仮面ライダーエンズ 第十五話 月と牙と皇帝の邂逅
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突然灰色のオーロラが現れ、突然消えた。

「…あれ?」

消えた後に残されたのは、一人の少女。彼女の名は音梨楓。こことは違う世界の住人だ。

「私はIS学園にいたはずなのに…」

IS学園とはIS、インフィニット・ストラトスという兵器の操縦者を育成するための学園だ。

 

ISとは、女性にしか反応しないパワードスーツ型の兵器で、数も限られている。だが、戦闘力や機動性能は極めて高く、彼女がいた世界では、まさしく究極の兵器だった。

「ここは?」

突っ立っていても仕方ないので、散策してみることにする楓。

 

 

彼女は、あの灰色のオーロラを見たことがあった。別の世界同士を繋ぐ架け橋の役割を持ったものであるということも、知っている。

(また、別の世界?)

彼女があれを使って異世界に来たのは、これが初めてではない。こういうことは前にもあったのだが、あの時訪れた世界は、それはそれはひどいものだった。謎の敵から命を狙われ、一緒に来た仲間達と分断させられ、罠にかけられ、何度も何度も死にかけたのである。それでも何とか切り抜けられたのは、自分の腕と、自分の専用ISの性能と、信じ合える仲間達のおかげだろう。それから、自分の中にあるもう一つの存在からの手助けも。

 

ともあれ、彼女は安心していた。今いる世界は見たところ普通の世界で、自分の命を脅かすものなど何もない。気になるのは、なぜ自分がこの世界に来てしまったのか。その理由だけ。

 

その時、悲鳴が聞こえた。

 

驚いて駆け出す楓。たどり着いた先で待っていたのは、全身にゴーグルやカメラなどを装備したシード。

「あれは!?」

当然彼女はシードを知らない。だが、まずは人命の確保である。楓は自身のISの名を言い放つ。

 

 

それは、永遠に輝く月。

 

 

「輝け、エターナルムーン。」

 

 

エターナルムーンを展開し、刀、ルシファーと銃、ゼウスを抜いた楓は、ゼウスを乱射して牽制しながら、シードに接近。

「はああああああっ!!!」

ルシファーで斬りかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ここは?」

黒谷終は、街中にいた。彼もまた、灰色のオーロラによってこの世界に飛ばされてきたのだ。

「またか…」

彼は楓の友人であり、また彼女と同じような目にあったことがあるので、ため息を吐く。とりあえず周囲を見回した終は、一緒にオーロラをくぐったはずの楓がいないことに気付き、

「…捜すか。」

と歩き出す。

「その前に、余に何か言うべきではないか?」

「ウェイ!?」

突然の声に飛び退いた終。声をかけたのは、レスティーと一緒にシード捜しをしていた皇魔である。すぐ近くにいたにも関わらず自分をスルーしようとしていた終が気に入らず、声をかけたのだ。

「びっくりした…何だお前ら?」

「それはこちらの台詞だ。貴様こそ、一体何だというのだ?」

終は皇魔の威圧的な態度に不満を抱きながらも、自分について説明した。

「つまり、あなたは別の世界の住人ってこと?」

「そうなるな。」

レスティーの結論を肯定する終。

「そうだ、音梨楓って女を知らないか?」

終は楓の特徴を伝えるが、

「…知らん。」

「知らないわ…」

二人は首を横に振った。

「そうか…」

終はどうしたものかと考える。前に訪れた世界でも離ればなれにされ、それでもどうにか合流できたが、今回もそうなるとは限らないからだ。

「もしよかったら、手伝ってあげましょうか?」

提案したのはレスティー。

「…いいのか?」

終は驚く。協力してもらえるとは思わなかったからである。彼としては、現地の協力者ほどあてになる存在はない。

「もちろんよ。」

「レスティー。貴様また勝手に」

「いいじゃない別に。シード捜しのついでだとでも思えば」

レスティーは皇魔を無理矢理協力させる。

「シード?」

終は当然シードについての知識などない。

「行きながら説明するわ。そうそう、挨拶が遅れたわね。私はレスティー」

「…皇魔だ。」

簡単な自己紹介を済ませ、皇魔、レスティー、終は楓を捜しに向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…」

