「椛さん！」

椛へと手を伸ばす楓。しかし、

「うああああああああ!!!」

椛はルシファーを振り回してそれを振り払い、

「楓ぇぇぇぇぇ!!!」

さらにゼウスを発砲して楓を追い払う。今の椛は、楓から分離させられてしまったため楓と同じく不安定になっており、さらにシードになったことで感情が暴走。自分でも止められなくなっているのだ。

「楓！楓！楓！楓！楓ぇぇぇぇぇ!!」

「くっ…！」

なぜか楓に的を絞ってルシファーを振るう椛に対し、同じくルシファーでさばく楓。だが、レスティーは言う。

「武器同士の接触じゃ駄目！直に触れないと元に戻せないわ！」

「なら、動きを止めないと…！」

真っ先に動いたのはビーツ。しかし、その前に、突然アプリシィが現れた。

「お前には俺の相手をしてもらう。」

「ぐっ…どけぇっ!!」

ビーツソードで斬りかかるビーツ。アプリシィは両手を氷の刃に変え、ビーツソードをさばいていく。

「音無くん！」

「結弦！」

ゆりとかなではビーツの加勢に行った。

両腕に大口径のガトリングを生成して、終を銃撃するメイカー。終もケルベロスで反撃してはいるが、相手の手数が多すぎて、まさしく豆鉄砲同然。

「どうしました？私を許さないのではなかったのですか？」

「クソッ！調子に乗んな！」

悪態をつきながらも、終にはひたすらメイカーの攻撃から逃げ回ることしかできなかった。弾幕に隙ができる瞬間まで。

「うおおっ!!」

メダジャベリンを振り下ろすエンズと、それをルシファーで受け止める椛。

「余は加減などせん。痛めつけて行動を封じてやる！」

エンズはメダジャベリンによる華麗な槍術で、椛を追い詰めていく。途中でゼウスによる反撃も受けるが、エンズの装甲は非常に厚いので、メイカーの重火器に比べれば無視できるレベルだ。

「あの人のスーツ、ISより頑丈なんじゃ…」

楓がそんなことを言っていたが、それも無視して左手の衝撃波で椛を吹き飛ばす。

皇魔と椛の腕は、長年の経験、元の強さもあって、皇魔の方が若干上。エンズの性能も非常に高い。だが、今の椛はシードの肉体と力を得ており、さらに『破壊衝動』という欲望を満たし続けたことでセルメダルを稼ぎ、パワーアップも遂げていた。今もエンズと戦うことによって欲望を満たし、パワーアップを続けている。しかし、暴走状態にある椛は戦っても戦っても欲望に渇き、一向に満たされない。そのことが、さらに椛の暴走を加速させていた。それに伴って、パワーアップも加速する。今や椛は、エンズにも匹敵するほどの力を得ていた。いや、現在進行形でエンズを超えつつある。

「加減をして勝てる相手でもなさそうだからな！」

そう、加減などしている場合ではない。椛の力がエンズを超える前に、椛を楓に戻さなければならないのだ。

と、

「楓…楓…」

何事か呟き始める椛。エンズが椛の顔を見た時、彼は目にした。

椛が、大粒の涙を流して泣いているのを。

「どうして…こうなるの…？」

シードの身となったにも関わらず、涙する椛。

「私は…楓を守りたいだけなのに…！」

べそをかいて心中の想いを吐露する姿は、異形といえど、まるで子供だ。

「椛さん…」

楓は椛の想いに気付いているので、その姿が痛々しくて仕方ない。目を背けてしまう。

「…貴様は…」

一方エンズは、

「貴様は何をしているのだッッッ!!!!」

彼女の涙を見た瞬間からこみ上げてきた不快感に耐えかね、激怒していた。

少し前の自分なら、何も感じなかったはず。むしろ、喜んでいたはずのこの光景。しかし、どういうわけか今のエンズの心中には、不快感しか湧いてこない。

「貴様には、本当に守る気があるのか!?ならばなぜ泣く!?嘆いている暇があったら行動を起こせ!!それすらできんかこの愚か者めッ!!!」

一刻も早くこの不快感を取り除こうと苛立つエンズは、とりあえず今、自分が思っていることをぶちまけてみる。だが、それでも不快感は消えなかった。どうしたものかと考えていると、

