いきなりパチュンした俺は傷だらけの獅子に転生した
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 第三十六話 …真面目に

 

 

 「という訳なのでアサキムと遭遇した場合。自分が出来る最も遠距離から放てる広域型の砲撃を最大出力でぶつけてください。それでも駄目だったら撤退してください。あいつに捕まると『知りたがりの山羊』のスフィアの力で自分の持つ情報を洗いざらい知られるので…」

 

 『もっと早くそれを教えて欲しかったにゃ〜』

 

 宙に浮かびあがったモニターにベッドの上で愚痴を垂れる包帯でぐるぐる巻きの女性が映し出されていた。

 

 「仕方ないわよロッテ。私達は彼に会うのは初めてなんだから…」

 

 俺の目の前にいるクロノに魔法を教えたお師匠様。ウェーブの髪が似合う知的お姉さまのリーゼアリアが俺(アリシアユニゾン済み)に目を向ける。

 只今、アースラ駐屯場基地。というマンションの一室で俺はリンディさんとプレシア。そしてエイミィとアルフの五人(アリシアを加えると六人?)でモニター越しに会話している猫耳をつけた女性と話していた。

 

 彼女はリーゼアリアの双子でロッテという女性。

 偶々、自分が警戒しているところにアサキムがやって来た。アサキムの情報をまだ知らなかったという彼女は無謀にもアサキムの跡を追いかけてアサキムにやられた。

 そして、アサキムアは何を思ったのか。『知りたがりの山羊』の力でロッテさんから未来予知が出来る人がいる聖王騎士教会に向かい、彼女をそこに放り投げていったという。

 

 『しかし、本当に不思議なものだなスフィアというのは…。というか、これはロストロギアなんじゃないのか?』

 

 「消失(ロスト)鮪(トロ)いやーん。…だと」

 

 お寿司を食べるなら俺はまずタコかエビから食べます。

 トロは高いから庶民には少ししか食べれません。

 あ、この間入った報酬で皆でお寿司を食べに行こう。

 ま、回っていない寿司をな!

 OH、グレイトリッチ!

 

 「…ロストロギアよ。ジュエルシードと同じその世界を滅ぼす事の出来る代物の名称よ。真面目な話をしている時ぐらい真面目になりなさい」

 

 わかっています。ただボケたかったんです。だってここ最近戦闘よりの思考だったんだもの。だからそんな冷めた目で俺を見ないでプレシア。

 

 (じゃあ、私は中トロ)

 

 通だな。アリシア。

 

 「はい。反省します」

 

 俺、要反省。

 

 (YO!反SAY!)

 

 YEAH!

 

 

 

 …真面目に。

 

 もしかして、アリシアの行動パターンがへんてこになったのは俺の所為か?

 いや、でも(社会的に)危険な発言者した覚えはないぞ。

 

 「そうは言われてもな。だからといってクロノさん。俺とアリシアから『傷だらけの獅子』のスフィアを取り上げるつもり?人道的にそれはどうよ?」

 

 さて、真面目に考えよう。

 まずは現状の把握。

 

 画面の向こう側にいるクロノさんの言葉に反論するように俺は意見を述べた。

 『傷だらけの獅子』のスフィア説明(偽情報)を管理局側に渡している。

 内容として、

 俺の魔力と生命力?を込めたスフィアをアリシアの中に組み込むことで仮死(いや、実際は死んでいたんだろうけど)状態だったアリシアを目覚めさせた。

 だからアリシアは俺と融合(ユニゾン)が出来る。

 獅子の力。マグナモードがアリシア抜きでは出来ないのはそのためだとも説明した。

 仮死の所までは嘘で後半の部分はほぼ真実。

 ただ、事故ってアリシアが復活だなんて言えないよな。

 マグナモード、イタイ。スフィア射出。スフィアがアリシアにドッキング!

 報われないよな、プレシアの努力…。なんかごめん。

 

 「それにアサキムはそれが由来してあんなに強いんだよ?俺とクロウ。というか、管理局連合と闇の書の騎士連合。どうみてもスフィアが無いと戦力的にはおっつかないと思うぞ」

 

 『それは、そうなんだが…』

 

 「それに俺はスフィアが無いと飛べなくなるから…」

 

 「役立たずになるんだよねぇ」

 

 それにガンレオン自体もライアットジャレンチと一緒に修理中だ。

 アルフの発言にちょっとの涙目になる俺。

 プレえもんっ、空を自由に飛びたいよ!マグナモード無しで!

 この冬。ガンレオンに加湿機を組み込むことが出来たアンタならきっと出来るよ。

 夏にはエアコン。秋には冷蔵庫機能を後付されたガンレオン。

 このままだと一年もしないうちに一家に一台という名目がつきそうだ。

 

 真面目に真面目に。…こほん。

 いや、結構深刻だよな!?どんどんガンレオンが身近になっては来ているけど戦闘からは遠ざかっているよな!?

