ハイスクールD×D×D 第1章 旧校舎のディアボロス 第12話 神父、いかれてます |
第12話 神父、いかれてます
Side龍道 総司
あのはぐれ悪魔討伐の次の日
あれがなんだったのか?と言う話し合いが行われたが当然わかることも無く深夜になっていった
だがなんとなく予想がついてしまう俺もいる
あれはGXでマルタン(ユベル憑依)が行ったカード実体化の融合なんじゃないか?
それにバイザー達は魂の牢獄かなんかでカードにされたんじゃないか?
そう思えてしょうがない
もしそうだとしたらこの世界は東方Project×ハイスクールD×Dではなく
東方Project×ハイスクールD×D×遊戯王の世界と言う事になる
そうだとしたらにとりと製作中のソリッドビジョンシステムが完成したら修行をしといたほうがいいな
そんなことを考えながら今回の依頼者のお宅の前にイッセーと一緒に来た俺
イッセーが無理やりスキマに入ってきやがったから一緒に来る羽目になった
イッセーを待っている間にいろいろ考えるのが楽しいのに
唯一つ気になるのが……血の臭いがすることだ
イッセーがブザーを押そうとしたが玄関口が開いていることに気付いた
「イッセー、気を付けろ。血の臭いがする」
「え?血の臭いって……」
まさか、こいつはあれか?あのいかれ神父なのか?
だとしたら俺がやることは一つだな
そんなことを考えながらも俺たちは一歩を踏み出していた
廊下にも二階へ続く階段にも電気はついてない
奥の部屋だけは灯りがついているが、淡い光だ
……こいつは気配がないな、外に1名、中に1名
外の方は結界を張っているのか?で、中の方は狂気を振りまいている
これはいかれ神父で確定だな
「……ちわース。グレモリー様の使いの悪魔「とそのお守り」ですけど……
依頼者の方、いらっしゃいます?」
居るだろうが、死んでるだろうな
目の前で苦しむ亡霊の姿が俺には見えるよ、普通の死に方ではこんなことにはならない
俺がそんなことを考えながらも奥の部屋にイッセーと入る
そこはリビングだった。立った一つの点を除けば普通のな
「ゴボッ」
「大丈夫か?お前はつい最近まで普通の人間だったんだからな」
「大丈夫じゃねえよ、なんでこんな惨い事が……」
俺が吐いたイッセーに向かって声をかけると返事を返してきた
そりゃそうだ。大丈夫な訳がない、こんなものを見て
切り刻まれ臓物らしきものを傷口からこぼしている死体
それを上下逆さまで壁に貼り付けられている
太くてデカい釘が両の手のひら、胴体の中心に打ちつけられてるし
俺が半妖として残酷なものに慣れてなかったら吐いてただろうな
半妖だったからそりゃ人間の死体位見たしな、ガキの頃
だがそうだとしてもこれは酷いと思う。酷過ぎる!
血が床に滴り落ちて、血だまりとなっている
ん?後ろから気配がするな、こいつが狂気の原因か
「な、なんだ、これ……」
「『悪いことする人はおしおきよ!』って、聖なるお方の言葉を借りたものさ」
「どちらかって言うと虐殺だと思うがね、性格破綻者!」
後ろの方から若い男の声がしたから振り向くと、白髪の若い十代くらいの外国人がいた
やっぱり手前か!原作でもしつこくしつこく表れて最後に瞬殺されたいかれ神父!
フリード・ヒルゼン!!
やつはこちら、いやイッセーを見てニンマリと笑う
「んーんー。これはこれは、悪魔くんではあーりませんか!
そんな悪魔くんと一緒にいるクズには言われたくねえんだよねえ!」
原作の中でも俺が特に気に食わなかった奴だな
特に死ぬ前にした行動が気に食わねえ
この嬉しそうな顔をしているこいつはぶちのめさないとな
「僕は神父♪少年神父〜♪デビルな輩をぶった斬り〜、ニヒルな俺が嘲笑う〜♪
おまえら、悪魔の首刎ねて〜、俺はおまんま貰うのさ〜♪」
「クソ気持ち悪い歌唄ってんじゃねえよ!」
本当にムカつく野郎だな!
