おいでませ! 木之子大学・部室棟へ♪ 第6話 異変
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(301号部屋 アイドル“GUMI”のライブ会場前)

 

升太:・・・・テト、これもメイコさんのノリと同じであると考えていいわけだな?

テト:まぁ、そう言うことね。正式名称は今回は教えるわ。ここは“アイドル研究部”の部室で、部長はアイドルの“勇気めぐみ”さん。この“GUMI”ってのは、めぐみさんって意味よ

升太:ますます変な部活になってきたな・・・

 

 一行が部屋の前で会話していると、部屋の中からアイドルと思われる女性の声と大勢の声が聞こえてきた。

 

めぐみの声:みんなー!!!、もっとはじけようよー!! キラッ☆

部員と観客達の声:ヤッ○・デ○ルチャー!!!!

 

升太:・・・・なんか入りづらいなぁ・・・・

ルカ:いい加減、覚悟を決めるのだ。ここでも勝たないといかんのだろ?

升太:そりゃそうだけど、なんとなく“勝負方法”がわかってきて、あんまり気が乗らないんだけど・・・

 

 そのとき、3F・・いや、部室棟全体から、地鳴りが聞こえてきた。

 

 ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・

 

升太:な、なんだ!? この音は!? このライブ会場が盛り上がっているのか?

 

観客達と部員の声:ざわ・・・・・ざわ・・・・・

めぐみの声:ちょ・・なにこれ・・・。ソニカさん! 音響設備にトラブルでもあったの?

 

 しかし、舞台外にいた部員のソニカは首を横に振っている。どうやら、この部活から発せられた音ではないようだ。

 

テト:ちょ・・・なにこれ・・・これまでなかった現象よ

 

 そしてその地鳴りは、大きな振動となって部室棟を襲ったのだった!!!

 

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!!!!!

 

 建物全体がまるで残像でも残しているような状態で大きく振動していた! 升太達のパーティも建物の壁に寄りかかっていないと倒れてしまうほどだった。

 

ライブ会場の中の声:きゃーーーーーー!!!!!!!

めぐみの声:みんな! 落ち着いて! お願いだから!! ソニカさん! みんなを安全な場所に誘導して! 私は廊下の状況を見てきます!

ソニカの声:了解です!

 

 バタン!

 

 ライブ会場のドアが開き、ソニカと思われる女性を先頭に、多数の観客が3Fの奥の安全な場所に移動していった。

 

 そして最後に“勇気めぐみ”がアイドル衣装のまま、ドアから飛び出てきて、升太達に声をかけた。

 

めぐみ:あなた達も観客・・・・じゃないみたいね。とにかく安全な所へ移動しましょう!

 

 ゴゴゴ・・・シーン

 

めぐみ:あ、あれ? 振動が止まった・・・

 

 テトは全員の中で一番動揺していた。

 

テト:一体、どうなってるのよ・・・。“冥界”にある部室棟にこんな現象があるはずないのに・・・・

めぐみ:あ、テトさんがいるって事は、今度の挑戦者達だったんですか。悪いけど、今、それどころじゃないのよ。安全はとりあえず確保出来たけど、とてもアイドル対決なんてやっている状況じゃないから

升太:やっぱり“アイドル“で対決するんだったのか・・・中止になって良かった・・・

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 パッカラ パッカラ パッカラ

 

 そして4Fへの上り階段がある位置から、大きなナスに大きな割り箸が4本刺さった、変な乗り物に乗って、紫色の侍衣装を着た、変な人がこっちに向かってきた

 

侍:君たち、大丈夫か?

テト:あ、あれ、なんで4Fの“神威学歩”さんが、ここに来たんですか?

学歩:うむ。さっきの振動、もの凄かっただろ? 大勢人が集まるここが心配で、愛馬“ナスノヨイチ”で駆けつけたのだ。大丈夫だったか?

めぐみ:はい。部員と観客は全員、頑丈な控え室へ移動させました。ここにいる“挑戦者達”も無事だったそうです。それより学歩さんは大丈夫だったんですか?

