黄泉路への案内人 第八話 |
第八話
あの神社での一件後なのはも徐々に力をつけてきて、ジュエルシードも五個目を確保した。
ちなみに葵は・・・・。
「くっ・・・」
(あの子は一体。なのはと同様の魔法使いか?)
目の前で繰り広げられている戦いに目をやっていた。
片方は金色の髪に鎌を持った少女。おそらくなのはと同じ歳だろう。
片や、カラス。
「カラスにしては大きい。ジュエルシードでああなったのか。何ともややこしいものだな」
そう言いつつも観戦を決め込んでいたが明らかに速度で負けているのか金髪の子が押されている。
「止むえないか。ルミル。黒騎士」
《了解だ。マスター》
「漆黒の闇夜への誘う者、黒騎士」《シンクロイン!》
そして黒塗りの弓と、鋼鉄製の矢を構え、
「走れ、光よりも早く駆けよ」
魔力で形成された魔力の矢。強度はむろん軽さも自分が想像した形になるためある意味でチートである。そして、魔法陣が射線上に三つ重なるように現れ、そして矢は放たれた。
「疾風!」
―キュイィイイイ―――――――ン
そして、その矢は見事にカラスの眼に刺さった。
SIDE???
「おかしい。ジュエルシードが無い」
ジュエルシードの反応があったので反応があった場所に着てみた。でも、そこにはもうジュエルシードは無かった。
「もう誰かが? でも、探してみる価値は・・・!?」
わずかな可能性を信じ近くを探してみると急に魔力反応があった。そして、振り返るとそこにいたのは、
「原生生物・・・・もう発動している」
私の何倍も大きい鳥。おそらくジュエルシードはによる影響だろう。
すると、いきなりその鳥は襲いかかって来た。
「くっ、バルディッシュ!」
《protection》
間一髪でバルディッシュのプロテクションが間に合う。そして鳥は少し取り乱した。
「(この隙に)やぁあああああああ!」
バルディッシュで攻撃するが、それを飛ぶことによって鳥は回避された。まずい、下手をすればこっちより早い。
でも、それでも母さんのために。
「負けられないんだぁああああ!」
しかし、これもよけられた。それだけでなく、相手はこっちに突っ込んでくる。
「まずい! プロテ・・・ぐっ」
そのまま体当たりを食らい、その衝撃でバルディッシュを手放してしまった。
「くっ、な、なんで、こ、こんな・・・ところで・・・・」
相手は再び攻撃に入ろうとしている。あぁ、ごめん、アルフ、母さん。
――ザシュ
ギャァアアアアアアアア
「え・・・?」
すると、カラスはいきなり暴れ出した。良く見ると左目に矢が刺さっていた。
「ふぅ。ここの魔法使いは無茶をするのが当たり前なのか?」
そういって私の目の前に下りてくるのは私と同じクロノバリアジャケットを着た白銀の髪の女の子。
「しばらく休んでろ。数分、いや、一分以内で終わらせる」
「でも!」
「大丈夫だから」
そういって振り返って笑顔を見せてくれる。でも、嫌じゃない。何だろう。心が落ち着く。彼女の背中を見るとどんなことでも乗り越えて行きそうだった。
「両翼刀」
すると、彼女の手に白い翼の形の剣と黒い翼の形の剣が現れた。
アァアアアアア
鳥はそのまま彼に突っ込んでくる。
「許せ」
そういって彼女はカラスの真上に飛び込み、双剣を構える。そして、
「炎を纏いし剣よ。その刃を持って彼者(かのもの)を焼き尽くさん!」
そう言うと双剣は真っ赤に燃え始め、
「鳳墜閃!」
剣を振り落とす。ただ振り落とすだけじゃない。鳥が気付いた時にはもう遅かった。すでに振り落とされた後だったのだから。
鳥はそのまま地面に墜落。気を失っているのだろうか、ピクリともしない。
「す、すごい・・・・」
あり得ないほどの魔力に、あり得ないほどの力。どれだけの経験を積めばあそこまで行けるのだろうか。
「ふぅ。意外と楽だったな。それよりも君はこれが封印できるのか?」
そういってジュエルシードを指差す。
「は、はい! バルディッシュ。ジュエルシード封印!」
そのまま私はジュエルシードを封印し、回収した。
SIDE Out
「ふむ」
「え、な、なに?」
「いやなに。ひどい怪我をしているなと思ってな。そこに座ってくれ」
葵は近くにあったベンチを指差す。
「でもこれぐらいなら・・・」
「怪我をした女性を放っておくほど腐ってはいない。例え君が拒んでもだ」
そういって葵は無理やりベンチに座らせる。
「癒しの風よ。汝の力を持ってこの者の怪我を癒したまえ。ヒーリーングフール」
そう言うと、優しい風と共に、優しい光が彼女の怪我の部分を包む。そして光が晴れた瞬間には。
「す、スゴイ。怪我が治ってる」
「それは良かった。それではこれで失礼する」
「あ、あの!」
「ん?」
「えっと、そ、その・・・・」
彼女はもじもじしながら何かを葵に伝えようとしていたが、何を言おうとしているのかが分からない。
「深呼吸してみようか。吸って〜」
「すー」
「吸って〜」
「すー」
「まだまだ」
「すー・・・」
「おまけにもう五回ほど〜」
「すー・・・・え! これ以上したら死んじゃいます!」
驚きながらも彼女の緊張感はほぐれたようだ。
「ふむ。落ちついたみたいだな♪」
そういって葵は彼女に微笑みかけると、
「!は、はい///」
だが、次の瞬間には顔が赤くなった。(フラグメーカー発動!)
「(・・・またか)それで、何を言おうとしたんだ?」
「あ! その、助けてくれたことと、怪我を治してくれて、その、ありがとう・・・」
「気にすることはない。私の名前は神無月葵だ」
「私はフェイト・テスタロッサ!」
「ふむ。あと、言っておくことが一つだけある」
「なに?」
「私は男だ」
「え・・・エェエエエエええ――――――!」
その後、フェイトが落ち着くまで彼はフェイトの頭をなでていた。なぜかって?
(かわいいですね。でもこれは一歩間違えれば犯罪。人間のかわいさというのはなかなか難しい)
との理由。
それから数分後
「それでは失礼する」
「あ・・・・」
手をのけると少しさみしそうにするフェイト、
「(何とも護ってあげたい感じだな。)また会えるさ。その時までの我慢だ」
「う、うん! 絶対また会えるよね! 葵!」
「あぁ」
そういって笑顔で手を振りながらフェイトと別れた。
今後フェイトがどう葵と絡んでくるのか。これはまだ誰にもわからない。
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