地球戦士 ハーメラス 第6話 |
場面
山から街へとジャンプして降り立つ青年、人防正司。
場面が変わりある住宅に住む家族。
人防家の母、人防友紀(もりさき ゆき)とその小学4年生くらいの男の子の人防良士(もりさき りょうじ)。
(例え誰かが俺を大事に思っても、俺は一人でいくぞ!)
さらに場面が変わり、リナが出てき、空を眺める。
場面が変わり、要塞の中には宇宙犯罪結社「ゲリュート」に所属する様々な宇宙人。そして空にある組織「プロテスト」の空人。
ゲリュート要塞から発進される小型戦闘機が地球へと飛来。それを迎え撃つは地球から生まれし戦士、ハーメラス。
ハーメラスはジャンプし、小型戦闘機を素手で破壊する。
小型戦闘機を破壊した後、地上に降り立ち、新たな変身をする。
そして地球の戦士ハーメラスは赤き怒りの戦士レアガーラに変身する。
国際秘密組織「TLE」の長官であり、最高責任者であると同時に人防家の家長、人防誠(もりさき まこと)がTLE基地にて部下達に指示を出す。
そしてレアガーラは誰もいない山奥で空の方を眺める。
第6話 宇宙の正義
正司がリナと出会ってから2週間ほどが経つ。
プロテストはハーメラス(レアガーラ)を倒すまでに至っていなかった。ゲリュートも手を貸したりするもやはり最後は失敗している。
『同じ地球のもの同士ならなんとかなると思ったがうまくいかないようだな…』
ゲリュート要塞では首領のレイドが残った部下達と話し合いをしていた。
もっともレイドはいつものように姿を出さない。
そんな時ゲリュート要塞の警報機が鳴り響く。
「これは…」
「モニター確認!」
ゲリュート要塞付近の映像が映し出される。
するとそこにはゲリュート要塞とは別の円盤型の宇宙船が飛んでいた。
「首領!」
『銀河警察か。ここまで嗅ぎ付けたか。だがこの要塞のステルスは破れまい。
しかし動かないことに越したことはない。要塞はそのままキープしろ』
「分かりました。それで銀河警察はどうします?」
『……奴は我らが地球でよからぬことを企んでいると掴んで来たのだろう。
ならばそれを利用する!』
「と、言いますと?」
『銀河警察とハーメラスを戦わせるのだ!』
首領レイドはとんでもないことを考え着くのだった。
そして地球圏にやってきた銀河警察の宇宙船は宇宙に留まっていた。
「ここなの? 『ゲリュート』がやって来てる地球って?」
「ああ、結構いい星だ。こんなきれいな星に『ゲリュート』が自分達の犯罪帝国を築き上げようとしているんだ」
「絶対阻止しないとね、フィバン!!」
「分かっているさ、セリー。俺は地球に降りて『ゲリュート』の調査に向かう」
フィバンと呼ばれた男はセリーと呼んだ女性に宇宙船の留守と宇宙からの調査を任せ、地球へと向かっていった。
正司は誠の用意した少し町はずれの家でリナと二人で暮らしていた。
「正司さん、食べなくていいの?」
リナは食事をしていたが、正司は食べていなかった。
「俺は地球に何かあった時のために食べずとも生きられるように作られている。
ましてや、そんな風に加工されたものを食うわけにはいかん。
野生の動物を少し焼いて食う程度なら分かるがな」
「はあ……」
空とはいえ、仮にも人間であるリナと人間でない正司とはズレがあった。
「それで正司さんはこれからどうするの?」
「『カリット』はともかく、俺の本来の目的である人類抹殺は『ゲリュート』を滅ぼすまでは保留せざるを得ない」
「その人類って私も含まれてるの?」
「『カリット』は基本地上とは縁を切っているはずだ。地球を汚さないのであれば手を出すつもりはない。
地球を汚したり俺の邪魔をする奴がいたら話は別だがな」
「そう……」
リナは安心したのと同時に不安も感じた。
「……………」
正司は畳に座り、静かに正座する。
「何してるの?」
「色んなものを感じ取るにはこうやって精神集中する必要がある。
