IS インフィニット・ストラトス 〜転入生は女嫌い!?〜 第二十四話 〜守る強さ〜
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戦いを始めてから数分、クロウは疑問を持っていた。

 

「(おかしい、反撃してこねえ・・)」

 

そう、今現在はグレネードによる攻撃を仕掛けているのだが、相手からの反撃が全くと言っていいほど無かった。攻撃を受けている最中も、エーデルは両腕を胸の前で交差させ、防御の姿勢をとったままなのだ。先ほどからクロウは不安を覚え、近接攻撃を仕掛けられず、消極的な遠距離からの射撃しかできなくなっていた。その時、相手からの通信が。

 

「ふふ・・この程度なのかしら?」

 

「何だと!?」

 

「あの人が雇った護衛というから、どんなものかと思っていたけど。まさかこの程度とはね。すこしがっかりだわ」

 

エーデルがため息をつき、笑顔を見せる。クロウはその笑顔に不安を覚え、射撃を一時中断してしまった。

 

「・・・」

 

「もういいわ。落とさせてもらうわね」

 

その瞬間、エーデルの両腕についたドリルの各所が割れ、小さな砲身が出てくる。

 

「まずいっ!!」

 

「さあ、死になさい!!」

 

その言葉と共に、砲身からミサイルの雨が降ってきて、クロウの周りに着弾する。クロウはスラスターを全開で吹かし、逃れようとするが弾の数が多過ぎ、いくつか食らってしまった。その他のミサイルは地上に着弾し、土煙を上げる。

 

「(少しもらっちまったか・・だがもう食らわな)「何を考えているの?」何っ!!」

 

いつの間にか、エーデルは土煙に紛れクロウの懐まで接近していた。その状態で両腕のドリルを入れられたらどうなるか。クロウは反射的に後ろに飛ぶが、間に合わない。

 

「遅いっ!!」

 

「ぐわあああああ!!!」

 

クロウはバンカーで咄嗟にガードするが、そのバンカーを貫いて、腹部にドリルが突き刺さった。衝撃でクロウは大きく飛ばされ、壁に叩き付けられる。クロウの意識はかろうじて飛ばされずにすんでいた。

 

「(バンカーのおかげで深いダメージじゃない。まだいけるか・・しかしあのIS本当に規格外だな。千冬がやられたのも納得だぜ)」

 

とクロウが考えていると、再び相手から通信が入ってくる。何故か敵は追撃をしてきていなかった。

 

「ねえ、あなた。もういいんじゃない?」

 

「・・・何がだ?」

 

「もう護衛なんてやめてもいいって事。私を行かせてくれない?ここで退けばあなたの命は見逃してあげるけど・・どうしてそこでまた立ち上がろうとするの?」

 

エーデルに言葉を投げかけられながら、クロウはEAGLEを杖代わりにして、立ち上がろうとしていた。その目からはまだ戦いの意思は失われてはおらず、再びEAGLEを構える。

 

「悪いな、俺はまだ倒れる訳には行かねえんだよ。・・一つ聞きたい」

 

「あら、いいわよ。何かしら?」

 

「あんた、本気でシャルルを殺すつもりか?」

 

クロウが質問すると、彼女はそれが至極当たり前の様に答える。その瞳には何の迷いも映し出されてはいなかった。

 

「ええ、本気よ。あの人には私だけいればいいの。あんな小娘、あの人にはいらないのよ」

 

「そうか、じゃあやっぱりまだやられる訳には行かねえな」

 

「あら、やだ。まさかあの小娘があなたの戦う理由なの?それとも惚れているとか?」

 

エーデルは心底おかしいとばかりに哄笑する。しかし、前方で笑い声がするので、エーデルが見ると何と、クロウもつられて笑っていた。

 

「・・・何がおかしい?」

 

「いや、あんたが勘違いしているからさ。俺は女嫌いでね、あいつに惚れるなんてある訳ないだろ」

 

「・・それだけで、私を笑ったというのか?」

 

「それだけだとしたらどうする?」

 

「お前を殺す!!」

 

