魔法少女リリカルなのはStrikerS〜二次創作〜 第4話 「いざ!機動六課へ」 |
「うーん・・・」
長い眠りから覚めたように、目を覚ました
意識がなくなってからどれだけ時間が経ったか・・・
いや、それよりもここは何処だ?
なんだかこの質問もデジャヴに感じる
とにかく、目の前に広がっているのは空でもなく公園の風 景でもない、どこかの一室の天井だった
俺はソファーに横になっており毛布がかけられている
「あ、よかった!気がついた!」
上半身を起こし辺りを見回し最初に飛び込んできたのは、 キッチンらしきところで作業している俺と同じくらいの女 性、黒髪のロングで顔立ちが整っているとても綺麗な女性 の姿と安堵の言葉だった
「はいお水、よっぽど疲れてたんだね。三時間くらい眠っ てたよ?」
「ありがとう・・・ございます」
俺は素直に水を受け取りそれを飲んだ
ずっと何も、水すら口にせず走り回っていたのでいつもよ りもずいぶん美味しく感じられた
「さて、聞きたいことが山ほどあるんだけどいいかな?」
女性は俺の元に近寄りそう言った
「あ・・・はい」
俺は水が入ったコップを目の前のテーブルに置き、女性の 質問に従うことにした
「じゃあまず、君はなんで公園で倒れていたのかな?」
「えっと・・・それはその・・・」
いきなり違う世界にやってきて、色々探しまわりながら走 りまくったあげく公園で変な奴らを倒したのはいいがショ ックなことがありすぎてぶっ倒れましたなんて言えるわけ がない
「友達を・・・探して走り回っていたらいきなり目の前が チカチカしたんです・・・」
嘘
全くもって嘘である
とっさに考えて出てきたものだがこれ程ひどいものはない だろう
「・・・嘘だね?」
やっぱりバレてしまった
これでバレないほうがおかしい
「・・・すいません」
「いいのいいの気にしないで、いきなり初対面の人に話せ って言われても無理だよね」
すると女性は懐からカードのようなものを取り出し、俺に 見せた
「私はシャモニー、シャモニー・ガライヤ。皆からはシャ ムって呼ばれてる。あ、皆っていうのは私の仕事場の人た ち。ほら、ここに書いてある『機動六課』ってとこ」
そう言ってシャモニーさんは単語を指差す
だがいかんせん俺はこちらの文字が読めないのだ
指差さされてもさっぱりわからない
思わず首を傾げてしまう
「あれ?もしかして文字が読めない?」
そんな俺の様子に気づいたのか、シャモニーさんはそう言 ってきた
「これは・・・もしかして・・・」
シャモニーさんは考えこんでしまった
この文字はそんなに有名なものなのだろうか?
俺が知らないだけ?
「えっと・・・君はミッドのどこら辺に住んでるの?」
「ミッド・・・?ミッドってどこです?新しい地名ですか ?」
俺のこの言葉にシャモニーさんは一瞬驚いた表情をして、 次にさっきとはまるで違うとても真面目な表情で俺の両肩 に手を置き慎重に話し始めた
「いい?気をしっかりもって聞いてね・・・?」
「あ、はい・・・」
そんなシャモニーさんに何も言えず、次の言葉を待った
「君は・・・次元漂流者なんだ」
聞き慣れない言葉だった
じげんひょうりゅうしゃ?
「えっと・・・説明すると、何らかの影響で自分が元いた 世界から別の世界に飛ばされちゃった人のことをいうんだ ・・・」
俺は何も言葉が出なかった
なるほど、それなら納得がいく
この不思議な世界も、現実離れした現象も、何もかも
俺は恐怖した
もう元の生活・・・世界か、には戻れないんじゃないか・ ・・
家はどうする?
家族は?友達は?将来は?
もう会うことも、顔をみることも、話すことすらも出来な いんじゃないだろうか?
そう思うと震えが止まらない
「大丈夫!落ち着いて!まだ帰る方法が無いって決まった わけじゃない!」
「・・・へ?」
まだ可能性は残っている、この言葉に今ほど感謝したこと はないだろう
「私達、機動六課の仕事にはそういう人たちをちゃんと元 の世界に戻してあげるっていうのも含まれてるんだ。時間 は掛かるかもしれないけど見つけるまで絶対諦めないから !」
そう意気込むシャモニーさんはとても頼もしく思えた
「だから文字が読めないのか・・・やっと辻褄が合いまし た」
そんなシャモニーさんに安心したのか、俺は自然と口が開 いた
シャモニーさんは、俺が普通に話し始めたことに安心した のか優しい表情に戻った
先ほどの絶望感も消えて、今は希望があった
「よかったー、あのままおかしくなっちゃうのかと思った よ」
「シャモニーさんのおかげです」
たしかに、あのまま行ったら俺は確実におかしくなってい た
運よく俺を助けてくれたのがシャモニーさんだったのが救 いだった
「あ、そうだ。ごめんね・・・君が持っていたもの調べさ せてもらったんだ」
するとシャモニーさんは俺の持ち物である複数の物を持っ てきてテーブルの上に広げた
携帯電話、多機能型音楽プレイヤー、そして
「これが一番気になったんだけど・・・」
シャモニーさんが持っていたのは二つの銃がしまえるガン ホルスター
もちろんあの白と黒の銃も収まっている
「あ!それは・・・!」
「なんでモデルガンなんて持ってるの?間違えば逮捕され るよ?」
「・・・はい?」
なんだか違うような気がする
たしかにさっきはこの銃で弾丸を撃ちまくっていた
するとシャモニーさんはホルスターから二丁拳銃を取り出 し引き金を引いた
止めかけたが、なんとカチカチ音がするだけで何もでない
あれ・・・?
