IS〜彷徨いし剣の担い手〜取引/決闘/手懸かり |
ICHIKA:SIDE
手紙に書かれた場所、ほんの数時間前にクラス対抗戦が行われていた第二アリーナのピットに俺は居た。
「遅かったですね。」
「見張られていたので、誤魔化すのに苦労したんですよ。」
何処からともなく現れたのは眼鏡をかけた知性的な青年、イーグルアンデッドの人間体の姿だ。因みに人間体の姿の時は高原と言う名を名乗っている。
「では、取引についてですが……」
「その前に1つ聞いていいか?」
「なんでしょうか?」
ここに来るまでに気になっていた事を尋ねてみる事にした。
「なんで俺を助けたんだ?」
俺が疑問に思っているのはそこだった。前回のバトルファイトではイーグルアンデッドの目的はカリス……正確に言えばマンティスアンデッドとの決闘だった……その邪魔をする可能性のある『仮面ライダー』である俺を何故助けたのか?
「取引内容を実行できる存在が今の時点で君だけだからです。」
俺の疑問に思っているのを察したのか、そう言い取り出したのは2枚のカード……より正確に言うならば『左端にクラブのマークと数字の10が書かれた中心のスペースにバクの絵が描かれたカード』と『左端にハートのマークとアルファベットのAが書かれた中心のスペースに蟷螂の絵が描かれたカード』……クラブ10とハートAのプライムベスタのラウズカード。
「それは!?」
「そう、『カリス』が封印されたプライムベスタですよ。」
クラブ10とハートAのプライムベスタのラウズカードを見せられた俺は何故イーグルアンデッドが俺を助けたのかが分かった。
「……してほしいのは『カリス』の解放か?」
「その通り、前回も今回も行われているのは『偽りのバトルファイト』……だが偽りと分かっていても私はカリスとの約束を果たしたい。彼と戦いたい。」
その言葉になるほどと納得する。アンデッドは封印されたら次のバトルファィトが開始されるまで開放はされない。封印されればバトルファイトの参加資格は無くなると言っても良い。だが1つだけ例外が有る。
それがイーグルアンデッドの持つクラブ10のプライムベスタだ。……その効果はラウズカードに封印されたアンデッドを解放して操る【REMOTE】を発動させる事。
元々、上級アンデッドの中でイーグルアンデッドは人間に対しては好意的でも敵対的でもなかった……それよりもカリスとの約束を優先していたからだ。
この時の俺は、カリスを解放していいと思った。だがその前に聞かなくてはいけない。
「解放されたカリスが人間を襲う可能性は?」
「ありません、彼は誇り高き戦士です。」
俺が想像した最悪の事態をイーグルアンデッドは真っ向から否定した。カリスが人間を襲う心配はしなくても良いか……
「俺にとってのメリットは?」
イーグルアンデッドは俺に対して取引といった。それは俺にとっても何らかのメリットが有る事を意味していた。そしてイーグルアンデッドは俺に対するメリットを口に出した。
「『金貨の遺品』を渡し、『聖杯の担い手の行方』をお教えします。」
『金貨』と『聖杯』……この2つの言葉が意味するのに気付いた俺はブレイバックルにカテゴリーAもラウズカードを装填、ベルトにしターンアップハンドルを引き現れたオリハルコン・エレメントを通過しブレイドに変身し、ラウズホルスターからブレイラウザーを抜き出す。
「取引に応じる。リモートのカードを。」
俺の言葉を聞き、投げ渡されたプライムベスタをブレイラウザーのスラッシュリーダにラウズした。
【REMOTE】
辺りに電子音が響きリモートのカードから発せられた紫の細い光線はイーグルアンデッドが宙に投げたハートAのプライムベスタのラウズカードに当たり……マンティスアンデッドが解放された。
「これでどうだ?」
「感謝します。では『金貨の遺品』をお渡しします。」
そう言って人間の姿からアンデットの姿へと戻ったイーグルアンデッドから渡されたのは『ブレイバックルと同型のバックル』と『上級アンデッドの力を引き出してブレイドを強化する装備』。
「ギャレンバックルにブレイドのラウズアブゾーバか……」
ラウズアブゾーバを左腕に装着しているとイーグルアンデッドが口を開いた。
「『聖杯の担い手の行方』ですが……これを教えるには条件があります。」
「条件?」
大抵の条件を聞きいれる覚悟をした俺は条件を受け入れる事を告げた。そして俺の予想外の言葉が飛び出した。
「私とカリスの決闘の立会人になって貰いたい。」
「俺なんかで良いのか?」
思わずそう返したのは、俺が2人の決闘の立会人にふさわしいのか気になったからだ。だがこの返答を聞いたイーグルアンデッドは苦笑しながら告げる。