学歩:うむ。4Fの部室も、“競走用のナスノヨイチ”も全員安全を確認した。部員のレオン君がしっかりやってくれたよ

升太:最後は“変な乗り物の競争”だったのか・・・

学歩:しかし、こんな事、ここへ来てから初めてだな・・・ん? テトさんではないですか。なるほど、それでここの人たちは挑戦者だったと。めぐみさんも言ったと思うが、競争なんてやっている状況ではないので、私の所も中止だ

めぐみ:ということは、残りは最後の“屋上”だけになったわけだ

 

テト:・・・・・・・・私の部活“格闘研究部”の部室である“屋上”で、私と戦って勝てば、升太は無事、というか初めての“生還者”となって、現世に帰れる、そういう選択肢付きのシナリオ展開・・・・だったのよ

升太:え!? 最後の相手はテトだったの?

テト:予定ではね。でも、こんなに大勢のパーティで部活に挑む事、最難関のめぐみさん、学歩さんへの挑戦が中止になったこと、そして“とどめの異常現象”。どうやら私への挑戦すら、“中止”、にせざるを得ないみたいね

升太:え!!! じゃあ、俺はどうやって、ここから脱出すればいいんだ!?

テト:わからないのよ、それが

 

 ジジジ・・・・あー、マイクテスト・・・・よし。

 

 そのとき、部室棟の棟内放送が突然入ってきた。かなりノイズが入り交じった、不気味な物だった。

 

スピーカーの声:・・・ジジジ・・あー、棟内にいる、升太君、テトの両名に連絡する。緊急事態が発生した。すぐに屋上に来てくれたまえ。尚、危険を伴うため、テト以外の“部活関係者”は全員、自分の部室や安全な場所に避難していてくれたまえ。用件があるのは、前述の2名だけだ・・・ジジジ・・・

 

テト:そ、その声は・・・・まさか、お父様!!!

スピーカーの声:ご名答だ。テトよ、升太君を連れて、屋上に早く来てくれ。危険を伴うのだが、屋上でないと“説明”できんのだ

テト:わ、わかりました

 

 こうしてスピーカーの声は聞こえなくなった。しかし、なぜ、3Fのテトの声が、スピーカーの声の相手にわかったのだろうか?

 

テト:升太! とにかく屋上に急ぐわ。お父様、短気じゃないけど、その分、怒らせると怖いよ〜

升太:お父様って、誰?

テト:いいからさっさと行くの! あ、ミクさんたちはお父様の話の通り、それぞれの部室とか関連場所に避難していてね

ミク達:わかった

 

 こうして、テトは升太の手をひっぱって、階段を2階分駆け上がり、屋上を目指した。

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(部室棟・屋上)

 

 バタン!

 

 テトは思いっきり屋上の部屋のドアを蹴り開けた。その目線の先には、漆黒のスーツを着た紳士が立っていた。

 

紳士:娘よ、お疲れだったな

テト:ちょ・・・・なんでお父様まで“人間型”になっているの? お父様、“冥界の管理者”、“命の支配者”である、“『死神・デス』でしょ!

デス:その理由は、今回起きた“異変”を見て貰った後で説明する。とにかくこちらに来て、“今の冥界”を見てくれ

 

 今の升太達の視界からは、“冥界の真っ黒の空”しか見えなかった。なので、二人はデスの言うとおり、屋上の柵の近く、デスの隣まで近づき、目の前の風景を眺めてみた。

 

升太:な・・・・そんな・・・これは・・・・

テト:なんで“このエリア”がここにあるのよ・・・

 

デス:そう、さっきの異常現象は、“木之子学園全体”、が“冥界”である“ここ”に来た音と振動だったのだよ

 

 3人の眼前には、大きな学園全体を、地図からスッポリ切り取って冥界に持ってきたような、そんな風景が存在したのだった。

 

升太:な、なんでこんな事になったんですか?

デス:それを調べるために、人間のエリアで行動できる、この“人間型”の姿に変身したのだよ。娘と同じく、力はかなり抑制されるが、怪しまれずに行動するためには、致し方ないだろう。テトもその死神装束ではなく、大学生衣装に変身しておいてくれ

テト:は、はい

 

 テトは升太と初めて会ったときの姿に変身した。

 

デス:よし。それではまず、升太君に、この部室棟の事から説明しないといかんな。娘の説明には出てこなかったと思うが、この部室棟が冥界に来たのは、20年前に起きた“ボイラー爆発事故”が原因だったのだ

升太:え!? だったらなんで部室棟は壊滅してなかったんですか?。僕が見た部室棟のエリアで、そんな状態になっていた場所はどこにも無かったですよ?