もっとも感覚を集中して、感知能力を高めるだけだ。別にこんなことしてなくても感知自体は出来る」
正司が感知に入ってから数十分後。
「!!」
正司が立ち上がる。
「どうしたの!?」
「来たか、『ゲリュート』!!」
「あいつらが来たの?」
「しかし妙だな、あいつらにしては町から外れすぎている。
だが奴らが来た以上行く必要があるな」
正司は急いで家から出て行った。
「うわっ、正司兄ちゃん?」
正司達の様子を見に来た良士は何事かと思った。
「ねえ、リナさん、正司兄ちゃんどうしたの?」
「『ゲリュート』が地球に来たって…」
二人は正司の後を急いで追うことにした。
「……」
正司は町の近くの山の方へと入っていった。
「あいつらにしては妙なところに出てきたな。
何を考えているやら……」
それと同じころ、フィバンは正司がやって来た山にやって来ていた。
「いきなり町に降りるわけにもいかないからな。とりあえずここから一気に町に……」
フィバンは山を下りていく。
するとそこに正司と鉢合わせとなった。
「あ……」
「貴様…」
正司はフィバンに対してがんを飛ばした。
「な、なんだいあんた」
いきなりのことで戸惑うフィバン。
「貴様……地力転身」
正司はハーメラスに変身する。
「なっ!? 貴様、『ゲリュート』の仲間か!」
「それは貴様の方だろ!」
ハーメラスは問答無用でフィバンに襲い掛かる。
「地破塵(ちはじん)!」
ハーメラスはジャンプし、地破塵を当てようとするが、フィバンはギリギリのところでかわす。
「待て! 落ち着くんだ!」
「なんだと? 宇宙人が!」
ハーメラスは再び攻撃を仕掛け、フィバンは何とか避ける。
「仕方ない……、凝固!!」
フィバンの体が一瞬のうちに代わり、黒銀のメタルな装備を身に纏う。顔部分もメタルなものに覆われる。
「貴様………」
「大人しくしてもらうぞ!」
ハーメラスとフィバンは戦う。
互いの力を出し切るように戦い始める。
「シューティングバスター!」
フィバンは腰についたレーザー銃でハーメラスを撃つ。
「くわっ!」
レーザー銃はハーメラスに当たり、後ろに少し吹き飛ぶが、ダメージはそこまでひどくなかった。
「なんて丈夫さだ」
「やってくれるな。地飛岩(ちひがん)!!」
ハーメラスは拳から岩を飛ばし、フィバンに当たる。
「ぐわっ!」
フィバンもハーメラスと同じように当たり、後ろに少し吹き飛ぶがまだ立てる。
「ち、あのメタルな装備は伊達じゃないと言うことか」
「このままでは……」
フィバンは少し焦り始める。
(おかしい……いつものあいつらなら怒力転身が使えるほど怒るはず)
ハーメラスは違和感を感じていた。
(なのにこいつからは怒りが湧いてこない。むしろこれはためらいと言うのか。
どういうことだ………)
ハーメラスは自分から怒りの感情を生み出すことは出来ず、他人から攻撃などされることによって初めて怒りの感情が生み出され、レアガーラとなる。
最近ではゲリュート所属の宇宙人やプロテストの刺客と戦っている間に怒りの感情を徐々に生み出すことが出来るようになった。
しかしそれはあくまで自分を倒したり、地球を征服しようとしたり、地球を汚染しようとする考えを感じてのものであった。
つまり、そのような考えを持たない者と戦っても怒りの感情を生み出すことは出来ず、ハーメラスのまま戦わざるを得ないのだ。
目の前にいるフィバンはゲリュートを壊滅させるためにやって来た存在。
ハーメラスを倒すと言う意思はないためにハーメラスはレアガーラになることが出来なかった。
ハーメラスは頭のどこかでそれを理解していたのだ。
(だが相手はどうにかしようと強力な攻撃をしてくるはずだ。ならこっちも少し強力な技を出してやるか)
「ライトブレイド!」
フィバンは白く光輝く刀の形をした剣を出す。
「たあっ!」
「地平斬(ちへいざん)!!」
ライトブレイドとハーメラスの右手の水平にしたチョップが激突し、その場で爆発が起こる。
「「ぐわああああ!!」」
