恋姫の世界に行ってくる 第十一幕 |
曹操と別れた俺たちは、揚州に来ていた。
孫策に付く気もない。三国のいずれかに付いてもいいんだが、それでは原作通りに
なってしまう可能性がある。
こういう言い方はまずいかも知れんが、それでは面白く無い。先の分かった未来など退屈なだけだ。
だから俺は、違う未来を見てみたい。蜀に付いて三国で仲良くするのでない、
魏に付いて、大陸を覇で覆い尽くすのではない、呉について、魏を打ち倒し二国鼎立するのではない、
全く違った先を見てみたい。だから、呉にも仕えない。
だが、会っておく価値はある。全く違った先でも、彼女達が中心となるのは間違いない。
彼女達が居なくなったら、間違いなくこの大陸は終わるからな。
「兄様、川がありますよ。少し休憩しませんか?」
と、自分の考え事に没頭していた俺に流琉がそう言った。
「そうだな、そろそろ黒兎を休ませるか。それにもう昼時だ。魚でも取って食べるか。」
「はい。」
そう言って川に近づき、黒兎から降りると、
「ああ〜!塩とお酒忘れた〜!どうしよう、このままでもいいんだけど、やっぱり一杯やりながらじゃ
ないとな〜。冥琳に見つかって、焦って来たのが間違いだったな〜」
と、困った声をあげているのは、桃色の髪と、褐色の肌が特徴的な、美人な女性だった。
そして、俺たちに気がつくと、
「うん?あ、もしかして旅の人?ねぇねぇ、もし持ってたらでいいんだけど、
塩とお酒分けてもらえないかな?もちろん只でとは言わないわよ。」
そう言って自分で釣ったであろう、大量の魚を見せる。
「兄様、どうしますか?」
「そうだな、美人の頼みを無下に断るのも良くないしな。
流琉、前に寄った街で買った酒を出してくれるか?」
「はい。」
そう言って荷物を漁る流琉を脇目に、
「あら光栄ね、貴方の様に綺麗な人に言われるなんて。」
またか・・・
「何を勘違いしてるかわからんが、俺は男だぞ。」
「え、嘘!本当に?全然見えないわよ〜」
俺は下ろしていた髪を後ろで雑に纏める。
「これでどうだ?」
「う、たしかに男に見えるけど・・・」
「見えるんじゃなくて男なんだ。」
まあいいさ。
「それよりどうするんだ。魚、食わせてくれるんだろう?」
「ええ、いいわよ。そっちも塩とお酒くれるみたいだし。」
そう言って腰から提げた、南海覇王を抜き、石にぶつけ火を起こす。
「あの、この魚どうやって食べます?簡単になら調理出来ますけど?」
「私、そのまま塩焼きにして食べるのが好きなのよね。そうしてくれる?」
「はい、分かりました。」
流琉はそのまま、内蔵取りの作業に取り掛かる。
「ほらよ、そこそこいい酒だ。俺の名は韓義、字は紅炎だ、こっちは典韋。」
持っていた徳利に酒を入れ、それを手渡す。
「ありがと。こくっ、ふぅ〜。いいお酒ね。
私の名前は孫策、字は伯符。よろしくね♪」
と、ウィンクをしながら言う孫策はかなり可愛らしかった。
「あとは焼くだけですね。もうちょっと待ってくださいね。」
内蔵を取り終わり、魚を串にさして、それを火の前に突き刺す。
「こくっ、ふぅ〜。あら、貴方は飲まないの?」
「徳利が一つしかなくてな。流琉はまだ飲めないし。」
「あら、そうだったの。ごめんね〜、私ばっかり飲んじゃって。」
そう言って徳利を俺に戻す。
「悪いな、「あ、兄様、注ぎますよ。」ありがとう、流琉。」
流琉は本当にいい子だな。
「ねえ、典韋は貴方の事兄様って読んでるけど、兄妹なの?」
「いや、流琉は俺が旅をしてる途中で出会ってな、それ以来そう呼ばれてるだけだよ。」
そう言うと孫策は、
「ふ〜ん。旅をねぇ。あ、そろそろいいんじゃない。」
孫策は魚を一匹手に取りかぶりつく。
「う〜ん、おいし〜。やっぱり魚は塩焼きに限るわね。貴方達もどうぞ。」
「なら頂くか。」
「はい、頂きます。」
そう言って食べ始め、軽く会話を挟みながら、魚を食べ終える。
「ふぅ〜。お腹いっぱい。ご馳走様。」
「「ご馳走様。」でした。」
「そういえば孫策といったな、虎の娘がこんなところに居ていいのか?」
「あら、母様の事を知ってるの?」
「まぁな。」
最近知ったが、やはりこの世界でも孫堅は死んでいた。だから孫策は今袁術の客将に
なっている。
「ちょっと今面倒なことが多くてね〜。毎日机に齧り付いて書類仕事ばっかり、
少し息抜きしたかったんだ。」
「そうか、だがいつまでものんびりしてる訳にもいかないようだな。」
そう言って立ち上がる。
「え、どうしてよ。もうちょっと飲みま「雪蓮!」うわ、冥琳!」
孫策の後ろに立ち、般若の如き顔で睨みつけている、周瑜の姿があった。
「あはは〜、冥琳どうしたの〜こんなところで・・・」
「雪蓮、それはこっちの台詞だ。こんなところで何をしている。まだ今日の分の
書類は終わっていないぞ。ん、貴方は?」
「只の旅人だよ。さっきまで孫策と昼飯を食べていてな。」
「そうか、すまない。我々はここらで失礼する。ほら雪蓮、帰るぞ!」
そう言って、孫策の首根っこを掴み歩き出す。
「ああ〜ん、冥琳のいけず〜。いいじゃないちょっとぐらい。」
「ちょっとと言って半日も城を空ける太守がどこにいる!さあ帰るぞ。」
「ぶ〜ぶ〜。冥琳のわからz「何か言ったか?」何も言ってませ〜ん。」
渋々馬に乗り、帰ろうとする孫策。
「じゃあな、孫策。魚美味しかったぜ。」
「ええ、お酒の方も美味しかったわ。また機会があったら会いましょう。」
そして、周瑜と護衛の兵を連れて帰っていった。
「なんか、賑やかな人でしたね。」
「ふっ、そうだな。よし、腹も膨れたし出発するか。」
「はい、兄様。」
あとがき
こんにちはnontanです。
今回は少なめで。
という訳で、オリジナリティを増やすため三国には付かず、
その他の勢力に付かせます。
あ、袁家は有り得ませんよ。
ご意見、ご感想、ご指摘があればコメントしていただけると嬉しいです。
でわでわ
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自由人こと孫策さんです。 |
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