デス:君も知っていると思うが、この部室棟には多くの“防火扉”が設置されていただろう? ボイラーなどの危険区域に異常が発生した場合、自動で閉まる事になっている。君が通ってない“1F奥の防火扉”の先は、本来なら爆発の影響で焼けこげているはずなのだ

テト:危ないから私とお父様が開催しているゲームでは、そういうルートは全てオミットしていたの

デス:そしてその“局所的な爆発エネルギー”が原因で次元変換が起こり、部室棟だけがこの冥界に吹き飛ばされた。君が娘に連れられて、学校側から見た“部室棟”はダミーだ。玄関を一方通行の冥界への入り口にしてあるだけ。そしてこの屋上で娘と戦って勝った時、初めて私の力で冥界から現世に戻れる、我々が仕組んだのは、そういうゲームであり、そういう“律”になって、いた

升太:・・・“いた“?

デス:まだ学校が冥界に来た理由は解らないが、あるとすれば、1つのきっかけ、1つの要因しか思い浮かばない

テト:1つのきっかけ、それはあなたがこのゲームの律を乱しすぎたこと。もはや案内人の私、主催者のお父様ですら、修正不可能になっているわ

デス:そして1つの要因。それは部室棟がここに飛ばされた原因である“ボイラー室”だ

 

 デスは2つの鍵をポケットから取り出した。

 

デス:1つは地下1階にある“ボイラー室”へ行くための防火扉の鍵、もう1つはボイラー室の鍵だ。“懸命に頑張って死んだ魂”を集めるための“ゲーム”の舞台としてココを選んだ“主催者や案内人”である我々に、原因を究明する義務があると同時に、君にも避けられない義務が科せられている

テト:ここを引っかき回した罪滅ぼしだし、キーマンになっている可能性もあるからね

升太:わかっているよ。でも2つだけ訊きたい。その事故、20年前に起こったのに、なんでここの設備は維持されているんだ?

デス:この部室棟の住人は冥界に飛ばされた関係で“年を取らない”。だから、ここに部室棟がある以上、各部の部長は君が知っている面々のまま、永遠にここで生活する事になる。君も含めて、死なずにここに来た人間の末路だ。それと20年もここの部室が維持されているのは、必要なものが冥界の設備から供給されているからだ

テト:なるほど、この事を知らせたくないから、ミクさん達“部室棟の住人”をここに呼ばなかったのね

デス:そう。彼らは、知らずにここで20年も生活している。このことを彼らに知らせるわけには行かないし、彼らを部室棟から出すわけにも行かない。この先のクエストは、私と君と娘の3人で行わなければならないのだ

 

升太:・・・わかった、というか、わからないと先に進めない事がよくわかったよ。それともう1つ。僕は現世に帰ることが出来るのか? 例えば玄関から外に出て、とか

デス:残念だが、私でも娘でもできん。玄関は先に述べたとおり“一方通行”。今の状態でやたらに出ると、次元の狭間に落ち込んで、一生抜け出せなくなる可能性がある

テト:だから、これから脱出方法を3人で見つけるっていったじゃない

デス:ボイラー室の奥の扉から、学校の電源室へ通じる“地下通路”がある。その“唯一の連結道路”で目の前の学校へ移動しないと、どうしようもないようだ。

テト:覚悟を決めて、急ぎましょう!

 

升太:・・・・わかった、ボイラー室へ急ごうか

 

 こうして、3人は別ルートの下り階段を駆け足で下りて、1階の防火扉の前にたどり着いた。

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(部室棟・1F・隔離エリアの前の防火扉)

 

デス:さて、吉と出るか凶とでるか・・・

 

 カチャ

 

 デスは防火扉の鍵を使って扉を開け、ボイラー室への階段がある廊下に足を踏み入れた。

 

デス:・・・・なるほど、やはり主原因はここか

 

 3人の前にある“廊下”は、焼けこげもしてない、崩れていることもない、普通の廊下、そしてB1Fへの階段があるだけだった。

 

升太:え? ここって、隔離されている事故があった所の真上ですよね?

