異世界で生きる
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プロローグ2

 

 

唐突だがその日の放課後、俺は死んだ……らしい。曖昧な言い方になってしまうが、俺はその瞬間の記憶がなく聞いた話だからだ。そして聞いたのがなんと、神様。

 

 

「自分の今の状態を理解したか?」

 

 

「あ、はい。ありがとうございます」

 

 

よく二次創作小説に出てくるおちゃらけた神様ではなく、めちゃくちゃ威厳と威圧感のあるローマな格好の巨人が言う。今俺の前には半円状に椅子がならび、その全てに巨人――全部神様――が座っている。その真ん中で俺は神様曰く、魂のみの状態でここにいる。体の感覚が無いのが何よりの証拠だ。

 

 

「なによりだ。さて、本題に入ろう」

 

 

真ん中の神様がそう言って一拍いれる。そうそう、今までのことは全部この神様に教えてもらったんだ。そんでもってやっぱり俺の死因は龍也だった。結局あの日の放課後は一緒に帰ることになり、その時に反対車線で車に引かれそうな子供がいたんだ。それでやっぱり龍也は助けに行く訳だが……その時に事もあろうに俺を突き飛ばしやがった。当然押された方向に倒れる訳だが、その時に丁度きていたトラックに出ていた頭だけを弾き飛ばされてドボン。最後の最後まで、あいつは俺の疫病神だったようだ。

 

 

「我々は今までのお前の人生を見てきた。最初から最後までな。それを見た我らの感想は……」

 

 

「感想は?」

 

 

「おかしい、という結論が出たのだ。正直に言えば、お前は本来何の不自由もなく暮らし、あんな酷い恋愛などしない普通の日本人になっているはずだったのだ。それが何故こうなったかを調べてみると、お前の友人が全ての元凶だったことがわかった」

 

 

友人……龍也だろう。100%。

 

 

「まだ赤子だった時点から、というか前世等も含めてお前の全ての幸運や能力はその友人に持っていかれたのだよ。全てをな。とはいえ魂は基本的に死後はリセットされる。今までは飛び飛びだったようだが、今回は連続してあったようだな。お前もおかしいとは思っていただろう?」

 

 

「はい。何度この運命を恨んだことか……」

 

 

男子生徒と彼氏持ちの人達は優しかったけどな。泣きたくなったけど。ってか前世って……規模がでかくないか?しかも話的には俺の魂はかなり苦労してるみたいだし。

 

 

「だろうなぁ。俺だったらあそこまでされたらキレて殺してると思うぜ?しかも知ってるか?今その友人とやらはお前を突き飛ばしたのを自覚してなくて、お前が勝手に突っ込んで死んだって皆に言いふらしてるんだぜ?カッコ悪く、無様にな。何でかは知んねえけどよ」

 

 

「更に、彼が酷く曲がった嘘を言ったためにあなたへの周りの好感度は一気に下がりました。むしろ彼の人助けを邪魔したということで」

 

 

「しかもその男、遺品だとか何とか言って堂々とお主の持ち物を盗んでいきおったわ。周りの女共も便乗して、まぁ女共は男の制止も聞かずといった具合じゃったが……とにかくお主の家はもぬけの殻じゃ。全く、信じられんわい……」

 

 

いろんな神様達が言ってくれる中、俺は呆然としてしまう。俺が今まで無理矢理とはいえ体を張って助けたりしてやったにも関わらず、その初めてのお返しがこれか……初めての友達、何だかんだ行ってきたが腐れ縁とはいえ大切な友人と思っていたのは、俺の勝手な考えだったのか?

 

 

「心を強く持て、少年。言葉が発せなくなっているぞ?大丈夫さ、少年には俺達がついてる」

 

 

真ん中の神様から右に二つ離れた見た目青年の神様がそう言ってくれて気付いた。思った以上にダメージが強かったみたいだ。これは俺話せるのかな?と考えているとその横の綺麗な女性が口を開く。

 

 

「大丈夫、あなたの伝えたい事はしっかりと聞こえてるから。そんであのガキ、警察の女の子落としてそのまま行けばあなたのお金にまで手をつけそうだったけど、それはなんとかしといたわ。どうする?」

 

 

……ありがとうございます。俺の貯金はお世話になった孤児院に届けておいて下さい。あそこにいるときが一番幸せでしたから……。

 

 

「……そう。ん、すぐにいくようにしといたから、安心しなさい」

 

 

はい。本当に、ありがとうございます。

 

 

「ふむ、これで一通り現世での事は片付いたか?」

 

 

お陰さまで。

 

 