「だからさっきからウゼェンだよ!悪魔なんかと一緒にいるクズ如きが生意気に口を利いてんじゃねぇよ!……まあいっか、おまえらすぐに死ねるから
俺の名前はフリード・ヒルゼン。とある悪魔祓い組織に所属している末端でございますよ
あ、別に俺が名乗ったからって、お前らは名乗らなくていいよ
俺の脳容量にお前らの名前なんざメモリしたくないから、やめてちょ。だいじょうぶ、さっきも言ったけどすぐに死ねるから。俺がそうしてあげる
最初は痛いかもしれないけど、すぐに泣けるほど快感になるから。新たな扉を開こうZE!」
生で聞くととんでもないほど気持ち悪いな、此奴の言葉はよ!
イッセーが生唾を飲みながらいかれ神父に声をかける
「おい、おまえか?この人を殺したのは?」
「イエスイエス。俺が殺っちゃいました。だt「そうかなら死ね!
―――――結界『生と死の境界』―――――!!」うわ!
いきなり危ねえな!何しやがる!悪魔と一緒にいるクズのくせに抵抗なんてしてくれちゃって!ふざけんなよ!」
霊夢から借りて複製した陰陽玉をスキマから取り出して小さい弾幕を陰陽玉から放つ
するとキレて光の剣を出してきた
切りかかって来るが俺はそれを避ける
無駄無駄!今度はこれでも食らえ!
俺はさらに紫色の蝶の弾幕と大きな赤い弾幕も放つ!
「グオッ!」
「如何したんだよ?粋がっておいてその程度かよ?
イッセー、大丈夫か?」
「ああ、お前のスキマのおかげで……って、俺がけがする原因はお前の攻撃しかねえだろ!」
母さんの技だがうまく決まったな
見事にクリーンヒットしたから弾幕を一端消しながらイッセーに声をかける
するとイッセーに突っ込みを入れられる
というかあいつぶったおしたんd……
「……んー。……あらら、クズ悪魔と一緒にいるようなクズに傷つけられたうえ、無視されてますよ、俺っちゃんってば……。――っけんな」
「な!?あれを喰らってまだ立ち上がれるのかよ!
俺は一発でダウンしたって言うのに」
確かにこいつは予想外だな、結構な力を込めて放った弾幕だったんだが
本当に黒光りするG並みの耐久力だな!
イッセーを前に訓練してやった時は確かに一発でピチュってたが
「ふざけんなよッ!クソがぁああああっ!何、悪魔と一緒にいるクソの分際でチョーシくれてんだよぉおおおおッ!
殺す!絶対にだ!ぶっ殺す!徹底的に刻みまくってやるよ!、クソがぁああああ!」
「ぐあぁぁ!」
「イッセー!?」
いかれ神父が立ち上がったと思ったら俺を無視してイッセーを攻撃しやがった
光の剣でイッセーに切りかかったのを綺麗に避けたと思った瞬間、イッセーが悲鳴を上げる
ちっ!祓魔弾か!今のイッセーじゃ確かに俺が悪魔化してからいくらか修行を付けてるといえ避けれるわけがない
「まずはクソ悪魔からだ!どうよ!光の弾丸を放つエクソシスト特製の祓魔弾は!
銃声音なんざ発しません。光の弾ですからねぃ
達してしまいそうな快感が俺と君を襲うだろ?」
っち!光なんて弱点があるから困る!
「死ね死ね悪魔!死ね悪魔!塵になって、宙に舞え!
全部、俺様の悦楽のためにぃ!」
「イッセー下がってろ!その足じゃ無理だ!」
イッセーに向かって止めを刺そうと切りかかるいかれ神父
その攻撃をスキマから取り出した(橙に作ってもらったのを能力を使って改造した)妖刀村雨で受け止める
「やめてください!」
そこへ聞き覚えのない女性の声が聞こえてきた
Sideout
Side兵藤 一誠
俺が神父の光の激痛にのた打ち回っていた時
止めを刺そうと剣で切りかかろうと神父がしてきた
それを俺の目の前で刀で受け止めようとする総司
「やめてください!」
総司と神父が刀と剣をぶつけ合ったその時、聞き覚えある女性の声が聞こえてきた
総司と神父は鍔迫り合いの恰好のまま、動きを止め、視線だけ声の下方向に声を向ける
俺も視線だけそちらへ
―――っ。
なんで此処にいるんだ?なんでキミが此処にいるんだよ!
