新たなるEXA 第1話・目覚めた場所と魔術兵装 |
「――ん、ここ、は…」
ガタゴトという音と揺れを肌で感じ、零二は目を覚ました。
周りは壁に覆われ、狭く暗い場所。なぜこんな所にるのかはわからないが、少なくとも〈やばい事態〉だというのはよくわかっていた。
「くそ、どこだよここは!」
行き場のない怒りを声に出す零二だったが、そこに
「!、兄さん!」
「やっと起きたんだよ、マスター!」
「紗雪、サクラ!」
自分の家族を見つけ、ほっとした。すると今度は
「おっ、芳やん!よーねとったから、心配したけど、大丈夫そうやな」
零二の友人、剣悟が現れた。
「霧埼………ふん!!」
「うぉわ!!あ、あぶな!」
と有無も言わせず零二は剣悟に殴りにかかった。それを紙一重でなんとかかわすも剣悟は混乱していた
「霧埼、一発殴ってもいいか?つうか、殴らせろ」
「もう殴りにかかって来とるやん!?とうより、拒否権なしなんか!?」
「兄さん」
「おおぉ!さっつん、たすけて――」
救いの手がさしのべられて、安堵する。が、
「私も殴りたいから、殴っていいかな?」
「くれへんのかあぁぁぁぁぁ!!ちょ、ちょ、ちょおおとまってーな!今は現状把握が一番やろ!?」
「まぁ、それもそうだな。とりあえず見逃すか」
「ほっ」
「って言うとでも思ったか!おめーがあんとき俺の脚持ってたからこうなったんだろ!!」【バコ!】
「あいたぁぁぁぁ!」
本気ではないがやっぱり痛い一撃が剣悟の頭にヒットした。
「よし、とりあえず少しすっきりしたところで、ここはどこだ?」
「ちょ、ひどくないか?それはないやろ芳やん」
「そうされることをしているあなたに非がある」
「霧埼くんはもうちょっと性格を改めるべきだとおもうんだよ」
「ちょ、さっつんもサクラちゃんもひどすぎるわ〜!つか、性格関係あらへんやろ!?」
三人は剣悟の言い分を完全に無視して調査をする。剣悟もしびしぶといった感じだが、周りの調査に参加した。
「とりあえず両端に扉があったけど、あかねーし、この揺れと音からして、まず間違いなくここは列車の中だってーのは確実だな。つまり、」
「少なくともここは月読島じゃない。月読島は小さい島だから、電車や車はない」
「せやけど、ワイらの記憶が正しければ、あの空にあいた穴に吸い込まれた後にしては、随分と変なところにおるな」
「そういえば、穴があらわれたとき、ものすごい魔力の渦の感じもしたんだよ」
サクラからの情報も聞き、零二は1つの結論を出す
「つまり、ここどこだかはおいといたとしても、これが超科学、つまりは俺達と同じ・・・」
「可能性として、それが一番高いんだよマスター」
「せやったら、これは((あのとき|・・・・))みたいなのとはちゃうんか?」
「もしそうだったとしたら?」
紗雪は警戒100%の眼で剣悟を睨みつける。
「おぉ、こわっ。安心しぃこっちもサクラちゃん相手やったら分が悪いのがわかるんやし」
しかしそれでも警戒する紗雪。少しでも動けば一触即発の状態である
「おい、二人ともやめろ。……サクラ、何か感じるか?」
「うーん、!!近くにいるよ。けど、私達の知らない人みたいなんだよ」
その発言にサクラも含めた全員が驚く。なにせ自分たちの知らない同じ存在がいるのだから
「OKなら俺が他の皆を呼んでから…」
零二が自身の((能力|ちから))を使おうとした時だった
「!!、兄さん、あぶない!!」
「!?」
紗雪の直観を聞き、零二は反射的にそこから離れた。すると近くにあった扉が吹き飛び、隣の車両から、球状に近い形の機械がぞろぞろと現れた。
「こ、こいつらは?」
「見たところ、誰かが作った兵器。それも自動型の」