シードを倒した楓は、肩を上下させながら荒い息継ぎをしていた。相対していたシードはどういうわけか終始無抵抗であり、彼女としては戦い易い相手だったのだが、シードの耐久力は非常に高いため、高スペックを誇るエターナルムーンの使い手たる楓でも倒すのに苦労したのだ。

「倒せた…はぁ…」

一息つく楓。そのままエターナルムーンを待機状態に移行させようとした時、

 

 

「面白いデータを取らせてもらいました。」

 

 

怪人形態のメイカーが現れた。

「また!?」

慌てて構える楓。しかし、メイカーは悠長に歩き続ける。

「インフィニット・ストラトス、ですか…この世界には存在しない兵器ですね。」

「!?どうしてISのことを!?」

楓はメイカーの発言にも驚いた。メイカーは今確かに、ISはこの世界に存在しない兵器と言った。知らないはずなのだ。しかし、メイカーはISの正式名称を口にしたのである。

「今あなたが倒したのはスキャンシードと言いまして、一度戦った相手のデータを全て読み取り、私に転送するという能力を持っているのです。」

本来ならこのシードは、イレギュラーな存在であるビーツのデータを取るために産み出したのだが、手違いで楓が倒してしまったのだ。終始無抵抗だったのは、楓からデータを読み取っていたからである。

「ですが、失敗ではありませんでした。あなたのIS、エターナルムーンは倒されることが目的だったとはいえ、シードを倒したのです。このデータは有効活用させてもらいますよ」

「そんなこと、させません!」

楓はゼウスを発砲した。だが、メイカーは全くダメージを受けていない。

「私をシードと同じと思ってもらっては困ります。」

「くっ…」

楓の目から見ても、メイカーとスキャンシードでは、レベルそのものが違うというのは明らかだった。

 

と、

(楓!私に代わって!)

「!」

 

彼女の中の別の人格が叫んだ。

 

とたんに楓の瞳はコバルトブルーに変化し、エターナルムーンもダークムーンというISに変化する。

「ここであなたが出ましたか。」

メイカーは楓が二重人格者だというデータも入手している。今出てきたのは楓の中にあるもう一つの人格で、名前は椛。楓と違って好戦的だ。

「人格の変化に伴って機体も変化するとは、なんとも興味深い。」

「ゴチャゴチャうるさいわよ。私はこれ以上あなたとお話なんてしたくないし、するつもりもない。ついでに言えば、あなたを生かしておく気もね。」

「ほう…」

「楓の敵は私の敵。敵は敵らしく…」

次の瞬間、椛はメイカーの背後に回り込んだ。瞬間加速(イグニッション・ブースト)という高速移動を使用したのである。そしてそのまま、

 

「死になさい。」

 

ルシファーを振り降ろした。

 

しかし、メイカーは振り向かず、左手にビームシールドを生成してルシファーを受け止めてしまう。

「なっ!?」

恐るべき超反応をしてみせたメイカーに驚く椛。メイカーは間髪入れず、右手に超大型の拳銃を生成して、零距離から椛を撃った。

「ぐはっ!!」

椛は吹き飛んで倒れる。白ヤミーなら一撃で粉砕できる威力にも関わらず無事でいられたのは、やはりダークムーンの防御機能によるものだろう。だが、吹き飛ばされた瞬間に頭を打ってしまった。朦朧としている椛へと、メイカーは語りかける。

「…私はあなたが今まで倒してきた相手とは違います。いや、同じでは困るんですよ。我々にも、デザイアとしての誇りがありますから。」

「…」

その言葉を聞きながら、椛は意識を手放した。

「さて…」

メイカーは椛をどうしようか思案に入る。ISのデータが手に入った以上、彼女に用はない。気絶しているので、殺すのも簡単。だが、それでは面白くない。彼女の中には、強い欲望が渦巻いているのだ。こんなに強い欲望の持ち主はなかなかいないし、それをあっさり消してしまうのは惜しい。ならばシードを産み出すか?