「もう・・・今回は私だったからよかったけど、一歩間違 えばどうなっていたか・・・」
シャモニーさんは銃をホルスターにしまい差し出してきた
俺はそれを無言で受けとる
なんで弾が出ないんだ?
「それじゃあ、君がこっちの世界に飛んできたときのこと を教えてね?何か怪しいものを持ったり触ったりしなかっ た?」
「怪しいもの・・・」
俺は必死に考えた、怪しいもの・・・怪しいもの・・・
そして俺は答えにたどり着いた
来たときに持っていて、今は持っていないもの・・・
あわててテーブルの上にあるものを確認したが、それがな い
「シャモニーさん!これの他にありませんでしたか!?俺 の持ち物!」
「う・・・うん。それ以外には特に無かったけど・・・」
いきなり大声で尋ねた俺にシャモニーさんは驚きながら答 えた
ここに無いとしたらあそこしか考えられない
時刻は夕暮れ
暗くなれば探しにくくなる
明日になれば誰かに気づかれるかもしれない
「あ、ちょっと!君!」
俺は考えるより先に部屋を飛び出していた
?裏路地?
シャモニーさんの住んでいたマンションを出て、俺は一目 散に最初の裏路地に来た
「チケット・・・チケット・・・どこだ!」
必死に辺りの物を投げ飛ばし金色の紙を探す
まだここにあればいいが・・・
「はぁ・・・はぁ・・・何でこんなところに?」
「ここにあるんです!俺のもう一つの持ち物が!」
必死に辺りを探す
手が傷つくのも気にしない
永遠に戻れないよりマシだ
「どこだ・・・どこだ・・・あったー!!」
そして見つけた、木箱の残骸の下敷きになっていたクシャ クシャに丸めた金色の紙を
「やっ・・・た」
「ちょっと君!君ー!」
唯一の手掛かりが見つかって気が抜けたのか、体から一瞬 で力が抜け地面に倒れ込んだ
そしてまた、意識が途絶えた
ーーーーーーーーーー
気がつくと、俺はシャモニーさんに肩を貸されて来た道を 戻っていた
「よかった気がついた!ダメだよー、病み上がりなのに無 理したら」
「すいません・・・」
俺のポケットにはしっかりとあのチケットが入っていた
これがたった一つの手がかりだった
「・・・」
「・・・」
それからしばらく会話が無く、俺たちは夕日に照らされた 道を歩いていた。シャモニーさんは何か考えているようだ った
「うーん・・・」
俺はそんなシャモニーさんに何も言えず、ただただ黙って いるだけだった
少し歩くと、シャモニーさんは何かを決意したのか口を開 いた
「明日、機動六課に行くからね?」
「はい?なんでです?」
「次元漂流者の引き取りには、きちんとした書類と保証人 が必要なんだ」
たしかに、そうしないと次元漂流者とやらがどこで何をし ているかわからないな
ってちょっと待て
「引き取るって・・・誰がですか?」
「うん?私だよ?」
一瞬何が何だかわからなかった
引き取る?シャモニーさんが?何で?
「理由はね、何だかこれからのあなたのことが心配で放っ ておけなくなったの、一人で暮らすにしても文字とか読め ないでしょ?」
図星だ
ここで生きていくには情報が足りなすぎる
文字が読めないなんて話にならない
「で・・・でも、迷惑とかかけちゃうかもしれないし、お 金とか・・・」
「心配しないで、私は結構お金持ちなのだ!」
そう言って胸をはるシャモニーさん
シャモニーさんが言うには、機動六課というところはとに かく仕事がハードらしく、今日みたいに休暇がなかなかと れないので、使わないというか使えない給料がどんどん貯 まっていくのだという
それに加え、命をかけた仕事なので給料がとてもいい
なので今さら家に人が増えたところで特に変わらないとい う
でも、それでも住まわせてもらうだけというのはなんだか 気がひける
しかも女性にだ
だから何か仕事をしようと思いシャモニーさんに提案した
「な・・・なら、シャモニーさんがいない間、家の家事炊 事は俺がします!」
これが俺にできる最低限のこと
一人暮らしだったので慣れている
「よし!これで交渉成立だね!」
そう言ってVサインを返してくれたシャモニーさん
「あ、それと・・・私のことはシャムでいいよ」
「でも、それはさすがにシャモニーさん・・・」
「シャム」
「いや、ですから・・・」
「シャム」
「シャモニーさん・・・」
「シャム」
「シ・・・シャムさん」
「シャム」
「・・・シャム」
「よろしい!」
そんなやり取りをしている間にいつの間にかマンションに 着いていた
たしかにあの部屋は女性の一人暮らしには広すぎる
ルームメイトが欲しかったのかな?
というか、冷静に考えてみたら女性と二人って・・・
しかもとっても綺麗な人と・・・
なんか・・・緊張してきた
「どうしたの?」
「な・・・なんでもないっす!」
そういえば、あの歪む空間のこと話しそびれた
いいか・・・今は余計な心配はかけたくない
「そういえば、君の名前は?」
マンションのエレベーターに乗り込むとシャモニーさ・・ ・シャムがそう聞いてきた
そういえば名乗ってなかったなぁ
「俺の・・・名前は・・・」
そこで俺は思い出した
俺と同じような服を着て、俺と同じような銃を両手に持ち 、銀色に光る剣を背負って戦う男の名前を
ここで本名を言うのはまずい
そう思い俺はその男の名前を言うことにした
「・・・ダンテ」
「うん?」
「俺の名前は、ダンテだ」
「そうか・・・これからよろしくね、ダンテ」
本物のダンテのように上手くはいかないけど、俺なりに頑 張ってみようと思う
これから新しい生活が始まる
不安と安心が俺を支配していた
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その性格でダンテって、、、ある意味すごい(クチナワ) | ||
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