「せやけど、あくまで科学にすぎひんのやったら、たとえさっきの光線みたいなんでも大丈夫やな」
「けど、このままいたぶられてもいいことなしなんだよ!」
普通の人間ならばこの状況、この戦力、そして相手の力を見れば死を覚悟するであろう。だが、彼はその必要などない。なぜなら彼らは人智を超えた兵器と身体を持っているのだから。
「サクラの言うとおりだな。……なら、いくぜ!紗雪、霧埼、サクラ!!!」
「まかせて、兄さん!」
「芳やんとこうして組むんは初めてやな!」
「任せてなんだよ!マスター」
彼らは過去、とある1つの宝石を手にした。それは、彼らと融合し、彼らの想い、象徴、心象を具現化する((能力|ちから))となった。
「ああ。ただしサクラ、俺が許可しない限り、あれは使うなよ!ここじゃ、使ったら何が起きるか分かんねーからな!」
「了解なんだよ!」
「まぁ、そんなもんなくとワイらなら余裕やけどな」
「油断は禁物」
「わかっとるで、さっつん」
紗雪と剣悟はその力を具現化する((呪文|言霊))を世界に投げかける
「「――――――((魔術兵装|ゲート・オープン))――――――」」
2人の周りに((魔術|ルーン))の風がふく、そしてそれが晴れた先にあったのは
「ほな、やるとしますか?」
「足を引っ張らない程度で戦って」
紗雪は剣悟にそう言いながら白と黒の拳銃を目の前にいる兵器に向ける。手首には細長いリボンが巻かれており、風で揺れる彼女武器、2挺拳銃の《うたまる&アルキメデス》だ
「まぁ、そういわれんでも、役に立つでワイわ!」
剣悟の周囲に無数のナイフが宙に浮いており、剣悟を守る悪魔の牙の如くゆっくりそのまわりで浮遊する。その数は全部で666本。そして、666本にして1つの武器なのである。それこそが彼の持つ武器《ストりームフィールド》
そして
「そんじゃ、準備はいいな、サクラ!」
「いつでもなんだよ!」
サクラの服装が戦闘スタイルの服へと変わる
そう、彼女は零二の兵器。人にして兵器、名を《サクラ》そして、これらの人智を超えた兵器の前に、愚かにも((傀儡|ドール))は戦闘を選んだ。だが彼らでは倒せないであろうことを、この四人は完全に確信する。その兵器の名は、彼らは《戦略破壊魔術兵器》。通称、《マホウ》と呼び、そしてそれを自由自在に自らの手足同様に使う者を、彼らはこう呼んだ
―――《召喚せし者》。通称、《マホウツカイ》と
SIDE・END
HAYATE・YAGAMI
「なんや、これ?」
ここはとある組織の部隊の制御室。そこを指揮していたグリフィス・ロウランもいや、これを見ているスタッフ全員があり得ない者を見ていた。そしてついに、ここに到着した部隊長、八神はやては皆が言いたいその一言を口にした。
「も、センサー確認できる最後尾の車両にある数は…669個です」
スタッフの眼鏡女性がそういうといかにこの状況がとてつもない状況かがわかる。
「!、ともかく、急いでフォワード部隊に連絡を!迅速に目的地に着くように要請!」
「「りょ、了解!」」
「……最悪、私が出なあかんかもしれへんな」
「はやて部隊長自ら、ですか!?」
グリフィスはその言葉に驚く。何も危険だからではない。はやての想像を斜め上を行く実力を知っているからこそだ。
「あれだけの‘ロストロギア,はありえへん。それもいきなり増えるなんて考えられへん。なにか危険な物の確率は充分以上にある」
「!!」
はやてにこう言わせるとは、つまりはそう言うことなのである
「ともかく、いまは現状待機、フォワードの皆の動きを見てからや。それにレリックもあるんやし」
「了解しました!」