「…!」

その結論に至った時、メイカーは実にデザイアらしいゲームを思い付いた。だが、その前に…。

「おっと。」

椛を殺害しに飛び込んできた怪人形態のアプリシィを止める。

「なぜ止める!?ずっと見ていたが、今がこの女を殺せる最大のチャンスだろう!!」

「駄目ですよ。彼女を殺しては」

「貴様…俺達デザイアの使命を忘れたのか!!俺達は全次元世界を滅ぼすために、一人でも多くの人間を殺す必要があるんだぞ!?」

それはメイカーも心得ている。

「忘れてはいませんよ。ただ、面白いことを思い付きましてね…」

「面白いこと?」

「ええ。アプリシィもきっと気に入ります」

言いながら、メイカーはセルメダルを出し、椛の額にメダル投入口を出現させ、

「その欲望、私が叶えましょう。」

セルメダルを投入した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

音無は現在、二人の天使に無理矢理付き合わされ、デートの真っ最中だった。

「結弦。あーん」

「あ、あーん…」

自分のアイスを食べさせるかなでと、赤面しながら食べる音無。

「音無くん。あーん」

「あ…あーん…」

今度はゆりにせがまれ、そちらのアイスも食べる。

「…恥ずかしいからやめてくれないか?周囲の視線が痛い…」

音無は、もう耐えられなかった。元々恋愛経験が皆無であり、なのにこんなどう考えても恥ずかしすぎることをさせられ、しかも周囲の人間からかなり痛い眼差しで睨まれ、もう限界である。

 

そう思っていた時、近くの建物が爆発した。

 

「何だ!?」

音無は二人を庇うようにして後ろに隠し、目を凝らして爆発の原因を確かめようとする。建物が爆発した原因は、楓から産まれたシード、ダークムーンシードの攻撃だった。

「シード!?」

その姿は、ゆりとかなでも確認した。

「俺が戦うから、その間に逃げろ!」

「音無くん!?」

「結弦!?」

二人を守るために駆け出す音無。やがてダークムーンシードの前まで来た音無は、

「俺が相手だ。」

ビーツドライバーを装着し、

「変身!」

 

〈Music Start!〉

 

ヘンシンコアメダルを装填して、ビーツに変身。ダークムーンシードはビーツに気付いてルシファーとゼウスを構える。対するビーツは、左腰に装着されている剣、ビーツソードを右手で抜き、右腰に装着されている銃、ビーツブレイザーを左手で抜き、臨戦態勢に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レスティーがシードの気配を察知し、もしかしたら楓が襲われているかもしれないと予想した皇魔、レスティー、終は、シードがいると思われる方向へ向かう。しかしシードはおらず、代わりに楓が倒れていた。エターナルムーンを展開したままで。

「楓!!」

終は駆け寄り、楓を揺する。

「楓!!しっかりしろ!!楓!!」

「…終…さん…」

楓は目を覚ました。

「ったく心配かけさせやがって…」

無事なようなので安心した終。

 

しかし、楓は無事ではなかった。

 

