仮面ライダーエンズ 第十七話 熱血と軽音部と応援合戦
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「なぁ音無。」

日向は音無に声をかけた。

「どうした日向?」

「今から軽音部の部室に行くんだけどよ、一緒に行かねぇか?」

このロストグラウンド学園には、軽音楽部が存在する。その軽音楽部に、日向にとって親しい人物が入部しており、彼はこれからその人物に冷やかしという名の応援をしに行くつもりだ。

「ああ、いいよ。」

快く了承する音無。と、

「あたしも行くわ。」

かなでが割り込んできた。

「かなでも?」

音無が尋ねると、かなでは行く理由を答える。

「もうすぐ体育祭でしょ?ちょっと打ち合わせしなきゃいけないから。」

ロストグラウンド学園はもうすぐ体育祭。生徒会は軽音部から、体育祭の応援合戦に参加するという申請を受けており、かなでは生徒会長として、どのチームの応援合戦に参加するか、打ち合わせをしなければならないのだ。

「ならあたしも行くわ!」

今度はゆりが来た。日向が訊く。

「なんだよ。ゆりっぺも用があるのか?」

「ないわ。暇だから行くだけよ」

「音無さんが行くなら僕も!」

直井も来る。

「いやお前は完全に関係ねぇだろ!」

日向はツッコミを入れるが、

「貴様の耳は節穴か?僕は音無さんが行くならと言ったんだ。でもなければ、誰があんな品の欠片もない連中に会いに行くものか。」

「お前なぁ…」

直井はいつもの調子であり、日向は肩を落とす。ともあれ、一行は軽音部の部室へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その時じゃった…男の首筋に白い指が…」

「やーだーやめてーっ!!」

「聞こえない聞こえない聞こえない〜!!」

軽音部部室。

関根しおりは入江みゆきと秋山澪を玩具に、二人の大嫌いな怖い話をしていた。

彼女達は軽音部の部員。関根と澪はベースで、入江はドラム。入江と澪は怖い話や痛い話が大の苦手で、関根はいつもそれを面白がって遊んでいる。

「お前らまたか!」

「まぁまぁいいじゃんひさ子〜」

止めに入ろうとしたひさ子という少女を妨害したのは、田井中律。この二人も部員で、律も入江と澪の反応を楽しんでいる。と、

「静かにして。いいフレーズが浮かばない」

軽音部部長の岩沢まさみが、騒ぐ少女達を叱った。

「岩沢先輩素敵です〜☆」

何気に声がクールでカッコいい岩沢。そんな彼女を、ユイが慕う。

「それなら、お茶を飲みながら考えましょう。」

そこへ通称ムギこと、琴吹紬が紅茶と茶菓子を持ってきた。

「待ってたよムギちゃ〜ん。」

紬が持ってくる紅茶や茶菓子はとても美味しいので、喜ぶ平沢唯。

「しっかり練習もしなきゃダメですよ?」

中野梓が釘を刺しておく。この十人が、軽音部の全部員だ。

「おっすユイ!」

「あっ、ひなっち先輩!」

到着する日向一行と、日向の登場に喜ぶユイ。

「しっかり練習してたか?サボってねぇだろうな?」

「失礼ですね〜。っていうかあんたはあたしの親か!」

日向はユイの頭を撫でてやり、ユイは少し膨れながらも、やはり喜んでいた。

「あの二人、相変わらずだな。」

「もう結婚しちゃえばいいのに。」

「ああ。って何言ってんだ!?」

上から澪、律、ひさ子。

「岩沢さん。」

かなでは岩沢に話しかける。

「何だい生徒会長?」

「早速、応援合戦の打ち合わせをしたいのだけど…」

 

軽音部は部こそ一つだが、主に二つのバンドグループに別れて活動している。岩沢、ひさ子、関根、入江、ユイの五人をメンバーとする『Girls Dead Monster』、通称ガルデモと、唯、律、澪、紬、梓の五人が勤める『放課後ティータイム』だ。ロストグラウンド学園の体育祭は赤組と白組に別れて行われるので、ちょうど片方ずつで応援合戦に参加できる形になる。

「ガルデモは赤組にするよ。」

「放課後ティータイムは白組で!」

岩沢と律は答えた。どうやら既にどっちのポジションか決めていたようだが、ゆりは少し驚く。

「あら意外ね。岩沢さんはともかく、田井中さんは目立ちたがり屋だから赤組にすると思ってたのに。」

「いや、あたしも本当ならそうしたかったんだけど…」

律は岩沢を見た。

「赤組の応援には、必ず松岡先生が参加するから。」

岩沢が説明する。

 