俺はその子の事を知っていた
「アーシア」
教会に俺が送って行った金髪のシスター、アーシアがそこにいた
「おんや、助手のアーシアちゃんじゃあーりませんか。どうしたの?
結界は貼り終わったのかな?」
「!い、いやぁぁぁぁぁっ!!」
助手?俺がその言葉に気になったのも束の間、アーシアは壁に打ち付けられているこの家の者の遺体を見て、悲鳴を上げた
そこで俺は少しだけ安心した。アーシアはこいつらの仲間じゃないのか、と
だがそれもすぐに終わる。この状態で安心なんてしてられない!
「かわいい悲鳴ありがとうございます!そっか、アーシアちゃんはこの手の死体は初めてですかねぇ
ならなら、よーく、徳と御覧なさいな
悪魔くんに魅入られたダメ人間さんはそうやって死んでもらうのですよぉ」
「ふざけんな!悪魔よりお前の方がよっぽど悪魔だよ、この狂人が!」
「黙ってろよ!悪魔と行動するクソが何度も俺と口を利いてんじゃねぇよ!」
「え?悪魔って誰が……。ここには人しか……」
「人?違う違う。そいつはクソ悪魔くんだよ
ハハハ、何を勘違いしているのかなかな」
「―――っ。イッセーさんが……悪魔……?」
「(どうやらアーシアは原作通りの性格のようだな
だったら……このままこいつ等のとこに置いておく訳にはいかない!)」
アーシアがその事実がショックだったのか、言葉を詰まらせていた
それに対して総司は更に神父を鋭く睨みつける
「なになに?キミら知り合い?わーお。これは驚き大革命
悪魔とシスターの許されざる恋とかそういうの?マジ?マジ?」
面白おかしそうにフリードとか言う神父は俺とアーシアを交互に見ている
……知られたくなかった
あのままでよかった。知らないままでよかったんだ。俺はもう二度と会えない事は分かってたし、会うつもりも無かったのだから
通りすがりの気のいい高校生で良かったんだ。人間だと勘違いしたまま二度と会えなくてもそれで良かったんだ
なんというか、参ったね。嫌な運命だ。アーシアの視線が痛い
遊戯王の斎王みたいな未来を見通す力があったらと心から思ったのはこれが初めてだよ
ごめん。悪魔でごめんよ
「アハハ!悪魔と人間は相容れません!特に教会関係者と悪魔ってのは天敵さ!」
「それはどうかな?」
「何!?」
「俺はいろんなハーフを見た事が有るが悪魔と教会関係者のハーフくらい既にみた事あるよ、妄言もいい加減にしろ!
大体、三勢力はな、今和解をしようとしてるんだぜ?
何時代遅れなこと言ってんだよ、このやられ役が!」
「え?和解?」
「そうだよ……アーシアとか言ったよな
悪魔、堕天使、天使はもうすぐ和解をする事が決定している
もう悪魔がどうとか関係ないんだよ!」
「なんだと!ふざけんなよ!悪魔と堕天使が和解だぁ!
俺は悪魔を殺して楽しみたいんだよ!神に見放されて堕天使のもとで悪魔狩りしてるのにふざけんなよ!
何でクソ悪魔なんかと和解なんてしなきゃいけないんだよ!」
神に見放された?この神父は神様のもとで働いてるんじゃないのか?
「イッセーさんはクソ悪魔なんかじゃありません!いい人です!
悪魔だってわかってもそれは変わりません!人を殺すなんて許されません!
こんなの!こんなの主が許すわけありません!」
―――っ!
俺はアーシアの言葉に心打たれていた
総司の言うとおり、和解をするにしても反抗するものが出る、それが組織だと誰もが言っていた
死体を見かけ、俺が悪魔だと知り、ショックを受けていたであろうはずなのにアーシアは意思を崩すことなく、神父に物言いしていた
何て精神の強い子だろうか。すげぇよ、この子
「キミの言うとおりだな、だからはぐれになったんだろうよ!
