乱世を歩む武人〜第七話〜
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賈駆

「みんな揃った?じゃあ軍議をはじめるわよ」

 

今現在、ここ王宮の間には私を含めた将が揃い踏みである。

 

賈駆

「さっき張譲の使者から協力要請を受けたわ。私達全員洛陽に移動するわよ」

 

賈駆さんがそう告げる。洛陽って都の洛陽だよな?

 

今洛陽では激しい権力闘争が行われている。

 

というのもつい先日、霊帝が崩御なされておりしかも肝心な世継ぎについての遺言を残さなかったという。

 

そして霊帝には劉弁と劉協という幼い二人の実子がいた。となればどちらを帝にするかをその後見人同士が争うなどというのは想像に容易い。

 

そして張譲はそのうちの一人、劉弁を帝にしようとする宦官勢力の筆頭である。

 

張遼

「洛陽か・・・もちろんついていくがちょいと遠いなぁ。」

 

呂布

「月が行くなら・・・恋も行く」

 

陳宮

「恋殿がいるところねねありです!」

 

徐栄

「・・・よろしいので?今洛陽に行くその意味が理解出来ないとは思っておりませんが・・・」

 

私は再度、董卓さん、賈駆さんへ聞き返す。

 

華雄

「どういうことだ、徐栄?」

 

華雄さんが聞き返してきた。こちらの意図がわからなかったらしい。

 

徐栄

「今洛陽では霊帝亡き後の世継ぎ問題による権力争いが起こっています。今回協力を依頼してきた張譲さんはまさにその中心人物。この要請を受ければ間違い無く権力争いの渦中に巻き込まれることでしょう。」

 

そこまで語ったあと少しのためらいとともにこう告げる

 

徐栄

「そしてその渦中で台頭出来れば天下すら見えてくる・・・しかし私は董卓様がそのようなものに興味を持っているとは思っておりません。故に今一度聞いています。」

 

張譲は武力の手札として董卓軍に要請をだしたのだろう。洛陽にいられれば権力を握る可能性があることも事実。

 

しかし今ここにいる彼女・・・董卓さんは争いを好まない。それこそ自分の周りが平和ならばそれだけで満足な人間だろう。そんな人間だったからこそ私はここにいる。

 

ゆえに思う、おそらくこの要請を受けることを決めたのは・・・

 

賈駆

「そんなことはわかってる。でも・・・これだけの機会があればボクなら・・・ボクなら月を大陸の王にすることができる。」

 

 

 

 

そう。賈駆さんなのだろうと。

 

 

 

董卓

「詠ちゃん・・・私は別に天下なんて・・・」

 

賈駆

「ううん月、貴方ならきっとこの大陸の王になれる。ボクがしてみせる。だからみんな。ワガママだと思うかもしれないけれど力を貸して」

 

賈駆さんが頭をさげる。皆は当然のように

 

張遼

「当然や!ウチは月の武将やし、ウチらのような弱小貴族がこの世界でくいモンにされないためにはのし上がるしかない。それに主が大陸の王なんてかっこええもんな!」

 

呂布

「・・・・・・恋も、月がいいなら、いい」

 

陳宮

「我も全力でお手伝いするのです!恋殿の名を天下に轟かせる絶好の機会なのです!」

 

華雄

「当然だ!月様のいる所この華雄あり!じゃまをするものはこの私が全て粉砕してくれる!」

 

賛同の意をしめす。

 

賈駆

「徐栄・・・貴方はどう?正直な話貴方がためらう理由もわかる。でも貴方はこの先でも絶対に役に立つ。だから・・・お願い。力を貸して。」

 

賈駆さんはそう私に告げてきた。董卓さんも少し心配気に私を見ている。

 

 

 

幼い頃からの親友のせいか賈駆さんに言われるとどうしても断れない董卓。

 

 

董卓さんを本当に好きだからこそ本人の意志を見ることのできなくなっている賈駆。

 

 

そして全体を見ること、先を見た対応のできる人材の少なさ。

 

 

これがこの勢力にいずれ致命的な穴を開けるかもしれないと思いながら

 

 

 

 

 

 

 

徐栄

「ええ。私ができる範囲でお手伝いさせて頂きますよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もうすこしだけここいるのもありだと考える自分がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

徐栄

「というわけで主の意向により洛陽に行くことが決まった!出発は7日後の朝!張遼隊は移動の準備だ!」

 

 

張遼隊

「「「「「応!!!」」」」」

 

 

いい返事とともに張遼隊は動き始める。流石に「神速の用兵術」を讃えられる張遼さんが率いる部隊どんな行動も機敏だ。

 

調練なんかで号令をかけるがその反応速度もいい。兵の質はおそらく董卓軍最高の部隊だろう。

 

そんななか副長の私はと言うと・・・

 

 

隊員1

「副長!洛陽ってどんなところなんですか!?」

 

徐栄

「どんなところ?首都だけあって豪華で人が多い。その分ものの出はいりが激しいから結構珍しいものが売っている事が多いぞ。」

 

隊員2

「副長!この前の賊退治で減った槍の補充がまだ終わっていません!」

 

徐栄

「安心しろ、5日後には届く予定になっているしこっちでも一度確認しておく。とりあえず他のものから準備しておいてくれ。」

 

隊員3

「副長!私お腹が空きました!」

 

徐栄

「知るか!さっさと準備にかかれ!・・・・・・今炊きこみご飯を炊いている!一段落したやつから食ってよし!」

 

張遼隊

「「「「「「「うぉぉぉぉぉぉーーーー!!!!!」」」」」

 

 

 

