ハイスクールD×D〜最強の戦車と最強の兵士(予定)〜 |
第二章
第十四話「戦場は思うようには運ばない」
リアスの制止を無視した俺は、そのままグラウンドに歩を進めた。
朱乃が敵の『女王』に負けるとは思えないが、祐斗とイッセーの方はそうもいかないだろう。おそらく焼き鳥野郎と女王以外の奴等と当ってるだろうからな。
「っと、どうやらいいところ見てぇだな」
グラウンドに着くとイッセーと祐斗が敵の悪魔たちと一騎打ちをしていた。他の焼き鳥野郎の眷属達は手を出す気が無いのか高みの見物をしていた。
「んじゃあ、派手にやるかぁ!」
ガツッ!
近くにあった備え付けの街灯を掴むと一気に引っこ抜いた。
「ウオォォラアァァァァッ!!!!」
ブォンッ!!
引っこ抜いた街灯を思いっきり金髪ロール頭の小娘に向かって投擲した。
「え?・・・きゃあっ!?」
ドッガアアアァァンッ!!
「レイヴェル様!?」
迫りくる街灯に金髪ロール娘が驚き、イッセーを相手にしていた女が驚愕した。
「よお、面白い事になってんじゃねぇか?俺も混ぜてくれよ」
「平和島静雄・・・!『グレモリーの狂犬』か!!」
「静雄君!どうして?」
「なぁに、小猫がやられたからな俺がその穴を埋めに来たのさ」
バキバキと指を鳴らしながらイッセー達に近づくと祐斗がどうしてここにいるの?的に目を見開いた。
「つーわけだ、そこの金髪ロール小娘。暇なら俺の相手をしろ」
「・・・やってくれますわね!」
土煙が晴れるとそこには服が所々破れ泥で汚れた小娘が立っていた。
「よくも・・・!この私にこのような辱めを!!」
「はっ!自分の仲間を躊躇なく捨て駒にしている下衆な奴等に何言われようが知ったことじゃあねぇな!!」
サングラスを制服の内ポケットに入れながら小娘を睨んでいると、
「弾けろ!『((洋服破壊|ドレスブレイク))』!」
名前からしていやな予感がしたのでチラッとイッセーの方の戦いを見たが直ぐに後悔した。あの馬鹿、敵のおそらく『戦車』だろう服を破壊しやがった。
「な、何だ、これは!」
「何やってんだあの馬鹿・・・」
そう言えばあの馬鹿、修行中に夜中にこっそり抜け出してたけどこんな技を作ってたのか。そう考えると頭が痛くなり頭を抱えた。
「いっけぇぇぇぇ!」
ドシュゥゥゥッ!
イッセーの籠手から放たれた膨大な魔力の放流が敵の『戦車』に直撃した。
ドォォォォォンッ!
なんつーか、敵の戦車が憐れに思えて仕方ねぇんだが・・・。
『ライザー・フェニックスさまの「((戦車|ルーク))」一名、リタイヤ』
「よっしゃぁぁぁぁぁっ!」
「ハァ・・・」
イッセーの歓喜の叫びに比例して俺はため息を吐いた。
なんつーか凄くやる気がそがれたんだが・・・。
「おい、イッセー」
「どうした、平和島?」
「まさかと思うが体育館でも使った訳じゃあねぇよな?」
「へっ!?ま、ま、ま、まさかぁ!お、おれがそそそそそそんなこと、するわけねぇじゃねぇか!!」
「目が泳ぎまくってんぞコラ」
使いやがったのこの馬鹿。リアスの親族も見てるってのに・・・・。
「どうやら、あの『兵士』を、ブーステッド・ギアを侮っていたようだ、私もイザベラも。やはり、ただの『兵士』だと思わない方が賢明の様だな」
敵に褒められてイッセーは若干得意気だったが、
「しかし、酷い技だ。いや、恐ろしい技と言うべきか。お、女の服を消し飛ばすとは・・・」
「いやー面目ないね。そればかりは僕も謝るよ。ウチのイッセーくんがスケベでゴメンなさい」
「こればっかりは俺も謝らねぇとな・・・・。ウチの((馬鹿|イッセー))が酷い技を使って悪かった。こっちの監督不届きだ」
俺と祐斗は敵の騎士に謝る。
敵の騎士は短剣を逆手に持ち直しながら言う。
「しかし、魔剣使い・・・・数奇なものだな。私は特殊な剣を使う剣士と戦いあう運命なのかもしれない」
それを聞いて祐斗は興味深そうに尋ねた。
「へぇ、僕以外の魔剣使いでもいたかな?」
「いや、魔剣ではない。―――――聖剣だ」
「―――――っ」
「マズイな・・・・」
「えっ?」
『聖剣』と言う言葉を聞いてからの祐斗の変化は一目瞭然だった。表情が消え殺気が溢れだした。
チッあの馬鹿、相変わらず聖剣に対しての沸点が異様に低いな。確かに、アイツの過去からすれば聖剣は見逃せないかも知れねェが・・・・。
「その聖剣について訊かせてもらおうか」
普段見た事のない祐斗の迫力にイッセーは気圧されていた。
「ほう、どうやらあの剣士は貴様と縁があるのか。だが、剣士同士、言葉で応じるのも無粋。剣にて応えよう!」
「・・・そうかい。・・・・口が動けば、瀕死でも構わないか」
「おい、祐斗!落ち着――――」
しかし、俺の言葉を最後まで言い終わる前に祐斗は敵の騎士に向かって走り出した。
「チッ!おい、イッセーあの小娘はお前がなんとかしろ。俺は祐斗の方へ――――っ!?」
祐斗の方へ向かうという前に複数の気配を感じて俺はそちらを向く。
「ここね」
「あれ?イザベラ姉さんは?」
「まさか、やられちゃったの?」
