ぬらりひょんの孫になっちまった!? 第四幕 リクオ、修行する
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あれから、また三年が経った。三年間の間には色々なことがあったんだ。

 

まずは、剣術の修行をつけてもらおうとしたんだが、父さんに反対されるのは覚悟していた。でも、まさか母さんまで反対するなんて思ってなかった。どうやら二人は、子どもは子どもらしく、遊んだり、親に甘えたりして欲しいらしい。二人の気持ちもわかるけど、父さんの命がかかってるんだ。悠長なことは言ってられない。

 

そんなとき、じいちゃんが助け舟を出してくれたんだ。『リクオが自分で決めたことじゃ。尊重してやったらどうかの?それに剣術を覚えて損はないしのう』

 

それでも、渋っている二人に、いつもは、ほのぼのしてるけど、家は妖怪任侠一家だから、危険なこともあるかもしれない。そのためには力はあった方がいい。そんな風に父さんと母さんに伝えるとしぶしぶ納得してくれた。

 

結局、父さんの剣術は我流らしく、ちゃんと剣術を習うならと捩眼山に連れていかれた。

さて、もうおわかりだろうか?俺の剣術の師匠は牛鬼である。

 

俺は三年間の間、捩眼山と本家を行ったり来たりしていたのだ。

 

つららと青田坊が特に寂しがってたなあ。

 

あと、幼稚園には原作でもリクオが使っていたおぼろ車で毎日行ってる。あれを使うと捩眼山からでもすぐに着くんだよ。

 

幼稚園には家長カナがいて驚いた。そういえば、幼なじみって原作でも言ってたな。友達にすぐなれたよ。

 

ーーーーーーー

 

今日、牛鬼との打ち合い次第で免許皆伝が貰えるらしい。いくら何でも、早過ぎると思うんだけど、牛鬼曰わく『若には才能がありますゆえ、今の実力ならばそこらの妖怪くらいなんてことないはずです』らしい。本当だろうか?

 

俺に目掛けて迫ってくる木刀をすんでのところでよけながら、そんなことを考えていると牛鬼が話しかけてくる。

 

「若、そんなことでは、免許皆伝を与えられませんよ」

 

実は今、道場で打ち合っている最中だったりする。ちなみに木刀だ。真剣で打ち合いなんかしたら死んじゃうしね。

 

「ごめんごめん、ちょっと考え事しててな」

「私との打ち合いの中考え事とは・・・それだけ、余裕があるということですかな?」

 

牛鬼が嫌みを含ませて言ってくる。・・・原作だったら、牛鬼が嫌みを言うなんてあり得ないんじゃないだろうか?これも、親しくなれた証拠だとおもうと嬉しくなって、つい、笑ってしまう。

 

「何笑ってんだ?リクオ」

 

「リクオー!頑張らないと、免許皆伝もらえないよー!」

 

上から、牛頭丸、馬頭丸だ。二人ともこの三年間で随分仲良くなった。今ではいい友達だ。

 

「わかってるって、じゃあいくよ!牛鬼!」

「いつでもどうぞ、若」

 

ーーーーーーー

 

「はあっ!」

 

俺は牛鬼の頭に木刀を振り下ろす。

 

「むんっ!」

 

しかし、牛鬼は俺の木刀をものの見事に防いだ。

 

慌てて、牛鬼から距離をとろうとすると、予想していたのか、すぐさま詰め寄られる。

 

今度は牛鬼が、木刀を振り下ろした。

 

そして・・・

 

ゴッ、という音とともに木刀を弾かれてしまった。俺の首に木刀が突きつけられる。

 

「終わりですな、若」

 

「はあはあっ、・・・勝てなかったか・・・」

 

これで、免許皆伝は無しか・・・

 

「若、免許皆伝です。もう、私が教えることは何もありませぬ」

 

えっ!?なんで?

 

「いや、でも、俺は負けたんだぞ?」

 

「今、言ったでしょう。教えることは何もないと、あとは実戦で実力をつけるしかないのです。勿論、努力を惜しんではいけませんぞ」

 

ということは・・・?

 

「やったな、リクオ!すげえじゃねえか!」

「おめでとー、今日はお祝いだね!どうしたの?もっと喜びなよー」

 

牛頭と馬頭が喜んでいるのを見て、やっと、実感が湧いてきた。

 

「俺、やったんだ・・・ついに!」

 

ーーーーーーー

 

「ボク、リクオがあんなにはしゃぐところ見たことないよ」

 

「ワハハハハッ!お、俺もだ!ハハハッ!」

 

俺は免許皆伝を貰ったあと、嬉しくてつい、庭に出て駆け回ってしまったのだ。

 

「うるさいなあ、俺がはしゃいじゃ悪いのかよ?」

 

ちょっと、機嫌悪く聞いてみると。

 

「悪くはないけど・・・なあ?馬頭」

 

「変だよねー、牛頭」

 

・・・いったい、俺はどんな風にみられてるんだ?