「私は…私は…!」

突然頭を抱えて震えだしたのだ。

「楓!?どうした楓!!」

楓の肩を掴んで呼び掛ける終。

「ちょっと失礼。」

レスティーは楓の頭に触れて、超能力で記憶を読み取った。

「…この子、メイカーと戦ったのね。」

しかし、レスティーが知ったのはそれだけだ。楓が途中で気を失ってしまったからである。

「一体どうして…」

終は震え続けている楓を見て、彼女の身を案じていた。

「さっき記憶を読み取ったついでにわかったんだけど、彼女の中から何かが欠落しているわ。それが原因だと思う」

「何かが欠落している?」

と言われても、わかるはずがない。

「いい加減にしろ。さっさとシードを捜しに行くべきだ」

ついに痺れを切らした皇魔。

「お前、楓をこのままにしておけっていうのか!?」

「そうだ。余は貴様らのくだらん茶番劇に付き合うつもりはない」

「てめぇ…」

皇魔の発言にブチキレた終は、皇魔と一触即発状態になる。終にとって楓は大事なクラスメイトだが、皇魔にとっては赤の他人。他人がどうなろうと、知ったことではないのだ。

その時、

「あっち…」

楓が突然、ある方向に手を伸ばした。

「…何かあるのね?」

レスティーの問いに頷く楓。もしかしたら、楓から欠落した何かがあるのかもしれない。

「行くぞ!」

終は走った。

「私達も行きましょ!」

「だから余は…」

「あとでセルメダルあげるから!」

「…ちっ」

いつものようにセルメダルに釣られる皇魔。二人が終を追っていったあと、楓もエターナルムーンを待機モードにしてから遅れてついていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダークムーンシードは、ダークムーンを模したシード。ダークムーンの武器や特性を全て持っている上に、シードなため能力も高い。ビーツのハイスペックと音無の順応性がなければ、とっくに負けていたところだ。

「ウッ!」

ダークムーンシードは空へと逃げる。空中から仕掛けるつもりなのだろう。

「ならこれだ!」

ビーツはビーツブレスにユニットコアメダルを装填し、触れる。

 

〈Sky High Jet!〉

 

すると、ビーツオルゴールが分解、再構築され、ロケットブースターになった。ビーツオルゴールの飛行形態、スカイハイジェットである。ビーツはスカイハイジェットを使い、ダークムーンシードを追いかけた。飛びながら、互いに撃ち合うビーツとダークムーンシード。やがて、

「はぁっ!!」

ビーツはビーツソードによる一撃を食らわせ、ダークムーンシードを叩き落とした。追って地上に降り立つビーツ。そこへ、ゆりとかなでも来た。ビーツは驚く。

「お前ら、何で逃げなかったんだ!」

「心配だからに決まってるでしょ!」

「あたし達も戦う。」

ゆりはサイレントアサシンを装備し、かなではハンドソニックを発現させる。ダークムーンシードもよろめきながら立ち上がり、ルシファーとゼウスを向けた。

「…妙だ。」

しかし、ビーツはダークムーンシードに対して、違和感を覚える。

「妙って何が?」

かなでが聞く。

「よくわからないんだが…あのシードからは…なんというかこう…激情みたいなものを感じる…」

彼が今まで目にしてきたシードは、いずれも感情は持っていたが、人間のそれとは違う、作り物のようなものだった。だが今目の前にいるダークムーンシードは、常に『人間らしい』激情を放っている。まるで何かを無理強いさせられているかのような…。

その時、ダークムーンシードが叫んだ。

 

 

「カエデェェェェェェェェェェェェェェェ!!!!」

 

 

「…かえで?」

思いっきり引くゆり。何の前触れもなくいきなり人名らしきものを叫んだのだから、当然と言えば当然だが。

そこへ、ようやく皇魔達が到着した。

「皇魔!」

それに気付くビーツ。皇魔はビーツに尋ねた。

「何だあのシードは!?」

「わからない。いきなり…」

一方ダークムーンシードは、

「楓!楓!楓!楓!楓!楓!楓!楓!」

ひたすら楓の名を呼び続けている。誰もがダークムーンシードの意図を計りかねる中、一人だけ、行動する者がいた。楓である。楓はダークムーンシードに手を伸ばし、言った。

 

 

 

「椛さん…」

 