「チッ・・・・嫌なタイミングで出てきやがる・・・」
焼き鳥野郎の残りの下僕達だな。あと残ってんのは『兵士』二に『騎士』が一、それに『僧侶』が二だがおそらくあの金髪ロールは『僧侶』だろう・・・って事は『兵士』二の『騎士』と『僧侶』がそれぞれ一か。
朱乃はまだ敵の『女王』と戦ってんな、向こうの空で未だに雷鳴が鳴り響いているし・・・。それにあの人影はまさか、リアスの奴・・・・。
「おい、イッセー」
「え、お、おう!なんだ?」
「今すぐ敵の本陣へ行け。リアスの馬鹿、焼き鳥野郎と一騎討ち始めやがった」
「な、なんだって!?本当かよ!?」
「アレを見ろ」
そう言って俺が指さす方には親交者の屋上で炎の翼と黒い翼を羽ばたかせる二人の人影があった。
「わかったら、さっさと行け!あの馬鹿の事だ『キャスリング』はしないだろう。テメェが行けばリアスが討たれる可能性が減る。それに俺と祐斗がコイツらを秒殺してから向こうへたどりつける時間稼ぎにもなる!」
それに朱乃が相手の『女王』に負けるはずはねぇ、後は全員で袋にすればいいだけだ。
「っ!」
「わかったらさっさと行け!!」
「お、おうっ!!」
俺の言葉にイッセーは気合の声とともに新校舎の方へ走っていった。
焼き鳥野郎の眷属が追おうとしたが、俺がそれに立ちふさがった。
「悪いがこっから先は通行止めだ」
「チッ『グレモリーの狂犬』が」
立ちふさがる俺に対して敵の『騎士』は舌打ちを撃ちながら悪態をついた。
「まあ、いいですわ。高々下級悪魔一人が加勢に言った所で結果は見えてますもの、それよりここであなたを打ち取った方が今後の為になりますわ」
「ハッ!舐めんのも大概にしろ」
そういいながら右腕につけられているリミッターを外した。瞬間体からあふれ出す膨大な魔力。
「テメェらこそ覚悟しろ。生憎と時間がねぇんだ、三十秒でカタをつけてやるよ」
「吠えたな!グレモリーの狂犬がっ!!」
俺の言葉がプライドに障ったのか敵の『騎士』が背中の剣を抜き放ちながら突進してきた。
「ハアァッ!!」
ガシィッ!
裂帛の気合とともに振り下ろされた剣を俺は片手で掴んだ。
「なっ!?」
「この程度で」
グンッ!
「うわっ!?」
「隙作ってんじゃねぇよ!!」
「くっ!?」
剣をひっぱりこっちに引きつけると敵の『騎士』はあっさり剣を離し両手でクロスガードを作るが甘い!!
「ウオラァァァァッ!!!!」
ドゴォォォンッ!!!!
「かはっ!!!」
ボキボキボキッ!!!
ガードしている腕ごと思いっきり殴りつけ、拳から骨が折れる感触と音を感じながらそのまま腕を振り抜いた。
「ぐわぁっ!!!??!?」
ドッガァァァァァァンッ!!!!
敵の『騎士』はそのまま木々をなぎ倒し森の中へ消えていった。そして・・・・
『ライザー・フェニックスさまの『騎士』一名、リタイヤ』
グレイフィアの声が聞こえたが今はそんな事を気にしてられない。敵の『騎士』がやられて相手が浮足立っている内に一気に勝負を決める!
呆然としている敵の眷属が集まっている場所に向かって俺は飛び上がり踵を天高くまで振り上げた。
『今だ祐斗!飛べ!』
『うんっ!』
「はっ!?全員散開しなさい!!」
「もう、遅せぇぇぇぇぇ!!!」
ドガアアアアァァァァァァァァァンッ!!!!
本気の全開で振り下ろしたかかと落としは地面を砕き、強大な地震と衝撃を生み敵の眷属達を飲み込んだ。
特に敵の二人の『兵士』と『僧侶』はそれをまともに喰らい壁に叩きつけられたり木に叩きつけられた。
『ライザー・フェニックスさまの「兵士」二名、「僧侶」一名、「騎士」一名、リタイヤ』
「フゥ。ま、こんなもんか」
「まったく、やりすぎだよ静雄君」
俺の一撃でグラウンドは皹だらけになってしまい俺のいる所などクレーターができていた。そんな俺に祐斗が呆れたように声をかけてきた。
「何言ってんだよ。これ位何時もの事だろ?」
「いや、流石にここまでは無かったと思うけど・・・」
苦笑しながら言う祐斗を無視して、新校舎屋上の方に視線を送る。
「んなことより、さっさとイッセーの方へ加勢しに行くぞ。そろそろ、朱乃のも勝ってる頃だし合流して焼き鳥を袋に――――」
『リアス・グレモリーさまの「女王」一名、リタイヤ』
瞬間、頭の中が真っ白になった。
「なっ!?ンな馬鹿な――――」
「っ!?静雄君!!」
「うおっ!?」
ドンッ―――――――ドォォォォンッ!!
いきなり俺を押しのけた祐斗にさっき俺がいた場所が爆発し祐斗がそれに飲まれた。
「祐斗ぉ!!」
祐斗の名を叫ぶが、祐斗は鮮血に染まり、地面に倒れ伏した。
祐斗の体が光に包まれそして、
『リアス・グレモリーさまの「騎士」一名、リタイヤ』
無情にもアナウンスが流れた。
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平和島静雄の肉体に悪魔の駒の『戦車』の能力をプラスしたら?という妄想で書いた小説です。 |
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