赤組の応援には、体育担当教師にしてテニス部顧問、松岡修造が必ず参加する。それで去年に修造の応援と放課後ティータイムの応援を合わせてみたところ、見事にミスマッチすることが発覚したのだ。

「だから今回は、私らがやった方がいいと思ってね。」

「…ああ…」

ゆりは納得した。

「あの教師はとにかく暑苦しい。僕とは相容れないタイプだ」

「…今回ばかりは同意するぜ…」

「同じく。」

直井にとって修造はどうしても苦手で、日向も、音無までもが、彼を苦手としている。

「案外、あのウォントっていうデザイアとはわかり合えそうだけど。」

「出会った瞬間に無言で握手したりしてな。」

ゆりと音無がありそうな冗談を言っていると、

「ここか?」

「そうよ。」

皇魔とレスティーが入ってきた。

「皇魔!それにレスティー!」

日向は心底驚く。レスティーは、まぁわかるが、まさか皇魔がこのような場所に興味があるとは思わなかったからだ。

「お前も部活とかに興味あるんだな。」

皇魔は部活などに入部していないので、音無は皇魔が部活に興味がないと思っていた。しかし、

「何を勘違いしている?レスティーが余にとって有益な場所があると聞いたから来たのだ。」

どうやらやはり部活自体には興味がないらしい。

「言っとくけど、ここがお前にとっていい場所とは思えないぜ?」

日向から見て皇魔と軽音部はどう考えても釣り合わないし、他の者から見てもそうだ。

その時、

「唯ちゃ〜ん♪」

「レスティーちゃ〜ん♪」

レスティーと唯が抱き合った。

「も〜可愛いんだからぁ♪」

「えへへ〜♪」

瞬間、皇魔は全てを察し、レスティーに尋ねる。

「レスティー。」

「ん〜?何〜?」

「…貴様、余を嵌めたな?」

はっきり言おう。レスティーがここに来たのは、自己満足のためだ。皇魔をうまく騙して、自分がここに来れるよう、誘導したのである。

「嵌めてなんかないわよ。私が欲望を満たせば、それだけセルメダルが増殖できて、皇魔はそれを得られる。一石二鳥じゃない?」

「それが…」

皇魔はレスティーを抱き抱え、

「嵌めたと言っているのだッ!!!」

ジャーマンスープレックスを食らわせた。

「ひでぶ!!」

女性らしからぬ声をあげて気絶するレスティー。皇魔はレスティーを引きずりながら、部室から出ていった。

「…皇魔くんって、あんなに感情表現が豊かな人だったっけ?」

「さあ?私あんまり面識ないし。」

問答をする入江と関根。そこへ、

「あら?立華さんにみんな?どうしたの?」

軽音部の顧問、山中さわ子が来た。ちなみに、よく『さわちゃん』と呼ばれている。

「体育祭のことで打ち合わせをしに来ました。」

「俺達は付き添いです。」

「ああ、そうだったの。」

かなでと音無から説明を受け、納得するさわ子。と、

「かなで。」

セフィロスが来た。

「お父さ…セフィロス先生。どうしたんですか?」

「ヨーダ校長が、体育祭関連でお前に渡したい資料があるそうだ。」

セフィロスはちょうど部室の近くを通りがかり、偶然かなでがいるのに気付いたため、こうして直接伝えに来たのだ。

「せっ、せせせセフィロス先生っ!!」

大慌てのさわ子。

「どうした山中先生?」

「いっ、いえっ!なんでもありませんっ!!」

セフィロスから声をかけられて、さわ子はさらに慌てる。ひさ子がこっそり音無達に耳打ちした。

「実は山中先生、セフィロス先生にホの字なんだよ。」

確かに、あり得る話ではある。セフィロスはいわゆるイケメンであり、ファンクラブもあるほど人気なのだ。

「俺は仕事に戻る。山中先生も、しっかり顧問をやってくれ。」

「はいっ!もちろんですっ!!」

セフィロスは出ていった。さわ子は顔を赤くし、恍惚とした表情でセフィロスの後ろ姿を見送っている。

「それじゃあ行かなきゃ。結弦、ゆり、みんな、また明日。」

かなでは次の仕事に取りかかるべく、部室から出ていく。

「ああ、頑張れよ。」

「また明日ね。」

音無とゆりはかなでにエールを送った。

「僕も行きます。一応副会長ですから」

直井もかなでを追っていった。

「じゃ、俺帰るわ。一通りからかったし」

「んだとコラァ!」

「じゃな。」

「二度と来んなや!」

帰る日向。ユイは怒りをぶちまけるが、実はまた来て欲しいという意思表明で、日向もそれには気付いている。