 

 

「何だと!?」

真っ先に反応したのは、終。

「貴様、何か知っているのか?」

「…楓は二重人格者なんだ。」

終は皇魔の問いに答えた。

「お前ら一体何の話してんだよ?」

「詳しく教えて。」

事情など知らないビーツ、ゆり、かなで。レスティーは超能力を使って終達のことを教え、さらに告げた。

「わかったわ。あの子の中から何が欠落しているのか」

レスティーが気付いたそれはすなわち、楓のもう一人の人格である椛だ。

人格が二つあることによって安定していた楓が、椛というもう一つの人格を失うことによって不安定になる。それはさながらパズルのピースで、揃わなければ完成しないのと同じ。不安定になるのは当然である。

「シードの種類からして、これをやったのはメイカーね。」

「その通りです。」

レスティーに言い当てられた瞬間、メイカーが現れた。

「私が彼女からもう一人の人格を抜き取り、シードに移植しました。」

ゆりはメイカーの発言に驚く。

「人格を抜き取ったって、そんなことできるの!?」

それについては、レスティーが答えた。

「シードはデザイアの眷族であると同時に、心の在り方を映し出す鏡でもあるの。その特性を応用すれば、多重人格者から人格を抜き取ることだってできるわ。」

なんとも意外な特性である。ビーツはメイカーに訊いた。

「何でそんなことしたんだ!?」

「我々デザイアは、一人でも多くの人間を抹殺しなければなりません。ですが、ただ殺すだけでは面白味がないんですよ。そこで、元は存在を同じくする者同士を殺し合わせる、という殺し方を考えたんです。面白いと思いませんか?」

「…ゲームだとでもいうの?」

「ええ。」

ゆりの質問に即答するメイカー。ちなみに、楓と椛を分離させたあとすぐに殺し合わせなかったのは、椛の人格が宿ったダークムーンシードにセルメダルを稼がせ、より強くした状態で戦わせるためだ。

「アプリシィは人間嫌いですが、私は人間が大好きです。だって、こんな面白いゲームができるんですから!」

メイカーは笑っていた。外道である。外道としか言い様がない。

「ウウ…ウウウッ…!」

苦しむダークムーンシード、いや、椛。そんな彼女へと、メイカーは語りかける。

「何を苦しむことがあるのです?これはあなたが望んだ結果なのですよ?」

「私…が…?」

「そのダークムーンシードは、あなたの中に存在する『全てを破壊したい』という欲望を媒体に産み出しました。だからこそ、私はあなたを彼女から分離させ、全てを破壊できる力を与えたのです。力を得たなら壊せばいい…壊してしまいなさい全てを。あなたの愛する彼女すらね…」

 

 

その時、

 

 

「違うッ!!」

 

 

終が異議を唱えた。

「…何が違うのですか?」

「…椛は確かに、全てを破壊したいと望んでいた。だがそれは、楓を守るためだ!間違ってるとはいえ、二度と楓を傷付けさせないよう、椛が考えた方法なんだ!」

そう。全てを破壊したいというのは、かつて楓を傷付けてしまった世界を憎み、二度と傷付けさせないように滅ぼすという、椛の歪んだ愛情の生み出した結論だ。

「許さねぇ…椛の気持ちを、よくもこんなことに利用しやがったな!!」

怒る終は自分の力、漆黒の牙を目覚めさせる。

 

「起きろ!ブラックファング!!」

 

