残念美人な幼馴染が勇者として召喚された 第6話 |
「・・・はっ!」
目覚めた俺の視界に映るのは、黄色と赤の美しい鳥が描かれた天井だった。
「・・・・・・知らない天井だ。」
(ま、こんな天井知ってるわけないわな。・・・っていうか、このセリフを言う時がくるとは・・・)
元ネタ知らないんだけど。
「っていうか・・・マジで何処だ此処?」
(確か、変な男が襲いかかってきて・・・凛音達を庇ったんだよな・・・)
そこまで思い出した所で、霞がかっていた脳みそも回転を始めたようだ。
「そうだ、アイツらは無事なのか!?」
と、テンプレな台詞を叫びながら飛び起きた。どうやらベッドに寝かされていたようだ。そして、それほど広くは無い部屋の壁には、これでもかと言うほど沢山の絵が描かれていた。
「・・・・・・すげぇ。」
それらは、芸術に疎い俺でも分かる程に生き生きと描かれていた。ある壁には、一面の花畑が。ある壁には、勇者と戦う巨大なドラゴンの姿が。ある壁には、乙女を背中に乗せて草原を走り回るユニコーンの姿が。・・・説明など書いてなくても、一目見るだけで、どんな状況かが分かる。
どれもこれも、今にも動き出しそうに見える。それほどに凄い芸術だった。
「あ・・・起きたんだね!?」
俺が見惚れていると、部屋のドアが開いた。そこから顔を出したのは、優しそうな青年だった。肩に掛かる程度の長さの金髪。瞳の色も優しい金色で、その若干高い声と顔のソバカスが優しそうな雰囲気を加速させている。着ているのは絵の具で元々の色が分からなくなっているエプロンで、多分この部屋の絵を描いたのはこの人だろうと直感的に分かった。
「良かったよ!二日も目覚めないから心配したんだ!」
その青年は走りよってくると、俺の手を握った。
(結構力強いな)
優男みたいな見た目とは裏腹に、握力はかなり強い。痛いというほどではないからいいけど。
「何処か痛いところはない!?キミ、凄い怪我をしていたんだよ!?」
「怪我?」
(マジか。・・・でも、何処も痛くはないし、感覚が無いところもないよな・・・?)
念の為、もう一度体の調子を確かめてみるが、何処にも異常な部分は発見出来ない。
「いや・・・大丈夫みたいだ。」
と俺が言うと、彼は安堵したようで、大きな溜息を吐いた。
「良かった・・・。姫の固有魔法は流石だね・・・。噂でしか聞いたことが無かったけど、あの重症を綺麗さっぱり直しちゃうんだから。」
(え・・・ここまで言われるほど重症だったの俺?っていうか、今魔法とかって言葉が聞こえたが・・・まぁ、異世界だし魔法くらいは有るか)
寧ろ、それが無いと読者的にも面白くないだろう。
(・・・読者ってなんだ?)
自分で思ったことだが、気にしない方向で。こういうのは気にしたら負けです。
「あ、姫様達を呼んでこなくちゃ!ちょっと待っててね!」
そう言うと、彼は俺が止める暇も無く走り去ってしまった。
「・・・なんていうか、嵐みたいな人だったな。」
彼の勢いに押されて、質問とかする暇が無かった。
「・・・・・・っていうか、あの状況からどうやって助かったんだ?」
普通に考えれば凛音が何かしたんだろう。アイツなら、重症を負ったという俺と、そしてロリっ子を連れて逃げる位は出来るかもしれない。・・・だが、それはあの時の攻撃を耐えきる事が前提だ。あの攻撃には、異様な雰囲気があった。例え、あの凛音ですら防ぐことなど出来ないと直感した程の力が宿っていた。一撃でも喰らえば、戦闘不能になるくらいの強大な力があったのだ。
「・・・ま、俺の予想を軽々飛び越えるのがアイツだしな。案外軽く防いだのかもしれないな。」
『あの超人ならなんでもアリ』という考えに基づき、俺は思考を放棄した。これ以上考えても無駄無駄。アイツらが来てから聞けばいいんだ。
「さて、そろそろ来てもいい頃・・・ん?」
ドドドドドと音がする。何かが階段を駆け上がるような音だが、これは・・・?
「龍騎!」
「ぐ・・・ガ・・・!」
その瞬間、ドアが木っ端微塵に破壊され、そこから飛び出してきた((馬鹿|りんね))のタックルによって、俺は壁へと叩きつけられた。
そして、先程の男が壊れた扉を見て涙を流すのを薄れゆく意識の中目撃し・・・心の中で謝りながら俺の意識は再び闇に落ちた。
説明 | ||
口癖は「飽きた。」熱しやすく飽きやすい幼馴染と俺が、異世界に勇者として召喚された。・・・俺はオマケだったらしいが。・・・だけどさぁ、この『残念美人』を制御出来ると思ってる訳?最悪の場合、コイツに色々されて世界滅ぶんじゃないの?しょうがない、俺が手綱を握ってやるかね。 | ||
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