魔法少女リリカルと恋姫な物語 〜少年の数奇な運命〜 第18話 目的は戦うことではない
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「・・・ばらすのはもうちょっと後がよかったんだけどな・・・」

「それはそっちの都合だ。どの道ばれてお前になにか支障があるのか?」

「・・・特にないね」

「だったら問題ないな」

 

 よくよく考えてみたら正体を隠す必要はなかったね。ま、近くの人間が魔導師だというのは、結構安心感はあるからね。この地球では魔法文化がないから特にそう思える。その理由はどうやら裕樹がなのはちゃんに教えるようだ。

 

「二人とも・・・どうして魔導師だって教えてくれなかったの?」

「俺は単に甘えというものを感じてほしくないためにかな。近くの人間が自分と同じ魔導師だというのはそれなりに安心感を与える。そうなるとだ、自分が駄目でももう一人の人が何とかしてくれるだろうと思ってしまうかもしれん」

「わたしはそうはならないよ!」

「それは言い切れないだろう。高町はまだなりたての魔導師だ。学校でもイメージトレーニングをしているだろう。だがそれでも俺のほうが強いと言える。実践は確かにないが、それでも勝つ自信がある」

「あ〜、裕樹。あんましそうやって言わないほうが「それなら勝負なの!」あ〜あ・・・」

「模擬戦なら後でいくらでもしてやる。今はジュエルシードを取り返すのが先決だろ?」

「・・・そうだったね。でも後で絶対に模擬戦なの!」

「はいはい・・・」

 

 さっさと逃げればよかったかな?ま、裕樹はなんだかんだでこちらを監視してたしな。上手く逃げれたとは思えない。

 

「んじゃま、行きますか」

[高町、あっちの金髪の子を頼む]

[わかったの]

 

「ゴメンねフェイト。さっさと逃げればよかったんだけど」

「ううん、上手く逃げれたとは思えないよ。アルフも別の敵に出くわしたって言ってたから」

「そっか。フェイト、あっちの白い魔導師を頼む」

「了解。神那、気をつけてね」

「フェイトもね」

 

 そう言って、僕らは別れてそれぞれの敵と戦いを始めた。

 

「手加減は無しで行かせてもらう!」

「万全の調子のときに戦いたかったけどね」

「それも勝負の内だ」

「ごもっとも!」

「あたりゃしねえよ!」

 

 ま、こっちも近寄らせることはしないけどね。先制攻撃である数発の銃弾はを避けられはしたけれど、その後もこちらに近寄らせないよう、攻撃を続けていた。あの長剣を見る限り、裕樹は接近戦型の魔導師だというのはわかる。だからこそ近づかせてはいけない。

 

[ビットはどうします?]

[僕の横に射出しといて。もちろんステルス付きで]

[了解]

 

 ヴェルジュからの質問に対して返答を行った後、ヴェルジュは返答内容を実行に移してくれた。裕樹の場合、おそらくフェイトやなのはちゃんのときと同じようにはいかないだろう。なので今回は別の使い方をしよう。

 

「ちっ!このままじゃジリ貧だなおい!」

<<しかしこの銃弾の中をかいくぐって近づくのは至難の業だぞ>>

「分かってるよ。でも神那だって人間だ。アレだけ銃を撃ち続けていたらいずれミスをする」

<<・・・ここはそれでも行ってやる!くらいは言ってほしいものだがな>>

「無茶言うない!」

 

 ・・・なんかシャルと言い争ってるみたいだけど、余裕だね。ま、油断してくれてるほうがこちらとしてもありがたい。僕の魔力ももうあまりないしね。

 

「余裕をかましてる場合かな?」

「すまねえな。わざわざ注意してくれるなんてよ」

「ん〜、向こうもそろそろ終わりそうだからね。こっちも決着と行こうか」

「はっ!やれるもんならやってみな!」

 

 いいねぇ・・・それじゃ行きますか。僕は近くに配置しておいたビットをつかんでそれを僕の前に持ってきた。すると裕樹から見て、僕はだんだん消えていくように見えているはずだ。

 

「!?ステルスか!」

「ご明察・・・」

 

 そう言って僕は裕樹の視界から消える。

 

「警戒しすぎたか。今回もてっきり、こちらへの攻撃に使うかと思っていたが・・・」

<<早計だったな・・・。しかも神那はおそらくビットをつかんでいた>>

「それがどうした?」

<<はぁ・・・。いいか、ビットにはステルス機能がついている。神那はそれをつかんでいる。そして神那はソニックムーブを使える。これらから導き出される結果は?>>

「・・全方向から気づかれずにこちらを撃つことができる・・・」

<<その通り。というわけで指示をマスター>>

「危険だがクラスターを俺の周りに周回させながら設置。魔力感知も怠らずにな」

<<了解>>

 

 いい判断だが、少し遅かったかな。忘れたのかい?僕らの狙いはこの戦いに勝つことじゃないんだよ?