「俺達も帰るか。」

「そうね。」

「じゃ、みんな頑張れよ。」

音無とゆりも帰った。

「さわちゃん。さわちゃん!」

「はっ!な、何!?」

さわ子の意識を覚醒させる唯。

「何!?じゃないよ。なんか用があったんでしょ?」

岩沢が尋ね、さわ子は思い出す。

「そうそう。体育祭の時の衣装なんだけど…」

岩沢はため息を吐いた。これはさわ子の趣味であり、別に着なくてもいいのだが、

「いいじゃん岩沢。こういうのは応援合戦のモチベーションに関わるし」

ひさ子は結構ノリ気である。しかし、音楽以外に興味のない、いわゆる音楽キチな岩沢は、

「そっちに任せるよ。」

と頼んでおいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁウォント。」

人間形態のアプリシィは、同じく人間形態のウォントに話し掛けた。

「私はお前のことを誰よりも信頼しているし、尊敬もしている。だが…」

彼にとってはウォントこそ信頼できる、まさしくベストパートナー。なのだが……

「お前の暑苦しい性格はどうにかならないのか?」

ウォントは熱血漢で、アプリシィは冷血女。アプリシィにとって、ウォントは性格的に馬が合わないのだ。

「んなこと言ったって、俺はこうなるよう造られたんだ。どうしようもねぇよ」

文句を言うウォント。それはアプリシィもわかっているので、無理に矯正したりはしない。ただ、時々こんな風に言うだけだ。

 

 

 

「熱くなれよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

 

 

アプリシィがそれを聞いたのは、本当に突然だった。

「いつも言っているだろう?私はお前と違って熱くなどなれない。」

「いや、俺は何も言ってねぇぞ?」

「…え?」

なんと、今叫んだのはウォントではないらしい。では一体誰が…と思っていると、

「人間熱くなった時が、本当の自分に出会えるんだぜ!」

半袖短パン姿の男性が、何か暑苦しいことを言いながら現れた。

「こいつか…」

呟くアプリシィ。彼女は人間嫌いなので人間に興味などないが、それでもウォントと同じくらい暑苦しい性格の持ち主がいることには少し驚いた。すると、ウォントが無言で男性、松岡修造に近付いて行く。そして、

 

 

ガシッ!

 

 

二人は無言で握手した。ゆりと音無の冗談が、現実になった。

 

 

 

 

 

 

 

「どうしたのだウォント?」

「ずいぶん機嫌がよさそうですね。」

アジトに戻ったウォントとアプリシィ。ウォントの様子を指摘するコレクとメイカーだが、それもそのはず。修造と出会ったウォントは、案の定彼と意気投合し、熱血談義を繰り広げていたのだ。アプリシィにとっては苦痛でしかなかったが。

「まぁな♪そうそう、面白い情報を手に入れたぜ。」

ウォントは修造から、ロストグラウンド学園で体育祭が開かれるという情報を聞いた。祭といえば、多くの欲望が集まる場所。セルメダルを稼ぐチャンスである。

「またあいつに会いてぇし、今回は俺が行くぜ!」

「私も同行しましょう。面白いゲームができそうですから」

こうして、ウォントとメイカー二人が、体育祭に訪れることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

体育祭当日。

各クラスの色決めはくじ引きで行われ、皇魔達三年A組は白組になったのだが……それはもう、とんでもないことになっていた。

まず二人三脚。

「劉鳳!てめえもっとタイミング合わせろよ!」

「お前こそ、もっと呼吸を合わせろ!」

カズマと劉鳳が参加し、ペアになったのだが、性格的な理由で、うまくタイミングが合わない。遂には…

「もうやめだ!」

カズマが二人三脚の帯を引きちぎり、シェルブリットの最終形態を発現させる。

「やっぱ俺はこっちだぜ。」

「同感だな。俺もそう思っていたところだ!」

劉鳳も絶影の最終形態を発現し、

「りゅうううううほおおおおおおおお!!!」

「カズマァァァァァァァァァァ!!!」

そして始まるマジバトル。もはや二人三脚どころではない。

「ガイアフォース!!」

とりあえずブラックがガイアフォースを投げつけたことで、喧騒は終結した。ちなみに、当然白組は敗北である。

 