その言葉と共に、エーデルの顔が豹変し、胸の部分から、四つの砲塔を展開する。クロウに向けて放つつもりのようだ。

 

「そうか、じゃあ俺の戦う理由を教えてやるよ・・」

 

クロウも戦闘体勢を取る。バンカーはもう完全に使い物にならなくなり、展開している武装は右手のEAGLEしかない。それでもクロウは戦う意思を捨ててはいなかった。

 

「もう仲間を失うのはごめんだ!俺はどうなってもいいが、あいつだけはやらせねえ!!」

 

そこまで聞くと、エーデルは一瞬訳がわからない、という顔をして、再び笑い声を上げた。

 

「あははは!!・・いまどき珍しい位の仲間思いね。でもあなたの矜持はここで打ち砕かれる。私の目的が向こうから来てくれたみたいだしね」

 

すると、エーデルがアリーナの出入口を指さす。そこにはいてはいけない人物がいた。

 

「あ、あなたは・・。何故ここに・・・」

 

そこにはジャージ姿のシャルロット・デュノアが呆然と立ち尽くしていた。

 

「(何でここに!?)シャルル!逃げろっ!!」

 

クロウが叫ぶが、シャルルには届かない。しかもエーデルはクロウに向けていた砲塔を今はシャルルに向けている。

 

「もう遅いわ!これで終わりよ!!」

 

その瞬間、シャルルに向けて、エーデルの胸の砲塔から、光が迫っていった。

 

〜深夜・クロウとシャルルの部屋〜

 

「クロウ、遅いなあ〜」

 

シャルルは部屋の中にて一人でクロウを待っていた。クロウが来る前に寝ても良かったのだが何だか胸騒ぎがして寝付けない。

 

「(何で帰って来ないんだろう。やっぱり朝、織斑先生に呼び出された事と関係あるのかな?)」

 

そう、今日の朝、千冬に呼び出されてから、全くクロウの姿を見かけなかった。あの後、特訓の最中にも、一夏たちに聞いたが全く知らないとのこと。その後夕食の席でも探してみたが、姿は見えなかった。

 

「それにしても・・」

 

シャルルは一人呟く。考えるのは一昨日の事。

 

「クロウっていい人だな・・・」

 

そう、クロウに秘密がバレた瞬間、もうだめだ、とばかり思っていたんだ。でも、クロウから言われた言葉は全く違っていて、まるで大人の様な言い方で、僕の不安を取り除いてくれた。あの件のついては感謝しかない。その時、ふと窓の外を見ると、光が見えた。

 

「(??何かやっているのかな?)」

 

シャルルは不思議に思い、バルコニーに出てみると。

 

「(あれって、クロウ??)」

 

夜の空に浮かぶ一機のIS。それは月明かりで銀色に光っており、とても綺麗だった。シャルルがクロウを見ていると、いきなりアリーナに火柱が上がる。

 

「(何!何が起きているの!?)」

 

シャルルの顔が驚愕に染まる。クロウは火柱を見るやいなや、アリーナの方へ飛んでいった。

 

「(クロウが何かやっている!)」

 

そう考えると、シャルルはジャージ姿のまま、寮を抜け出し、アリーナの方向へと駆け出してゆく。

 

「・・・クロウ!!」

 

〜現在・アリーナ〜

 

「もう遅いわ!これで終わりよ!!」

 

その瞬間、シャルルに向けて、エーデルの胸の砲塔から光が放たれ、シャルルに向かって迫っていった。しかしクロウはまだあきらめない。

 

「VX、俺の意思に応えろ!!!」

 

次の瞬間、シャルルがいた場所に、エーデルの攻撃が着弾する。

 

「あはははは!!!やった、やったわ!これであの人は私のもの!!」

 

エーデルは一人高笑いをする。しかし上空からの声をきいた瞬間、その顔は崩れさった。

 

「ク、クロウ?」

 

「ッ!何だと!?」

 