「皇魔！」

レスティーがコアメダルを渡してきた。そのメダルの種類を見て、エンズは感じる。

「やはり、直接発散するしかないか。」

〈クレアボヤンス！サイコキネシス！ホノオ！〉

そのままクレサイホコンボにコンボチェンジ。念動力を発揮し、椛の動きを封じてその場に固定する。

「今だ！さっさとしろ！」

「は、はい!!」

エンズに促され、慌てて行動に移す楓。楓が椛に接触できれば、あとはレスティーが二人を元に戻す。

「!!」

それを見たメイカーの攻撃が、一瞬止まる。

「もらったぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

この気を逃さず、一気に接近する終。だが、それに気付いたメイカーは自分の左手を巨大な榴弾砲に変化させ、

「邪魔です!!」

零距離から終を吹っ飛ばした。

「ぐわあっ!!」

近くにあった建物に突っ込む終。

「させませんよ!!」

メイカーは右手をかざし、椛に向けて大量のセルメダルを飛ばす。セルメダルは椛に吸収され、

「あああああああああああああああ!!!」

それによってパワーアップした椛は全身から衝撃波を解放し、念動力を突破。一緒に楓も吹き飛ばす。

「もういい…何も…いらなイ…全部……壊してヤル……ハカイダ……ハカイダァァァァァァァァァァァ!!!」

とうとう椛の理性が消え去り、完全な暴走を引き起こした。もはや、彼女の目に楓の姿は映っていない。全てを破壊し尽くすまで、椛は戦いを続けるだろう。全てを…愛してやまなかったもう一人の自分さえも…。

「今ので私もかなりのセルメダルを消費しましたが、ゲームはリスクが大きければ大きいほど面白くなります。さぁ、もっともっと殺し合って下さい。」

メイカーは喜んでいる。彼は生まれて最初にゲームというものを知り、そして五百年経った今、それがより面白くなっているということを知った。ゆえに彼は求める。楽しみながら世界を滅ぼせる、彼にとっての至高のゲームを。

「私はメイカーと違って人間の良さなどわからん。見ていたところで不快なだけだ」

あまり興味がなさそうなアプリシィ。ビーツはアプリシィに尋ねた。

「お前…いくら人間嫌いだからって、こんなものを見ても何も感じないのかよ!?」

「知らんな。人間など、苦しんで苦しんで、苦しみ抜いてから死ねばいい。面倒だから私はすぐに終わらせるがな」

「…最低ね。」

アプリシィの思考に対して嫌悪感をもよおすゆりだが、

「だから何だ？滅亡すれば全て同じ。お前達もな！」

アプリシィは右手から大量のツララを飛ばした。

「ガードスキル・ディストーション」

そこでかなでが二人の前に飛び出し、ガードスキルを発動する。しかしアプリシィのツララ攻撃は銃弾よりも遥かに強力なため、これだけでは防げない。というわけで、かなではさらなるガードスキルを発動する。

「ガードスキル・メトロノーム」

かなでが発動したガードスキルは、ガードスキルを強化する技だ。防御力を増したディストーションで、ツララを防ぐ。

「小癪な…！」

「かなで！下がれ！」

ビーツはビーツソードで、アプリシィの氷剣を受け止めた。

椛はあまりにも強大な存在になってしまった。もはや、楓にも、終にも、レスティーにも、ビーツにも、ゆりにも、かなでにも、止められない。

しかし、一人だけ、彼女を止める方法を持つ存在が、この場にいた。

その名はエンズ。

「…レスティー。貴様のコアメダルをもう一枚よこせ」

「っ!!」

当然レスティーはその言葉の意味を知っている。それは、彼女のコンボを使うということ。

「駄目よ！危険すぎるわ！せめてもう少し」

「その少しが待てんから言っておるのだ!!つべこべ言わずによこせ!!」

異論を許さぬエンズ。

「死ぬかもしれないわ！」

「余は死なん。成すべきことを、成し遂げるまではな。」

エンズの覚悟は本気だった。別に人助けをしようなどと考えているわけではないが、目の前の相手は命を懸けて挑むべき存在。そのために、自分の全力を使う。限界など、いくらでも超える。彼からすれば、当然のことだった。

