IS-D インフィニット・ストラトス-デジタライズ |
第5話
Side 弾
クラスの代表を決めるため、何の考えがあってか戦うことになり、俺達は自分で言うのもなんだが、絶妙なコンビネーションで追い詰めた
そしたらいきなりボーデヴィッヒのISに紫電が走り、装甲が溶けて変形し始めた
そしてソレに同調するようにアリーナの上部の空間に亀裂が走り、デジタルゲートが開いた
そこから出てきたのは…
「よりにもよってあいつかよ…」
金の髪に赤いマスク、極めつけは青い服に黒いマント…どう見てもヴァンデモンだ
「どうすんだよ…」
デジタルワールドにいた時に一度戦ったことがあるが、その時俺は相棒が成熟期だったからかなり苦戦し、太一が来なかったらヘタするとこの世からサヨナラしていたかもしれない
そんなことがあるから、少し…いや、苦手というか気後れしてしまうのだ
『弾、色々考えるより早くもう戦えない奴らを保護しよう!!』
「と、そうだな!!」
ボーデヴィッヒはまだ近づけないが、アレは危険だとわかる。リボルバーをしまい、鈴とオルコットの肩を掴んで俺達が出てきたピットの方に移動する
「何すんのよ!!」
「試合は中止だ!!」
「何を言って「ボーデヴィッヒのISの暴走!そして空から現れた謎の存在!!前者だけで十分だろう!!」
そう言いながら俺達はピットに到着する
「い、一体どうなってるんですか!?」
「ボーデヴィッヒのISが暴走を初めまして、ソレに呼応して謎の存在が上空に出現、この2人は戦闘継続が不可能なレベルまで叩きのめしたのでこうして連れてきたわけです」
「そうだな、太一達のブレイブトルネードを食らったのだ…ISの絶対防御に感謝しておけ、オルコット」
「どういう意味ですの!!」
「太一の前腕部についている武器、あれ、超分厚いコンクリートも紙を切り裂くようにバラす」
「なっ!!」
「というよりISの武装をあっさり切り裂いてたんだからそんくらい思い至るだろう、普通」
「って、なんであんた達のIS、機動力、火力、防御力、どれもなんであんなに高水準なのよ!!私の甲龍を始めとする第3世代機を一方的にボコるなんて…」
「性能の差、それだけ」
「そもそも姉さんが作ったんだ…ISの事を誰よりも深く理解している人が作ったんだぞ?」
(まぁソレ以外にも理由はいくつかあるが…一番の理由は太一が俺達の中で一番戦い慣れてるってのだろうな)
「というよりどうして五反田君も篠ノ之さんも更識さんもデュノアさんも落ち着いていられるんですか!?緊急事態なんですよ!!」
「先生、落ち着いてください…というかパニックに成ったらいけないでしょう」
「そ、それはそうですけど…というより、織斑君と才羽君が心配ではないのですか!?」
「「「「ないです」」」」
「まさかの即答!?」
「あの程度に遅れを取るような奴らではありません」
「あの程度って…」
「そもそも、ボーデヴィッヒさんのIS、あれっていったい何が起こったんだろう?」
「多分…VTシステムだと思う」
「ヴァルキリー・トレース・システム…確かモンドグロッソの部門優勝者や総合優勝者の動きをトレースするためのシステム…」
「おまちください!!ソレはIS条約で現在どの国家・組織・企業においても研究・開発・仕様すべてが禁止されていますわ!!それがつまれているということは…」
「十中八九、いや、間違いなく、ドイツ軍上層部が勝手に搭載したのだろう」
「しかも学園の眼をごまかしたから、巧妙に隠されていたんだろうね」
「そしておそらくトレース元は…」
「織斑先生」
「どうしてそこまで分かるのよ!!」
「一夏、第2回モンド・グロッソ、この2つがヒントだ…俺達は一夏から詳しいことを聞いてるから知ってるがな…」
「意味がわかりませんわ…」
「個人情報が多分にまじってるんでな…うかつには言えんのだ」
「あ、出てきた方に太一が、ボーデヴィッヒさんの方に一夏が向かったよ!!」
「織斑先生の動きは過去のもの…一夏なら大丈夫だ」
「あいつも…太一なら大丈夫だろう」
というか遠くてよく分かんなかったけど…太一のやつ、なんかすげえいい『笑顔』を浮かべてなかったか?『嗤』ってたよな?
Side 一夏
俺は今特殊システムが発動したであろうボーデヴィッヒと対峙している
「あれは…千冬姉…VTシステムってやつか?」
姿が変わり終わると…そこには、第1回モンド・グロッソ優勝時、そして俺が誘拐された第2回モンド・グロッソの時と同じ姿に変化したボーデヴィッヒがいた
「はぁ…千冬姉に憧れてるからって、ここまでする価値なんざねえだろ」
千冬姉は強い…おそらく、俺を守るという思いからだろうが…誘拐されてから、少し俺の心にある考えが浮かび上がった
千冬姉は…目的と手段を間違えてるんじゃないかと思うようになった
『俺』を守るために『力』を振るうんじゃなく、『力』を振るった結果『俺』を守れているというものに変わってるって…
力っていうのは、振るうとそれ相応の責任が伴う…デジタルワールドにいて俺はそのことを思い知った
だからこそ、ボーデヴィッヒを倒す…力に溺れている、奴を!!
