魔装機神インフィニット・ストラトス
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プロローグ(裏)

 

〜日本航空自衛隊女性士官専用隊舎〜

 

そこに一人の女性がバスルームでシャワーを浴びていた。

長い黒髪に豊満な肢体。大和撫子を体現したかのような凛々しい美貌。彼女の名は『篁唯依』、階級は中尉。

 

「ふうっ・・・ん?」

 

バスルーム出て、髪を乾かしている最中に携帯端末から緊急連絡用のコールが鳴り響いた。

彼女はバスタオルで体を包み携帯端末を取った。

 

「私だ」

 

『あ、篁二尉。今よろしいですか?』

 

「雨宮二尉?どうした」

 

『篁二尉、ニュースをご覧になりましたか?』

 

「ニュース?嫌、観ていないが・・・」

 

そう言って唯依はテレビのリモコンを取り出し、テレビをつけた。

 

『今世界中はすごい事になっていますよ。何せ―――』

 

「なっ・・・」

 

そして、そのニュースの内容を見て唯依は驚愕した。

 

『世界で初のISを動かした初の男性操縦者!?しかも、同時に二人も!!?』

 

唯依はそのニュースの見出しに驚いた訳ではない。いや、確かにその内容には驚いたが、それよりも驚いたのは写っている二人の男。

一人は、彼の姉に似た野性味がある様で、頼りない男のように見えるが、実際は一種の強さを持った自分の親友の思い人である『織斑一夏』

そして、もう一人は・・・

 

「なんで・・・」

 

『・・・二尉?篁二尉?』

 

いつの間にか携帯端末を落としていたが、そんな事すら気にならないほど彼女は驚愕していた。

 

『いつか、きっとまた会おうな!』

 

思い出すのは彼と最後に会った記憶。

 

『これ、俺から唯依へのプレゼントだ!』

 

無意識に彼と別れる際にプレゼントしてもらい、今では彼女の宝物といっても過言ではないリボンをそっと撫でた。

昔と変わらず、意志の強い目をし、ぶっきらぼうだが優しい所のある彼女の思い人。その名は、

 

「何で、雅樹・・・?」

 

震える声で彼の名を呼んだ。その胸にある思いは歓喜か?あるいは驚愕か?あるいは・・・・・

 

 

 

 

 

そして、舞台は加速をし始める。

 

 

 

 

 

日本航空自衛隊〜第七ブリーフィングルーム〜

 

「失礼します。篁唯依二等空尉、参りました!」

 

「うむ、先のテストパイロットはご苦労だった」

 

そう言って唯依を迎え入れたのは顔に大きな傷を持ち歴戦の兵の雰囲気を醸し出す巌谷榮二二佐。軍内部でも女尊男卑の影響がある中、ISの開発と技術手腕、指揮能力から今の地位におり唯依の上官でもある。同時に両親を事故で亡くし、身寄りのない唯依を引き取った恩人でもある。

 

「あ、あの!それで、御用とは・・・?」

 

「うむ、篁二尉。ニュースはもう見たか?」

 

「っ!?」

 

巌谷の言葉に唯依は直ぐに返事をする事ができなかった。何故なら先ほどの事がいまだに頭から離れなかったからだ。

 

「その様子では既に観た様だな」

 

「ッ・・・はい」

 

唯依の様子を見て巌谷は直ぐに察した。室内が緊迫した緊張感が漂ったが、

 

「まさか、あの悪ガキの雅樹がなぁ〜。『唯依ちゃん』にとってはショックが出かかったか?」

 

「なっ!?お、おやめください二佐!い、今は任務中ですよ!」

 

突然の巌谷の砕けた言葉遣いに唯依は慌てながら止めに入った。規律を重んじる彼女は仕事とプライベートをしっかり分けたいらしい。

 

「おいおい、今は二人だけなんだから昔みたいに『巌谷の叔父様』でいいんだぞ?」

 

「で、ですが―――」

 

「まあ、今の唯依ちゃんにそんな余裕は無いか」

 

そう言って巌谷は苦笑し、直ぐに砕けた雰囲気から一瞬で軍人のそれに変わった。

 

