ISとエンジェロイド |
プロローグ
「あれ、ここはどこだ」
見回すと、広い敷地に居た。
確か、普段と変わらない生活を送っていたら、見たことがない異様な模様がある扉があったから、興味本位で開けて中に入ったんだった。
「貴方はどうやらここに迷い込んでしまったようですね」
声がした方を向くと、翼が生えた女性が居た。
「あの扉には私が細工をしていたはずなんですが……。貴方は運のいい人ですね」
謎の女性が一人で感心していた。
「運のいい貴方に話しがあるの。聞いてくれる?」
「特に予定はないから話しを聞こう」
「私は娘達を作ったけど経験がないから、娘達と一緒に異世界に行ってくれないかしら? 勿論、簡単に死なないように色々特典を与えるから安心してね」
「わかった。一緒に異世界に行ってあげよう」
「ありがとう。それじゃ、このカプセルに入って」
いつの間にか目の前に人が一人入れるほどのカプセルと女性の手に、左手用のオープンフィンガーグローブの機械が現れた。
「カプセルに入る前にこの機械をつけてね」
「これは?」
「この機械『IS』は、これから向かう世界では必要不可欠なものなの。今は待機状態になっているけど、念じたら展開出来るから覚えておいてね」
「解った。覚えておく」
女性からISを受け取り、左手に付ける。それからカプセルの中に入り、指示を待つ。
「向こうで娘達と仲良くね。それじゃ、いい旅を」
カプセルの中で強い光と衝撃により俺は気を失った。
あの後、無事に転送出来たみたいで気が付くと空に放り出されていた。このままだと、最悪の場合死ぬので俺はISを展開する。
強く念じると左手のISが光り、全身をトリコロールの装甲で覆われた。
ISを展開したことにより、目の前に空中投影ディスプレイが現れ、現在展開しているISの名前と使用できる武装一覧が、視界の端に表示している。
(0ガンダムというのか。起動時の名前は『GUNDAM』とするか)
ISでゆっくり降下していると、黒いスーツを纏った一人の女性がこちらに近づいてきた。
「何処から侵入してきた? お前の目的は何だ?」
ISを解除して地面に着地すると、俺が答える前に女性が驚いて続けて質問をしてきた。
「何故お前がISを使えるんだ? ISは男が扱えるものではないはずだ」
「空から落ちてきて咄嗟に念じたら、ISが展開していたので」
「どんな理由にせよ明日からIS学園に通ってもらう。ちなみに拒否権はない」
「はぁ。わかりました」
無事にこの世界に来れたから良しとするか。あとは翼の生えた女性が言ってた娘達をのんびりと探すか。
「お前には一足先に今日からIS学園内にある寮に入ってもらう。それいえば自己紹介がまだだったな。私は織斑千冬だ。お前は?」
「俺は山下航です」
「では、山下。IS学園まで案内するから着いて来い」
「はい」
それから俺はIS学園に連れて行かれ、1024の部屋鍵を渡して千冬さんは去っていった。
「確か足りないものは購買で買えって千冬さんは言ってたな」
コンッコンッ
夕食は何にしようかと悩んでいたら、窓の方から音がしたので目を向けると、髪の色がそれぞれ異なる翼のある三人の女性がいた。
疑問に思いながらも窓を開けて三人を部屋の中に入れる。
「早速で悪いけど君達は誰なんだ?」
「私は戦略エンジェロイド、タイプα。イカロス」
「私は電子戦用エンジェロイド、タイプβ。ニンフ」
「私は局地戦闘用エンジェロイド、タイプΔ。アストレア」
「俺は山下航だ。それで何の用があってきたんだ?」
「私達は貴方をマスターにするよう命じられてきました。右手をこちらに」
俺はイカロスに言われるがままに右手を出すと、三人は首輪に手を当て、三つの鎖が右手に巻きついた。
「これは?」
「インプリンティングが完了した証です。解りやすく言うと主従契約みたいなものです」
「そうなんだ。それよりも先生に事情を話さないといけないからついてきて」
『はい、マスター』
寮長部屋を探しに歩き回り、イカロス達について話したところあっさりと許可が下りた。その際、分厚いISの参考書を渡されて一週間以内に覚えろと告げられた。
今日からエンジェロイドと共同生活を送ることになった。
その日の夜、世界に二人目の男性IS操縦者が現れたのをIS学園が世界に公表したことについて本人はまだ知らないのだった。
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エンジェロイドの製作者との遭遇です。 | ||
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