青いチビの使い魔 第10話
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タバサSide

 

「何をやっているの?」

 

時刻はお昼ちょっと過ぎ。私は友人であるキュルケと彼女が誘ったルイズとデザートを一緒に食べていたら、何故かキキがデザートを配っているのを見つけた。

 

「いや〜、成り行きで」

 

「説明」

 

別にキキの事を責めようとしてる訳では無いが、なんと言うか・・・気になる。

 

「・・・・・・・ちとせが『ご馳走になってばかりでは人としていけません、皆さんで厨房の手伝いをしましょう』って言い始めて、ほっといたら・・・・手伝う事になってた」

 

「そう、わかった」

 

とりあえず理由を聞けたので、私はデザ−トを食べ始める。相変わらず美味しい。しばらくしてルイズも自分の使い魔が支給の手伝いをを見つけたらしく彼を呼んで文句を言っている。使い魔の方は呆れたのかさっさと別のテーブルに行ってしまい、それにルイズがさらに文句を言い少し騒がしい。

 

「まったく! リオンの奴!」

 

「あらあら、ルイズは彼に相手されなくて寂しいの?」

 

「そ、そんなわけないじゃにゃい!?」

 

「はいはい、そうですねー」

 

キュルケが何時ものようにルイズをからかって遊んでいる。この時のキュルケはホント楽しそうだ。そんな様子を眺めていると、

 

「誰が恋人なんだ? ギーシュ」

 

後ろの方から男子達の声が響いてきた。とてもうるさい。

 

「つきあう? 僕にそのような特定の女性はいないのだ。薔薇は多くの人を楽しませるために咲くのだからね」

 

ハッキリ言って馬鹿話を大声でされてとても迷惑だ。私はいつもの場所に移動しようか考えてると、

 

「あの、すいません。これポケットから落ちましたよ」

 

女の人、確かちとせと言う人が何かしらの入れ物を薔薇を持った男子、ギーシュに渡そうとしているが彼はそれを無視して周りの人と話しをしている。

 

「?・・・あの! 落ちましたよ!」

 

ちとせは聞こえてないと思ったのか、大きな声でまたギーシュに話しかける。

 

「・・・・・なんだね」

 

ギーシュは嫌々な感じでちとせに答える。

 

「あの、コレ貴方のですよね?」

 

「・・・・違うよ。それは僕のじゃない」

 

ギーシュはちとせが見せた入れ物を見ることも無くそう答えた。するとちとせは

 

「あ、そうなんですか。分かりました」

 

そう言って拾った入れ物をポケットに仕舞い、スタスタと去ってしまった。ギーシュはそれにホッとしてまた話しを始めた。しかし、

 

「ジンさん! 見てください! 綺麗なビンを拾いました!!」

 

少し離れた別のテーブルでお茶をしていた彼女の主人であるジンの元に行くなり大声でそんな事を言い出した。

 

「しかもこれ、香水みたいなんですよ。凄くいい香りでこんなに良い物を只で手に入れられるなんて、私とても幸せです」

 

ちとせは幸せそうにビンを握り締めているが、ジンは頭を抱えている。ギーシュに関してはダラダラと汗をかき始めた。すると同じテーブルに居た女子の一人、モンモランシーが

 

「ねぇ貴女、そのビン少し見せてもらっていいかしら?」

 

「はい、いいですよ」

 

そう言ってちとせからビンを受け取り、マジマジとビンを観察して。

 

「ありがとう。それは貴女が自由に使うといいわ」

 

ちとせにそう言ってビンを返し、代わりに置いてあったワインビンを掴みギーシュに近づいていく。

 

「ギーシュ・・・・・・どういう事かしら?」

 

「や、やあ、僕の愛しのモンモランシー。そんな怖い顔をしてどうしたんだい?美しい顔がだいなしだよ」

 

モンモランシーの問にギーシュは声を震わせながら答える。

 

「そう言う事を聞いてんじゃないのよ。なんで、私のあげた香水を自分のじゃ無いなんて言ったのかしら?」

 

「そ、それはだね。えっと・・・」

 

ギーシュがしどろもどろになって答えに窮していると、

 

「ううぅ、ギーシュ様。やっぱりミス・モンモランシーと・・・・」

 

「ケ、ケティ!?えっと、コレはだね違うんだ」

 

パシンッ!

 

「うそつき!さようなら!!・・・うわぁ〜〜〜ん」

 

「うぐぅ、誤解だケティ!」

 

「へぇ〜〜〜。違うんだ?誤解だ?・・・・・なるほど、よーーーーーーーーーく分かったわ。ギーシュ」

 

「ひっ!、えっと、その、コレはね、その〜。そう!彼女は・・・」

 

「ふんっ!!」

 

ガシャーンッ!!