爆発と同じに二人は吹き飛ばされ、倒れた。
「く………」
「っ…………」
二人は倒れたまま動こうとしない。
「ふふふ、いい具合で倒れてくれたな」
そこに木の陰に隠れていたゲリュート所属の宇宙人、ベルクが姿を現した。
その姿はこぶがたくさんついているような体だった。
「銀河警察の銀河刑事」
「貴様は……ゲリュート」
「予想通り奴と戦ってくれたな。ご苦労だったな」
「…なんだと……?」
「奴は我らが地球を制圧するのに邪魔な存在。そして貴様もだ。
だが奴は貴様を知らないのを利用し……」
「共倒れを狙った………」
「そうだ。貴様も厄介だが、その前にハーメラスを始末してやる!」
ベルクがハーメラスの方に振り向いた瞬間だった。
「でりゃあ!」
「どゅわあ!」
ベルクが突然吹き飛ばされた。
「!?」
ベルクとフィバンは驚いた。
そして二人は気付いた、フィバンのすぐ側にレアガーラが立っていた。
「レアガーラ!!」
「予想通りとはこのことだった」
「予想通りだと!?」
「ああ。こいつと戦ってて何故か妙に戦いづらくてな。
お前達が仕組んだことと途中で考え始めて、共倒れを狙えるような技を使って倒れた。
そんでもってお前の長ったらしい説明をしている間に俺は怒りを作り出し、怒力転身しただけだ」
「だが貴様がその姿になったところで疲れは取れてはいない!」
「バカだな。俺が途中で気づいたんだぞ。全力をやめてるに決まっているだろ」
「なんだと!?」
「それに俺は地力と怒力とじゃ使ってる力は変わっている。地力で消費した分はこの状態では消費したことにはならない!
と言うことでくたばれ! 怒爆昇!!!!」
レアガーラがベルクに向かってアッパーを放ち、ベルクは遥か上空に飛ばされ、爆発した。
「ぐわああああああああああああ!!!!」
ベルクは簡単に倒された。
「ふん」
レアガーラは正司の姿に戻る。
正司はフィバンを放っておいたまま帰ろうとするが……。
「待て……」
フィバンも立ち上がり、装着された装備を解除し、元の姿になった。
しかしフィバンは正司と違い、疲れ、ダメージもあり、ふらふらしていた。
「何故俺を……」
「助けたつもりはない。お前が地球を汚染してないなら、興味はない」
正司が立ち去ろうとすると…。
「正司さん」
そこにリナと良士がやって来る。
「なんだ?」
「その人助けないの?」
「宇宙人を助ける気は毛頭ない」
「けどあの人怪我してるよ」
「正司さんも……」
「俺が怪我してるか?」
正司が手を広げて、怪我をしていないことをアピールする。
「あれ、怪我してない」
「何故だ? …疲れならともかく、俺とあれだけ激しい戦いをして……、怪我してないなんて………」
フィバンは驚きを隠せなかった。
「あの姿の怪我はこの姿に出ることはない。腕が吹き飛ばされようとな」
「それであの人どうするの?」
「さっきも言っただろ。俺はあいつを助ける気はない。
お前達が助けるかは別だがな」
そう言って正司は去る。
「…大丈夫ですか?」
「ああ」
リナと良士がフィバンに近づく。
「あなたの名前は?」
「フィバンと言うのが俺の名前だが……、長官から地球人の名前を名乗れと言われてる」
「じゃあなんて呼べばいいの?」
「そうだな…、稲村仁(いなむらじん)と名乗るとしよう。仁でいいよ」
「それじゃあ仁さん…」
「ひとまず私と正司さんの住んでる家に……」
「すまない…」
フィバンは仁と名乗り、仁はリナと良士に連れられて、正司の住んでいる家に行くのだった。
続く
説明 | ||
この話のコンセプトは『「侵略! イカ娘」を昭和の特撮風にしたら『というものです。(話の内容的には「宇宙刑事ギャバン」など昭和の特撮を基にしています。ちなみにタイトルは「イナズマン」がモデルです) それを踏まえてご閲覧ください。 |
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