「…くっ！」

レスティーは断腸の思いでメダルを渡す。

「それで良い。」

エンズは渡されたメダル、テレポートコアメダルをベルトに装填し、エンスキャナーでスキャン。

〈クレアボヤンス！サイコキネシス！テレポート！ク〜レ〜イト〜♪〉

超能力コンボへとコンボチェンジした。チェンジの瞬間に全身から溢れ出る漆黒のオーラ。姿がよりエンペラ星人に近くなったこのコンボの名は、クレイトコンボ。

「すぐに終わる。」

エンズは両手を椛に向け、コンボによって何倍にも強化された念動力を使い、再び椛の動きを封じる。

「ウッ！グウッ！ハナセッ!!ハナセェェェッ!!!」

わめきながらもがく椛だが、今のエンズの念動力は惑星すら握り潰せる。つまり、レスティーを上回るパワーなため、逃げられるわけがない。

「女！早くしろ！」

再び楓に呼び掛けるエンズ。

「今度こそ！」

楓は瞬間加速を使って、一気に椛に接近した。

遂に触れ合う楓と椛の手。

「レスティー！条件は満たしたぞ！」

「もうやってるわ。」

二人が接触したと同時に、二人の身体に触れるレスティー。その時、

「ガアアアアアアアアアアア!!!!」

「ああああああああああああ!!!!」

突然痙攣を起こす二人。数秒痙攣したあと、二人は糸が切れた人形のようにうなだれ、レスティーは楓の方だけを瞬間移動で回収した。

「レスティー！何をしたのですか!?」

驚くメイカー。レスティーは、今自分が何をやったのか教える。

「私の超能力で、二人の精神をダイレクトに繋げたの。」

楓と椛は元々一つの存在であるため、元に戻ろうと常に強く惹き合っている。ならば、互いの精神を繋げて道を作ってやればいい。あとは惹き合う力で勝手に元の器、楓の肉体に戻る。これは至って単純だが、あらゆる超能力を自在に扱えるレスティーだからこそできる方法だ。そして、今のダークムーンシードはただのシードであり、椛は入っていない。

「おのれ…ようやく面白くなってきたのに…！」

「残念だが、ゲームは終わりだ。」

「！」

メイカーは声が聞こえた方を見る。そこにいたのは、建物から出てきた終。しかし、ブラックファングは強化形態、ブレイブファングに変わっていた。

「俺達が終わらせる！」

終は再びメイカーに挑む。

「せっかくだ。このまま倒す」

エンズはいずれ、このコンボを使いこなせるようにならなければならない。ならば、感覚は掴んでおくべきだ。ダークムーンシードにかけている念動力を解き、わざと攻撃させる。

「ウアアアアアッ!!!」

ルシファーを手に襲いかかってくるダークムーンシード。しかし、エンズは左腕に円盤を精製することによって防いだ。一見タジャスピナーのように見えるこの円盤の名は、クレイージス。予想外な防御方法を取ったためあっけにとられていたダークムーンシードだったが、エンズがその隙を逃すはずもなく、殴り飛ばす。

「ウウッ!!」

ダークムーンシードはゼウスで反撃してきた。エンズはこれを、瞬間移動でかわす。クレイトは超能力全般が使えるようになるコンボで、念動力や瞬間移動はもちろんのこと。未来予知やテレパシーなども使え、様々な状況に対応が可能だ。今回も、未来予知と瞬間移動を併用して、ゼウスによる銃撃をかわしている。

「これは便利だな。」

エンズはダークムーンシードの背後に瞬間移動。

「!!」

慌てて振り向くダークムーンシードだったが、もう遅い。

「ぬん！」

ダークムーンシードはエンズが左手から放った衝撃波によって、吹き飛ばされていた。念動力で威力を増幅した念動衝撃波なので、ダメージも大きい。

「次だ。」

〈スキャニングチャージ!!〉

エンズはベルトをスキャンし、それから片手をダークムーンシードに向ける。直後、エンズの手から念動力が発され、ダークムーンシードは動きを封じられた。

漆黒のオーラを纏いながら、ゆっくりと浮かび上がるエンズ。その優雅な姿は、相手にとっての最終通達。やがて空中で一回転したエンズは、

「でぇやっ!!」

背後のオーラを爆発させて推進力を得、右足蹴りを放つ。エンズはそんな状態でも念動力を操り、ダークムーンシードを引き寄せる。動けないままなので、避けることも防ぐこともできない。相手の動きを封じて引き寄せながら放つ飛び蹴り、PSY（サイ）キックを食らったダークムーンシードは、大きく吹き飛んだ。エンズが飛んでくるスピードと、自分が引き寄せられるスピード。二つの要因によって威力が増した飛び蹴りは、ダークムーンシードに大ダメージを与えた。