デス:・・・・とにかくB1Fのボイラー室へ行くことにしよう

 

 デスは2つ目の鍵を使ってボイラー室の入り口の扉を開けて、扉の奥の階段を下り、ボイラー室へ入った。

 

***

 

(部室棟・B1F・ボイラー室)

 

 ブイーーーーーーーーーーーーン

 

デス:・・・・・やはり・・・・・・

テト:ちょ! なんで爆発したボイラーが無傷なのよ!!

 

デス:升太君、どうやら君の行動は、恐ろしい変化を生み出してしまったようだ

升太:え? え?

テト:あなたの律を乱しまくった行動の結果・・・・

デス:“ボイラーは爆発しなかった”という結果にねじ曲げてしまったようだ・・・なるほど、20年前の時点で、“ボイラーが壊れていない”という事に変わったから、我々で一方通行にした玄関以外で、本来、この地下通路1つで繋がっていた部室棟と学校が、再び繋がってしまった。理由はわからんが、部室棟が学校の現世に戻ることが出来ないらしいため、“学校が部室棟のある場所に移動してきた”、そういうわけか

升太:じゃ、じゃあ、このボイラーをまた壊して、部室棟と学校を切り離せば・・・

テト:部室棟が現世の学校に移動できないんだから、部室棟と学校を分断したとしても、学校は現世に戻れないわよ。学校の生存者も含め、貴方も現世に戻れない。バッドエンドという事ね

升太:そ、そんな・・・・

 

デス:ボイラーはこのままにする。この先の地下通路を通って、ここに来た学校を調べて、君や学校側にいるだろう君と同じ立場の人間を帰還させる方法を見つけよう

升太:・・・死神らしくない言動ですね?

デス:我々が欲しい魂は、こういう事で亡くなった魂ではない。それに、学園が冥界に来たということは、閉鎖された部室棟はともかく、この先、“冥界の怪物”と“リアルバトル”する事になるだろう。君一人ではどうにもならんよ。我々のような戦闘スキルがないと、太刀打ちできん

 

 バシュ!

 

 デスは右手を振り上げた! すると先ほどの異常現象の衝撃で崩れた岩が、デスの衝撃刃でバラバラになり、埋まっていた地下通路の扉が現れた。

 

デス:こういう力だ

 

テト:そして、私も

 

 ポッ

 

 テトは右手の上に灯りの炎をともした。

 

テト:私はガイドなの。だからそれは通させて貰うよ

升太:あ、ありがとう

デス:では進むとしよう

 

 3人は地下通路に侵入し、通路を歩いていった。

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(地下通路)

 

 カツン・・・・カツン・・・・カツン・・・・カツン

 

 3人の歩く音が奥まで響くほど、地下通路は静かだった。そしてテトの灯りがないと真っ暗になってしまうであろう程、他に照らす物がなかった。

 

デス:どうやら昔の軍備施設を使って、学園とボイラー室を繋げていたらしいな

テト:・・・・お父様、音の反響が変わりましたわ。行き止まりかドアが近いです

升太:・・・・・あ、ほんとだ! 真っ暗だけど、なんか先の方の何かに音がぶつかって帰ってきてる!

 

 カツン・・・・カツン

 

デス:・・・なるほど。出口は近いな

 

 一行は少し早歩きで地下通路を抜け、予想通り、先にあった“出口”の張り紙がある扉にたどり着いた。

 

デス:ここから先の鍵はない。実力行使だ

 

 ズガン!!!!    キーーーーー、ガタン!

 

 デスは前と同じように右腕を振り上げると、扉の前に爆発が起き、扉のノブが破壊され、扉は音を立てて向こう側に倒れた。向こう側のエリアには上り階段1つだけがあった。

 

升太:な、なんかホラーゲームのシチュエーションですね

デス:“なんか“ではなく、そのままだと思うぞ。何せここから先は、結界が張られていない”冥界“そのものだからな。怪物の1体2体を見て、いちいち驚かないで欲しい

テト:わかった?