千冬姉となったボーデヴィッヒが黒い雪片を振るうが…
「遅い」
『これで全力?』
俺達の回避先を読んでいたのだろうが…そこにすでに俺達はいない…
「なるほど…動きだけは確かに千冬姉だ」
だけど…これよりももっと剣閃が鋭い奴や、振っただけでソニック・ブームを巻き起こすような奴もいると知っているから…
「上には上がいるということを…」
『僕達が教えてあげるよ』
上段からの振り下ろし…ソレに合わせて…
「『マグナムクラッシュ!!』」
パンチを根本に打ち込む。カウンターであたり、そこから刀身をへし折る
「これで武器はなくなったな」
『動き以外は再現できない…それがそのシステムの弱点だ』
挑みかかろうとする奴を蹴り飛ばし
「『トドメだ!Vウイングブレード!!』」
俺達の一番の技を決めると再び紫電が走り、ISが2つに割れる…気を失う寸前であっただろうボーデヴィッヒと一瞬だけ目が合う…
太一と同じく右と左の色が違うオッド・アイだったが、そんなことはどうでも良かった
その目は酷く弱った、捨てられた子犬のような瞳だった
『誰か助けて』と言っているような眼だった
「昔の俺のような眼だったな」
『じゃあ、今度は一夏が彼女を導いたりする番だね。太一や僕がしたみたいに』
「そうだな」
気絶して倒れこんだボーデヴィッヒを優しく抱きとめ、ピットに戻る
それと時を同じくして、とてもすっきりした顔の太一が戻ってきた…
お前、何したんだ?
Side 太一
弾が2人を連れて行って、俺はヴァンデモンが追わないよう警戒していたが、どうやら本人も何が起きたのかよくわかっていないように見える
「ここは…人間界か」
「そのとおり」
「誰……!!!」
ヴァンデモンのつぶやきに答えると奴がこっちを見て…なぜか狼狽して汗を吹き出させ、足がありえない速度で笑っている
「な、な、な、なぜだ…」
「いや、ソレはこっちの」
「なぜ貴様を見ると言いようのない恐怖感が出てくるのだ!?」
…分かった、これは前弾を襲ってたヴァンデモンだ
確か弾は狩りをするみたいに追い詰められていて、そこに俺が割って入って、そのあとソレをやり返したんだ
ちなみにその時のメンツは俺とウォーレイとメタルルの1人と2匹(?)で、常に3箇所から攻撃して山とか川ではなく延々と森の中や平地で攻撃し続けんだんだ
それですこしずつ少しずつ、薄皮を一枚一枚剥ぐような追い込みを見せて、許しを願っても笑顔でダメ出ししてどんどん追い詰めて…
確か最後はほぼ半狂乱で、精神ほぼ崩壊してたんだっけ
『あれ以来僕達の仲間は襲われなくなったけどね』
『一部の凶暴な連中を除いて太一ってかなり恐れられてるからね』
「やっちまったとは思ったがやりすぎたとは思ってない!」
『『いや、明らかにやりすぎだから』』
「とにかく、さっさと蹴りつけようか」
怯えてるヴァンデモンに向かって
「『ウォーブラスター!!』」
小型の火球を連続で打ち出す
怯えてる奴はほとんど反撃できず、全弾食らう
「『終わりだ!!ガイアフォース!!』」
大地からエネルギーを集め、球型に収束させて打ち出す
「がぁぁぁぁ!!」
消滅し、デジタマに戻るヴァンデモン
そしてソレは空に開いているデジタルゲードに吸い込まれ、ゲートも閉じた
「意図的に開かれたのか、それとも自然に開いたのか、いまいちわからないな」
『そこは束さんに聞こう』
『そうだね、ソレが一番だよ』
「そうだな」
『それに、デジモンが出てきてこっちで倒したとしてもデジタマに戻ること、そしてゲートがあれば戻せるとわかったことも大きな収穫だ』
『うん、データの残滓として残るってなったらソレの処理を考えなくちゃならなかったからね』
「まぁこの世界とデジタルワールドの関係は色々と面白いからな…こうなってもおかしくはないな」
『『まぁ、ソレも確かに』』
「んじゃ、戻るか…色々説明もせにゃならんだろうし」
そうして俺達もピットに戻った…ら、なぜか怯えた目で見られた…
説明 | ||
前回から続く代表決定戦終了 ちなみに決めるルールは ・チームで指揮をとり、チームの動きに貢献したチームリーダーをクラス代表にする というものです つまり勝とうが負けようが『チーム』でなかった英中独はクラス代表になる権利を持ってなかったわけ …これって無理矢理じゃないよね? |
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