モニターを介してそれを見ていた光生は、ケーキを作りながらエリカに訊く。

「里中君。進化とは何だと思うかね？」

「こうなりたいと願い、自分を高めることだと思います。」

「そう！進化とはすなわち、こうなりたい、こう在りたいと願う欲望の結晶なのだ！超能力もまた然り!!」

ハイテンションで熱弁する光生は、しかしケーキ作りの手を止めず、さらにテンションを上げる。

「超能力とは一つの進化の可能性!!さらなる進化を望む者が生み出した、まさしく欲望の奇跡!!!」

完成させ、光生はモニターを見て叫ぶ。

「素晴らしいッ!!!!」

楓の精神空間。

そこには二人の少女がいた。片方は楓で、もう片方は椛。

「ごめんなさい」

先に言葉を発したのは、楓。彼女は今、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。自分が弱かったがために椛を危険に晒してしまい、苦しませてしまったと思っているからだ。

「楓のせいじゃないわ。元はといえば、私が勝手に飛び出したのが原因だし、少し反省ね。」

そのまま、二人は黙ってしまう。そして、再び口を開いたのも楓だった。

「椛さんまだやれますか？」

その言葉から、椛は全てを察する。二人は同じ人物なのだから、当然だが。

「ええ。そろそろ、やり返してやりたいと思ってたところよ。」

「今度は二人で行きましょう。一人では無理でも、私達二人なら…」

椛は、今度も楓の意図を把握する。

「でも、あれを使ったら…」

「今使わないで、いつ使うんですか？」

「…そうね。やりましょう！私達二人の力で！」

「はい！」

覚醒する楓。しかし、エターナルムーンは楓と椛の力の集大成、デュアルムーンへと変わっていた。楓はエンズの隣に立つ。

「私も、いえ、私達も混ぜてください。」

「活躍の場など与えん。欲しければ、自分で奪え。」

それはつまり、好きにしろ、ということ。

「はい！」

楓は三ツ又槍、ポセイドンを出して構える。エンズは念動力を使ってクレイージスを開き、三枚のコアメダルと四枚のセルメダルの装填、スキャンも念動力で行う。

〈クレアボヤンス！サイコキネシス！テレポート！ギン！ギン！ギン！ギガスキャン!!〉

「ぬんっ!!」

左腕を広げるエンズ。するとクレイージスが発光して、エネルギーの刃が伸びた。そしてそのまま、

「ええええりゃっ!!!」

一閃、ダークムーンシードを斬りつける。無限に伸びるエネルギー剣で相手を斬る技、パニッシュブレードだ。

「これが…私達の力です!!」

動きを止めたダークムーンシードに飛び掛かり、全エネルギーを収束したポセイドンで斬りつける楓。

「グアアアアアアアアアアアアア!!!!」

とうとう、強敵ダークムーンシードは爆散した。

「音無くん。あたしとかなでちゃんで足止めするから、その隙に！行くわよかなでちゃん!!」

「うん!!」

「ゆり！かなで！」

ゆりとかなではビーツが止めるのも聞かず、アプリシィに挑んだ。

「「はああああああああああああああ!!!」」

「くっ！人間がっ!!」

二人がかりの攻撃すら、苦戦しつつもさばいていくアプリシィ。ビーツは自分を守ろうとしてくれている二人の想いに応えるため、ビーツソードにヒッサツコアメダルを装填。

〈CORE BURST!!〉

「下がれ!!」

「「!!」」

ビーツは二人を下がらせて突撃。

「ビーティングスラッシュ!!」

必殺の斬撃を放つ。

「図に乗るな!!」

アプリシィも氷剣と化した右腕を振るが、ビーティングスラッシュは全てを斬り裂く一撃。当然、

「がああっ!!!」

右腕を斬り落とされた。

「に、人間…!!」

しかし、アプリシィはデザイアであるため、セルメダルさえあればどんなダメージも修復できる。すぐに右腕を修復し、ビーツを睨み付けた。

「決めたぞ…お前だけは、私がこの手で仕留める!!必ずだ!!」

アプリシィは吹雪を発生させ、撤退した。

「アプリシィ!!」

「よそ見すんな!!」

メイカーに斬りかかる終。メイカーはビームシールドを生成するが、

「ファングクラッシャー!!!」

終がハデスを使って放つ必殺技には、バリア無効化能力が付加されている。終の攻撃はバリアを破り、

「ぐわあああっ!!!」

メイカーに届いた。

「くうっ…撤退します…!!」

メイカーも逃げていった。

変身を解除する一同。だが、楓と皇魔は解除した瞬間に倒れてしまった。

「「皇魔!!」」

「楓!!」

慌て駆け寄るレスティーと音無。そして、終。しかし、皇魔はとっさにリフレクターマントを出して、中から何かの薬品が詰まったボトルを出し、中身を飲み干す。ボトルに入っていた薬品は、ポーションという即効性の回復薬だ。疲労にも効果がある。