 

裕樹side

 

<<・・・すまないマスター。この勝負われわれの負けだ>>

「なに?」

<<すでになのはたちの戦いは終わって、なのはの負けだ。加えて、彼らはすでに撤退した>>

「は?ちょっと待て、勝負は?」

<<だからわれわれの負けだ。試合に勝って勝負に負けたというやつだ。むこうの目的はあくまでジュエルシードの獲得。戦いそのものに勝つのは((できたら|・・・・))でよかったのだ>>

「・・・クラスター解除。くそっ!完全にやられた!」

<<反省は後でもできる。今はなのはのところに行ってやらねば。彼女の魔力反応が動かないところをみるに、おそらく気絶しているだろう>>

「了解だ・・・」

 

 神那にとっては俺との戦いは勝つことを目的としてたってことじゃなかったのか。そういや最初に言ってたな、万全の調子のときって。てことはそうせざる状況だったのか?神那の判断で俺との力量がそれほどなかったか、もしくは別の要因があったか・・・。それは帰ってから考えるか。

 

「さて、高町は・・といたいた」

 

 神那と戦い終わった後、すぐさま高町を探した。高町はシャルの言ったとおり気絶しているらしくすぐ見つかった。見る限り軽症くらいの傷しか見当たらなかったので、この程度ならば俺の治癒魔法で十分治せる範囲だった。

 

「・・・ふぅ。これでよし。おい、起きろ高町」

「ん・・・。あれ・・裕樹くん・・・。あ!あの子は!?」

「スマン神那ともども逃がしてしまった・・・」

「そっか・・・」

「落ち込むのは後だ。今はアリサたちのところに戻らないと」

「あ、そうだったの!」

 

 高町に先に玄関から入るよう伝えた後、俺は庭に出るときに使った窓からもう一度屋敷に入った。結構遅かったので、ちょっとふんばっていたと言ったら殴られた。まあ、女の子にそのような説明のしかたは無いだろうと気づいたのは家に帰ってからだった。

 

side out

 

 ふぅ、家まで来たらもう大丈夫かな?

 

「ゴメンねフェイト。連れ去るような形で連れてきちゃって。アルフにも念話で話したからすぐに来ると思うけど」

「ううん、大丈夫だよ。アルフももうすぐ着くって」

「そっか」

 

 フェイトの言ったとおり、ものの1分ほどでアルフも僕の家にたどり着いた。

 

「待たせたね」

「いや、こっちが無理言った形だから気にしないで」

「そうかい?それより正体がばれたけどいいのかい?」

「う〜ん、まあそっちはなんとでもなるでしょ。絶対に隠さなくちゃいけないってわけでもなかったし」

「ならいいけどねぇ」

 

 そう告げるとアルフは納得してくれたようだ。

 

「それじゃ私たちはこのまま母さんのところに戻るから」

「ん、わかった。今日の埋め合わせはまた今度するからね」

「うん!それまで楽しみにしているよ。それじゃ神那、またね」

「またね」

「うん、フェイトにアルフ。またね」

 

 僕らは別れを言った後、それぞれの家に帰った。とは言っても僕は目の前なんだけどね。父さんたちにはフェイトは家の前に着いたら帰ったことを伝えておいた。そして、晩御飯を食べているとき、母さんは自分が調べたこと、プレシアさんと話したことについて語った。

 

「これを聞いて神那はどう思った?フェイトちゃんのこと、気持ち悪いとか思った?」

「まさか!その人の生まれがどうであれ、生まれた後の人生はその人のもの。それに僕が出会ったのはフェイトであって、アリシアって子じゃない。だから付き合い方や見方まで変えるつもりは全然無いよ」

「・・よかった。神那はやっぱりあたしたちの子ね」

「ああ。神那、その気持ちいつまでも忘れるな」

「うん!」

 

 そうして今日という一日は終わりを告げた。明日からまた新しい一日が始まる。・・・明日は二人から色々質問攻めになるんじゃないかな・・・。そう思いつつも、まあなるようになるさと思う自分もいた。ま、今日は寝て明日考えよう。

説明
みなさんこんにちは〜。いや〜、梅雨明けしたはいいですけど、暑いですねorz。でもそんな暑さに負けないよう頑張っていきましょう!
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