升太:善処いたします・・・・・

 

 カチン・・カチン・・カチン

 

 3人は短い上り階段を上り、小さい小部屋に出た後、1つしかないドアを開け、ようやく学園の“電源室”にたどり着いた。

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(電源室)

 

升太:あ、明るい・・・・

デス:なるほど、ボイラーが復活している位だ、学園全体へ電源を供給している装置も生きている・・・と

テト:灯りはもういいね。消すよ

 

 キシャーーーーー!!!!!!

 

 テトの火の明かりに反応したのか、奥から小型の有翼型の怪物が飛び込んできた。

 

デス:キマイラか・・・。冥界の王に勝てると思っているのか?

テト:お父様、待ってください。久々に私が仕留めます

デス:では頼む

テト:召還! コルトパイソン!

 

 テトは灯りを消し、その後、前とほぼ同じモーションで、右手に少し大型の拳銃を召還した。

 

 キャシャルルル!!!!

 

 その怪物は拳銃の鈍い光に反応し、テトに突っ込んでいった。

 

テト:吹き飛びな!!

 

 ズキューーーーーン!!!!  ピシャアアアア!!!!

 

 拳銃から発射したマグナム弾は寸分狂わずに、怪物の脳天を貫通し、天井に大きな穴を開けて止まった。怪物は即死し、床に落ちて消えてしまった。

 

テト:ふぅ〜、腕は落ちてないようね

デス:所詮下級、こんな物、序の口だ。先を急ぐぞ

 

升太:こ、これが実戦・・・・二人とも敵でなくて本当に良かった・・・・

 

テト:召還、スタンガン!

 

 ズギャン!

 

 テトは左手にスタンガンを召還し、升太に手渡した。

 

テト:これならスイッチを押して先端を押しつけるだけで、相手を気絶させられるから、升太でも使えると思う。あーゆーのがこの先出てくるワケで、数も多くなると思うから、少しは戦力になってよね

 

升太:わ、わかった

 

 3人は電源室の奥の扉を開け、ようやく学校の敷地に足を踏み入れることが出来た。

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(電源室エリア)

 

 とりあえず周囲に敵の反応はないようだった。

 

テト:あ、学園の簡単な地図がある!

 

 3人は電源室の横にささっていた“学園地図の看板”を眺めた。

 

デス:なるほど、ここから一番近いのが“木之子学園高等部校舎”、次が“中等部校舎”で、その先が“初等部校舎”

テト:一番遠いのが“食堂”と“事務室”なわけだ

デス:本当は一番近いのは大学校舎と体育館なわけだが・・・・

 

 3人は地図で言うところの大学校舎方面の道路の先にある“大きな亀裂“を眺めた。

 

テト:こりゃだめね。地図では事務室からもう1つ道路があって、その道路の先に大学校舎と体育館があるから、そこは事務室の後にしましょう

デス:一応、その道全部を通ることで、学園全部を廻れるようだ

 

 そのとき、つんざくような声が聞こえてきた!

 

『み・・見つかった! わー!、来るなぁぁ!!!!』

 

デス:む、方向はこの先の“学園高等部校舎”方面か

テト:なんか、緊急事態みたいね。升太、急ぐよ!

升太:わかった! “移動してきた学園“にも”生存者“はいたわけだ。良かった・・・

 

 一行は高等部校舎方面の道路を駆け抜け、高等部校舎玄関前にたどり着いた。

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(木之子学園高等部・校舎玄関前)

 

女性:来るな! 来るな!

 

 バシュ! バシュ!

 

 女性は何故か、威力としては低いが、右手から輝く☆マークを数個、怪物に向けて発射していた。

 

デス:む? 魔法? 見たことのない“魔導師”だが、とりあえず応戦だ

テト:はい!

升太:や、やってやるぞ・・・

 

デス:君! 話は後にする。我々も応戦するから、こっちを攻撃しないでくれ!

女性:わ、わかったわ。とにかく私の攻撃じゃ、どうしようもないの!

テト:下級怪物ども、堕ちな!!

 

 バシュ! バキャ!

 

 テトの弾丸とデスの衝撃刃は、次々と女性を襲っていた怪物達を倒していった。倒れた怪物は同じように地面に崩れ落ちて消えていった。

 

升太:うわ! 来るな! 来るな!!

 

 バチッ!!!!