 

「・・・若にも、子どもらしいところがあるとわかって良かったですぞ」

 

「牛鬼までそんなことを言うか!?」

 

確かに精神年齢は二十歳越えてるけどさ。

 

「まあまあ、落ち着けって!」

 

牛頭が俺を宥めてくる。・・・頭をポンポン撫でながら・・・

 

「・・・なんか、牛頭に宥められるとか納得いかない」

 

「どういう意味だ!?そりゃ!」

 

「みてろよ、中学生くらいになれば牛頭の身長なんて追い越してやるからな!」

 

「ふんっ、その頃には俺は牛鬼様くらいでかくなってらあ」

 

「どーだか?」

 

「むっ、今にみてろよ!絶対になってやる!」

 

フッフッフ、それは無理だぞ。むしろ、中学生になった俺が変化した姿の方が高い。・・・まだ、変化できないけどさ・・・

 

三年間の間にできるようになったことと言えば、だいぶ前からできていた明鏡止水を極め。修行した明鏡止水“桜”と剣術。それと会ったことはないけど、ばあちゃんが使ってた治癒の力くらいだ。父さんも使えるし、俺も使えるかなー、と思ってやってみたらできたんだ。ぬらりひょんの血筋のおかげだろうか?鏡花水月はきっと変化できるようになればできると思う。

 

「そういえばさ、修行が終わったら、リクオはどうするの?」

 

馬頭が質問してくれたおかげで、牛頭との言い争いが終わった。こういうときの馬頭は本当にタイミングがいいな。

 

「そうだな、とりあえず家に帰って父さんから色々教えてもらおうかな?」

 

これは建て前だ。本当は父さんのそばに居て羽衣狐から守るため、つららや青には俺が居ない間、父さんの警護を任せてある。予想だと、俺が小学校に入った辺りで来るんじゃないかと思っている。

 

「ええ、やはり三代目を継ぐのであれば本家に帰り、二代目をお手本にするのが良いでしょうな」

 

「そっかぁー、でもそれだと寂しくなるなー、特に寂しがるのは牛頭だけど」

 

「お、おめーの方が寂しがってたじゃねーか!」

 

「あ、寂しいのは否定しないんだね?」

 

「う、うるせーな!アホ馬頭のくせに!」

 

ボカッ、と牛頭が馬頭のかぶっている骨を殴る。

 

「ううー、痛いじゃんか!」

 

「黙れ!」

 

なんか、コントみたいだな。

 

「プッ!」

 

「「笑うなっ!」」

 

ーーーーーーー

 

今、俺は牛鬼組の組員みんなに囲まれている。俺が修行を終えて本家に帰るため見送りに来てくれたのだ。原作には出てこなかったが、牛鬼組には大勢の組員達がいた。

 

「そろそろ、行くよ」

 

「じゃあな、気をつけろよ」

 

「今度は、修行じゃなくてどこかに遊びに行こうよ!」

 

「ああ!」

 

「若、これを」

 

牛頭と馬頭に挨拶していると、牛鬼が何か紫色の布に包まれた筒状のものを渡してきた。

 

「なんだ、これは?」

 

「免許皆伝の祝いです。護身刀くらいは持っていてください」

 

・・・ええー、一応日本では刀なんて持っちゃいけないんだけど・・・ていうか、まだ六歳だぞ?いいのか?

 

「えーと、ありがとう牛鬼。大事にするよ」

牛鬼のせっかくの好意を無下にはしたくないからな。とりあえず、もらっとこう。

 

「牛鬼、剣を教えてくれてありがとう。牛頭と馬頭は仲良くしろよ?」

 

「大きなお世話だ!」

 

「わかってるよー」

 

「じゃあ、みんな元気でな!」

 

「「「「いつでも、帰ってきてください、若」」」」

 

組員達が元気よく言った。

俺の家にはこれから、帰るんだけどなあ。時々、本家に帰ってたとはいえ、三年間も牛鬼組にいたしな。もう一つの家みたいなもんだな。

 

みんなの声を聞きつつ、俺は、おぼろ車に乗り込んだ。

 

ーーーーーーー

 

「行っちまったか・・・」

 

牛頭丸がそう呟くと、馬頭丸がからかうように言った。

 

「やっぱり、寂しかったんじゃないか?」

 

「んなわけあるか!」

 

ボカッ、という音が鳴り響く。

 

「また、殴った!ひどいよ!」

 

「牛頭、馬頭、何をしている。今日は仕事が多い、早く屋敷に戻るぞ」

 

「「はい、牛鬼様!」」

 

牛鬼はなんともない風を装っていたが、内心ある思いで一杯であった。

 

(リクオ様ならば、立派に三代目を継いでくれるだろう)

 

このとき、牛鬼が微笑んでいたことに気づいた者はいなかった。

 

 

説明
死んでしまった俺はぬらりひょんの孫の世界に転生することになった。まぁ、適当にがんばればいいかな……って、あれ?なんで俺の名前、リクオになってんだ!?……まっ、いいか。百鬼夜行の主になってやるぜ!

憑依転生ものです。よろしくお願いします!
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ぬらりひょんの孫 転生 憑依 

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