上空にいたのは、シャルルを抱きかかえているクロウの姿。その瞳は金色に輝き、胸のクリスタルからは光の奔流が流れ出ており、ブラスタからはエネルギーがほとばしっている。

 

「なぜだ!?何をした!!」

 

「・・・」

 

クロウはその質問には答えず静かに移動して、シャルルをピット内の千冬の隣に下ろす。

 

「ね、ねえクロウ。どうしちゃったの??何が起こってるの!?」

 

目の前のクロウは別人の様だった。いつも見せる飄々としたイメージはそこには無く、目は金色に変わっている。隣には織斑先生が気絶しており、どう見てもただ事じゃない。しかも何故父の本妻であるあの人がこんな場所にいて、クロウと戦っているのか。シャルルの頭は混乱していた。

 

「・・俺はお前達を守る」

 

「え、な、何クロウ?もう一度言って?」

 

「守ってみせる!!」

 

そういうと、クロウは再びアリーナに行ってしまった。残されたシャルルは事情が全く分からず、ただただ呟くしかなかった。

 

「クロウ・・・」

 

〜アリーナ〜

 

クロウがアリーナに降り立った時、エーデルはまだ混乱していた。

 

「何、なんなの!?貴様のその力は!!」

 

「がああああああああ!!!!」

 

その瞬間、クロウはEAGLEとSPIGOTを展開し、エーデルに向かって行った。

 

「まだやる気なのか!それなら殺してやる!!」

 

エーデルは先程から展開している胸の砲塔から、ビームをクロウに向けて発射する。しかしクロウはビームの弾道を完全に見切り、紙一重で避ける。

 

「っ!それならっ!!」

 

エーデルはドリルでの近接格闘戦に切り替え、クロウに向けてドリルの先端を向ける。

 

「これでっ!!」

 

「甘いっ!SPIGOT、エネルギー充填!!」

 

エーデルは勝手に思い込んでいた。近接用の武器はさっきの盾のようなものだけだと。それを潰した以上、クロウに近接戦闘など出来はしないと。その思い込みが誤りだとも知らずに。次の瞬間、エーデルのドリルは四基のSPIGOTに切り落とされていた。内部のミサイルも一緒になって破壊したようで、爆発する。

 

「こ、これは!?貴様一体!?」

 

「スパイカー・セット!!」

 

クロウはEAGLEの弾倉をエネルギーパックに差し替える。その間にSPIGOTは一基を除き、三基のSPIGOTはエーデルに向かって斬撃を仕掛けその場に釘付けにしていた。残りの一基はEAGLEの銃身から出現したスパイカーに通され、スパイカー自身が数倍の長さになる。

 

「レディ・ゴーッ!!」

 

クロウがエーデルに向かっていくが、彼女も黙ってやられるような人間ではなかった。

 

「愚かな!くらえ!!」

 

そう言うと、胸の砲塔からビームを発射してくる。しかしそれは最後のあがき。クロウは先程弾道を見切っていた。何の変哲も無く、ただ直線的に来る攻撃など、恐怖でもなんでもない。前の世界では、ビーム自体を曲げてくる敵とも戦った事があるのだ。

 

「俺は!!」

 

そのビームを避け、SPIGOTで増幅されたスパイカーをエーデルに突き立て、そのまま上空へと進む。

 

「お前みたいな!!((人の生命|いのち))を奪う様な奴に!!負けるわけにはいかねえんだ!!」

 

「くううううう!!!」

 

その間にも、ブラスタは上昇し、天高く飛び続ける。エーデルは武装を全て潰され、反撃することができない。

 

「ぶち抜け!スパイカー、バーストアップ!!」

 

その掛け声と共に、四基のSPIGOTからスパイカーが飛び出し、エーデルをはるか中空へと押し上げる。そして爆発がおき、エーデルがアリーナ外へ吹き飛ばされた。

 

「きゃあああああ!!!」

説明
第二十四話です。
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タグ
IS インフィニット・ストラトス SF 恋愛 クロウ・ブルースト スーパーロボット大戦 ちょっと原作ブレイク 主人公が若干チート ハーレム だけどヒロインは千冬 

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