知ってるぞフリード・ヒルゼン!手前は裏の賞金首にも載ってたからな
悪魔だけでなく、やり過ぎだと注意する他の悪魔祓い(エクソシスト)も殺したらしいじゃないか
手前みたいなのが悪魔悪魔言うなんて大概にしやがれよ!」
総司が鍔迫り合っていた刀を戻して切りかかる
それを光の剣で防ぎ、拳銃から光の弾を打ち出す神父
総司は拳銃の先にスキマを作り出しそれを神父の膝の裏あたりにスキマを開いてそのままぶち当てる
「痛ぇええええええええ!!てめぇ!何しやがった!」
「いい加減沈め!―――――抜刀『村雨一閃』―――――!」
片膝を地面に着いた神父を蹴りとばし一端刀を鞘にしまった総司
それを居合斬りの要領で鞘から抜くと刀から水が飛び出て神父に向かう
「ちっ!俺的には悪魔の仲間に殺されるのはカンベンと思う心情なので、退散したいねぇ
悪霊退治できないのは残念だけどぉ、でも死ぬのは嫌だよね!
ってことで、逃げさせてもらうよ!んじゃ、ばいちゃ」
神父が懐から緑色の球を取り出すと地面に投げつける
すると攻撃が当たる寸前に緑色の煙に包まれて消えて行った
「おいおい、モンスターハンターのモドリ玉かよ」
言われてみればモンスターハンターのモドリ玉に似ている
俺がそんなことを考えていると俺たちの前に光が走る。青い光は徐々にとある形を作っていく
―――魔法陣だ
しかも俺はこれを知っている。グレモリー眷属の魔法陣!
ちょっと今更感が漂ってるけど……
カッ!
床に描かれた魔法陣が光り見知った人たち、いや悪魔たちが出てくる
「兵藤くん、助けにきt……?」
「これはいったいどういう事かしら?」
よく見渡してみると確かにカオスな空間があった
俺の近くにいるシスター服姿のアーシア
俺とアーシアを庇うように前に立ち刀を構える総司
そしてでっかい穴が開いた壁
ここで敵がいれば絵になるんだろうけどな……
俺はそんな現実逃避をしていた
「いや、俺がはぐれに止めを刺そうとしたら逃げられたってところだ」
「そう、分かったわ
それより……イッセー怪我をしたの?」
「あ、すみません……。そ、その、撃たれちゃって……」
「撃たれたって……
イッセーさん、これで大丈夫でしょうか?」
アーシアの表情が曇ったと思ったら怪我をしている部分であるふくらはぎに手を当てる
俺のふくらはぎを温かく、優しい光が照らす
本当に、温かい光だ。緑色の光。さっきの光の弾丸とは違って優しい光。アーシアの瞳と同じで綺麗だ
彼女の優しさが光に込められているような気がした
「悪魔を治す神器!?
それにどうして教会のシスターが……?
まだ総司の言う和解とやらもされていないのに……」
「!部長、それどころではないようですわ
この家に堕天使らしき者たちが複数近づいてきてますわ
このままでは、こちらが不利になります」
総司がいるから大丈夫だと一瞬思ったけどすぐに考えを改めた
此処は市街地、俺たちは思いっきりやれないけど堕天使はそうとは限らない
確かに不利になる
「……朱乃、イッセーを回収しだい、本拠地へ帰還するわ。ジャンプの用意を
総司はそのシスターを連れて行ってちょうだい
イッセーを助けてくれたし悪い子ではない気がするわ
それに、その子の神器は……」
「もともとそのつもりだ」
それから、朱乃さんの詠唱が終わり、床の魔法陣が再び青く光りだした
そして俺たちは部室へ転移した
Sideout
Side龍道 総司
「イッセーたちも行ったみたいだし俺たちも行こうか」
「はい、でもどうやって……」
「安心しろ、俺はイッセーと違って悪魔ではないが人間でもない」
「え?」
疑問に思うアーシアに俺はすぐさま答えた
「俺はな、仙人の父さんと妖怪の母さんとの間に生まれた半妖なんだよ
で、母さんから受け継いだ能力がこれだ」
俺は目の前にスキマを展開する
相も変わらず目玉がいっぱい見えるな
「なんですか!?目がいっぱい浮いています!」
「これは俺が母さんから受け継いだ能力、境界を操る程度の能力
実体・概念、問わずにありとあらゆる境界を操る力
神にも匹敵すると言われている能力でもある
そしてこれはスキマと呼ばれている。空間と空間の境界を弄ってるんだ
さて、俺たちの根城に案内しよう」
俺はアーシアの手を取り部室へと続くスキマに足を進めた
そして部室にて……
「私はアーシアと言います」
とりあえず自己紹介をした
最後にアーシアが自分の名前を紹介する
するとイッセーがアーシアに尋ねた
「どうしてアーシアはあんな奴と?」
「実は……(少女説明開始)……」
そこでアーシアの口から語られたのは「聖女」とまつられた少女の末路だった
欧州のとある地方で生まれた少女は生まれてすぐに両親から捨てられた
捨てられた先の教会兼孤児院でシスターと他の孤児たちと共に育てられる
