IS インフィニット・ストラトス 〜転入生は女嫌い!?〜 第二十五話 〜戦闘終了〜 |
〜シャルルside〜
「い、一体何が起こってるの!?」
さっきから僕は混乱したままだった。だってクロウがあの人と戦っていて、隣には織斑先生が気絶していて、さっきなんてクロウの目の色が変わっちゃっていたんだよ。しょうがないでしょ。すると、織斑先生の目が覚めたので、声をかけてみる。
「・・・ん。」
「織斑先生?大丈夫ですか?」
「・・・デュノア?な、何故お前がここにいる!?」
織斑先生は凄い驚いてるみたいだった。何でそこまで驚くのか、僕にはわからなかったけど。
「え、あ、あの、部屋で外を見たらクロウがいて、その後アリーナで火柱が起こったからここに来たらクロウとあの人がいてそれで・・・」
僕の回答はとても要領を得ないものだったけど、織斑先生はそれには構わずに聞いてくる。
「それは構わん。それよりブルーストは何処に行った?」
「そ、そうですよ先生!クロウはどうなっちゃったんですか!?目が金色になって、ISの動きが全然違うし、雰囲気も!!」
「そうか・・・。ならもう心配はいらない。奴の勝ちだ」
「え、ど、どういうこと・・」
次の瞬間、
ドカアアアン!!
「きゃあああああ!!!」
「えっ?な、何が・・」
爆発した方を見ると、あの人はアリーナ外に落下していき、クロウは静かに空に浮かんでいた。クロウはこちらに滑るように向かってきた。
「お前ら、無事か?」
「ああ、お前のおかげでな」
「そうか・・・」
そう言うと、クロウは倒れてしまった。いつの間にかバイザーの向こう側に見える目の色も元に戻っており、ブラスタも通常の状態に戻っていた。僕は倒れたクロウを支えながら質問する。
「ク、クロウ!!大丈夫!?」
「あー、ちょっとやばいかもしれん。とりあえず千冬に後の事を聞いてくれ」
「クロウ!?」
そこまで言うと、クロウは完全に気絶してしまった。
〜クロウside〜
エーデルを撃墜したクロウは静かにピットに降り立つ。そこには、気がついた千冬と、顔を困惑で一杯にしたシャルルの姿があった。
「お前ら、無事か?」
すると千冬が答えてくる。ISの絶対防御があったせいか、体に傷はなさそうだ。
「ああ、お前のおかげでな」
「そうか・・・」
次の瞬間、スフィアが切れた。俺は立っていることすら難しくなり、そのまま倒れ込む。
シャルルが慌てて倒れた俺を支えてくれる。
「ク、クロウ!大丈夫!?」
いや、実際はかなりやばい。スフィアを使った反動で、体中がぼろぼろの感じがする。
「あー、ちょっとやばいかもしれん。とりあえず千冬に後の事を聞いてくれ」
「クロウ!?」
そこまで言うと、俺の意識は完全に闇に落ちた・・・
〜学園内・医務室〜
クロウは再び前と同じベッドに寝かされ、隣には千冬がいた。その内クロウの目が覚め、千冬が驚いて質問する。
「クロウ!?大丈夫か!!」
「・・耳元でそんなに叫ばないでくれ・・」
「あっ・・す、すまん。それで体調はどうだ?」
千冬はクロウの枕元から離れ、さっきと同じ質問を繰り返す。
「前回とほとんど同じだ。体中が痛みやがる」
「そうか、そんな状態ですまないが、一緒に来てくれないか?カルロスが待っている」
「そういや、あれからどれくらい経ったんだ?」
「ああ、今度は丸一日眠り続けていたんだ。さすがに心配したぞ」
と千冬は返答する。クロウがふと外を見ると、暗くなっていた。どうやらスフィアを使用すると、例外なく反動で寝込んでしまう様だった。まあ、自分がスフィアを使いこなせていないせいもあるだろうが。
「それより千冬、お前は大丈夫か?エーデルとかいう女にやられていただろ?」
「ああ、私の方は問題ない。ISの絶対防御があるのでな、お前よりは軽傷だ」
「そうか。それじゃあ、カルロスの所にいくか。前にいった会議室でいいんだよな?」
「その怪我で行くつもりか?私が言っておいてなんだが、さすがに難しいと思うが・・」
「そうだな。じゃあ千冬、肩を貸してくれないか?」
そう言うと千冬はいきなり顔を赤くしてしまった。口も上手く回らない様で、しどろもどろになる。
「え、えっ!そ、そんな事・・」
「ああ、すまない。確かに無茶な頼みだな。じゃあどこかから杖でも・・」
「いやっ、構わない!全然構わないぞ!!」
何故か千冬は力説し、クロウはその雰囲気に若干押されつつも、頼み込む。
「そうか、すまないな」
「(クロウに肩を貸す。つまりクロウと密着・・。いや、何を考えている私!相手はけが人でまだ少年だぞ!?・・・でも本来なら23歳の大人・・)」
「お、おーい。千冬?頼みたいんだが・・」
クロウが自分の世界に入っている千冬を呼び戻すべく、声を掛ける。その言葉で千冬は正気に戻った様で、顔を赤くしながらクロウの言葉に答える。
