ、そんなもんだろ。
「なんだ、これは・・・」
ん、たしかこの声は、
「すまない、これは貴殿がやったのか?」
夏侯淵か、この光景を見て冷静でいられるとは、連れて来た兵もかなりきつそうだ。
「そうだが。夏侯淵でいいのか?」
「ああ・・・まさかここまでとは。」
ん、どういうことだ?
「俺を知っているような口ぶりだが。」
「知らないのか、慈悲深き死神の事を?」
「慈悲深き死神か、そういやさっきの賊の一人がそんなこと言ってたっけ。なんなんだそれは?」
「万の賊を殺す残忍さを持っていながら、力無き民を助ける優しさを持った、
死神この辺では、かなりの噂になっているぞ。」
死神か、俺にピッタリだな。
「報告!曹操様率いる本隊が到着。我々と連携して、賊を殲滅するとの事。」
来たか、これでここにいる賊共は終わりだろう。
「すまない、もう少しだけ手伝ってはくれないか?
なるべくここから賊をを逃したくないのだ。」
「いいぜ、俺はこのまま村の外の賊を蹂躙してくる。後はそっちで勝手にやってくれ。」
そう言って、黒兎に跨り村の外周を駆け抜ける。
切って、突いて、払って、薙いで、賊を狩り尽くす。
そうして、敵の中を蹂躙していると、
「てええぇぇーーい!!」
「ちょりゃぁぁーー!!」
ドガンッッ ガゴンッッ
小さな体で、大きな武器を操り戦う二人の姿が。
「流琉、大丈夫か。」
「あ、兄様。はい、もうこの辺はあらかた終わりました。それに。」
「ねぇ流琉〜。この兄ちゃん誰〜?」
「もう季衣ったら、さっき話したでしょ。賊に襲われたとき助けてくれた人だって。」
どうやら許?の方も無事の様だ。
「そうだっけ?まぁいいや。兄ちゃん流琉の事助けてくれてありがとう。
僕の名前は許?って言うんだ。真名は季衣だよ。流琉を助けてくれたお礼。」
「俺の名前は韓義、字は紅炎。真名は海斗だ。よろしく季衣。」
「よろしく、兄ちゃん。」
そんな感じで話していると、
「季衣どこだ〜、いたら返事をしろ〜。」
「あ、春蘭様だ。春蘭様〜、こっちですよ〜。」
「ん、おお、季衣。華琳様、いましたよ。」
とうとうおでましかい、曹操。
「季衣ダメでしょ。戦闘が終わったら報告に来ないと。」
「ごめんなさい華琳様。」
「でも無事でよかったわ、季衣。ん、貴方は?」
そう言って俺の方を向く曹操の顔は口がつり上がってた。
あとがき
疲れた・・・nontanです。
ここんところ毎日更新してるが、そろそろ無理ぽ。
これからは少し更新速度が落ちることになりますが、ご了承下さい。
ご意見、ご感想、ご指摘があればコメントしていただけると嬉しいです。
でわでわ
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流琉がいるだけで、会話文が書きやすい。 |
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