ViVidに転生した。うん、そのはず………。 その1 |
目が覚めると、紅い髪にアメジストの目の女性が俺のことを覗き込んでいた。
「ふふ、おとなしい子なのね、アーダルベルトやルイーゼとは大違いだわ」
その声を聞いて、銀髪に琥珀色の目の男性が優しげな眼差しでこちらを見つめてくる。
「そうだな、髪は私譲り、目はおまえ譲りなのだろうな、ソフィー」
「かーさま、レオンハルトはどこ?」
「ここですよ、ほら」
女性……恐らくこの世界での俺の母親が大きな女の子を抱き上げた。
……ああそうか、俺が小っさいから大きく見えてるだけか。
「わたし、ルイーゼ! あなたのお姉さんよ! これからよろしくね、レオンハルト!」
(…ええ、よろしくお願いします、ルイーゼ姉様)
心の中で俺はそう呟いた。
赤ん坊生活は大変だった。
「さ、レーヴェ、ご飯の時間よー」
(えぇえええええええ!)
生きていくためとはいえ、お乳を吸うのに対する抵抗とか。
「あらあら、おむつを取り替えなければね」
(自分ででき……って出来ない!? いや、ちょ、ま………!)
自分じゃどうしようもない下の世話に対する抵抗とか。
「体を洗わなくちゃ。ほら、ぬぎぬぎしましょうねー」
(むしろ俺の精神がなんか汚されるぅー!)
体を勝手に丸洗いされることに対する抵抗とか。
……もう、二度と経験したくない。黒歴史決定である。
さて、遅ればせながら自己紹介を。
俺の名前はレオンハルト・ブランデンブルク。代々騎士をやっているブランデンブルク家の次男坊。新暦66年生まれだ。住んでいるのは第一管理世界『ミッドチルダ』北部のベルカ自治領である。
容姿は銀髪にアメジストのような紫の目。肌は白めだ。愛称は『レーヴェ』または『レオン』。
五歳年上の兄貴のアーダルベルトは教会騎士目指して学校で勉強中らしい。騎士カリム・グラシアのファンだそうだ。胸か、胸に惹かれたのか。まあ男の子だからしょうがないんだろうが。
で、三歳年上の姉貴のルイーゼはまだ遊び盛りな年頃というやつなのか、いつも俺を連れ回している。将来のビジョン?あの人が考えるのは先の話になりそうだ。
………で、今俺は二歳。
今日も姉貴のおままごとに付き合っていた。
「あなた、このキスマークはどういうこと!?」
「いやーそれはちがうんだー」
棒読みするしか無いような内容だった。あ、俺今上手いこと言ったかもしれない。
なぜ昼ドラめいたドロドロの話を二歳のガキにやらせようとするのだ。
「……わたしたち、わかれましょう」
「まってくれーぼくがわるかったー」
……繰り返すが夫役の俺は二歳、妻役の姉は五歳である。
こんな歳で結婚生活の暗部とか気にすることねーだろ!
ひたすら精神がすり減るようなおままごとの後、俺は外に出る。
この歳になってようやく魔力がある程度掴めるようになってきた。
「……転移」
シュンッ!
空気を切り裂くような音が響き、俺は一メートル前に転移していた。
これがあのクソ神がくれた俺のレアスキル『((短距離瞬間移動|ショートジャンプ))』だ。短距離なら魔力をあまり使わず、ほぼノータイムで転移できる。
今のところ大体跳べる距離は10メートルほど。これから連続跳躍や距離を伸ばすことも出来るようになるらしい。
しかし、Forceの敵と同じ能力を俺によこしたのは何の意図あってのことなのか。
まあいい、Forceに飛ばそうとして失敗って言ってた……ていうか、時間と場所を考えると間違いなく絡むのはVividなのだろうが、Forceに巻き込まれる可能性も否定できない。早いうちから体と魔法を少しは鍛えておかなくては。
(あと、デバイスも……)
Forceの敵にただのデバイスでの魔法攻撃は通用しない。それなりの装備の準備が必要だ。
まあ、とりあえず生き残る努力だけはしないとな。
「レーヴェ、どこに行ったのー? ご飯よー」
「はーい」
………夜、夕食の席で。
「おかーさま」
「どうしたの、レーヴェ?」
「ルイーゼねーさまといっしょにおままごとやったんですけど、『きすまーく』ってなんですか?」
「……ルイーゼー! 弟になんてこと教えてるの!」
「うわーん! ごめんなさーい!」
これぐらいの報復は当然だと思う。
説明 | ||
その1 転生の始まりはいつも黒歴史 | ||
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コメント | ||
にじファンで既投稿分は一気に掲載しないんですか?早く最新話が読みたいって思ってしまうんですが…。(メッセ) やっぱり何度読んでも最後のオチに吹いてしまうwww(神薙) |
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