恋姫の世界に行ってくる 第十二幕 |
孫策と昼飯を食べてから、数週間。今は荊州に来ている。
この辺に特に会いたい人間はいないので、流琉と物見遊山の気分であちこちまわっている。
今は襄陽の街に来ている。
「兄様、あと何か買っておくもの無いですか?あるなら今日の内に買っておきましょう。」
「いや、特には無いな。流琉の方こそ何かないか?」
「私はもう買いました。」
「そうか、ならあの店でお茶でも飲まないか?」
「はい!」
そんなに嬉しいのか。まぁ、喜んで貰えるならそれでいいんだが。」
「店主、お茶を二人分。あと何か甘いものも二つ。」
「まいど〜!」
そう言って、店先にあるテラスの様な席に座る。
「さて、最近は本当に賊が増えてきたな。いちいち相手をするのも面倒だな。」
「何千人を一人で相手取って死なない兄様が言うのは・・・
けど、本当に増えてきましたね。何でも、黄巾党っていう人達らしいですよ。
漢軍が討伐に乗り出したんですけど、あっけなく終わって、各諸侯に討伐の勅が出たらしいです。」
「まぁ、平和ボケした漢軍じゃぁ仕方がないさ。それよりも遂に諸侯に勅が出たか。
荒れるな。」
「「っっ!」」
「どういうことですか兄様?諸侯が討伐に乗り出したんだから、
終息に向かうんじゃ?」
流琉にも、大局を見る目を養わせたほうがいいか・・・
「ああ、黄巾党は間違い無く負ける。いくら数が多くとも、一騎当千の武将や
神算鬼謀を持つ智将の居る諸侯に勝つことは出来ないだろう。」
「じゃあ、なんで荒れるんですか?」
「お待たせしました。お茶と茶菓子です。」
俺はお茶を一口飲み、
「じゃあ流琉に問題だ。漢軍が賊に負ける、これは何を意味している?」
流琉は少し考えた後、
「漢王朝に力が無いこと、ですか?」
「正解だ。たかが賊に負ける様な王朝は、もう長くは持たない。
そこでだ、この乱に乗じて自分の名を上げようとするものが現れる。誰だと思う?」
「えっと、天下統一を狙う人かな、例えば曹操様とか・・・」
「正解だ。すごいぞ流琉。」
流琉を鍛えてるとき分かったが、流琉は褒めて伸びる方なのだ。
だから俺は、流琉の頭を撫でてあげた。
「えへへ。」
「天下を狙う理由はそれぞれだ。自分の欲の為。民を守るため。様々だろう。
だが、その理由の違いが争いを生み出す。
自らの理想は貫き通さなければ、実現しないからな。」
「成程。この乱で名を上げた人たちが、理想を実現させるために争い合う。
だから、荒れるんですね。」
「その通りだ。この乱を皮切りに大陸は荒れる。だから俺もそろそろ決めないとな。」
そう言ってお茶を飲み干す。
「まぁ、この辺はまだ平和な方だろう。賊はいずれ数が膨れ上がり、補給が間に合わなくなる。
そうなれば諸侯は、その補給路を絶つ様に動くだろう。そうなれば大軍は少ない食料を
消費しまくり、戦力を低下させる。そこを突かれれば一溜りもないだろう。
袁紹、袁術、孫策、曹操、公孫賛、馬騰。この諸侯以外は殆ど有象無象。
だから、黄巾党の流れる地は、北。青州かあるいは冀州辺りだろう。」
がたっ!