次に玉入れ。

「クロムウェル解放!」

いきなりクロムウェルを解放したアーカードが全身から大量の腕を出し、玉を独占。しかし、審判側の判断により、反則負けしてしまった。

 

中等部の騎馬戦では、

「ウェイ!」

研の親友である星が、まさしく一騎当千の活躍を見せていたのだが、研は白組で星は赤組。それにブチキレた研は、

「チャージングGO!!」

して、

「アルファガン!!」

で撃ってしまった。

「エ゛ェ゛ェェーーーイ゛!!!」

倒れる星。当たり前だが、白組の反則負けだ。ちなみに、

「星くんしっかりー!」

と研そっちのけで応援していた研の妹キャロンが、

「お兄ちゃんのバカー!」

と怒っていたのは、まぁ関係ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なかなか熱いねぇ…」

観客に紛れて体育祭を見守っていたウォント。

「見とれてる場合ではありませんよ。我々も行動しなければ」

「わかってるって!」

メイカーから指摘を受け、うんざりしたように答えるウォント。彼は性格上メイカーのように規則正しく、また規律に厳しい存在は苦手なのだ。メイカーの性格を疎ましく思いながらも、これ以上のんびりしてたらまたなんか言われる、と思い直し、ウォントは雑踏の中へ消えた。メイカーも追いかけていく。

 

 

 

 

 

 

 

ロストグラウンド学園体育祭の応援合戦は、軽音部が奏でる曲をバックに、様々なパフォーマンスをするという形式を取っている。デザイアの二人が目をつけたのは、白組の応援団長。団長に接触した二人はすぐ怪人態に変身し、

「燃やせよ。その欲望」

「我々が叶えます。」

団長にセルメダルを二枚投入。誕生したシードは団長から欲望を抜き取ると、すぐ成長。火炎放射機を装備した、カエンホウシャシードになった。

「アツクナレヨォォォォォ!!!」

叫んだカエンホウシャシードは、突然走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(正気か…)

赤組の応援を見ながら、一人考えている皇魔。実は白組のパフォーマンスは、エンズとビーツに変身した皇魔と音無が、怪人に扮したクラスメイト達と戦うという内容になっているのだ。どうやら彼と音無がエンズとビーツであるということは、既にクラス中に広まっているらしい。

(…)

皇魔が見る先には、ガルデモの持ち歌『Crow Song』をバックにパフォーマンスをする赤組と、

「もっと!熱くなれよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

ひたすら熱い修造の姿がある。現在の戦績は(いろんな理由で)赤組が優勢であり、応援合戦でも得点が入るため、白組はなんとしてもここで遅れ(自業自得)を取り戻しておきたい。

 

そして、いよいよ白組の番が来た。

「じゃ、行くか!」

「…」

意気込む音無と、消極的な皇魔。だが、いつまで経っても、ステージに怪人役の生徒が上がらない。音無は日向に尋ねる。

「日向。一体どうしたんだ?」

「いや、団長がいないんだとよ。どうしたのかねぇ〜団長がいないと応援始められねぇってのに…」

その時、

 

「モット!アツクナレヨォォォォォ!!」

カエンホウシャシードがステージに上がり、火炎放射機を自分の真上に向けてぶっぱなした。

「!?」

「なっ!?」

「シード!?」

三者三様の驚き方をする皇魔、音無、日向。だが、混乱には陥らなかった。それどころか、客も生徒もますます盛り上がっている。みんな応援の一環だと思っているからだ。

「張り切ってんなぁ!」

「何て派手な演出だ…。」

「見てるこっちまで楽しくなってきたわ♪」

「すごいすご〜い!」

律、澪、紬、唯も気付いていない。ただ、

「…あんな怪人いたっけ?」

梓だけは薄々感じていた。

「なんか…これ…」

「…チャンスじゃね?」

音無も日向も、この状況の良さをのみ込み始めている。このまま応援合戦を始めてカエンホウシャシードを倒せば、誰にも気付かれることなく解決できるのだ。

「そう、またとない好機だ。」

そして、それは皇魔が一番最初に理解した。

「変身!」

 