子供のころから信仰深く育てられた少女の身に力が宿ったのは、八つの頃だ
「信仰深く育てられた」ってどう聞いても洗脳にしか思えないが……
まあ、それより話の続きだ
偶然、負傷した子犬のケガを不思議な力で治療したところをカトリック教会の関係者に見つけられる
それから、少女の運命は変わりだす。アルカナフォースで言うなら「正位置」に見える「逆位置」の方向に
少女は、カトリック教会の本部に連れて行かれ治癒の力を宿した「聖女」として、担ぎ出された
訪れる信者に加護と称して、体の悪い所を治療する
噂は噂を呼び、少女は多くの信者から「聖女」として崇められた
少女の意思など関係なしに
まずこの時点でおかしい。人の意思は尊重するものだ
これが人ゆえの醜さなんだろうな、さて続きだ
待遇に不満は無かった。教会の関係者はよくしてくれるし、ケガをした人を治すのは嫌いではない
自分の力が役立つのが嬉しかったぐらいだ
神様が授けてくれたものに少女は感謝した
だけど、少しだけ寂しかった
少女は心を許せる友人が一人もいなかったからだ
それは当然の話だろうな
普通は特異な力を持つ者を人は嫌い恐れる
恐れずに「面白いじゃん!」とか「すげえな」とか純粋に言うようなのは滅多に存在しない
それこそGXの主人公である遊城十代みたいな一部の人間だ
まあ続きと行こう
少女は理解していた
彼らが裏で自分の力を異質なものを見るような目で見ていることを
人間ではなく、まるで「人を治療できる生物」のような感じで
ある日、転機が訪れる。悪い意味で、「正位置」ではなく「逆位置」の運命であることが露呈したかのように
たまたま少女は自分の近くに現れた悪魔を治療してしまったのだ
悪魔といえど、ケガをしているなら、治さなくちゃいけない
生来の優しさがそうさせたのだろう
それが少女の人生を反転させた。まさに「逆転する運命」だ
その光景を偶然見ていた教会関係者の一人が、それを内部に報告する
内部の司祭は、その事実に驚愕した
「悪魔を治療できる力だと!?」
「そんなバカなことがるはずがない!」
「治癒の力は神の加護を受けたものにしか効果を及ぼせないはずだ!」
まあ、神が神として健在だったらそうだろうな
だが、しかし!まるで全然!その考えは甘いんだよねぇ!
そう、すでに神としての神は死んでいる
これは上層部しか知らない事なんだがな
そう、治療の力を持った者は世界の各地にいた
けれど、悪魔を治癒する力は規格外だった
治癒の力は悪魔と堕天使には効果がないというのが常識として教会内部で認知されていたからだ
事例は過去にもあった。恐らく100年前からだろうがな
神の加護を受けない悪魔、そして堕天使すらも治療できる力。しかし、それは「魔女」の力として恐れられていた
そして教会の司祭たちは少女を異端視するようになる
「悪魔を癒す魔女め!」と
本当に醜い。実に醜い
勝手に聖女と担ぎ上げておいて悪魔を癒したから魔女扱い
醜すぎる。俺たち妖怪も欲望に従うものだが此処まで醜い奴なんて滅多にいない
聖女として崇められた少女は、悪魔を治療できるというだけで今度は「魔女」として恐れられカトリックから捨てられた
行き場のなくなった少女を拾ったのは極東にある「はぐれ悪魔祓い」の組織
つまり、堕天使の加護を受けなければならなくなったのだ
間違っても少女は神への祈りを忘れたことなどない。感謝も忘れたことなどない
なのに少女は捨てられた。神は助けない。
なぜなら神はすでに神として死んでいる
これは先ほども言ったが上層部のみしか知らない事だが
そして少女が一番ショックだったのは、教会で自分を庇ってくれる人が一人もいなかったこと
少女の味方は誰もいなかった
「……(少女説明終了)……
……きっと、私の祈りが足りなかったんです」
皆が皆、アーシアの話に絶句していた
いや、二人だけそうでないものがいたが
蓮子とメリーだ。どちらかというと憤怒の顔だな、教会に対する
「何よそれ!人を利用しておいて何よそれ!」
「蓮子の言うとおりね、ふざけるのも大概にして欲しいわ!」
「いいえ、私がいけないんです!これも主の試練なんです
私が全然ダメなシスターなので、こうやって修行を与えてくれているんです
今は我慢の時なんです」
笑いながら自分に言い聞かせるようにアーシアは言う
もう、それ以上は言うな
「お友達もいつかたくさんできると思ってますよ。私、夢があるんです
お友達と一緒にお花を買ったり、本を買ったりして……お喋りして……」
涙を流しながら言葉を紡ぎ続けるアーシア
それにイッセーが見かねてアーシアに声をかけた
「アーシア、俺が友達になってやる。いや、俺たち、もう友達だ」
その言葉にキョトンとするアーシア
「あ、悪魔だけど、大丈夫。アーシアの命なんて取らないし、代価もいらない!