「すみません。御名前をお聞きしてもよろしいですか・・・」
俺の考えを言い終わると、隣に座っていた二人がいきなり立ち上がり名を訪ねてきた。
「そういう時は自分から名乗るものでは?」
「申し訳ありません。礼を失しました。
私の名は司馬懿。字を仲達と申します。以後お見知りおきを。」
そう言って頭を下げる司馬懿。
身長は170cm程で青い髪を肩まで伸ばし、大人な雰囲気を持っている少女だ。
腰からは剣を提げている。
容姿は言うまでも無く美少女だ。
「徐庶、字は元直。」
こちらも凄い名前が出てきたもんだ。
徐庶と名乗った女の子は身長は160ぐらいで、小柄だ。
髪は紅く、背中の辺りまで伸びている。
「俺の名前は韓義、字は紅炎。こっちは典韋だ。「よろしくお願いします。」
それで、俺の話を聞いていたようだが?」
なんとなくは気づいていたが、あえて何も言わなかったが。
まさかこんな大御所が出てくるとは・・・
「はい、まずは盗み聞きの様な真似をしてしまった事、お詫びします。
それで、聞きたいことがあるのですが。お二人は誰かにお仕えしていますか?」
「いや、していない。さっきのは自分で考えたまでだ。
大陸を旅していてな。噂や自分で聞いたことを元にな。」
「っ!そうですか。あれだけの考え、噂や聞いたことだけで考えられたとは思えませんな・・・」
実際に違う。あの考えは、俺の頭の中にある知識と歴史。そしてこの世界の事を
合わせて考えたものだ。あれだけの考えを細作も無しに考えられるのは人智を超えている。
「席、よろしいですか?」
今まで殆ど話さなかった徐庶が言った。
「ああ、いいぞ。流琉もいいな?」
「はい、もちろんです。」
「すみません、失礼します。」
「します。」
どうやら徐庶は必要な事以外あまり話さないようだ。
「それにしても兄様は凄いですね。慈悲深き死神なんて呼ばれるぐらい強くて、
さっきみたいな智も持っているなんて。」
そう流琉が言うと二人は驚き、
「韓義殿。貴方が慈悲深き死神なのですか?」
と、司馬懿が聞いてきた。
「ああ、自分で名乗った覚えはないがな・・・」
「・・・まさかこんなところで会えるとは。やっと会うことができましたね、流里(るり)。」
「こくっ」
やっと会うことが出来た?
「どういう事だ?まるで俺を探してたようだが?」
「はい、私達は今まで色々な場所を旅してきました。
その行く先々で、貴方の話を聞きました。賊から村を守り、不作で困っている畑の持ち主に
肥料や育て方の助言をしたり。私達もその肥料の作り方や育て方を聞きましたが、
今では考えられないようなものばかりでした。
なので一度あって話がしたいと思っておりました。」
まぁ、肥料も育てかたも千年以上後の物だからな。知らなくて当然だろう。
「質問、いいですか?」
と、徐庶が尋ねる。
「何かな?」
「貴方がもし戦争に巻き込まれたとき、貴方は何の為に戦う?」
何の為か・・・以前は無かったが、
「そうだな。流琉を守るためにだな。」
「え、私ですか!」
「俺には今大切な人が流琉しかいないからな。俺に見たことも会ったことも無い人の
為に戦うなんて無理だな。」
「・・・次です。貴方が領地を持ったとして初めに何をする?」
何をするかか、
「俺なら、まずは街を見に行くな。書類だけでは分からない物が多い。
実際に見れば改善点も見つかるし、民と接する事も出来るしな。」
「・・・最後。貴方はこの大陸をどうしたい?」
どうしたいか・・・
「俺は、俺の手の届く範囲の人間が苦しまないで、普通に暮らせるとこにするな。
大陸全てを治めるなんて俺には無理だ。だが、このまま黙って何もしないのも無理だ。
だから、俺は自分と自分を支えてくれる人間が苦しまず生きていける世の中にしたい。
俺一人で出来ることなんて限られてるしな。」
「分かった。穂花(ほのか)。決めた。」
「私もよ、流里。」
何を決めたってんだ?
「韓義様、私達はこの世を憂いどうにかしたいと思い、水鏡塾に入り知識を蓄えました。
そして、卒業を言い渡されてから二人で、主に相応しき人物を探してきました。
ですが、大抵は己のことしか考えていませんでした。
そんななか、貴方の噂を聞き、こうして実際に話をし、
貴方が仕えるべき主であると確信しました。」
「・・・俺は只の流浪の旅人だぞ。」
「自分でこのまま黙って何もしないのも無理と言った。なら私達は貴方が何かを始める時、
この智を振るう。」
「・・・分かった。だが仕えるってのはやめてくれ。今は只の旅人。
俺に部下は要らない。欲しいのは信頼できる仲間だ。それでもいいか?」
「はい、勿論です。性は司馬、名は懿。真名は穂花です。これからよろしくお願いします。」
「徐庶。真名は流里。よろしく。」
「あの、私は典韋。真名は流琉って言います。よろしくお願いします。」
「俺の真名は海斗だ。二人ともこれからはよろしく頼むぞ。」
「「御意」」
こうして、稀代の天才軍師二人が仲間に加わった。
あとがき
二話連続投降です。
軍師が仲間入りです。なんでこんなところに居るのかは
気にしたら負けですよ。
そろそろ旅も終わらせたいと思っています。
ご意見、ご感想、ご指摘があればコメントしていただけると嬉しいです。
でわでわ
説明 | ||
旅の新しい仲間が登場です。 オリキャラです。 |
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