 

「がっ!」

 

「さようなら、ギーシュ。もう二度と話しかけないで」

 

一通り見ていたが見事な修羅場だった。

 

 

 

 

 キキSide

 

あ〜。これ、どうなるんだ? 確かこのイベントってルイズの使い魔とがなんだかんだで決闘になるんだよな? しかし、どう考えてもリオンとギーシュの決闘のためのフラグが見当たらない。まぁ、いっか。俺は関係ないし。

 

「・・・・・君。ちょっとこっちに来たまえ。」

 

あ、ギーシュが立ち直ってちとせに話しかけたが・・・・ちとせは完全無視だ。ってか自分に話しかけられてることに気づいてない。それがギーシュの堪に触ったらしく、

 

「そこの髪の長い君だ!聞こえてるだろ!」

 

ちとせに薔薇の造花を向けて叫んだ。それでやっと気づいたちとせは

 

「どうかしましたか?」

 

普通に返事をした。今までの過程を見ている人達からすれば何故そんなに普通なのか疑問に思うが、そこは烏丸ちとせ、被害妄想が激しいくせに他人の悪意に鈍感だからと言う以外に理由は無い。

 

「なんですか。じゃないだろ?君のせいで二人のレディの名誉が傷ついた。どうしてくれるんだね?」

 

ギーシュはスッと足を組みキザなポーズをとって、ちとせに言いがかりをつける。

 

「・・・・・・・えっと、どちら様ですか?」

 

しかし、言いがかりをつけられたちとせは、その理由どころかギーシュの存在すら忘れていた。

 

「なっ!?君は失礼な奴だな!!さっき君が拾った香水の持ち主だよ!」

 

「あー、思い出しました。でもこの香水は貴方のじゃないですよね?私、確認したら違うって言ってましたし」

 

「そ、それは君・・・なんていうか、そう! 貴族である僕の話に合わせるのがメイドの務めだろ。それなのに君は勘違いして、勝手に自分のだって言いふらして。そのせいで可憐な乙女達が傷ついてしまったのだ!」

 

二人の言い合い?を眺めていたが・・・・ギーシュ凄いな、あんな言い訳を即座に思いつくとは。そのスキルを先ほどの二人に発揮出来ればよかったのにな。その後もギーシュとちとせはやんややんやと言い争い、そして、

 

「じゃあ、もう決闘です!!」

 

ちとせがギーシュに決闘を申し込んだ。

 

「ああ! いいだろう! 平民風情が貴族である僕に挑んだ事、後悔させてやる!」

 

ビシッとギーシュは造花をちとせに向けてポーズをきめる。ホント何やらかしてるの?ちとせ。

 

「ふっふっふ、後悔するのはどっちでしょうね?」

 

「ふんっ!決闘はヴェストリの広場でおこなう。着いてこい」

 

ちとせが何故か自信満々に胸を張り、ギーシュは決闘場所を指示して歩いて行く。ああ、なんかどんどん話しが進んでいく。

 

「何やってんのかしらねぇ。ギーシュもバカだけど、あの子・・・ちとせって言うんだっけ?あの子も相当よね」

 

キュルケが今のやり取りを見てそう呟いた。

 

「まぁ〜そうね。ねぇジン、ほっといていいの?」

 

「もう、自由にさせるよ」

 

ルイズもキュルケの言葉に同意して、何故か同じテーブルに移動してきたジンに話しかける。ジンはゲンナリした顔で返答した。

 

「あの、ジンさん」

 

そうこうしていると、ちとせがこちらに近づいてきて、

 

「ジンさん!決闘頑張ってください」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何故、そう言う考えに至ったのか教えてくれ」

 

ちとせは理解が難しい事をジンに言った。ジンもそれを聞いて頭を抱えながら、聞き返した。

 

「ほら、昨夜言ってたじゃないですか。使い魔はメイジの大切なパートナーだって、それに使い魔の責任は主の責任だからって。だから私の代わりに決闘してきて下さい」

 

ちとせはそう言ってジンに対してニッコリ微笑んだが、

 

「ぶちのめすぞ!!」

 

ジンがキレた。今の発言とキレ方に周りの人達は目を点にして止まってしまった。特に女子生徒。猫を被っていたのは分かっていたが、人目があるところで素を出すほどちとせにストレスを感じていたのか、可哀そうに。

 

「あ、いや・・・・・・・・・・ちとせ、ちょっとこっちに」

 

ジンはちとせを連れて建物の裏の方に行ってしまった。

 

「えっと・・・・ビックリした〜。ジンが怒るところなんて始めて見た」

 

「ええ、そうね。でもアレがたぶん本当の彼かもね」

 

ジンがキレた事で、ルイズとキュルケがジンの事を話してるとジンとちとせが戻ってきて、ジンは椅子に座り、ちとせはリオンに近づき、

 

「私、代わり、決闘、お願い」

 

決闘代理を頼んだ。ってか何故そんな喋り方? 目もなんか虚ろだし、何をしたんだよ。

 

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