IS レジェンドウォーズ 15話 転校生 |
Side一夏
俺は今簪と実家にいる。目的は俺たちの婚約についてだ。
ここで俺の更識家での立場を説明しておこう。
四年程前に引き取られた俺は更識家の長男ということになった。更識初音の弟だが簪とは兄と妹、または姉と弟のどっちかはっきりしない関係だ。(理由はデジタルワールドでの冒険でお互いのことを意識し始めていたので、どちらかが上ではなく対等という感じで接していたからだ)それが今回の婚約で簪の婚約者となった。ほんとうれしい限りだ。
俺達がうちの門に入ると、
「「「「「「おかえりなさいませ。簪様、一夏様」」」」」」
更識家の使用人や従者、構成員のみなさんが勢ぞろいしていた。
「簪様、一夏様」
話しかけてきたのは義父さんが現役の頃、部下だった人の一人でいまでもときどき二人で酒を飲んだりしてる人だ。
「前当主、奥さまは屋敷の大広間にてお待ちしています。どうぞこちらへ」
「はい」
「ありがとうございます」
大広間に向かっていった。
Side out
Side秋人
昼間に親友の五反田弾の家で昼食を食べて寮に戻ってきた。今の部屋には俺だけだ。昨日箒は部屋の段取りがついたのから別の部屋に移った。姉さんにこってり絞られたのかあの日以来どことなく僕と少しギクシャクしていたからちょうど良かったかもしれない。
明日の予習を終えて寝ようとしたらドアがノックされた。
開けてみると箒がいた。
「どうしたの?箒」
「う、うむ。ちょっと話があってな」
「話?」
「こ、今度の学年別トーナメントで私が優勝したら」
「優勝したら?」
「つ、つ、つきあってもらう!」
「はい?」
――次の日――
教室に入るとみんなカタログを手に持って談笑していた。
「やっぱりハヅキ社製のほうがいいかな?」
「え〜?ハヅキのってデザインだけでしょ?」
「そのデザインがいいの!」
「私は性能的に見てミューレイのほうがいいかな」
「あ〜あそこのスムーズモデル?」
どうやらISスーツについてみたいだ。
「あ、織斑君おはよう。そういえば織斑君のスーツってどこのやつ?」
「確か特注品だって。男のスーツがないから白式の開発元の倉持技研がイングリット社のストレートアームモデルを改造したって聞いてる」
ちなみにISはISスーツなしでも動かせるけどそれだと反応速度がどうしても鈍ってしまう。
「ISスーツは肌表面の微弱の電位差を検知して、操縦者の動きをダイレクトに各部位に伝達、ISはそこで必要な動きをするんだ」
「へ〜。織斑君詳しいね」
「追加しますと、このISスーツは耐久性にも優れ、一般的な小口径拳銃の銃弾程度なら完全に受け止めることができます。あ、衝撃は消えませんのであしからず」
僕の説明の補足をすらすらとしてくれたのは山田先生だった。
「さすが山ちゃん詳しい!」
「先生ですからって山ちゃん!?」
山田先生とみんながしばらく山田先生のあだ名についてわいわい話していると、姉さんが入ってきた。
「諸君、おはよう」
『お、おはとうございます』
姉さんの言葉にすぐに席に着くみんな。
「更識はどうした?」
そういえば兄さんの姿が見えない。
「いっちーなら、少し遅れるって言ってました」
「そうか。山田先生SHRを」
「今日のSHRですがみなさんになんと転校生を紹介します。しかも二人です!」
「「「えええー!」」」
山田先生の言葉に驚くみんな。そして教室のドアが開いた。
「失礼します」
「……………」
入ってきた二人、正確には金髪の少年(・・)を見てみんなが固まる。
礼儀正しい立ち振る舞いに中世的に整った顔立ち。髪は首を後ろで丁寧にまとめている。
「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。この国では不慣れなことが多いかもしれませんがみなさんよろしくお願いします」
「お、男?」
誰かが呟く。
「はい。こちらに僕と同じ境遇の方がいらっしゃると聞いて本国から転入を――」
準備完了。
「きゃ…」
3・2・1
「「「「「「きゃあああああああああ!!!」」」」」」
く、そ、ソニックブームだと!?