はやてはあくまでも落ち着き、部隊長の椅子に座るがその瞳はどこか焦っていた
(気をつけてな、皆)
部隊長という役職がある以上、簡単にここからは動けない。本当ならこんな状況ならいち早く飛んでいきたいがそれはできない。だからこそ、今は祈るしかないのだった
SIDE・END
REIZI・YOSINO
「これで、どうやっ!!」
無数のナイフが一直線で飛んでいくそれを機械は避けるが
「無駄や――((踊り狂う悪魔|エイレナイオス))――っ!」
意志を持つかのように曲がり命中。1本、1本ではまるで貫通しないが塵も積もれば山となる一気に何百の数を切りつけられ、貫通する。雨のように降り注ぐナイフになすすべもなく切り刻まれ、次の標的へと剣悟が誘導する。これこそかれのストリームフィールドの能力《((踊り狂う悪魔|エイレナイオス))》生物を除いたありとあらゆる物体を念動力で自由自在に動かす。
しかし666ものナイフを操らなければならないため、並みの人間では他の物体を操作するほどの思考的余力は存在しない。だがそれでも剣悟はそれをうまく生かし、ナイフで相手を着実に切り刻むことができるのだ。
「くっ、もう一度なんだよ、紗雪ちゃん!」
「わかった!」
サクラと紗雪は苦戦をしていた。サクラの手の平から放たれる小さなボールほど大きさの魔力弾と紗雪の2挺拳銃からでるそれよりかはもう少し小さい白と黒の魔力弾が一斉に連続発射される。敵をハチの巣にするがごとく目標へと向かう。だが、
「また四散したんだよ!」
「どうなってるの!?」
彼女たちの攻撃は当たるどころか直前に四散し消えた。
「おそらく、敵の能力だろうな。ある程度の魔力なら無効化できるといったところだろ」
「そんなものを開発できるのも凄いけど、その技術があることは」
「ああ。そうだぜ紗雪。ほぼ間違いなく((戦略破壊魔術兵器|マホウ))について何か知ってるやろーってことだ」
「せやかて、この程度ならさっつんもサクラちゃんも魔力を籠めて撃てば、問題ないなしやろ?」
「当然なんだよ!」
「今度はこっちから反撃する」
紗雪は再び構える。すると両手の銃が黒い銃は黒く、白い方は白く輝きだす。魔力を籠め、その必殺の一撃を与える!
「((Auf Wiedersehen|さようなら))」
放たれし白と黒の威力を感知してか、それを避けるが無駄に終わる。なぜならすでに狙いは付いているのだから。
「――((福音の魔弾|ヴァイス・シュバル))――!」
敵を((認識|・・))した2つの弾丸はまるで十字架のような形を描いて交差し、完全に避けたはずの2機を粉砕した。これが彼女の武器の能力、相手の音を認識して追尾する《((福音の魔弾|ヴァイス・シュバルツ))》どんなものでも動いている限り微弱な音は必ず出す。それを認識し、どこまでも追尾する。単純だがその能力と武器の形は最高に相性が良かった。
「ふぅ、こっちも終わったんだよ!」
「まったく、それにしても前にまだおりそうやな〜」
剣悟はめんどくさいと今でも言ってもおかしくない感じで呟いた。
「敵を倒しながら前に来たが、どうもまだ先があるし、それに」
「兄さんの能力の一部が使えないのは本当?」
そう、零二は自らの能力を使い仲間を呼ぼうとしたができなかった。零二の能力は《((復元する世界|ダ・カーポ))》24時間以内に出会った人物を呼び戻す、または物質を24時間以内の状態に戻す能力。
零二はその力を使い紅葉や龍一など同じ((召喚せし者|マホウツカイ))を呼ぼうとしたがそれが出来なかった。いや、発動すら出来なかった。だが、物質を24時間以内の状態に戻す能力は使えたので全員の傷を即座に回復できた。
