リリなのの世界へに転移する「究極・魔法使い」(ガイア・ウラノス)の少年 プロローグ&1話 |
日本の南西に位置する孤島、月読島。そこで起こった『最終戦争』(ラグナロク)が終わり数十年が経っていた。
ラグナロクの勝者となった如何にも魔法使いとも言える格好をした紅い瞳をしたイレギュラーの少年が桜の木に寄りかかっていた。
「『究極魔法使い』(ガイヤ・ウラノス)になったのに……結局、お前以外俺のそばに一緒にいてくれる人間はいないな。」
「ええ……私は零二君のパートナーであるサクラちゃんを元に作られています。マスターとは二心同体ですから。」
そう言って少年に近づいてきたのは、かつて芳野零二のパートナーだったサクラにそっくりな容姿をした白い髪をした少女
「……沙希……もうお前以外にこの世界で俺と同じ時を生きてくれる存在はいないのかな?」
「……おそらくもういないでしょうそれが勝者となったマスターの……零夜の宿命ですから。」
「最初にこの島に来たのは、僕と同じ存在を求めていただけだったのに……」
「零夜……」
「それが今は……俺の存在を永遠に固定し続けるなんてな……同類……いや仲間なんて求めた俺への罰なのかもな。」
「……零夜……別の平行世界に行ってみませんか?」
「別の平行世界?この世界に存在する9つの平行世界にならもう行ったじゃないか。」
「この世界の平行世界で居場所がないなら違う次元の平行世界に行けばいいんだよ。」
「……しゃべり方が素に戻ってるぞ。」
「はっ!すいません。」
「いいよ……別次元の平行世界か……たしかに時間は無限にあるんだ……行ってみようか。」
「はい!零夜!」
寄りかかっていた零夜は立ち上がり沙希の手を握った。
「ロキ……いや零二また君の魔法使わせてもらうよ。」
二人はつないだ手とは逆の手を前にかざし唱えた。
「「『誰もが願いし平和』(フォルテシモ)」」
「……沙希ここはどこだろうな?見たところ公園みたいだが、それに悠久の幻影(アイ・スペース)の様な結界が張られている」
「月読島では無いですね。海辺があるとは言え、こんなビル群はありませんでしたから」
「ってことは次元転移は成功でいいのか?」
「そうですね。…!?マスター!」
「ああ……海の方からだな。」
二人は魔力反応を感じていた。海方で誰かが戦闘中なんだろう
「ほとんどがBぐらいの魔力を保有していますね。」
「だが、あの黒い球体……アレの中からはSクラスの魔力を感じる。沙希この結界に悠久の幻影(アイ・スペース)同調させるぞ。」
「マスター……やっぱり戦うのですか?」
「たしかに俺も零二たちのように日常を過ごしてみたい」
「だが……此処でも戦争が起きると言うなら……俺は戦うしかないのさ。それが『究極魔法使い』(ガイヤ・ウラノス)の宿命だろ?」
「そんなの……悲しすぎますよ」
「……心配してくれるのはうれしいよ。だけど俺の運命は『最終戦争』(ラグナロク)によって決まってしまった。」
「・・・」
「なら……その運命に己の身を委ねるだけだ。」
そう言っ零夜は大きく深呼吸すると、言った。
「『魔術兵装』ゲート・オープン!」
零夜がそう言うと突然彼を中心に輝きだし光が収束した
光の収束した場所を見るとそこには、かつて有塚 陣が使用していた戦略破壊魔術兵器(マホウ)浮遊する携帯電話「ギャラルホルン」が浮かんでいた
「……有塚、君の魔法使わせてもらうよ。『天山に聳えし空の王』(ヒミンビョルグ)」
「すまないな。水を差してしまうんだが時空管理局執務官クロノ・ハラオウンだ。時間が無いので簡潔に説明する。」
クロノは視線を黒い球体に向け
「あそこの黒い淀み。闇の書の防衛プログラムが後数分で暴走を開始する。僕らはそれを何らかの方法で止めないといけない。停止のプランは現在二つある」
皆が上にいるクロノに注目する。
クロノは待機状態のデュランダルを取り出した。
「まず一つは、極めて強力な氷結魔法で停止させる。二つ、軌道上に待機してあるアースラの魔導砲『アルカンシェル』で消滅させる」
クロノやアースラの皆では他に案が浮かばなかった。
「これ以外に他にいい手はないか?」
クロノが他に意見を求めた。シャマルが手を挙げた。
「えーと…最初のは多分難しいと思います。主のない防衛プログラムは、魔力の塊みたいなものですから」
「凍結させてもコアがある限り、再生機能は止まらん」
シグナムもシャマルの意見に付け足しつつ渋い顔で言った。
「アルカンシェルも絶対ダメ!こんな所でアルカンシェル撃ったら、はやての家までぶっ飛んじゃうじゃんか!!」
ヴィータはアルカンシェルに反対する。
「そ…そんなに凄いの?」
なのはがユーノに尋ねた。
「発動地点を中心に、百数十キロ範囲の空間を歪曲させながら、反応消滅を起こさせる魔導砲。っていうと大体わかる?」
ユーノが説明した。
「あの、私もそれ反対!」
「同じく!絶対反対!!」