 

怪物:ぐぉおおお・・・

 

 怪物は升太のスタンガンの電流攻撃にも弱かったのか、気絶どころか息絶えて消えていった。そして4人の攻撃で、その場の怪物は全員全滅して消えてしまった。

 

升太:はぁはぁはぁ・・・・

女性:はぁ・・・・はぁ・・・・

テト:二人ともお疲れ様。怪物、もういないよ

 

女性:はぁ・・・助かったわ・・・・しかし全くどうなってるのよ・・・・

デス:それを訊きたいのは私の方なんだが。君はおそらく学校の生徒だと思うのだが、どうして“魔法”を使える?

女性:知らないよ。とにかく突然外が真っ暗になって、教室の生徒も先生も消えていって、残ったのは私だけ・・。教室を出て玄関を目指したら、変なバケモノが出てきて、避けようと夢中で手を振り回していたら、手から☆マークが飛び出してきて・・・。とにかく逃げながら戦いながらで、やっと玄関まで到着したんだけど、見つかっちゃって・・・。“どうしてあんなものが出てきた“なんて、こっちが訊きたいよ・・・

テト:とりあえず素性と名前をお願い

女性:あ! ごめんなさい。私は、木之子学園高等部3年 学生コード“SF-A2”の、『古河ミキ(ふるかわミキ)』って言います。少なくても高等部の生き残りは、私だけだと思います。逃げているとき、生徒と会わなかったし

 

デス:古河ミキ君、その白い服とフードは?

ミキ:あ、“ミキ“でいいです。えっと、この白いコートとフードは学校に着てきた物を羽織ったんです。とにかく緊急で、それに寒かったから、近くにある物で防御を固めたんです

テト:あー、確かに冥界は現世の人間には寒いかもね

 

デス:了解した。我々はこの“異世界”である“冥界”の管理者だ。管理者でありながら情けないが、この事態の原因が分からないため、娘と、部室棟にいた、この升太君と一緒に、原因を調べている

升太:こんにちは、升太と言います

ミキ:こちらこそ

 

テト:少なくても貴方一人で行動するよりは、“生き残る確率”は高くなると思うよ

ミキ:はい、さっきの戦いでよく解りました。まぁこんな訳が分からない所に来ちゃったから、“何故魔法が使える”って質問は、もうやめておきます。私も同行させて下さい

デス:もとよりそのつもりだよ。学園の事も君の方が詳しいと思うからね

ミキ:頑張ります

 

 こうして4人になった一行は、道の先にある“学園中等部”に足を進めた。

 

(続く)

 

CAST

 

主人公・墓火炉 升太(ぼかろ ますた)=升太:とあるボカロマスター

 

案内役の死神小悪魔・重音テト:重音テト

 

料理研究部部長・初音ミクさん:初音ミク

技術研究部部長・鏡音レンさん:鏡音レン

模型研究部部長・鏡音リンさん:鏡音リン

 

温泉&お酒研究部部長・咲音メイコさん:MEIKO

アイス品評研究部部長・工藤海斗さん:KAITO

バトルマスター研究部部長・巡音ルカさん:巡音ルカ

 

アイドル研究部部長・勇気めぐみさん:GUMI

ナスノヨイチ研究部部長・神威学歩さん:神威がくぽ

 

アイドル研究部部員・ソニカさん:SONiKA

ナスノヨイチ研究部部員・レオンさん:LEON

 

木之子学園高等部3年生・古河ミキ:miki(SF-A2 開発コード miki)

 

デス(死神)、ナスノヨイチ、アイドル研究部の観客達、他:エキストラの皆さん

説明
○ボーカロイド小説シリーズ第8作目の”おいでませ! 木之子大学・部室棟へ♪“シリーズの第6話です。
☆初めて、ボカロキャラ以外の“ボカロマスター”を主役に、UTAUのテトをヒロインに持ってきました。
○ノリはいつもの通りですが、部室棟という今までと違った場所での対決をメインにしているのがウリです。
○部室棟や大学のモデルは、私の母校です。

☆この話は、1つ前の“小学校”の“ターニングポイント”に相当する話になります。
☆シナリオ展開が一変します。タイトルとのギャップが、ないでもないですが。
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