「こう見えても私は貴方の事を認めていますよ、『((剣の担い手|ブレイド))』。」
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SECIRIA:SIDE
それは偶然だった。
保健室で絶対安静とされ眠っている筈の一夏さんが何処かへ向かって歩いて行く姿を見た私は止めようと声をかけようとしたのだが、かける事が出来なかった。だから私は一夏さんに気付かれない様に気配を消してその後を追った。
「『金貨の遺品』を渡し、『聖杯の担い手の行方』をお教えします。」
保健室で絶対安静とされ寝ている一夏と見知らぬ男性が話しているのを見ている私の目の前で一夏さんが『私を助けてくれた仮面ライダー』に変身した。
「取引に応じる。リモートのカードを。」
そう言って男性から渡されたカードを持っていた剣の溝に通し電子音が響いた。
「……っ!?」
響くと同時に現れた紫の光線が宙に投げた1枚のカードに当たり……先程まで存在しなかったナニカが現れた。
「これでどうだ?」
「感謝します。では『金貨の遺品』をお渡しします。」
一夏さんの問いかけにそう言って男性は人間の姿から異形の姿へと変わった。
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EAGLE:SIDE
目の前に……あの時の様な、ジョーカーではない、本物のカリスが居る。やっとだ、やっと私の願いが叶う、約束を果たせる!!
「遅くなりましたが……約束を果たしましょう、カリス!!」
私の言葉に静かに頷いたカリスは手に握る弓を向けフォースアローを発射する。それを上空に飛びあがる事で回避し急降下する事で接近する。
「そうだ、この時を!この瞬間をどれほど願ったことか!!」
ソードボウを使い斬りかかるカリスの斬撃を回避するが完全には回避できずに右の翼を傷つけられる。
「流石ですね、カリス。」
今の一撃で飛行が不可能になったのにも関わらず私はカリスと戦える事の方が嬉しかった。そしてこの時が永遠に続けばいいとすら思った。
「さあ、続けましょう!!」
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ICHIKA:SIDE
「終わったな。」
「ええ。」
そしてイーグルアンデットとカリスとの激闘はそれから1時間近くも続くが……イーグルアンデットの捨て身の一撃で受けた攻撃が致命傷となりカリスの腰のバックルが開いた。それでもカリスは地面に倒れる事無く、最後まで立ち続けた。その光景を見ながら俺は2人に確認を取りカリスを封印した。
「望みが叶ったから私は満足です。」
カリスを封印したプライムベスタを見るイーグルアンデットに声をかける。アンデットの姿から人間体となったその顔には腰のバックルが開いているにも関わらず満足げな笑みを浮かべていた。
「早速だが『聖杯の担い手の行方』について教えてもらうぞ。」
「その事ですが……分かっているのはただ1つ、『ジョーカー』は解放されています。」
その事実に驚く俺を見ながらアンデットの姿に戻りその口を開け、言葉を紡ぐ。
「後、これは忠告です。今回の私達が解放された1件ですが……何者かが動いています、気を着けた方が良いでしょう。」
そう言って俺に自分を封印するように促す。それを聞きいれた俺はブレイラウザーのトレイから取り出したプロ―バプランクを取り出しイーグルアンデットへと投げる。
「お別れです、ブレイド」
そう言ってイーグルアンデットは封印され、俺の手に彼を封印したスペードのカテゴリーJのプライムベスタが戻って来た。
現時点織斑一夏所有ラウズカード一覧
【SPADE】
A:CHANGE
2:SLASH
3:BEAT
4:TACKLE
7:METAL
8:MAGNET
10:TIME
J:FUSION(NEW)
【DIA】
6: FIRE
9: GEMINI×
10: THIEF×
【HEART】
A:CHANGE(NEW)×
4:FLOAT
7:BIO×
【CLUB】
6:BLIZZARD
10: REMOTE(NEW)
K:EVOLUTION
説明 | ||
担い手に渡されるは新たな力と憧れた先輩の遺品。 そして・・・ |
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続きが・・・気になる・・・!(デーモン赤ペン) | ||
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