「もしもの時の手段は用意してあるのだ。」

「…何だよ…心配して損した…」

「私の力じゃ疲労までは回復できないから、安心したわ。」

薬が効きやすい体質らしく、一瞬で復活した皇魔に安堵する音無とレスティー。一方楓もまた一瞬で立ち上がり、

「気安く触らないでよ。」

終を突き飛ばした。

「お前、椛か!?」

「ええ。デュアルムーンは楓の方に負担がかかるから」

デュアルムーンを使うと楓に負担がかかり、楓が回復するまで椛が肉体の主導権を握るのである。椛は皇魔とレスティーに言った。

「一応感謝するべきでしょうね。」

レスティーは椛を救い、消極的ながら皇魔もその手伝いをしてくれた。椛はまだ世界の滅亡を考えているが、二人、いや、音無達も含めた五人だけは特別扱いするつもりである。皇魔はすぐに返す。

「礼などいらん。余の望みは、一刻も早くこの世界から出ていってもらうことだ。もう二度と余を面倒に巻き込むな」

「努力するわ。またあんなのに目をつけられたらやだし」

椛が言った瞬間、灰色のオーロラが現れる。

「じゃあね。」

「縁があったらまた会おうぜ。」

椛と終はオーロラをくぐり、この世界から消えた。

「全く、迷惑な連中だ。」

「そうでもないわよ。」

レスティーは皇魔に、一枚のコアメダルを見せる。それは、メイカーのコアだ。終の攻撃によって飛び散ったものである。

「皇魔！」

音無は皇魔に、アプリシィのコアメダルを投げ渡す。こちらも、アプリシィを攻撃した際に入手したものだ。

「要るんだろ？それ。」

「…帰るぞ。」

「お礼くらい言ったら？」

「黙れ。」

レスティーを黙らせ、皇魔は帰っていく。

「じゃ、デートの続きをしましょ♪」

「早く早く。」

「ちょっ！お前ら！」

音無、ゆり、かなでも、デートを再開する。

それは、日常の中で起きた密かな邂逅。

異なる世界の存在との触れ合いを経験した彼らは、再び日常へと戻っていくのだった。

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ブラックムーンさん、ありがとうございました！というわけで…。

次回、

仮面ライダーエンズ!!

ウォント「熱くなれよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

修造「熱くなれよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

皇魔「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

第十七話

熱血と軽音部と応援合戦

クレイトコンボ

クレアボヤンスコアメダル、サイコキネシスコアメダル、テレポートコアメダルの三枚によって完成する、エンズの超能力コンボ。チェンジの際全身から漆黒のオーラが吹き出すが、これは闇ではなく漆黒の光。

透視、念動力、瞬間移動、テレパシーを含めた超能力全般を使用できるため、非常に強力なコンボだが、レスティーのコアメダルはコレク達の十倍以上のパワーを持っているため、彼らのコンボよりも強い負担がかかる。

必殺技は念動力で相手の動きを封じ、さらに高速で引き寄せながら飛び蹴りを放つ回避不能な技、PSY（サイ）キック。

パンチ力 400t

キック力 650t

ジャンプ力 ひと飛び420m

走力 100mを2,5秒

PSYキック 1400t

クレイージス

タジャスピナーと同型のツールで、エンズがクレイトコンボにチェンジした時のみ、エンズの左腕に出現する。運用法はタジャスピナーと同じだが、こちらの方が攻防共に上。

クレアボヤンスコアメダル、サイコキネシスコアメダル、テレポートコアメダルを装填してギガスキャンを行うことにより、無限に伸びるエネルギー剣で斬りつける技、パニッシュブレードを発動できる。

テレポートコアメダル

レスティーのコアメダルで、エンズの下半身をテレポートレッグに変化させる。

瞬間移動が可能になる。

ガードスキル・メトロノーム

ガードスキルを強化するためのガードスキル。発動中のガードスキルを、五段階まで強化できる。

かなでがこのガードスキルを開発した理由は、いかに自衛用とはいえ、効かなければ意味がない、と判断したから。