「男子!三人目の男子!」
「しかも美形!守ってあげたくなる系の!」
「地球に生まれてよかった〜!」
元気だなウチのクラスは。そんなに騒ぐと
「静かにしろ!」
姉さんの鶴の一声で静かになるみんな。
「まだ自己紹介は終わっていない」
もう一人の転校生に視線を向けるみんな。
腰近くまでおろした長い銀髪に医療用ではない眼帯をつけた左目に着けた出で立ち。その印象はまさに『軍人』だった。開いている右目は赤く染まっているが、とても冷たい感じだ。
「………」
黙ったままたたずみ、クラスを見る目はどこか見下しているようだ。
「挨拶をしろ。ラウラ」
「はい、教官」
そういって敬礼をする。
「は〜。私はもう教官ではない。ここでは織斑先生と呼べ」
「了解しました」
姉さんのことを教官って呼ぶってことはドイツ時代の教え子ってことか。
「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」
「あ、あの、以上ですか?」
「以上だ」
僕と視線が合うと
「貴様が!」
手を振り上げて
――ガシッ
「何やってんだ?お前」
その手はいつの間にか来ていた兄さんに掴まれていた。
「く、離せ!」
「ほい」
「ぬあ!?」
ボーデヴィッヒさんが振りほどこうとするとその力を利用して彼女の体勢を崩す兄さん。
「く、何者だ貴様!」
「ここの生徒会副会長だ。問題ごとを起こすなよ転校生、身の程をわきまえろ」
「なんだと!」
敵意をむき出しにするボーデヴィッヒさんを無視して席に着く兄さん。どことなく疲れているようだ。
「あー、でわ、SHRを終わる。各人はすぐに着替えて第二グラウンドに集合。今日は一年生全クラスでの合同でISでの模擬戦闘を行う。解散!」
そういって強引にSHRを終わらせる姉さん。
「織斑、更識、デュノアの面倒を見てやってくれ。同じ男子だろう」
「はい」
「お断りします」
「「え?」」
声を出したのは僕とデュノアだった。
「なぜだ?」
「ちょっと織斑先生に話があるからです」
「いますぐか?」
「ええ」
「わかった」
そういって出ていく二人。
「え、えと、君が織斑君?初めまして。僕は――」
「あー、ごめん。今はとにかく移動が先。みんなが着替え始めるから」
僕はデュノアの手を掴んで引っ張っていく。
「男子は空いてるアリーナの更衣室で着替えだから毎回実習のたびにこの移動をするんだ。早めに慣れてくれ」
急がないとそろそろ
「あ〜転校生発見!」
「しかも織斑君と手つないでいる!」
「ものどもであえであえ!」
いつからここは大名屋敷になったんだ!?とにかく
「急ぐぞ!」
「ねえ、なんでみんな騒いでるの?」
「そりゃ、世界に三人しかいない男子が珍しいからでしょ?」
「あ、うん。そうだね」
そして、僕たちは女子たちの魔の手から逃亡を開始した。
Side out
Side千冬
「なんだ、はなしとは?」
私はあまり人のいない場所でかつての弟の一夏に問いかける。正直、こうして向き合うだけで一夏への罪悪感に襲われる。
「今回、この学園にもう一人転校生が来たことは知っていますよね?」
「ああ、たしか三組だったか?」
「その転校生についてまとめた資料がここにあります。見てください」
更識が取り出した資料を受け取り目を通す。
「な!?こ、これは」
そこには信じられないことが書かれていた。
「本当のことなのか!?これは!」
「ええ。本当です。だから、織斑先生にいくつか約束してほしいことがあるんです」
「約束してほしいこと?」
「それは――」
Side out
シャルル・デュノアとラウラ・ボーデヴィッヒが一組に転校生として紹介されていたころ三組では
「えー、今日からこの三組に転校してきた子です。仲良くしてくださいねー」
担任の声に誰も反応しない。
なぜならその転校生の
「みなさん初めまして」
顔が
「今日からこのクラスに転入してきた」
織斑千冬に
「高月」
そっくりだったのだから。
「円夏です。よろしくお願いします」
あとがき
初めてのあとがきです。竜羽です。
今回は原作二巻に突入です。
性格がまるっきり違う人がいますがそれは桜花さんたちの教育の賜物と思ってください。
次の更新もなるべく早くできるよう頑張ります。
説明 | ||
2巻突入。 どうぞ |
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コメント | ||
更新お疲れさまです、ラウラとシャルは原作通りですが三組に転校して来た存在は何なのか気になります、それとラウラは一夏の事を知っているのでしょうか(kusari) こっからは未知の領域になる訳ですね分ります(笑)というか後書きの内容からして、マドカは一夏サイドに居るという風に考えれば良いんでしょうか?敵サイドの勢力がインフレを起こしそうだ…。(神薙) |
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