アルカンシェルの説明を聞いた、なのはとフェイトも反対した。確かにそんなものを撃ったら、はやての家どころか街まで消滅してしまう。
「僕も艦長も使いたくないよ。でもあれの暴走が本格的に始まったら被害はそれより、遥に大きくなる」
「はい、みんな!あと十五分しかないよ」
エイミィが通信で伝えた。
「何かないか?」
守護騎士達に尋ねた。
「すまないが、無い。あまり役に立てそうも無い」
悔しそうにシグナムが言った。
「暴走に立ち会った経験が、我等には殆どないのだ」
と、ザフィーラが言った。
「でも、何とか止めないと・・・。はやてちゃん家が無くなっちゃうの嫌ですし・・・」
シャマルもそう訴える
「いや・・・、そういうレベルの話しじゃないんだがな・・。戦闘地点をもっと沖合いに出来れば」
若干ズレた考えにクロノが苦笑する
「海でも空間歪曲の被害は出る」
ため息を付きたくなる。だが、シグナムの言い分ももっともだ
そこで今までの成り行きを見ていたアルフが──
「ああ!なんかゴチャゴチャ欝陶しいなぁ!みんなでズバッとぶっ飛ばしちゃうわけにはいかないの?」
焦れた感じにそんな事を言った。
「ア…アルフ。これはそんな単純な話じゃ…」
ユーノが言った。みんなは考えた。そして、なのはの口が開いた。
「ずばっと・・・ぶっ飛ばす・・・」
「此処で撃ったら被害が大きいから撃てへん」
「でも、此処じゃなければ・・・・」
「「「・・・・あ」」」
「クロノ。アルカンシェルってどこでも撃てるの?」
フェイトが尋ねた。
「どこでもって…例えば?」
「今、アースラがいる場所。宇宙空間」
なのはがそれに付け足す
空を見上げながら、なのはが答えた。話を聞いていたエイミィは、得意げな笑みを浮かべた。
「管理局のテクノロジー、ナメてもらっちゃ困りますなぁ」
そして右手の親指を立て
「撃てますよ。宇宙だろうが、どこだろうが!」
自信満々に答えた。
「オイ!ちょっと待て君ら!ま…まさか…!」
三人の意見にクロノは驚いた。なのは、フェイト、はてやは笑みを浮かべて頷いた。
「なんとも、まぁ…すごい発想ね」
リンディは驚き半分呆れ半分の、複雑な笑みを浮かべた。
「計算上では実現可能というのが、また恐いですね。クロノ君。こっちのスタンバイはオーケー。暴走臨界点まであと数分!」
エイミィはキーボードを操作しながら言った。
「個人の能力頼りで、ギャンブル性の高いプランだが…やってみる価値はある」
クロノが皆に言った。僅かでも可能性があるなら、それに賭けるしかない。
「防衛プログラムのバリアは、魔力と物理の複合四層式。まずはソレを破る」
と、はやてが言い
「バリアを抜いたら本体がむけて、私達の一斉攻撃でコアを露出」
と、フェイト。
「そしたらユーノ君達の強制転移魔法で、アースラの前に転送!」
空を見上げながら、なのはが言った
「あとはアルカンシェルで蒸発・・と」
リンディが言った。
グレアムは、アリアとロッテと共に現地の様子をモニターで見ている。
「提督、見えますか?」
「ああ、よく見えるよ」
「闇の書は呪われた魔導書でした。その呪いはいくつもの人生を喰らい、それに関わった多くの人に人生を狂わせてきました。あれの御陰で僕も母さんも・・・他の多くの被害者遺族もこんな筈じゃない人生を進まなくならなくなった。それはきっと貴方もリーゼ達も無くしてしまった過去は変えることが出来ない。・・・・・・・・・・だから、今を戦って未来を変えます」
「アルカンシェル、チャージ開始!」
「はい!」
リンディの指示に局員が応える。アルカンシェルの発射準備をする。
「ん!?」
ヴィータが何かに気づき街の方をみた。
「どうしたヴィータ?」
「いやさ……今街の方でなんか光った気が…!何か来る!」
『!?』
ヴィータが言った次の瞬間には炎でできた翼を背中に生やした零夜が目の前に現れた
その場にいる全員が警戒したが
零夜はなのは達を見ているだけで何も言わない
「あの!あなたはいったい?」
しびれを切らしたのかなのはが零夜に質問をした。
「『対魔術兵器戦略思考』(ミーミスブルン)」
零夜は沙希に標準装備されている対魔術兵器戦略思考(ミーミスブルン)を発動しなのはたちの能力を瞬時に見抜き、記録した
「……お前たちの様な魔力を持った『超能術師』(クリエイター)が、なぜこのような一カ所に集まっている?」
説明 | ||
とある平行世界、そこでオーディンこと芳野創生が起こした『最終戦争』(ラグナロク)にイレギュラーとして現れた少年がいた。その少年はラグナロクの勝者となり『究極魔法使い』(ガイヤ・ウラノス)となった。 ※この作品はfortissimo EXS//Akkord:nachsten Phase のネタバレ要素を含みます。ゲームをクリアしてから読むことをお勧めします |
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