こんな感じだ。時折やる張遼さんとの模擬戦を見てか昼食時に頼まれて部隊につくる食事が気に入ってくれたのかはわからないが気がついたらこの状況だ。

 

張遼

「相変わらずなつかれとるなー徐栄。」

 

そう言いながらお酒片手に張遼さんがやってきた。

 

徐栄

「またお酒飲んで・・・仕事してくださいよ張遼さん。これだって本当は隊長の仕事でしょう?」

 

張遼

「いや〜ホンマ。できる副官をもつと隊長は楽ができるわ〜♪」

 

そういいながら肩をバシバシと叩いてくる・・・全くもって困った人だ。

 

ひとしきり叩いて満足したのか彼女が急に真剣な顔つきになった。

 

張遼

「なぁ徐栄。これから洛陽に行くにあたって少しでも部隊を指揮できる奴は多いほうがええ。そしてウチを含むみんながお前を高く評価しとる。」

 

その後彼女は一呼吸置いてこう言った。

 

張遼

「だから・・・そろそろ自分の部隊をもってみたらどうや?」

 

徐栄

「お断りします」

 

張遼

「即答かい!」

 

何を言われるのかは察しがついていたし答えも既に決まっている。

 

張遼

「何が嫌なんや?ウチの部隊の連中をみてれば人望もそれなりにあるのわかるやろ?」

 

徐栄

「なにが嫌と言われればですね・・・うん。自分は一番上にいることが嫌ですね」

 

私は続けてこう語る。

 

徐栄

「生まれたその時から私は姉の下で行動してきたからですかね。どうしても私は「自分のために行動する」ということができないんですよ。

 

別に責任を取るのが嫌だ・・・とかそういう話ではないんです副長として現場の指揮を任されるのならば全力を尽くしましょう。ですがそれはあくまでも

 

あなた・・・張遼さんのためになんです。そこに自分の利を全くみない。だから私には人の一番上に立つということができないんですよ。」

 

そんなことを話しつつ私は苦笑気味に微笑んだ。

 

コレは性分の問題であり今まで積み重ねてきた生き方の問題。

 

大勢の人間の役に立とうとも思わない、大勢の人間を守ろうとも思わない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただ、自分の決めた人間だけは必ず守る。例えそれが自分の命を犠牲にすることになっても。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふと見ると張遼さんが何やらニヤニヤした顔でこちらを見ている。

 

徐栄

「どうしましたか?」

 

張遼

「いや〜べっつに〜?そーかそーか。ウチはそこまで徐栄に思われとったんか♪」

 

徐栄

「!?」

 

私は今まで会話を反芻しようやく気づく。これでは私が「張遼さんに命をかけて仕えている」といっているようなものじゃないか。

 

徐栄

「ち・・・違いますって張遼さん。私は別にそんなつもりで言ったわけでは」

 

張遼

「今更照れることないやん。あーうちはホンマに幸せもんやな〜♪」

 

ダメだ。あれは完全に反応を見て楽しんでいる顔だ。

 

徐栄

「そうじゃなくって・・・あ〜もうどういったらいいんだ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

これはやってしまったな・・・と思いつつしばらく張遼さんから弄り回されることとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜とある場所〜

 

???

「・・・やっとあの子を呼びもどす準備ができたわ。しかし、ちゃんと見れるのかしら・・・?」

 

???

「入るわよ○○。この案件を頼みたいのだけど・・・あら。それは手紙?」

 

???

「あ・・・××様!はい。××様にお仕えすることをウチの弟に報告しようと思いまして。」

 

???

「弟って・・・アナタがいつぞや言ってた?アナタを疑うわけじゃないけど本当に使えるの?」

 

???

「ご心配には及びません。アレは確かに男ですがこの私が徹底的に育て上げた人材。必ずや××様のお力になることでしょう。」

 

???

「あなたがそこまでいうのならば期待できそうね。でも・・・わかっているわね?」

 

???

「はい。もし××様のお眼鏡にかなわなかった場合は遠慮なく切り捨てて頂いて構いません。」

 

???

「それがわかっていればいいわ。で、その子はいつごろこちらに来れそうなの?」

 

???

「それが・・あの子は大陸中を旅して回っている身。一応実家と揚州にある親戚の家に送るつもりなのですが・・・」

 

???

「いつそれをみるか分からない・・・と、・・・仕方ないわね。気長に待ちましょう。」

 

???

「申し訳ございません。見つけ次第首根っこ掴んで無理やりにでもお仕えさせますので。」

 

???

「フフフ・・・期待しているわよ」

 

???

「全く・・・本当に手間のかかる弟なんだから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時代は静かに、だけど確実に動き出している。

 

説明
関係無いですがこの小説を私は頭の中で「乱武」と略しております。
それはそうとしてなんで匿名のコメント受け付けないのがデフォルトなんでしょうね。
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コメント
>> アルヤさん 波乱が起きるから乱世なんですよ。・・・ところで覇王様とはどちらさまでしょうか?私のログにはなにもありませんよ?(RIN)
覇王さまかぁ・・・・・・。なにやら波乱の予感・・・・・・いや予感も何もこっから権力争い、連合と波乱じゃないかwww(アルヤ)
>> 匿名さん 劉備に関しては一度勧誘されているのでわざわざ指摘して無理だとアピール逃げました。けど董卓の場合は・・・おそらく本編で説明するかと。(RIN)
面白い作品だとおもいます。ですが、劉備たちの欠点を指摘した主人公が、董卓たちの指摘をしないのはおかしいのでは?誰かに言われての天下はおかしいのでは?(匿名希望)
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恋姫†無双 恋姫 

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