終もまた、ISの使い手なのだ。しかし、メイカーの中に疑問が生まれる。

「おや?おかしいですね。ISは女性にしか使えないはず…」

「そんなことはどうだっていい!」

終はブラックファングの剣と銃、ハデスとケルベロスを抜いた。

「そうですか。ですがこのまま戦えば…」

メイカーの言う通り、このまま戦えば、間違いなく椛は死ぬ。だが、抜き取られた人格を取り戻す方法などあるのだろうか。

「…あの人を助ける方法はないの?」

かなではレスティーに尋ねた。答えは……、

「あるわ。」

らしい。

「ただし、かなり危険な方法よ。それでもやる?」

「やります!」

一番最初に答えたのは、いつの間にかエターナルムーンを展開していた楓。

「椛さんはもう一人の私。だったら私が助けないと!」

「協力するぜ。ここまでやられて、黙ってられるか!」

終は当然協力態勢だ。

「俺もやる!このままにはしておけない!」

「あたしもやるわ。」

「あたしも手を貸すわよ!」

ビーツ、かなで、ゆりも加勢する。そんな中、

「くだらん…余は貴様らの事情に付き合うつもりはない。」

非協力的な態度の皇魔。自分に害がなければ、他人がどうなろうと関係ないのだ。

 

そう、自分に害がなければ。

 

「だが、貴様の思い通りにだけは絶対にさせん。」

皇魔はメイカーを睨みながら言い放つ。今回の事件はデザイアが関与しているので、放っておけば皇魔にも害が出る。

「レスティー。何をどうすれば良いのだ?」

「とにかく楓ちゃんと椛ちゃんを接触させて。接触さえさせれば、私が二人を元に戻す。」

レスティーは方法を教えながら、皇魔にベルトとメダルを渡した。

「よしわかった。変身!」

 

〈クレアボヤンス!ヤリ!ホノオ!ク・ヤ・ホ♪クヤホク・ヤ・ホ♪〉

 

皇魔はエンズに変身する。終はエンズに尋ねた。

「お前、仮面ライダーなのか!?」

「…」

エンズは考えた。自分はともかく、ビーツは仮面ライダーと呼ばれる存在。そういえば、クロスも仮面ライダーだった。ならば、今の自分も…。

「…そうかもしれん。だが、今はどうでも良い!」

エンズはメダジャベリンを出す。メイカーはため息を吐いて、椛に命じた。

「行きなさい!」

「楓ぇぇぇぇぇ!!」

「椛さん。今、助けます!」

「行くぞ!」

先陣を切って突撃する楓とエンズ。

「てめぇだけは許さねぇ!」

「…どうぞお好きに。」

邪魔が入らないよう、メイカーに挑む終。足止めが目的なので、一人で十分だ。自分が倒さないと気が済まないという理由もあるが。

「行くぞ!ゆり!かなで!」

「ええ!」

「わかったわ。」

エンズと楓に加勢するビーツ、ゆり、かなで。

 

 

 

こうして、戦いが始まった。

 

 

 

殺戮者が開催したゲームに勝利するための戦いが。

 

 

 

 

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次回、

仮面ライダーエンズ!!

 

椛「楓…楓…」

 

皇魔「貴様は何をしているのだ!!」

 

楓「これが…私達の力です!!」

 

 

第十六話

楓と椛と向き合うこと

 

 

ビーツソード

 

ビーツの剣。鍔の部分にメダル投入口があり、ヒッサツコアメダルを投入することで、どんなものでも破壊できる斬撃、ビーティングスラッシュを発動できる。

 

 

ビーツブレイザー

 

ビーツの大型銃。ベルトのヘンシンコアメダルから常にエネルギーを供給されており、そのエネルギーを利用して光弾を放つ。

 

撃鉄部分にヒッサツコアメダルを装填することで、島を一つ消し飛ばせる破壊光線、デストラクションボイスを撃てる。

 

 

スカイハイジェット

 

ビーツオルゴールの飛行形態。時速1000kmで飛行できるようになる。

 

必殺技は、バリアを纏って最高速度で突撃する、ジェットスーパーストライク。

説明
今回はブラックムーンさんとのコラボです。長くなったので、二つに分けます。
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R15 エンペラ星人 弱体化転生 オリジナルライダー オリジナル怪人 周りと敵がチート オーズ勢が空気 多クロス 

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