「では、篁二尉。貴官に特別任務を与える」

 

「はっ!」

 

「特別任務の内容は貴官にはIS学園に編入し『織斑一夏』と『龍見・Z・雅樹』の護衛をしてもらう」

 

「えっ?」

 

一瞬、唯依は巌谷の言葉を理解できなかった。

 

「確かにIS学園は中立で国や企業の干渉は受けないが、絶対に安全という訳ではない。幾らあそこにブリュンヒルデや更識の者がいても、な」

 

巌谷の言葉ももっともだ。幾らIS学園が国や企業といった外的干渉が無いからといって必ずしも安全なわけがない。

 

「よって、彼らを身近でかつ同年齢で幼い頃、一緒に遊んでいた貴官に護衛任務を与える」

 

「ッ!?」

 

(それは、つまり・・・)

 

「行ってくれるかな、唯依ちゃん?」

 

茶目っ気たっぷりにウインクする巌谷に唯依は姿勢を正し、

 

「はっ!特殊任務、しかと果たしてみせます!!」

 

ビシッと敬礼をした後、唯依はブリーフィングルームを後にした。

しかし、部屋を出ていく時の彼女の顔は日本軍の篁中尉ではなく一人の女の子の篁唯依の笑顔だった。

 

「ふぅ〜。・・・雅樹〜唯依ちゃんを泣かせるなよ〜〜〜もし泣かせたら・・・」

 

彼女が出て行った後、巌谷は底冷えする様な低い声で彼女が思いを寄せる男にもし自分の可愛い甥っ子を泣かせたら自身の権力をフルに使って報復する事を誓った。

 

 

 

 

同時刻・龍見家

 

ゾクッ!

 

「うおぉっ!な、なんだぁ?」

 

突然の寒気に襲われ、雅樹は体を震わせた。

現在、雅樹は世界で初の男でISを動かした人物として事情聴取され、ようやく家に帰って来たのは夜の九時。帰って来た時など、イーニァには泣かれ、あのクリスカですら心配してきた。唯一変わっていないのは母の夏樹で温かいご飯を作って迎えてくれた。

 

「と、突然どうした?」

 

「い、いや、なんか急に悪寒がな・・・」

 

「マサキ、だいじょうぶ?」

 

「ああ、大丈夫だぜ。イーニァ」

 

「ゴロゴロ〜〜〜〜♪」

 

安心させるようにイーニァの喉を撫でるとイーニャはゴロゴロと猫の様に甘えてくる。

 

「ほら、雅樹。さっさとこの問題をとけ」

 

「うっへー。まだやんのかよ、クリスカ〜。少しは休憩しようぜ」

 

「だめだ。頭の悪いお前に試験までにISに関する基礎を叩きこまなければならないからな」

 

今、雅樹達が何をやっているのかというとISの基礎知識をクリスカに教えてもらっているのだ。何故そんな事をやっているのかというと、日本政府がISを動かせると言うならとりあえずIS学園に入学させればいいんじゃね?みたいなことがあり今までISなどテレビで知っているくらいで専門的なことなどまるっきりわからないのだ。

そこで雅樹が頼ったのは、IS学園に推薦で受かり、なお且つ龍見家の養子であるクリスカとイーニァの二人だ。しかし、流石に妹分のイーニァに教えてもらうのは龍見家の長男としての(小さい)プライドが許さない。そこで白羽の矢がたったのはクリスカである。

最初は嫌そうにしていた彼女だが、雅樹の何でも言う事聞いてやるという一言に渋々(というわりには嬉しそうだったが)了承。そして、現在教えてもらっているのだが、

 

(早まったかな〜)

 

「おい、雅樹。ここ間違えているぞ、しっかりしないか、馬鹿」

 

「う〜い」

 

クリスカのスパルタに早くも挫折しそうな雅樹。ぶっちゃけ、膝の上にいるイーニァがいなかったら簡単に挫折していた所だ。

 

 

 

こうして月日は流れ、舞台はIS学園へと移っていった。

 

説明
しばらくはこっちを中心にしていきます。
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