〈クレアボヤンス!ヤリ!ホノオ!ク・ヤ・ホ♪クヤホク・ヤ・ホ♪〉

 

エンズはメダジャベリンを携え、リフレクターマントを翻して、ステージ上に踊り出た。

「アツクナレヨォォォォォ!!」

「暑苦しいやつだ。」

火炎放射機を構えるカエンホウシャシードと、メダジャベリンを携えるエンズ。

「おい!始めるぞ!」

思った以上に展開が急だったため、慌てて合図する律。そして放課後ティータイムは、持ち歌の『Cagayake!GIRLS』の演奏を始めた。

「音無!」

「っ!変身!」

 

〈Music Start!〉

 

音無もやや遅れる形で、エンズの隣に立つ。そこから、応援合戦兼本当の戦いが始まった。

 

「アツクナレヨォォォォォ!!!」

火炎放射機を撃ちまくるカエンホウシャシード。エンズとビーツはメダジャベリンとビーツソードで炎を切り払いながら、カエンホウシャシードに攻撃を仕掛ける。あまりにもリアルで大迫力な戦いなので、周囲も大絶賛。

と、

「もっと!熱くなれよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

修造が乱入してきた。

「私らも行くよ!」

さらには、先ほど応援を終えたばかりのガルデモまで演奏に参加してくる始末。

「ふふっ♪皇魔!」

「!」

やがてこの状況を楽しんでいたレスティーが、エンズにメダルを渡す。エンズは反射的にコンボチェンジし、

 

〈マグマ!コウセン!ホノオ!マホマホ〜♪マグコーホー♪〉

 

なんとマグコーホーコンボになった。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

一気に興奮状態になったエンズは、周囲に高熱を振り撒きながらメダジャベリンでカエンホウシャシードを攻撃。

〈トリプル!スキャニングチャージ!!〉

〈CORE BURST!!〉

 

「オアアアアアアアアアアアア!!!!」

「でやああああああああああ!!!!」

最後にエンズアルカイドと、ビーツのビーティングスラッシュでカエンホウシャシードを倒した。

「やったな皇魔!」

「ふん…」

変身を解除するビーツとエンズ。しかし、

「…あれ!?」

音無は、周囲の人間が全員倒れていることに気付く。理由は、エンズが振り撒いた高熱が原因だ。あまりの熱気に、それを浴びた者達が熱中症になってしまったのである。

「お前ら…やりすぎ…ガクッ」

「日向ぁぁぁぁぁぁぁ!!」

気絶した日向に絶叫する音無。もちろん倒れているのは彼だけでなく、ガルデモや放課後ティータイムのメンバー、

「燃え尽きたわ…」

「…我が人生に…一片の悔いなし…」

ゆりやかなでもだ。

「かなで!死亡フラグを立てるな!生きろ!かなでぇぇぇぇ!!」

必死にかなでを介抱するセフィロス。

「おいどうすんだよ!?」

皇魔を見る音無だったが、当の皇魔はポーションを飲んでいる。

「何のんきにポーション飲んでんだ!」

「やかましいぞ音無。これが今の余にとって必需品だということは、貴様も知っているだろう?」

「そういうこと言ってんじゃねぇんだよ!大体、レスティーも何であのコンボ使わせたんだ!?」

「面白そうだったから。」

「やっぱりかよ!!」

レスティーから返ってきたのは、予想通りの答え。ちなみに彼ら意外に周囲の人間で倒れていないのは、

「もっと!熱くなれよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

修造だけだ。あとあの二人も。

「もっと!熱くなれよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

「いやあなたのシード倒されましたから!もう十分熱くなりましたから!というよりなりすぎですから!」

「熱くなれよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

「ああもう!帰りますよ!」

メイカーはウォントを引っ張って帰っていった。

 

 

 

 

結局、この戦いが原因で観客側にも熱中症患者が出てしまい、そのまま体育祭は終了。それでも応援合戦の分の得点は獲得したのだが、やはり届かず、白組は負けてしまった。

「わざわざコンボまで使った余の苦労は何だったのだ?」

熱中症患者が次々と保健室や病院に運ばれていく中、皇魔は呟いた。

 

 

 

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次回、

仮面ライダーエンズ!!

 

音無「初詣、か…」

 

セフィロス「新しいガードスキル?」

 

皇魔「余は一生、神には祈らん。」

 

 

第十八話

新春と気分と初詣騒動

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