 

 というよりも人手不足過ぎるのも問題だ。

 俺達が相手するのは闇の書の騎士。現在確認とれているので四人。仮面の男。そしてアサキム。

 数的に見れば六人だけなんだが、それの個々人の強さが半端ない。

 クロノ・アルフ・フェイト・なのはで闇の書の騎士を相手にするとしてもかなりきつい。しかも、フェイトは今戦線離脱中。ユーノ君はサポート要員だし…。

 そのユーノ君も闇の書の騎士を捕縛する作戦決行時まではミッドに残って調べ物を行う。

 俺がアサキムを担当。クロウが仮面の男。

 俺の場合。はっきり言って時間稼ぎくらいにしかならない。というか、俺の負担は大じゃねえか!…まあ、アサキムのデータを見ると自然とそうなるか。

 一番頑丈な俺(ガンレオン)以外でアサキムの攻撃に当たると一発アウトになるのだ。

 それに何故かクロウのSPIGOT以上にガンレオンのペインシャウターは攻撃力がある。まあ、あっちのは未完成で、こっちは自爆攻撃みたいなものだけど…。

 

 なのはのスターライトブレイカー。

 俺のペインシャウター。

 

 今の所、この二つ以外にアサキムにダメージを与えるには難しい。

 クロウのSPIGOT射撃型。まだ見ない格闘型も候補にあった。あれなら即効性もあるが何分攻撃力が軽い。

 というか頑丈過ぎるんだよシュロウガ!

 

 俺たち以外の武装局員たちによる一斉砲撃も考えたが、アサキムのデータを見る限り彼等はいるだけでも足手まといだ。せいぜい闇の書の騎士達を閉じ込める結界を張る程度が関の山だと…。

 …切ないね。武装局員。

 空を飛べない俺にはその気持ちがよくわかる。今度いっしょに飲みに行こう。

 

 「それに仮面の男は長距離移動。転移にたけているわね。世界を文字通りまたいでフェイトを襲ってきたんですもの」

 

 「…そうね」

 

 アリアさんは何か思い当たる節があるのかプレシアの言葉にお茶を濁すような態度を示した。

 

 『ごめんね。アリア。私もそっちを手伝えたらいいのに。せっかく、くろすけとイタチ君が来てくれたのに…。私はこんな様だし』

 

 「…しかたないわよ。情報通りならそのアサキムとかいう奴は艦隊レベルで対応しないと間に合わない。部隊で言うのならあのエース。ゼスト隊ぐらいじゃないと…」

 

 そのゼスト隊を呼んでくれ!

 と、後で頼んでみたがあっちもあっちで激務らしくてこちらを援護する余裕はないそうだ。と、俺が残念がっていると思いもしない言葉を耳にした。

 

 『あ、と。そういえばイタチ君には闇の書のこと以外にもいろいろと頼みごとをしたっけ』

 

 「『悲しみの乙女』に『偽りの黒羊』だったか?」

 

 っ!?

 ちょっと待て!今なんて言った!?

 

 

 

 「ほんまおおきにな。兄ちゃんのおかげで助かったわ」

 

 「たまたま偶然そこにいただけさ。それより君は少し落ち着いた方がいいね。あの階段から転がり落ちていたら死んでいたかもしれないよ?」

 

 まあ、この会話でも分かるかのように私は病室にあるベッドの上から這い出て病院内を散歩していたら階段付近で車椅子ごと落下しかけたのを助けてもらったんです。

 

 「あはは、ほんま反省します。いつもなら家族の人がいるんですけどなんやベッドに縛られっぱなしというのも嫌だったんでつい、車椅子に乗って…。これでも車椅子の扱いには自信あるんよ」

 

 「それでも気をつけた方がいい。君の命は君だけのものじゃないからね」

 

 「…はい。気をつけます」

 

 全身を黒いジャンパーとジーパンで歩いていた兄ちゃんがそれを受け止めていなかったら私は笑えない状態に陥っていたかもしれない。

 今日はすずかちゃんが友達を連れて会いに来てくれる日やから少し浮かれていたのかもしれんな…。

 

 「…それじゃあ、僕はここで。確認したい物も確認したからね」

 

 「あ、待ってください。あの、名前を聞いてもいいですか?」

 

 「…アサキム。アサキム・ドーウィンだ」

 

 「はい。アサキム兄ちゃんですね。あの、ほんまにありがとうございます。…また、会えますか?」

 

 私がそう尋ねるとアサキム兄ちゃんは優しい笑顔で答えてくれた。

 

 「ああ、また必ず会えるよ」

 

 

 

 そう、必ず僕は会いに行く。

 その時を待っているといいよ、『悲しみの乙女』。

 

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第三十六話 …真面目に
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魔法少女リリカルなのは 傷だらけの獅子 スパロボZ コメディー アサキム・ドーウィン 

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