「はっ!わ、わかった。分かったぞ。肩を貸せばいいんだな。じゃ、じゃあつかまれ」
「あ、ああ」
そう言うと、千冬はクロウの体に手をあて、肩を貸しながら外に出て、廊下を歩く。
「なあ、千冬。聞きたいんだが」
「え、な、何だ?」
「あの後、どうなった?」
その言葉を聞くと、千冬はいつもの教師の顔に戻る。
「あの後結局学園の警備に連絡してな、エーデルを含めたバーグラー隊は全員本国へ送り返した。エーデルの怪我は、命があるのが不思議な位だったそうだ。お前一体何をした?」
「まあ、スフィアを使った状態で攻撃したからなあ・・・」
とクロウがばつの悪そうな顔をする。状況に流されたとはいえ、スフィアの全力攻撃を人に向かって使った事を後悔している様だった。
「まあいい。それとデュノアには口外するな、と口止めをして返した。後で必ず説明するから、と付け足してな。さすがにあそこまで見られてしまえば取り返しはつかない。今は部屋にいるだろう。だが二つ程問題が出来た」
「何だ?」
「この襲撃事件が外部に漏れてしまってな。正確に言うのなら他の国の諜報組織に知れ渡ってしまった。それぞれの国は今回の事件の首謀者であるアクシオン、もといエーデル・アクシオンを徹底的に追求した。その結果、いまやアクシオンの会社の株は転落。社会的信用もほぼ失った。救いがあるとすれば、アクシオンが全ての罪をエーデルになすりつけ、言い逃れを図ったのがある程度効いた、という点だけだ。まあ全て水面下の話合いだがな」
「と言うことは・・」
「そうだ。あの事件は実質エーデル・アクシオンの暴走、というのが各国の認識だ。エーデルは向こうの刑法に照らされ、処罰を受けるだろう。もう一つは・・・」
そこまで言うと、千冬は言いにくいのか、いくらか逡巡する。そして意を決して話始めた。
「・・・お前の存在が、世界に知れ渡った」
「・・・そうか」
「二人目の男のIS操縦者であるお前の存在が世界に知られてしまった。一夏という前例がある以上、それほど騒ぎにはならないかもしれないが・・・」
そこまで言うと、千冬は再び黙り込んでしまう。
「どうした?千冬」
「すまない。お前の身元は偽造しているから、身元の件に関しては心配はないが、これからはお前自身も一夏と同じく狙われてしまうだろう」
「そういう意味か・・」
そして泣きそうな顔で千冬は続ける。
「お前自身を危険にさらす事になるとはな。一体どのように謝れば 「ストップだ。千冬」・・・」
千冬の言葉を遮るクロウ。その顔には恐れや不安といった感情がまるで無かった。
「今のお前に俺のとっておきの言葉を教えてやる」
「・・とっておきの言葉?」
「ああ、これがあればこれから先、どんなことがあっても乗り越えていける」
「・・・」
「それがどうした?」
「・・・え?」
意表をつかれたかの様に千冬が惚けた声を出す。
「全部俺の事情だ。俺がシャルルの護衛の依頼を受けたのも、エーデルをぶちのめしたのも、全部俺の意思だ。お前が気に病む必要は全くない。」
「・・・」
クロウは千冬が呆然としているのにも構わず、言葉を続ける。
「俺がこの世界に来て、俺自身に降りかかった事は、俺が全部自分自身で蹴りを付ける。それにこれから先の事を今考えてどうする?そんな事は起こったときに考えればいい」
「クロウ・・ありがとう」
千冬は肩を貸しているにも関わらず、クロウに寄りかかろうとする。当たり前の様に、バランスが崩れる。
「お、おい!千冬!!」
「あっ、す、すまない」
バランスを取り直すと、しばらく気まずい時間が続いた。その内千冬がその空気を壊すように問いかける。
「クロウ、これは単なる興味で聞くのだが」
「ん?何だ?」
「今回のスフィアはどんな意思で発動させたんだ?」
クロウはそんな事を聞くのか、という顔をして返答する。
「今回のスフィアは“仲間を守る”という意思で発動させた。そうすれば、千冬とシャルル、両方を守れたんでな」
「そ、そうか。私はまだ“仲間”か・・」
千冬がこころなしかうなだれ、意味ありげな言葉を言い、黙り込む。
「おい、千冬。どうかしたのか?」
「い、いや。なんでもない(一夏の事を言えんな、こいつの鈍感さは・・)」
そんな事を話している間に、二人は会議室に到着した。
説明 | ||
第二十五話です。 | ||
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コメント | ||
そちらの作者さんにもご了解は得ていて前のサイトではその旨を記載していたのですが、こちらには書き忘れていました。すみません。(Granteed) | ||
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