気軽に遊びたいときに俺を呼べばいい!あー、ケータイの番号も教えてやるからさ」
「そうだな、イッセーの言うとおりだ
だろ、皆」
「「「「「「「「うん」」」」」」」」
俺がイッセーの言葉に続いてみんなに呼びかけると肯定の反応をみんなが返す
「……どうしてですか?」
「どうしてもこうもあるもんか!名前を呼んだら友達さ!悪魔とかそんなのも関係ない!
訳の分からないことは抜き!そういうのは無しだ!
話したいときに話して、遊びたいときに遊んで、そうだ、買い物も今度付き合うよ!
本だろうが花だろうが何度でも買いに行こう!な?」
アーシアは口元を手で押さえながら、再び涙を溢れ出させていた
でも、哀しみの感情のものではない
「……皆さん、私、世間知らずです」
「これから俺たちと一緒に町へ繰り出せばいい!いろんなものを見て回れば、んなもん関係ないさ」
「……日本語も喋れません。文化も分かりませんよ」
「分からないなら俺たちが教えるさ。迷惑なんかじゃない
な、みんな」
イッセーの言葉に俺たちは頷く
「……友達と何をしゃべってもいいのか分かりません」
「そんなのしゃべりたいことを話せばいいんだ
友達としゃべりたいことをしゃべり合う、それでいいんだ」
「……私と友達になってくれるんですか?」
「ああ、これからもよろしくな。いや、もう、俺たちは友達さ
皆もそうだろ?」
再びイッセーの言葉に頷く俺たち
「だとしたら堕天使が邪魔だよな
狙いはおそらくアーシアの神器だろうしな」
「え!?私の神器ですか?」
「そうだろうな、悪魔や堕天使を治せる聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)なんて狙われる対象だぞ
現にそういう神器使いの捕獲を依頼する依頼なんて探せばいくらでも出てくるぞ」
「!?どうにかならないんですか部長!」
「そうね……ちょっとアーシア、こっちに来てくれるかしら?」
「?」
疑問を浮かべながらもアーシアは部長と一緒に部屋の隅に行く
「……という訳よ…………いられるわよ」
「………ですか?…………分かりました」
少ししか聞こえないけど何か話をしている
他の皆も怪訝そうな顔をしている
しばらくするとアーシアと部長がこっちに来て……
「改めてよろしくお願いします!
『僧侶』のアーシアです!」
ん?え?ええ!?
「「「「「「「「「「ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!?」」」」」」」」」」
一体何を吹き込んだんだあの先輩は!?
そんな事を俺は考えていた、いや俺たちは考えていた
Sideout
説明 | ||
いかれ神父との出会い そしてアーシア…… |
||
総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
5769 | 5585 | 3 |
コメント | ||
思ったよりフリードが強かったのである程度の力でやったら生きてたというわけです。本気だったら確かに瞬殺でした(グランド) う〜む・・・・総司が壊さない程度に本気出せば、瞬殺できたんじゃないかな?(スターダスト) |
||
タグ | ||
東方Project アーシア ハイスクールD×D | ||
グランドさんの作品一覧 |
MY メニュー |
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。 |
(c)2018 - tinamini.com |