IS ~愉快を求める転生者~ 第7幕 入学式、何かせずにはいられない
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side織斑一夏

 

「それでは皆さん、一年間よろしくお願いしますね」

 

「・・・・・・・」

 

(コレはキツい・・・想像以上に)

 

一夏はクラス中から集まる視線の的となっていた。

 

本日は高校の入学式、当初の予定では藍越学園で迎えるはずだった。

 

 

だがしかし、ここはどこだろうか。

 

(なんで『IS学園』なんだよ!)

 

読み間違いで済むレベルではなく、女子生徒の中に男子1人放り込まれていた。

 

そもそも入試の日に間違った自分が悪い。そしてISなんて動かしてしまった自分が悪い。

どこにぶつけて良いかわからない虚しさが胸中を駆け巡っていた。

 

チラリと窓の方を向く。

その先にいた幼なじみ、篠ノ之箒は窓の外へ顔をそらした。

薄情なやつだなあ・・・嫌われてるのか?

 

「・・・・・・くん。織斑一夏くんっ」

「は、はいっ!?」

 

思わず声が裏返ってしまった。周りからクスクスと笑われてしまった。

 

「あ、お、大声出しちゃってごめんね。お、怒ってる?ゴメンね、ゴメンね!?で、でも自己紹介、『あ』から始まって今『お』まできてて、けど織斑くんの前の人はちょっと今日は来れないらしくて、それで織斑くんの番なんだよね。だ、だから、ゴメンね?自己紹介してくれるかな?」

 

気がつくと眼鏡の先生に謝られていた。

たしかこの先生の名前は山田真耶。上から読んでも下から読んでも同じになりそうな名前の先生だ。

もうペコペコしすぎて眼鏡がずり落ちそうだ。

 

「いや、あのそんなに謝らなくても・・・というか自己紹介しますんで、先生落ち着いてください」

 

なんかこちらが申し訳なくなってくる。こちらが悪いのだけど。

 

「ほ、本当?本当ですか?本当ですね?約束、約束ですよ!」

 

急に俺の手を取り熱心に詰め寄ってくる先生。・・・さらに注目を浴びてるんですが。

 

(・・・かといってこの空気の中言えって言われてもツラいぞ)

 

四方八方から視線が突き刺さる。もし視線に物理干渉能力があったなら一夏の身体はすでに蜂の巣になっているだろう。

 

一夏は、覚悟を決めた。

 

「えー・・・えっと、織斑一夏です。よろしくお願いします!・・・・・以上」

 

クラスの半分以上がコケた。え?俺が悪いの?

 

パァンッ!

 

脳天に鋭い痛みが走る。

 

「いっっー!?」

 

「マトモに自己紹介もできんのか」

 

聞いたことのある声、というより叩き方。よく知っている人が脳内検索に引っかかって仕方がない。

恐る恐る声のした方へ振り向き・・・

 

「げえっ、関羽!?」

 

スパァンッ!

 

二度目の痛みに視界が揺れる。ほらみろ、女子が若干引いてるぞ。

 

「誰が三国志の英雄だ、馬鹿者」

 

どうしてここにいるんだよ千冬姉。

 

「あ、織斑先生、もう会議は終わられたんですか?」

 

「ああ、山田君。クラスへの挨拶を申しつけて悪かった」

 

なんという心優しいお言葉。できればこっちにもかけて欲しい。

 

「い、いえっ、副担任ですからこれくらいは・・・」

 

山田先生の熱っぽい声が聞こえる。視界がぼやけてわからないが、必死に頑張っている姿だけは想像できる。

 

「さて・・・諸君、私が織斑千冬だ。君たちを一年で使い物になる操縦者へと育てるのが仕事だ。私の言うことはよく聴き、よく理解しそして従え。出来ないものは出来るまで指導してやる。私の仕事は弱冠15才を16才までに鍛えあげることだ。逆らってもいいが、私の言うことは聞け。いいな」

 

独裁者かアンタ。本当にこれが俺の姉、織斑千冬だ。

シンとなる教室。ほら見て見ろ、そんなこというから。

 

しかしそんな空気はすぐに弾けた。

 

「きゃあああああ!!千冬様よ!本物の千冬様よ!!」

「ずっとファンでした!」

「私千冬様に憧れてIS学園に来ました!北九州から!」

 

遠路遙々ご苦労さまです。

 

「私お姉さまの為なら死ねる!」

「お姉さま!叱って罵って調教して!」

「お姉さまの色に染めてえええ!」

 

結構危ない発言が聞こえた気もするが、きっと気のせいだろう。

ゆっくりとハッキリしていく視界が、目の前に立つ姉の姿を映す。

 

「・・・まったく毎年毎年よくもこれだけの馬鹿者が集まるものだ。むしろ感心させられるほどにな。そしてお前もか織斑、ろくに挨拶もできんのか?」

 

呆れた様子を浮かべつつも殺気を放ち続ける千冬姉。

 

「いや、千冬姉!俺は別に」

 

パァンッ!

 

「織斑先生と呼べ」

「・・・ハイ、織斑センセイ」

 

俺の体力ゲージが赤く光始めた。いや、それ以上にバレてしまった。姉弟だというのが。

 

「え・・・?織斑くんって、あの千冬様の弟・・・?」

「質問は許していない、口を開くな」

 

再び静まり返る教室。

 

「まったく・・・今年の一年も馬鹿者が多いな。自己紹介もできないやつもいれば、初日から来れないやつもいる」

 

あ、そういえば俺の前は今日来てないって言ってたな。詮索するのはイヤだが、家の事情とかかな?

 

「・・・まあいい。少し早いがSHRを終わ」

 

ドゴオオオオオオオオンッ!

 

る、と言おうとした千冬ねえの言葉は、グラウンドに響いた轟音によって遮られた。

 

 

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side織斑千冬

 

『警戒レベル4!IS学園外壁のバリアが破られ、不審者が侵入した!繰り返す、警戒レベル4!教師陣は直ちに生徒を誘導してください!』

 

グラウンドに轟音が響きわたって数秒後、アナウンスから放送が入った。

 

(何者だ?よりにもよってこんな初日から・・・)

 

「山田君、生徒たちを頼む。私は少し出迎えをしてならねばならんようだ」

 

それだけ言ってすぐに教室の扉に手をかけ、一気にその場を駆け出した。

 

「えっ、ちょっ、織斑先生!?なにがどういう・・・」

 

聞こえた声はすべて無視した。

 

 

 

 

 

土煙が上がる方向へ向かい、すぐに気づいた。

 

「・・・これは酷いな、誰が元に戻すんだ?」

 

グラウンドに出てみると、中心にクレーターが完成していた。

入ってきたのはこの真上、そこから一気に落下して地面へ直撃したのだろう。

 

(しかし、いったい何者・・・)

 

段々と土煙が晴れていく。

 

見えたのは、足。ISなどの装甲ではなく、生身の人間の足。

 

そして胴体、次に顔まで見えるほどに晴れたところで、それは私に向かって言った。

 

 

 

そして理解した。

 

 

 

「えーっと・・・本日来れないって言ってた一年の興野京也ですけど、受付ってこっちでよかったんですっけ?」

 

前髪の隙間から覗く目が、自分と同じ種類のものだということに。

説明
やっと本編突入の予感

前置きは短くいきましょう。

ではでは本編どうぞ

「今回俺の出番少ねえ!?」
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ハーレムなし 転生 チート オリ主 インフィニット・ストラトス IS 

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