「うむ。ならば次の話に移る。我らはお前をひどく哀れに感じた。故に、もう一度生きるチャンスをやろうと考えたのだ」

 

 

マジですか!でも、俺なんかより不幸な子なんてかなりいますし……まずはそういう子を――

 

 

「案ずるな。そういう奴は死んだら優先的に転生させている。そしてお前は……特別だ。だが、強化した肉体と共に蘇らせるだけになる。その友人と共に召喚という形でな」

 

 

「この戒めのような繋がりは、完全にあなたという存在を消し、違う人間として生きるほかに断ち切る方法がないのです。魂まで繋がるこの鎖は、管理者たる私達神ではなく私達の誕生も含めた生産者である世界による初期設定のようなものですから、その子たる私達にはどうすることもできないのです。しかし、私たちはあなたをあなたのままいさせてあげたい……勝手なことですが、許してください」

 

 

 

……いえ、俺が俺のままでいれるというだけで破格なんでしょう?なら俺に文句を言うことはできません。それに、生き返れるってだけですごいことじゃないですか。感謝こそすれ、その逆はありませんよ。

 

 

「そう……ありがとう」

 

 

そういえば、召喚って言ってましたけどそれってどういうことなんですか?

 

 

「うむ。お主が死んでから一カ月経ったのだが、その友人が……あれじゃよ、勇者召喚されたのじゃ。よくある剣と魔法じゃよ。しかし本来必要な勇者は一人。お主にはなにかしら起きるじゃろうな」

 

 

違う世界ということですか……それに初っ端から盛大に巻き込んじゃってくれますね。

 

 

「飲み込みが早くて助かるよ。彼とはどうするつもりだい?」

 

 

なんだかんだまた最終的には巻き込まれると思いますが……最初は自分であいつから離れて頑張ってみます!

 

 

「フフ、良い返事です。ですがあなたの行く世界には危険が多いいのでいくつか力をつけてあげます」

 

 

やっぱり早速危険有りですか!行く前から不安がいっぱいですよ!

 

 

「だから力をつけてあげるって言ってんでしょ〜。ほら、アレス。あなたの仕事よ」

 

 

「考えるの面倒だな……お前の家に有ったものの力を全部詰めとくぞ。道具も使えるから大丈夫だ」

 

 

えっ?アレス!?

 

 

「話進まないから無視〜。ヘラクレース!」

 

 

「あはは……僕からは、その力に耐えられるだけの肉体を送ろう」

 

 

ちょっへ「うるさ〜い!次っ!」……。

 

 

「じゃあこのハデス様からは冥界の王として好きなときに死ねる権利をやろう!と言っても不老なだけで不死ではないから気をつけろよ?あとは……そうだな、ハデス様印のかっこいい刺青でもいれてやるか。これでお前は闇に好かれるだろうよ。光の頭の固い連中には嫌われるだろうがな」

 

 

「このポセイドンからは水に好かれる力を与えよう。これで慣れれば水の中では我の次には強くなれる。息も出来るぞ。しかも汝は水に属する名を持っているからな。より強化され、水の生き物にも好かれるだろう。好きなように使役出来るということではないがな。彼らの方から進んで協力をしてくれるはずだ」

 

 

「私、メティスからはそれら全てを扱うための知恵とその世界の魔法関連の知識を授けます。あと、文字や言葉についても付けておきましょう」

 

 

……もう何も言いませんっ!言えませんっ!後でサイン下さい!

 

 

「このヘファエストスからは収納用の腕輪をやろう。お主以外には使えぬし、持てぬので安心すると良い。何でも入るし、念じれば出てくるからな……皆のサインもここに入れとこう」

 

 

家宝にしますっ!

 

 

「えっと、ざっとこんなもんね。あ、私アテナからは……そうね、最強の守りを使えるようにしとくわ。じゃあ、お父様あとお願いします!」

 

 

「うむ。我らはお前をスクリーンで見ておるからな。頑張ってこい」

 

 

えぇっ!?最強の守りって!?それにスクリーン!?って消えてく……っ!

 

 

「まぁ、僕達も案外暇なのさ。行ってらっしゃい」

 

 

「俺達を楽しませてくれよ!暴れてこい!」

 

 

と、とりあえず……行ってきまーす!

説明
何かと不幸な人生をイケメンハーレムの友人のせいで送ってきた主人公、漣海人。しかも最後はその友人によって殺され、それを哀れんだ神達は力を与えて異世界へと飛ばしてくれた!!とにかく作者の好きなものを入れて書く小説です。技とか物とかそういう何でも出てくるような物やチートが苦手な方はご注意を。にじふぁんから移動してきました。
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