もともと((召喚せし者|マホウツカイ))は未知の超科学鉱石と融合し人智を超えた存在となった。それ故に如何なる科学兵器を用いても殺せず、たとえ頭を粉砕しても、ものの数日と言わず回復する。だがそれは、相手に追撃のチャンスを許すことでもある。それ以前に自ら頭を粉砕されたい人間などいないが。
零二の能力はそれ事態は((召喚せし者|マホウツカイ))にはたいしたことはないが治癒をさらに速めたり、仲間をすぐに呼ぶなどサポート面では大いに役に立つ能力。だがなぜか今の零二は召喚ができなかった。
「ああ。できない。でもいったいどうして」
「それは……」
零二の疑問にサクラが申し訳なそうに呟こうとしたが、
「!!、魔力を感知したんだよ!さっきも確認したマスターたちも知らない誰かの!」
「なんだと!どこに?」
「この上なんだよ!」
「お話の最中やけど、やっこさんがまたきたでぇ!つか、もうこいつらいやや、見るのも飽きたし壊すんも飽きたわ〜」
「そういうな。(ともかくこう狭いとラチがあかねーな)」
零二は一瞬考える。
「よし、霧埼、こいつらにもっとも有効な力を持ってんのはお前だ!ここを任せていいか?」
「面倒やけど、まぁダチの頼みや、引き受けたで」
「紗雪は、霧埼が明けた道を前に進んでくれ。列車の一番前に行けば止められるはずだ。敵とは最低限に戦うだけでいい。ここじゃお前の戦闘スタイルは出しにくいが、一番早いのはお前だ」
「うん。まかせて」
2人とも互いのするべきことを聞き、それを承諾した。
「俺とサクラは一度後ろに戻って上に行く。さっきの戦闘で、一番後ろの扉も壊れて開くからな。」
「了解なんだよ!」
「ほな、まずワイが前の道を開くでほらぁ!!!」
ナイフのほぼ半数以上を攻撃にまわし突破口を開き、紗雪の軽い動きで前に進む。
「よし行くぞ、サクラ」
「うんなんだよ!」
SIDE・END
SYUKI・KUROBANE
指示を受けた紗雪は素早く行動する。それは兄の気持ちに答えるためでもある
「ようやくこいつらにも慣れてきた」
紗雪はこの短時間でいかに魔力多く使わず、厄介な今回の敵を倒すかを考え何度か撃ち、そのなかでもっとも効率のいい魔力を籠める方法をすぐさま導きだした。その結果、兄は相手するなと言ったが、向かってくる敵は排除した。なぜなら、もう今の紗雪の分析では苦もなく勝てる相手に入ったからだ。
「!、あまい!」
白と黒の銃に魔力を少しずつこめ、ちょうどいい具合に発射する。一見乱射に見えるが全て当たる。能力など使わずとも紗雪の技術は上の上は確実に行っていた。時には華麗なまでな動きで回避し、同士討ちもさせた。
「もうとっくの昔に、あなた達の勝機はない」
そしてこの車両にいる最後機械に止めを刺した時だった。
「!こ、この揺れは!?」
突然後部車両の方が揺れた。兄が心配になったが、今は目標に集中することに意識を変えようとした時、突然前の扉が開き、両手に同じ形をしたニ挺拳銃を持ち、戦闘服だろうか奇妙な服を身にまとったオレンジ色の少女が現れる
「「!?」」
ふたりは即座にほぼ同時に構えた
そしてそのまま静寂に包まれるが、最初に発言したのは紗雪だった。
「あなた、何者?」
のちに、この二人の関係が大きく変わることなど、まだ知るよしもなかった。
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とつぜん島に現れた黒い穴に吸い込まれた零二が目覚めると、そこは知らない場所だった | ||
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